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38.お宅訪問
しおりを挟む色んな事が一気に起こりすぎて、僕の思考能力は停止してしまった。なので、一先ず帰宅させてもらう事にした。
何故か5人の話し合いの結果、類君の車で送ってもらう事になった。
「ありがとう、類君」
「いや。それより、大丈夫か?」
「あ、うん…」
「その…明日もう一度話せないかな?6人で…」
「あ…」
返事に困ると、類君はそっと僕の家頭を撫でた。
「すぐに今日の答えを出さなくて良いんだ。ただ、明日は幼馴染として過ごしたいんだ。…ダメかな?」
「う、ううん!僕も、みんなと過ごしたい!」
「良かった。なら、明日10時に迎えに来るから」
「うん、わかった」
返事をすると、にっこり笑って類君は車に乗って帰って行った。
夜、母さんに記憶が戻った事を伝えると、そっと頭を撫でてきて、
「お父さんの事、嘘ついてごめんね」
と、言われた。
「ううん。母さんは僕の心を守ってくれてたんだね。ありがとう。ねえ、父さんの写真見せて!」
「うん。いっぱいあるわよ!」
そのまま、遅くまで父さんの写真を見ながら二人でいっぱい話をした。
(母さん、父さんの話してる時すごく嬉しそうだったな…)
僕の記憶が無くて、母さんにも辛い思いをさせたんだな…と同時に、皆にも辛い思いをさせていたんだと実感した。
(明日は、昔の事と離れてた間の話がいっぱいできたら良いなぁ…)
なんて思いながら、僕は眠りについた。
「おはよう、歩」
「おはよう、類君」
時間通りに、類君は僕を迎えに来てくれた。
「母さんが歩に会いたいって行ってるんだけど…」
「うん。僕も類君ママに会いたい!」
「いや、その呼び方…もう、ママって年じゃ…」
話をしていると、あっという間に類君の家に到着した。初めて来たけど、想像よりもすごかった…。
「ふわぁ~…おっきい…」
「皆、向こうの庭で待ってるよ」
「あ、うん!」
庭?庭で待ってるなんて、貴族のお茶会みたいなんですけど…。
玄関をくぐらず、お家の裏手に回ると、大きなお庭の向こうにガゼボっていうのかな?壁の無い屋根の付いた建物にテーブルと椅子がセッティングされていて、みんなすでに座っていた。
「「歩君!!」」
僕を見つけた、なっ君とふう君がこっちに走ってきた。こんなにところは昔と変わらない。
「おはよう、なっ君、ふう君」
「「おはよう」」
にっこりと笑って僕のもとに来る2人。こんな笑顔も、思い出した今では、変わってないなぁ~って思う。
「ほんと、那都と風悠は歩の前だけ天使だな…」
ん?何言ってるの類君。なっ君もふう君も、みんなの天使だよ?
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