乙女ゲームのモブに転生したようですが、何故かBLの世界になってます~逆ハーなんて狙ってないのに攻略対象達が僕を溺愛してきます

syouki

文字の大きさ
上 下
38 / 56

閑話:それぞれのクリスマス~妄想劇場①

しおりを挟む
※だいたい、現在から一年後設定です。

~類編~

「類君、お待たせ!」
「歩、俺も今来たとこだよ」

そんなベタなセリフで待ち合わせ場所で合流した俺達。いつもは車で迎えに行っているが、歩が”待ち合わせしたい”と言ったから車は先に駐車場に停めてきた。今日は付き合って初めてのクリスマス。そろそろ、を期待してる。

「うわぁ~カワイイ~!!見て、類君!ペンギンさんが歩いてるよ!」
「そうだね、カワイイね。でも、歩の方が俺には可愛いよ」

定番の水族館。はしゃぐ歩の耳元で囁けば、耳まで真っ赤になる歩。恥ずかしがって俺を見ないけど、そんなとこも可愛い。
ディナーは、歩が委縮しない様にカジュアルなイタリアンのお店をチョイス。ガラス張りのテラス席を予約していたので夜景を見ながらの食事だ。

「きれぇ~…。類君、僕の為に予約してくれたの?」
「当たり前だろ。歩の喜ぶ顔が見たかったんだから当然」
「ありがとう」

ふんわりと微笑む歩。くっ…我慢だ俺。
食事の後は、二人っきりなれるように港までドライブをした。――静かな港で、歩と車の中で二人っきり…。

「あ、あの!これ、類君に…」
「ありがとう。開けて良い?」
「…うん」

ラッピングを解くと、中には黄色と黒をベースにしたチェックのマフラーが入っていた。すぐに歩のお手製だと分かった。

「うれしい…。一生大事にするね」
「そ、そんな…!」
「俺からはこれ」

ポケットから小さな箱を出し、歩の目の前で蓋を開け、そっと歩のに嵌める。そして、もう一つの指輪を自分の左の薬指に嵌めた。

「歩が俺の大事な人って言う証。もらってくれる?」
「類君…。うん、僕も一生大事にするね」
「よかった。あ…もう一つ、お願いがあるんだけど…」
「なあに?」
「俺の事、類って呼んで」
「…あっ…。…る……類……」

真っ赤な顔で俺の名を呼ぶ歩。よし、一歩前進だ!!



~圭編~

歩と初めてのクリスマスデート。せっかくのクリスマスなんだし、少しくらい欲を出しても良いだろうか…。

「圭君…僕、アイススケートって初めてなんだけど…」
「大丈夫。俺がちゃんと教えるからな」
「うん、お願いします」

屋外での夜のスケートリンク。予約制で、リンク内はほぼ恋人同士でいっぱいだ。

「イルミネーションが綺麗だねぇ…」
「そうだな」

リンクの回りを、クリスマスのイルミネーションがキラキラと輝いている。そんな灯かりに照らされた歩の顔はもっと綺麗だ…。

「ほら、立てる?」

スケート靴を履き終え、俺は立ち上がり歩に手を差し出す。氷の上じゃないからか、歩は自力で立ち上がり、得意げに俺を見た。

「立つぐらいは僕だって出来るよ」
「悪い。じゃ、いこっか」

ゆっくりと歩に合わせてリンクへと向かう。入り口に着くと、俺は先にリンクに降りた。歩がこけない様に支え為だ。

「歩、横のバーを持って…そう、ゆっくり足を降ろして」
「…こ、こう?」

バーをしっかり握り、後ろ向きでゆっくりと左足をリンクに降ろす。

「えっ?!うわっ!!」

ツーと左足が滑り出し、慌てて右足をリンクに出してしまいエッジの先がリンクに引っ掛かってしまった。

「危ない!」

慌てて歩を抱きとめる。ボフッっと俺の胸辺りに顔が当たり抱きしめる形になってしまった。

「ご、ごめん圭君…痛かった?」
「大丈夫だよ。それより歩はどこも痛くなかった?」
「うん。…圭君が抱き留めてくれたから…」

ポッと顔を赤くした歩。くっ!このままギュっと抱きしめたい!!

「歩、手を繋いで滑ろうよ」
「えっ?!で、でも…」
「…誰も見てないよ」

キョロキョロと辺りを見渡し、コクリと頷く歩。…よし!!
体を離し、そっと左手を手に取る。手袋越しにキュッと手を握るも、俺はさりげなく手をずらし恋人繋ぎへと変えた。歩が驚いた顔で俺を見上げるも、俺はその手に力を込めた。欲を出し過ぎたかと思ったが、恥ずかしがりながらも、はにかんだ笑顔の歩。その笑顔に俺も微笑む。

俺は、一生この手を離さないと心に誓った。



※急ごしらえで書いたのですが、あと二組間に合いませんでした…。
 明日、頑張って投稿します!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~

乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。 【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】 エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。 転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。 エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。 死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。 「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」 「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」 全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。 闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。 本編ド健全です。すみません。 ※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。 ※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。 ※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】 ※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈

めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。 しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈ 記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。 しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。 異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆! 推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

【完結】婚約破棄された僕はギルドのドSリーダー様に溺愛されています

八神紫音
BL
 魔道士はひ弱そうだからいらない。  そういう理由で国の姫から婚約破棄されて追放された僕は、隣国のギルドの町へとたどり着く。  そこでドSなギルドリーダー様に拾われて、  ギルドのみんなに可愛いとちやほやされることに……。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される

田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた! なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。 婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?! 従者×悪役令息

騎士団で一目惚れをした話

菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公 憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

非力な守護騎士は幻想料理で聖獣様をお支えします

muku
BL
聖なる山に住む聖獣のもとへ守護騎士として送られた、伯爵令息イリス。 非力で成人しているのに子供にしか見えないイリスは、前世の記憶と山の幻想的な食材を使い、食事を拒む聖獣セフィドリーフに料理を作ることに。 両親に疎まれて居場所がないながらも、健気に生きるイリスにセフィドリーフは心動かされ始めていた。 そして人間嫌いのセフィドリーフには隠された過去があることに、イリスは気づいていく。 非力な青年×人間嫌いの人外の、料理と癒しの物語。 ※全年齢向け作品です。

処理中です...