47 / 56
45.ランチタイム①
しおりを挟む
「歩、お昼行こうか」
「うん」
一君に声を掛けられ、お弁当の袋を持って席を立った。
「え?!委員長が逢坂の事を呼捨て?!」
近くにいた中村が思いのほか大きな声で呟いた。
「ああ。歩は俺の大事な幼馴染だからな」
「え?!そうなの??」
「歩、行こう」
「え?あ、うん」
中村の疑問には答えず、一君は僕の肩を抱いて教室をあとにした。けど、さっきの言い方は何か誤解されそうな…。
生徒会室に着き、ドアをノックして扉を開けると、すでにみんな揃っていた。
「歩、待ってたよ」
「席は俺達の間な」
「「ずるい」」
「那都と風悠は朝一緒だったでしょ」
「一哉は同じクラスだし、お昼くらいいいだろ」
僕に選択権はないらしく、類君と圭君の間に座る。テーブルにはみんなのお弁当が所狭しと広げられている。そこには、中華やフレンチ、イタリアンと様々なおかずが詰められていた。
「うわぁ~すごいお弁当だね~!」
「母さんとシェフが張り切って…」
「うちも」
類君と圭君の言葉に、一君となっ君、ふう君も大きく頷く。なんか、僕のお弁当出すの恥ずかしいな…。
「歩のお弁当と交換したいな」
「え?僕の何て大したことないよ!」
「類、歩のお弁当はみんなの物だ」
「「「そうそう」」」
「ちぇっ…」
ま、待って待って!!僕のお弁当にそんな価値ないです!!普通の、どこにでもあるお弁当です!!変な期待の中、お弁当を出して蓋を開けると、一斉に箸が伸びてきて、アッと今におかずが入れ替わっていた。庶民的な僕のお弁当は、一瞬で豪華なお弁当へと変わった。少し多めに詰めてきて良かった…。
「じゃ、いただきます」
「「「「いただきます」」」」
「い、いただきます…」
みんなが僕の作ったおかずを一斉に口に運ぶ。
「「「美味い!!」」」
「「美味しい」」
良かった~。みんなの口に合ったみたいで。安心したところで、僕も目の前に積まれたおかずを食べようと箸を伸ばしたら、「歩」と声を掛けられ振り向くと、もごっと口におかずが入れられた。
「美味しい?」
入れられた海老フライを咀嚼する。サクサクの衣にプリプリで大きな海老が甘みもあって美味しい。
「うん、すっごく美味しい!」
「よかった。母さんが歩の為に伊勢海老取り寄せたんだ」
「へっ?」
い、伊勢海老~?!
「歩、こっちも食べてみて」
今度は圭君からコロッケを口に入れられた。濃厚なベシャメルソースのクリームコロッケ。これはカニかな?
「花咲ガニにはまだちょっと早かったから毛ガニなんだけど、いけるだろ?」
毛ガニ!!しかも、花咲ガニの代わりって…。僕はびっくりしてゴクンと飲み込んでしまい、少し咽てしまった。
「ゴホッゴホッ…!」
「歩、大丈夫?!」
「「歩君、これ飲んで!」」
背中をさすられ、なっ君とふう君からコップを受け取り、お茶を喉に流した。
「ケホッ…ありがとう。…この紅茶美味しいね」
「ダージリンのファーストフラッシュだよ」
「母さんが取り寄せてた奴くれた」
…!!危うく吹き出すとこだった…。
「うん」
一君に声を掛けられ、お弁当の袋を持って席を立った。
「え?!委員長が逢坂の事を呼捨て?!」
近くにいた中村が思いのほか大きな声で呟いた。
「ああ。歩は俺の大事な幼馴染だからな」
「え?!そうなの??」
「歩、行こう」
「え?あ、うん」
中村の疑問には答えず、一君は僕の肩を抱いて教室をあとにした。けど、さっきの言い方は何か誤解されそうな…。
生徒会室に着き、ドアをノックして扉を開けると、すでにみんな揃っていた。
「歩、待ってたよ」
「席は俺達の間な」
「「ずるい」」
「那都と風悠は朝一緒だったでしょ」
「一哉は同じクラスだし、お昼くらいいいだろ」
僕に選択権はないらしく、類君と圭君の間に座る。テーブルにはみんなのお弁当が所狭しと広げられている。そこには、中華やフレンチ、イタリアンと様々なおかずが詰められていた。
「うわぁ~すごいお弁当だね~!」
「母さんとシェフが張り切って…」
「うちも」
類君と圭君の言葉に、一君となっ君、ふう君も大きく頷く。なんか、僕のお弁当出すの恥ずかしいな…。
「歩のお弁当と交換したいな」
「え?僕の何て大したことないよ!」
「類、歩のお弁当はみんなの物だ」
「「「そうそう」」」
「ちぇっ…」
ま、待って待って!!僕のお弁当にそんな価値ないです!!普通の、どこにでもあるお弁当です!!変な期待の中、お弁当を出して蓋を開けると、一斉に箸が伸びてきて、アッと今におかずが入れ替わっていた。庶民的な僕のお弁当は、一瞬で豪華なお弁当へと変わった。少し多めに詰めてきて良かった…。
「じゃ、いただきます」
「「「「いただきます」」」」
「い、いただきます…」
みんなが僕の作ったおかずを一斉に口に運ぶ。
「「「美味い!!」」」
「「美味しい」」
良かった~。みんなの口に合ったみたいで。安心したところで、僕も目の前に積まれたおかずを食べようと箸を伸ばしたら、「歩」と声を掛けられ振り向くと、もごっと口におかずが入れられた。
「美味しい?」
入れられた海老フライを咀嚼する。サクサクの衣にプリプリで大きな海老が甘みもあって美味しい。
「うん、すっごく美味しい!」
「よかった。母さんが歩の為に伊勢海老取り寄せたんだ」
「へっ?」
い、伊勢海老~?!
「歩、こっちも食べてみて」
今度は圭君からコロッケを口に入れられた。濃厚なベシャメルソースのクリームコロッケ。これはカニかな?
「花咲ガニにはまだちょっと早かったから毛ガニなんだけど、いけるだろ?」
毛ガニ!!しかも、花咲ガニの代わりって…。僕はびっくりしてゴクンと飲み込んでしまい、少し咽てしまった。
「ゴホッゴホッ…!」
「歩、大丈夫?!」
「「歩君、これ飲んで!」」
背中をさすられ、なっ君とふう君からコップを受け取り、お茶を喉に流した。
「ケホッ…ありがとう。…この紅茶美味しいね」
「ダージリンのファーストフラッシュだよ」
「母さんが取り寄せてた奴くれた」
…!!危うく吹き出すとこだった…。
120
お気に入りに追加
425
あなたにおすすめの小説

