乙女ゲームのモブに転生したようですが、何故かBLの世界になってます~逆ハーなんて狙ってないのに攻略対象達が僕を溺愛してきます

syouki

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45.ランチタイム①

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「歩、お昼行こうか」
「うん」

一君に声を掛けられ、お弁当の袋を持って席を立った。

「え?!委員長が逢坂の事を呼捨て?!」

近くにいた中村が思いのほか大きな声で呟いた。

「ああ。歩は俺の大事な幼馴染だからな」
「え?!そうなの??」
「歩、行こう」
「え?あ、うん」

中村の疑問には答えず、一君は僕の肩を抱いて教室をあとにした。けど、さっきの言い方は何か誤解されそうな…。


生徒会室に着き、ドアをノックして扉を開けると、すでにみんな揃っていた。

「歩、待ってたよ」
「席は俺達の間な」
「「ずるい」」
「那都と風悠は朝一緒だったでしょ」
「一哉は同じクラスだし、お昼くらいいいだろ」

僕に選択権はないらしく、類君と圭君の間に座る。テーブルにはみんなのお弁当が所狭しと広げられている。そこには、中華やフレンチ、イタリアンと様々なおかずが詰められていた。

「うわぁ~すごいお弁当だね~!」
「母さんとシェフが張り切って…」
「うちも」

類君と圭君の言葉に、一君となっ君、ふう君も大きく頷く。なんか、僕のお弁当出すの恥ずかしいな…。

「歩のお弁当と交換したいな」
「え?僕の何て大したことないよ!」
「類、歩のお弁当はみんなの物だ」
「「「そうそう」」」
「ちぇっ…」

ま、待って待って!!僕のお弁当にそんな価値ないです!!普通の、どこにでもあるお弁当です!!変な期待の中、お弁当を出して蓋を開けると、一斉に箸が伸びてきて、アッと今におかずが入れ替わっていた。庶民的な僕のお弁当は、一瞬で豪華なお弁当へと変わった。少し多めに詰めてきて良かった…。

「じゃ、いただきます」
「「「「いただきます」」」」
「い、いただきます…」

みんなが僕の作ったおかずを一斉に口に運ぶ。

「「「美味い!!」」」
「「美味しい」」

良かった~。みんなの口に合ったみたいで。安心したところで、僕も目の前に積まれたおかずを食べようと箸を伸ばしたら、「歩」と声を掛けられ振り向くと、もごっと口におかずが入れられた。

「美味しい?」

入れられたフライを咀嚼する。サクサクの衣にプリプリで大きな海老が甘みもあって美味しい。

「うん、すっごく美味しい!」
「よかった。母さんが歩の為に取り寄せたんだ」
「へっ?」

い、伊勢海老~?!

「歩、こっちも食べてみて」

今度は圭君からコロッケを口に入れられた。濃厚なベシャメルソースのクリームコロッケ。これはカニかな?

「花咲ガニにはまだちょっと早かったから毛ガニなんだけど、いけるだろ?」

毛ガニ!!しかも、花咲ガニの代わりって…。僕はびっくりしてゴクンと飲み込んでしまい、少し咽てしまった。

「ゴホッゴホッ…!」
「歩、大丈夫?!」
「「歩君、これ飲んで!」」

背中をさすられ、なっ君とふう君からコップを受け取り、お茶を喉に流した。

「ケホッ…ありがとう。…この紅茶美味しいね」
「ダージリンのファーストフラッシュだよ」
「母さんが取り寄せてた奴くれた」

…!!危うく吹き出すとこだった…。

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