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27.体育祭…
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予鈴が鳴り、さすがに大丈夫だろうと伊達君と教室に戻った。廊下の角からそっと教室の方を見ると、廊下には誰もいなかったので、ホッと胸を撫で下ろして教室へと向かった。
「おっ!戻ってきたか」
教室に入ると、中村がこっちを見ていた。いや、そこ僕の席なんだけど…。
「中村、さっきは助かった」
「委員長、ひとつ貸しな!」
中村…さらっと言ってるけど貸しって…。
ガラッと扉が開き、先生が入ってきた。
「ほら、席につけよ~」
先生が来たので、中村も自分の席に戻って行った。ふ~、やっと座れる。
「今日の放課後、体育祭の種目決めするから全員残れよ~。いなかったら、仮装決定だからな~」
担任はさらりと告げたが、全員ピシッと固まった。仮装―――団の象徴で何故か一人仮装をさせられるというわけのわからない種目。その代わり、競技は免除。以前はその時の流行りだったり着ぐるみだったりしてたらしいんだけど、最近は女装・男装が主になっている。男装はまだ良いとして、問題は女装。ノリでする人もいるんだけど、だいたいは罰ゲーム的な扱いだ。でも、女装だと女子がノリノリで準備するので、最近はかなりの仕上がりになっている。そして、それは2年生から選ばれる。
(…当たりませんように!!)
…神様は無情だ…。
「じゃ、くじの結果、仮装は逢坂で決まりだ」
担任から告げられた結果に、僕の頭は真っ白になった。そんな僕を尻目に皆は出場種目を決めていく。
「本番まで怪我など無い様に各自練習しろよ~」
そう言って、担任は教室を出て行った。
みんなは出場種目別に集まって、体育祭当日までのスケジュールを相談しているが、僕は机に突っ伏してその場から動けなかった。
「逢坂君!当日、私たちが完璧に仕上げるから任せてね!!」
数人の女子が僕の元へ来て、キラキラとした目でやる気に満ち溢れていた。
「あ、うん…よろしくお願い、します……」
抜け殻のような僕は、こんな事しか言えなかった。
「逢坂君は、美少女系かな~?」
「お姫様系も良くない?」
「ギャップ萌えで妖艶な感じは?」
等と、ワイワイと話しながら僕の元を去って行った。僕に選択肢は無いようだ…。
「あ…逢坂…」
「伊達君…」
伊達君は声を掛けて来たけど、僕に掛ける言葉が見つからない様子だ。…決まっちゃったものは仕方ないか…。
「伊達君、気を遣わせてごめんね。決まっちゃったものは仕方ないから気にしないで」
「その…なんて言うか…」
「採点が低かったらごめんね?」
「…!逢坂の点数が低いなんて無いから」
「え?」
「あ、いや何でもない。それより、まだ向こうのクラスが終わってなみたいだから、今のうちに帰った方がいいぞ。あいつらも廊下で待ってる」
「え、そうなの?教えてくれてありがとう!じゃ、また明日!」
鞄に荷物を詰めて、急いで教室を出た。
当日まで皆にバレないといいな…。
「おっ!戻ってきたか」
教室に入ると、中村がこっちを見ていた。いや、そこ僕の席なんだけど…。
「中村、さっきは助かった」
「委員長、ひとつ貸しな!」
中村…さらっと言ってるけど貸しって…。
ガラッと扉が開き、先生が入ってきた。
「ほら、席につけよ~」
先生が来たので、中村も自分の席に戻って行った。ふ~、やっと座れる。
「今日の放課後、体育祭の種目決めするから全員残れよ~。いなかったら、仮装決定だからな~」
担任はさらりと告げたが、全員ピシッと固まった。仮装―――団の象徴で何故か一人仮装をさせられるというわけのわからない種目。その代わり、競技は免除。以前はその時の流行りだったり着ぐるみだったりしてたらしいんだけど、最近は女装・男装が主になっている。男装はまだ良いとして、問題は女装。ノリでする人もいるんだけど、だいたいは罰ゲーム的な扱いだ。でも、女装だと女子がノリノリで準備するので、最近はかなりの仕上がりになっている。そして、それは2年生から選ばれる。
(…当たりませんように!!)
…神様は無情だ…。
「じゃ、くじの結果、仮装は逢坂で決まりだ」
担任から告げられた結果に、僕の頭は真っ白になった。そんな僕を尻目に皆は出場種目を決めていく。
「本番まで怪我など無い様に各自練習しろよ~」
そう言って、担任は教室を出て行った。
みんなは出場種目別に集まって、体育祭当日までのスケジュールを相談しているが、僕は机に突っ伏してその場から動けなかった。
「逢坂君!当日、私たちが完璧に仕上げるから任せてね!!」
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「あ、うん…よろしくお願い、します……」
抜け殻のような僕は、こんな事しか言えなかった。
「逢坂君は、美少女系かな~?」
「お姫様系も良くない?」
「ギャップ萌えで妖艶な感じは?」
等と、ワイワイと話しながら僕の元を去って行った。僕に選択肢は無いようだ…。
「あ…逢坂…」
「伊達君…」
伊達君は声を掛けて来たけど、僕に掛ける言葉が見つからない様子だ。…決まっちゃったものは仕方ないか…。
「伊達君、気を遣わせてごめんね。決まっちゃったものは仕方ないから気にしないで」
「その…なんて言うか…」
「採点が低かったらごめんね?」
「…!逢坂の点数が低いなんて無いから」
「え?」
「あ、いや何でもない。それより、まだ向こうのクラスが終わってなみたいだから、今のうちに帰った方がいいぞ。あいつらも廊下で待ってる」
「え、そうなの?教えてくれてありがとう!じゃ、また明日!」
鞄に荷物を詰めて、急いで教室を出た。
当日まで皆にバレないといいな…。
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