守護霊は吸血鬼❤
凪子
BL
ごく普通の男子高校生・楠木聖(くすのき・ひじり)は、紅い月の夜に不思議な声に導かれ、祠(ほこら)の封印を解いてしまう。
目の前に現れた青年は、驚く聖にこう告げた。「自分は吸血鬼だ」――と。
冷酷な美貌の吸血鬼はヴァンと名乗り、二百年前の「血の契約」に基づき、いかなるときも好きなだけ聖の血を吸うことができると宣言した。
憑りつかれたままでは、殺されてしまう……!何とかして、この恐ろしい吸血鬼を祓ってしまわないと。
クラスメイトの笹倉由宇(ささくら・ゆう)、除霊師の月代遥(つきしろ・はるか)の協力を得て、聖はヴァンを追い払おうとするが……?
ツンデレ男子高校生と、ドS吸血鬼の物語。

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。
しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。
基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。
一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。
それでも宜しければどうぞ。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。

どこにでもある話と思ったら、まさか?
きりか
BL
ストロベリームーンとニュースで言われた月夜の晩に、リストラ対象になった俺は、アルコールによって現実逃避をし、異世界転生らしきこととなったが、あまりにありきたりな展開に笑いがこみ上げてきたところ、イケメンが2人現れて…。

魔王様の瘴気を払った俺、何だかんだ愛されてます。
柴傘
BL
ごく普通の高校生東雲 叶太(しののめ かなた)は、ある日突然異世界に召喚されてしまった。
そこで初めて出会った大型の狼の獣に助けられ、その獣の瘴気を無意識に払ってしまう。
すると突然獣は大柄な男性へと姿を変え、この世界の魔王オリオンだと名乗る。そしてそのまま、叶太は魔王城へと連れて行かれてしまった。
「カナタ、君を私の伴侶として迎えたい」
そう真摯に告白する魔王の姿に、不覚にもときめいてしまい…。
魔王×高校生、ド天然攻め×絆され受け。
甘々ハピエン。

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします
muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。
非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。
両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。
そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。
非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。
※全年齢向け作品です。
【完結】だから俺は主人公じゃない!
美兎
BL
ある日通り魔に殺された岬りおが、次に目を覚ましたら別の世界の人間になっていた。
しかもそれは腐男子な自分が好きなキャラクターがいるゲームの世界!?
でも自分は名前も聞いた事もないモブキャラ。
そんなモブな自分に話しかけてきてくれた相手とは……。
主人公がいるはずなのに、攻略対象がことごとく自分に言い寄ってきて大混乱!
だから、…俺は主人公じゃないんだってば!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる