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閑話:それぞれのクリスマス~妄想劇場②
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~一哉編~
クリスマス。恋人たちにとって大事なイベント。
「かず君、ここなんだけど…」
「ああ、ここは…」
受験生である俺達は、ここの所図書館で勉強が主だ。しかし!今日は歩の家で勉強をしている。いわゆる、”お家デート”だ!それも、歩の部屋で二人きり!那都と風悠が、前に歩の家に入ったことがあるみたいだが、部屋は俺が初めてだ。…恋人の特権だな。
「あ…少し休憩しよっか?」
「そ、そうだな…」
「コーヒー淹れ直してくるね」
歩はマグカップを持って部屋を出て行った。一人になった俺は、悪いと思いながらもキョロキョロと歩の部屋を見渡してしまった。綺麗に整理整頓された部屋は、歩の性格を表している。
「お待たせ」
テーブルにマグカップとかわいらしい雪だるまの乗ったケーキが置かれた。
「あ…」
マグカップがさっきと変わっていた。歩の元に、濃紺にチェックのマグカップ。俺の元には黒にチェックのマグカップ。そして、雪だるまのケーキをよく見ると、二つの雪だるは手を繋いでいた。
「そ、その…クリスマスプレゼントなんだけど…外じゃ渡せないから…」
「ありがとう、歩。このマグカップは俺専用?」
「も、もちろん!」
「…毎日来ても良い?」
「う、うん」
「俺からは、これなんだけど…」
手元に置いていた鞄の中から、リボンの掛けられた箱を取り出し歩に渡す。
「開けて良い?」
「うん」
リボンを解き、包装紙を丁寧に開け箱の蓋を開けた。箱の中身はネックレスだ。
「きれぇ…」
雪の結晶をモチーフにしたペンダントトップのシルバーのネックレスは、華奢な歩に似合うと思い見かけて即、購入した。
「その…実は…」
俺は自分の胸元から着けているネックレスを取りだし、歩に見せた。
「あ、お揃い…」
「い、嫌じゃないか…?」
「全然!これから、もっとお揃いのもの増やそうね…一哉…」
「!!う、うん」
初めての二人っきりのクリスマス。俺は、一生かけて守りたい存在を手に入れたと実感した。
~那都・風悠編(那都視点)~
「風悠、歩とのクリスマスどうする?」
「豪華すぎると、歩絶対遠慮すると思う」
「恐らく、学生の域で出来る範囲が歩の望クリスマスだと思う」
「そうだね」
「すご~い!!フカフカだね!」
俺達は、歩を誘ってプラネタリウムにやって来た。ペア用のソファー(寝っ転がるタイプ)だが、無理を言って三人で使用できるようにお願いした。
「こんなフカフカなソファーで寝っ転がってたら、寝ちゃいそうだね」
「その時は、歩の寝顔見てていい?」
「だ、ダメ!もし寝ちゃっても恥ずかしいから見ちゃダメ!」
「残念」
クッションを抱きかかえて仰向けに寝転ぶ歩。…カワイイ。
「こうして三人で並んでると、幼稚園のお昼寝の時間みたいだね」
「…じゃあ…」
「昔みたいにしていい?」
証明が落とされ天井に星空が投影され始めると、俺達は体の向きを歩の方へ変え、クッションを抱きしめる歩の手に自分達の手を重ねた。
「な…なっ君?ふう君?」
「「し~。静かに」」
「…」
重ねた手で歩の手を包み込み、指を絡ませ上から恋人繋ぎをする。風悠と考えた作戦。歩はキュッと手に力を入れて答えてくれた。歩の心臓がすごくドキドキしてるのが伝わってくる。…心地いい。
上映時間が終わり、ゆっくりと館内が明るくなる。横にある歩の顔は真っ赤になっていた。
「もう!なっ君もふう君もひどいよ!」
三人だけになれるように、個室のあるカフェに入る。もちろん予約済み。
「あんなことするなんて…!」
あ…歩、本当は嫌で手に力が入ってたのか…?
