27 / 56
27.体育祭…
しおりを挟む
予鈴が鳴り、さすがに大丈夫だろうと伊達君と教室に戻った。廊下の角からそっと教室の方を見ると、廊下には誰もいなかったので、ホッと胸を撫で下ろして教室へと向かった。
「おっ!戻ってきたか」
教室に入ると、中村がこっちを見ていた。いや、そこ僕の席なんだけど…。
「中村、さっきは助かった」
「委員長、ひとつ貸しな!」
中村…さらっと言ってるけど貸しって…。
ガラッと扉が開き、先生が入ってきた。
「ほら、席につけよ~」
先生が来たので、中村も自分の席に戻って行った。ふ~、やっと座れる。
「今日の放課後、体育祭の種目決めするから全員残れよ~。いなかったら、仮装決定だからな~」
担任はさらりと告げたが、全員ピシッと固まった。仮装―――団の象徴で何故か一人仮装をさせられるというわけのわからない種目。その代わり、競技は免除。以前はその時の流行りだったり着ぐるみだったりしてたらしいんだけど、最近は女装・男装が主になっている。男装はまだ良いとして、問題は女装。ノリでする人もいるんだけど、だいたいは罰ゲーム的な扱いだ。でも、女装だと女子がノリノリで準備するので、最近はかなりの仕上がりになっている。そして、それは2年生から選ばれる。
(…当たりませんように!!)
…神様は無情だ…。
「じゃ、くじの結果、仮装は逢坂で決まりだ」
担任から告げられた結果に、僕の頭は真っ白になった。そんな僕を尻目に皆は出場種目を決めていく。
「本番まで怪我など無い様に各自練習しろよ~」
そう言って、担任は教室を出て行った。
みんなは出場種目別に集まって、体育祭当日までのスケジュールを相談しているが、僕は机に突っ伏してその場から動けなかった。
「逢坂君!当日、私たちが完璧に仕上げるから任せてね!!」
数人の女子が僕の元へ来て、キラキラとした目でやる気に満ち溢れていた。
「あ、うん…よろしくお願い、します……」
抜け殻のような僕は、こんな事しか言えなかった。
「逢坂君は、美少女系かな~?」
「お姫様系も良くない?」
「ギャップ萌えで妖艶な感じは?」
等と、ワイワイと話しながら僕の元を去って行った。僕に選択肢は無いようだ…。
「あ…逢坂…」
「伊達君…」
伊達君は声を掛けて来たけど、僕に掛ける言葉が見つからない様子だ。…決まっちゃったものは仕方ないか…。
「伊達君、気を遣わせてごめんね。決まっちゃったものは仕方ないから気にしないで」
「その…なんて言うか…」
「採点が低かったらごめんね?」
「…!逢坂の点数が低いなんて無いから」
「え?」
「あ、いや何でもない。それより、まだ向こうのクラスが終わってなみたいだから、今のうちに帰った方がいいぞ。あいつらも廊下で待ってる」
「え、そうなの?教えてくれてありがとう!じゃ、また明日!」
鞄に荷物を詰めて、急いで教室を出た。
当日まで皆にバレないといいな…。
「おっ!戻ってきたか」
教室に入ると、中村がこっちを見ていた。いや、そこ僕の席なんだけど…。
「中村、さっきは助かった」
「委員長、ひとつ貸しな!」
中村…さらっと言ってるけど貸しって…。
ガラッと扉が開き、先生が入ってきた。
「ほら、席につけよ~」
先生が来たので、中村も自分の席に戻って行った。ふ~、やっと座れる。
「今日の放課後、体育祭の種目決めするから全員残れよ~。いなかったら、仮装決定だからな~」
担任はさらりと告げたが、全員ピシッと固まった。仮装―――団の象徴で何故か一人仮装をさせられるというわけのわからない種目。その代わり、競技は免除。以前はその時の流行りだったり着ぐるみだったりしてたらしいんだけど、最近は女装・男装が主になっている。男装はまだ良いとして、問題は女装。ノリでする人もいるんだけど、だいたいは罰ゲーム的な扱いだ。でも、女装だと女子がノリノリで準備するので、最近はかなりの仕上がりになっている。そして、それは2年生から選ばれる。
(…当たりませんように!!)
…神様は無情だ…。
「じゃ、くじの結果、仮装は逢坂で決まりだ」
担任から告げられた結果に、僕の頭は真っ白になった。そんな僕を尻目に皆は出場種目を決めていく。
「本番まで怪我など無い様に各自練習しろよ~」
そう言って、担任は教室を出て行った。
みんなは出場種目別に集まって、体育祭当日までのスケジュールを相談しているが、僕は机に突っ伏してその場から動けなかった。
「逢坂君!当日、私たちが完璧に仕上げるから任せてね!!」
数人の女子が僕の元へ来て、キラキラとした目でやる気に満ち溢れていた。
「あ、うん…よろしくお願い、します……」
抜け殻のような僕は、こんな事しか言えなかった。
「逢坂君は、美少女系かな~?」
「お姫様系も良くない?」
「ギャップ萌えで妖艶な感じは?」
等と、ワイワイと話しながら僕の元を去って行った。僕に選択肢は無いようだ…。
「あ…逢坂…」
「伊達君…」
伊達君は声を掛けて来たけど、僕に掛ける言葉が見つからない様子だ。…決まっちゃったものは仕方ないか…。
「伊達君、気を遣わせてごめんね。決まっちゃったものは仕方ないから気にしないで」
「その…なんて言うか…」
「採点が低かったらごめんね?」
「…!逢坂の点数が低いなんて無いから」
「え?」
「あ、いや何でもない。それより、まだ向こうのクラスが終わってなみたいだから、今のうちに帰った方がいいぞ。あいつらも廊下で待ってる」
「え、そうなの?教えてくれてありがとう!じゃ、また明日!」
鞄に荷物を詰めて、急いで教室を出た。
当日まで皆にバレないといいな…。
149
お気に入りに追加
423
あなたにおすすめの小説

