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26.二人っきり
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「「お邪魔しました」」
「引き留めてごめんね。今日はありがとう」
「…歩先輩、類君は入れちゃダメだよ」
「うん。圭君もダメ」
「あ…うん、わかった」
良くわからないけど、先輩達に送ってもらうなんて恐れ多くて無理だから。
「ちゃんと戸締りしてね」
「明日、エントランスに迎えに来るから」
「うん、わかった。また明日ね」
ドアを開けるまで二人は僕の手を握って離してくれなかった。
パタンとドアが閉まり、言われた通りに鍵をきちんと掛ける。
「ふ~…二人が帰ると急に一人が寂しくなるな~」
使ったマグカップとお皿を片付け、晩ごはんの支度に取り掛かった。
翌日。迎えに来てくれた二人と学校に向かうと、下足室で伊達君が待ってくれていた。
「おはよう伊達君」
「おはよう逢坂。那都と風悠も」
「「おはよう、かず君」」
「……逢坂、教室行くぞ」
「あ、うん。ありがとう那都君、風悠君」
「「また放課後」」
バイバイと手を振って、伊達君と教室へ向かう。チラチラと僕達を見る人もいるけど、何故かほとんどの人は何事も無いように歩いている。
(普段ならすごい注目を浴びるのに、なんか妙な感じ…)
「お~す、逢坂~!」
ド~ンと、背中に乗ってきたのは確かめるまでもなく中村だ。何故だか、一ミリもぶれない中村に救われる思いだ。
「重いよ中村…」
「まあまあ~。てか、なんか大変だな逢坂」
「そう思うなら降りて…」
僕がそう言うと、伊達君がぺりっと中村を僕の背中から剝がしてくれた。
「お、委員長おはよ」
「…おはよう」
ボソッ「そうそう、例のカノジョが教室前ウロウロしてるぞ」
「逢坂、少し生徒会室に行こう」
「へ?あ、ちょっと待って…!!」
急に伊達君に手を取られ、教室とは反対方向に向かっていく。振り向くと、中村がひらひらと手を振ってこっちを見ていた。
「遅れるなよ~」
中村の呑気な声が廊下に響き、僕はそのまま伊達君に生徒会室へと連れて行かれた。
鍵がかかっているはずなのに、伊達君は制服のポケットから鍵を取り出し、カチャンと開錠して僕を部屋の中に入れると、鍵を掛けた。
「悪い…南路山さんが教室前にいるらしくて…」
「そ、そうなんだ…」
急に生徒会室に連れてきて悪いと感じているのか、目線を反らす伊達君。伊達君が悪いわけじゃ無いのになぁ~。
「HRまで時間あるし、座ろっか」
「あ…ああ」
ソファーに対面に座っても、伊達君は目線を合わさないので沈黙が流れる。
「あ、そうだ!僕、お昼のおやつにと思ってクッキー焼いてきたんだけど、先に少し食べちゃおっか?」
「え?」
僕は鞄からごそごそとクッキーの入ったタッパーを取り出し、蓋を開けて伊達君へと差し出した。
「甘さは控えめにしてるから、伊達君も食べれると思うよ?」
「あ、ありがとう…」
そっとタッパーからクッキーを一つ掴み口に運ぶ伊達君。ただ食べてる動作なのに、何この色気?!
「ん、おいしいよ。ありがとう」
ふんわりと微笑まれ、僕の心臓はドキドキと早鐘を打つ。今迄そんなに伊達君と接してないから、その笑顔は心臓に悪いよ~!!このドキドキが伊達君に聞こえてませんように!!
「引き留めてごめんね。今日はありがとう」
「…歩先輩、類君は入れちゃダメだよ」
「うん。圭君もダメ」
「あ…うん、わかった」
良くわからないけど、先輩達に送ってもらうなんて恐れ多くて無理だから。
「ちゃんと戸締りしてね」
「明日、エントランスに迎えに来るから」
「うん、わかった。また明日ね」
ドアを開けるまで二人は僕の手を握って離してくれなかった。
パタンとドアが閉まり、言われた通りに鍵をきちんと掛ける。
「ふ~…二人が帰ると急に一人が寂しくなるな~」
使ったマグカップとお皿を片付け、晩ごはんの支度に取り掛かった。
翌日。迎えに来てくれた二人と学校に向かうと、下足室で伊達君が待ってくれていた。
「おはよう伊達君」
「おはよう逢坂。那都と風悠も」
「「おはよう、かず君」」
「……逢坂、教室行くぞ」
「あ、うん。ありがとう那都君、風悠君」
「「また放課後」」
バイバイと手を振って、伊達君と教室へ向かう。チラチラと僕達を見る人もいるけど、何故かほとんどの人は何事も無いように歩いている。
(普段ならすごい注目を浴びるのに、なんか妙な感じ…)
「お~す、逢坂~!」
ド~ンと、背中に乗ってきたのは確かめるまでもなく中村だ。何故だか、一ミリもぶれない中村に救われる思いだ。
「重いよ中村…」
「まあまあ~。てか、なんか大変だな逢坂」
「そう思うなら降りて…」
僕がそう言うと、伊達君がぺりっと中村を僕の背中から剝がしてくれた。
「お、委員長おはよ」
「…おはよう」
ボソッ「そうそう、例のカノジョが教室前ウロウロしてるぞ」
「逢坂、少し生徒会室に行こう」
「へ?あ、ちょっと待って…!!」
急に伊達君に手を取られ、教室とは反対方向に向かっていく。振り向くと、中村がひらひらと手を振ってこっちを見ていた。
「遅れるなよ~」
中村の呑気な声が廊下に響き、僕はそのまま伊達君に生徒会室へと連れて行かれた。
鍵がかかっているはずなのに、伊達君は制服のポケットから鍵を取り出し、カチャンと開錠して僕を部屋の中に入れると、鍵を掛けた。
「悪い…南路山さんが教室前にいるらしくて…」
「そ、そうなんだ…」
急に生徒会室に連れてきて悪いと感じているのか、目線を反らす伊達君。伊達君が悪いわけじゃ無いのになぁ~。
「HRまで時間あるし、座ろっか」
「あ…ああ」
ソファーに対面に座っても、伊達君は目線を合わさないので沈黙が流れる。
「あ、そうだ!僕、お昼のおやつにと思ってクッキー焼いてきたんだけど、先に少し食べちゃおっか?」
「え?」
僕は鞄からごそごそとクッキーの入ったタッパーを取り出し、蓋を開けて伊達君へと差し出した。
「甘さは控えめにしてるから、伊達君も食べれると思うよ?」
「あ、ありがとう…」
そっとタッパーからクッキーを一つ掴み口に運ぶ伊達君。ただ食べてる動作なのに、何この色気?!
「ん、おいしいよ。ありがとう」
ふんわりと微笑まれ、僕の心臓はドキドキと早鐘を打つ。今迄そんなに伊達君と接してないから、その笑顔は心臓に悪いよ~!!このドキドキが伊達君に聞こえてませんように!!
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