「ずっとドキドキして、全然星に集中できなかったじゃない!!」
真っ赤な顔でぷっくと頬を膨らます歩。怒った歩もカワイイ。
「ごめんね。歩と手を繋ぎたかったんだ…」
「歩が外だと嫌がると思って…」
「ぼ、僕は那都と風悠の恋人なんだから、い、いつでも手、繋いでいいんだよ…」
「「歩…」」
俺達は、歩の事を守らないとと思っていたが、予想より歩は強いみたいだ。
「「歩、大好きだよ」」
これからは、前じゃなく歩の横を歩く事にしようと心に誓った。
(風悠視点)
…歩の手に自分の手を重ね指を絡める。キュッと歩の手に力が入り、心臓の早鐘が手に伝わってくる。
(歩もドキドキしてくれてる…)
嬉しくて俺の手にも力が入る。やっと歩と恋人繋ぎが出来て、俺は星座なんて見ていなかった。
「もう!なっ君もふう君もひどいよ!」
「あんなことするなんて…!」
個室のカフェで歩に怒られた。…嫌だったんだと、しゅんとなっていると、
「ずっとドキドキして、全然星に集中できなかったじゃない!!」
真っ赤な顔で頬を膨らませて怒る歩。良かった…嫌われたんじゃなくて。手が繋ぎたかったと伝えると、
「ぼ、僕は那都と風悠の恋人なんだから、い、いつでも手、繋いでいいんだよ…」
あ、名前…。歩の記憶が戻ってからずっと昔の呼び方だったのが、今、名前で呼ばれた。…嬉しい。一つとは言え年下っていうハンデ。やっと、対等になれた気がした。
ずっと、俺達の横に居てね歩―――。
クリスマス。恋人たちにとって大事なイベント。
「かず君、ここなんだけど…」
「ああ、ここは…」
受験生である俺達は、ここの所図書館で勉強が主だ。しかし!今日は歩の家で勉強をしている。いわゆる、”お家デート”だ!それも、歩の部屋で二人きり!那都と風悠が、前に歩の家に入ったことがあるみたいだが、部屋は俺が初めてだ。…恋人の特権だな。
「あ…少し休憩しよっか?」
「そ、そうだな…」
「コーヒー淹れ直してくるね」
歩はマグカップを持って部屋を出て行った。一人になった俺は、悪いと思いながらもキョロキョロと歩の部屋を見渡してしまった。綺麗に整理整頓された部屋は、歩の性格を表している。
「お待たせ」
テーブルにマグカップとかわいらしい雪だるまの乗ったケーキが置かれた。
「あ…」
マグカップがさっきと変わっていた。歩の元に、濃紺にチェックのマグカップ。俺の元には黒にチェックのマグカップ。そして、雪だるまのケーキをよく見ると、二つの雪だるは手を繋いでいた。
「そ、その…クリスマスプレゼントなんだけど…外じゃ渡せないから…」
「ありがとう、歩。このマグカップは俺専用?」
「も、もちろん!」
「…毎日来ても良い?」
「う、うん」
「俺からは、これなんだけど…」
手元に置いていた鞄の中から、リボンの掛けられた箱を取り出し歩に渡す。
「開けて良い?」
「うん」
リボンを解き、包装紙を丁寧に開け箱の蓋を開けた。箱の中身はネックレスだ。
「きれぇ…」
雪の結晶をモチーフにしたペンダントトップのシルバーのネックレスは、華奢な歩に似合うと思い見かけて即、購入した。
「その…実は…」
俺は自分の胸元から着けているネックレスを取りだし、歩に見せた。
「あ、お揃い…」
「い、嫌じゃないか…?」
「全然!これから、もっとお揃いのもの増やそうね…一哉…」
「!!う、うん」
初めての二人っきりのクリスマス。俺は、一生かけて守りたい存在を手に入れたと実感した。
~那都・風悠編(那都視点)~
「風悠、歩とのクリスマスどうする?」
「豪華すぎると、歩絶対遠慮すると思う」
「恐らく、学生の域で出来る範囲が歩の望クリスマスだと思う」
「そうだね」
「すご~い!!フカフカだね!」
俺達は、歩を誘ってプラネタリウムにやって来た。ペア用のソファー(寝っ転がるタイプ)だが、無理を言って三人で使用できるようにお願いした。
「こんなフカフカなソファーで寝っ転がってたら、寝ちゃいそうだね」
「その時は、歩の寝顔見てていい?」
「だ、ダメ!もし寝ちゃっても恥ずかしいから見ちゃダメ!」
「残念」
クッションを抱きかかえて仰向けに寝転ぶ歩。…カワイイ。
「こうして三人で並んでると、幼稚園のお昼寝の時間みたいだね」
「…じゃあ…」
「昔みたいにしていい?」
証明が落とされ天井に星空が投影され始めると、俺達は体の向きを歩の方へ変え、クッションを抱きしめる歩の手に自分達の手を重ねた。
「な…なっ君?ふう君?」
「「し~。静かに」」
「…」
重ねた手で歩の手を包み込み、指を絡ませ上から恋人繋ぎをする。風悠と考えた作戦。歩はキュッと手に力を入れて答えてくれた。歩の心臓がすごくドキドキしてるのが伝わってくる。…心地いい。
上映時間が終わり、ゆっくりと館内が明るくなる。横にある歩の顔は真っ赤になっていた。
「もう!なっ君もふう君もひどいよ!」
三人だけになれるように、個室のあるカフェに入る。もちろん予約済み。
「あんなことするなんて…!」
あ…歩、本当は嫌で手に力が入ってたのか…?
「ずっとドキドキして、全然星に集中できなかったじゃない!!」
真っ赤な顔でぷっくと頬を膨らます歩。怒った歩もカワイイ。
「ごめんね。歩と手を繋ぎたかったんだ…」
「歩が外だと嫌がると思って…」
「ぼ、僕は那都と風悠の恋人なんだから、い、いつでも手、繋いでいいんだよ…」
「「歩…」」
俺達は、歩の事を守らないとと思っていたが、予想より歩は強いみたいだ。
「「歩、大好きだよ」」
これからは、前じゃなく歩の横を歩く事にしようと心に誓った。
(風悠視点)
…歩の手に自分の手を重ね指を絡める。キュッと歩の手に力が入り、心臓の早鐘が手に伝わってくる。
(歩もドキドキしてくれてる…)
嬉しくて俺の手にも力が入る。やっと歩と恋人繋ぎが出来て、俺は星座なんて見ていなかった。
「もう!なっ君もふう君もひどいよ!」
「あんなことするなんて…!」
個室のカフェで歩に怒られた。…嫌だったんだと、しゅんとなっていると、
「ずっとドキドキして、全然星に集中できなかったじゃない!!」
真っ赤な顔で頬を膨らませて怒る歩。良かった…嫌われたんじゃなくて。手が繋ぎたかったと伝えると、
「ぼ、僕は那都と風悠の恋人なんだから、い、いつでも手、繋いでいいんだよ…」
あ、名前…。歩の記憶が戻ってからずっと昔の呼び方だったのが、今、名前で呼ばれた。…嬉しい。一つとは言え年下っていうハンデ。やっと、対等になれた気がした。
ずっと、俺達の横に居てね歩―――。
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