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

モブなのに執着系ヤンデレ美形の友達にいつの間にか、なってしまっていた
マルン円
BL
執着系ヤンデレ美形×鈍感平凡主人公。全4話のサクッと読めるBL短編です(タイトルを変えました)。
主人公は妹がしていた乙女ゲームの世界に転生し、今はロニーとして地味な高校生活を送っている。内気なロニーが気軽に学校で話せる友達は同級生のエドだけで、ロニーとエドはいっしょにいることが多かった。
しかし、ロニーはある日、髪をばっさり切ってイメチェンしたエドを見て、エドがヒロインに執着しまくるメインキャラの一人だったことを思い出す。
平凡な生活を送りたいロニーは、これからヒロインのことを好きになるであろうエドとは距離を置こうと決意する。
タイトルを変えました。
前のタイトルは、「モブなのに、いつのまにかヒロインに執着しまくるキャラの友達になってしまっていた」です。
急に変えてしまい、すみません。

この道を歩む~転生先で真剣に生きていたら、第二王子に真剣に愛された~
乃ぞみ
BL
※ムーンライトの方で500ブクマしたお礼で書いた物をこちらでも追加いたします。(全6話)BL要素少なめですが、よければよろしくお願いします。
【腹黒い他国の第二王子×負けず嫌いの転生者】
エドマンドは13歳の誕生日に日本人だったことを静かに思い出した。
転生先は【エドマンド・フィッツパトリック】で、二年後に死亡フラグが立っていた。
エドマンドに不満を持った隣国の第二王子である【ブライトル・ モルダー・ヴァルマ】と険悪な関係になるものの、いつの間にか友人や悪友のような関係に落ち着く二人。
死亡フラグを折ることで国が負けるのが怖いエドマンドと、必死に生かそうとするブライトル。
「僕は、生きなきゃ、いけないのか……?」
「当たり前だ。俺を残して逝く気だったのか? 恨むぞ」
全体的に結構シリアスですが、明確な死亡表現や主要キャラの退場は予定しておりません。
闘ったり、負傷したり、国同士の戦争描写があったります。
本編ド健全です。すみません。
※ 恋愛までが長いです。バトル小説にBLを添えて。
※ 攻めがまともに出てくるのは五話からです。
※ タイトル変更しております。旧【転生先がバトル漫画の死亡フラグが立っているライバルキャラだった件 ~本筋大幅改変なしでフラグを折りたいけど、何であんたがそこにいる~】
※ ムーンライトノベルズにも投稿しております。

好きな人がカッコ良すぎて俺はそろそろ天に召されるかもしれない
豆ちよこ
BL
男子校に通う棚橋学斗にはとってもとっても気になる人がいた。同じクラスの葛西宏樹。
とにかく目を惹く葛西は超絶カッコいいんだ!
神様のご褒美か、はたまた気紛れかは知らないけど、隣同士の席になっちゃったからもう大変。ついつい気になってチラチラと見てしまう。
そんな学斗に、葛西もどうやら気付いているようで……。
□チャラ王子攻め
□天然おとぼけ受け
□ほのぼのスクールBL
タイトル前に◆◇のマークが付いてるものは、飛ばし読みしても問題ありません。
◆…葛西視点
◇…てっちゃん視点
pixivで連載中の私のお気に入りCPを、アルファさんのフォントで読みたくてお引越しさせました。
所々修正と大幅な加筆を加えながら、少しづつ公開していこうと思います。転載…、というより筋書きが同じの、新しいお話になってしまったかも。支部はプロット、こちらが本編と捉えて頂けたら良いかと思います。
【短編】乙女ゲームの攻略対象者に転生した俺の、意外な結末。
桜月夜
BL
前世で妹がハマってた乙女ゲームに転生したイリウスは、自分が前世の記憶を思い出したことを幼馴染みで専属騎士のディールに打ち明けた。そこから、なぜか婚約者に対する恋愛感情の有無を聞かれ……。
思い付いた話を一気に書いたので、不自然な箇所があるかもしれませんが、広い心でお読みください。

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。

婚約破棄された悪役令息は従者に溺愛される
田中
BL
BLゲームの悪役令息であるリアン・ヒスコックに転生してしまった俺は、婚約者である第二王子から断罪されるのを待っていた!
なぜなら断罪が領地で療養という軽い処置だから。
婚約破棄をされたリアンは従者のテオと共に領地の屋敷で暮らすことになるが何気ないリアンの一言で、テオがリアンにぐいぐい迫ってきてーー?!
従者×悪役令息

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる