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21.ヒロインの暴走
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「え?あの女って…?」
まさかとは思うけど…
「ん?ああ、歩君は昨日の件を知らないからね」
「あの女…2年の転入生だよ」
「確か、”キララ“って名乗ってたかと…」
キララ?!まさにDQNネーム!!
「そ、その転入生がどうかしたんですか?」
僕がそう訊ねると、5人は深い溜息をついた。
「実は…」
類先輩たちから語られたのは、ヒロイン・キララさんのとんでもない行動だった。
まず、僕が学校を出た後、駅で僕と合流するために下駄箱へ向かっていた那都君と風悠君がキララさんに声を掛けられたそうだ。「なんで図書室にいないの?」「なんで仲良くしてるの?」「本当はお互い嫌いなんでしょ?」などと暴言を吐いたそうだ。極めつけは「あたし、ヒロインなのに!」と叫んで走って行ったと。
(あ~…キララさんも転生者なんだ)
自分で”ヒロイン”って言ってるって事は、ここが”ハイメモ”の中だと分かっている。確かに、この二人ってゲームの中では内心お互いを嫌悪していたんだよね。それに気づいたヒロインが…って話なんだけど、どう見ても仲良しだよね。
「確かに昔は嫌ってたけど」
「4歳から喧嘩するの止めた」
「え?そうなの?」
「「……うん」」
ん?なんか間があったけど…。それに、僕をじっと見るのは何でだろう?
次のターゲットは伊達君。先生から呼ばれて教室に戻るタイミングで声を掛けられたみたい。「なんで同じクラスじゃないの?」「一哉君、無理に勉強しなくていいんだよ?」など、理不尽な事を話して言ったそうだ。
そう言えば、伊達君は本当は勉強なんてしたくないのに、両親から強制的に…って話だっけ。
「クラスは伊達君のせいじゃないと思うけど…。伊達君、勉強、無理してたの?」
「…幼稚園までは嫌々だったけど…今は好きでしてるから気にしなくていい」
「そうなんだ。伊達君は頑張り屋さんだね!」
「!!」
僕がそう言うと、何故だか伊達君は驚いた顔をして少し頬を赤らめた。てか、いきなり”一哉君”呼びって…。
最後に、類先輩と伊集院先輩。二人で生徒会室に向かっている所を突撃されたとのこと。いきなり走ってきて、類先輩の背中にぶつかって(激突)して、自ら転んだんだそう。痛い、動けないと泣き喚くので、放置するわけにもいかず、かといって触れるわけにもいかないので、伊集院先輩が先生を呼びに職員室へと走って行った。その間に、キララさんは類先輩の手を両手で包み、うるうるとした目で先輩を見つめ、「宮之阪先輩、あたしが慰めて差し上げます」と、その手を自分の胸に持っていこうとしたらしい。それを察知した先輩は、力を入れて頑なにそれを拒否したそうだ。その内に、伊集院先輩が先生を連れて戻ってきて、キララさんは先生に引きずられるように保健室に向かったとのこと。姿が見えなくなるまで、「あたしが慰めるの~!!」「伊集院先輩~!ほんとはテニス嫌いでしょ~?」「あたしはヒロインなのよ~!!」と、ずっと叫んでいたそうだ。
「伊集院先輩、テニス嫌いなんですか?」
「親に無理やり始めさせられた時はな。でも、今では好きだから」
「…良かった」
ふんわりと微笑む伊集院先輩。そっか~昔は嫌いだったんだ~…。でも、今はテニスしてる先輩はカッコイイし、嫌々してなくて良かった。
「類先輩は、何か嫌なことがあったんですか?」
「う~ん…無いとは言わないけど、人間、生きてればみんな色々あるでしょ。それに、俺にはすでに癒しがあるから大丈夫だよ」
僕の目を真っすぐに見て、類先輩は語った。確か、先輩の家って大企業の社長さんなんだよね。跡取りのプレッシャーってあるんだろうな~…。でも、癒しがあるなら大丈夫だよね。…癒しって何だろう?
まさかとは思うけど…
「ん?ああ、歩君は昨日の件を知らないからね」
「あの女…2年の転入生だよ」
「確か、”キララ“って名乗ってたかと…」
キララ?!まさにDQNネーム!!
「そ、その転入生がどうかしたんですか?」
僕がそう訊ねると、5人は深い溜息をついた。
「実は…」
類先輩たちから語られたのは、ヒロイン・キララさんのとんでもない行動だった。
まず、僕が学校を出た後、駅で僕と合流するために下駄箱へ向かっていた那都君と風悠君がキララさんに声を掛けられたそうだ。「なんで図書室にいないの?」「なんで仲良くしてるの?」「本当はお互い嫌いなんでしょ?」などと暴言を吐いたそうだ。極めつけは「あたし、ヒロインなのに!」と叫んで走って行ったと。
(あ~…キララさんも転生者なんだ)
自分で”ヒロイン”って言ってるって事は、ここが”ハイメモ”の中だと分かっている。確かに、この二人ってゲームの中では内心お互いを嫌悪していたんだよね。それに気づいたヒロインが…って話なんだけど、どう見ても仲良しだよね。
「確かに昔は嫌ってたけど」
「4歳から喧嘩するの止めた」
「え?そうなの?」
「「……うん」」
ん?なんか間があったけど…。それに、僕をじっと見るのは何でだろう?
次のターゲットは伊達君。先生から呼ばれて教室に戻るタイミングで声を掛けられたみたい。「なんで同じクラスじゃないの?」「一哉君、無理に勉強しなくていいんだよ?」など、理不尽な事を話して言ったそうだ。
そう言えば、伊達君は本当は勉強なんてしたくないのに、両親から強制的に…って話だっけ。
「クラスは伊達君のせいじゃないと思うけど…。伊達君、勉強、無理してたの?」
「…幼稚園までは嫌々だったけど…今は好きでしてるから気にしなくていい」
「そうなんだ。伊達君は頑張り屋さんだね!」
「!!」
僕がそう言うと、何故だか伊達君は驚いた顔をして少し頬を赤らめた。てか、いきなり”一哉君”呼びって…。
最後に、類先輩と伊集院先輩。二人で生徒会室に向かっている所を突撃されたとのこと。いきなり走ってきて、類先輩の背中にぶつかって(激突)して、自ら転んだんだそう。痛い、動けないと泣き喚くので、放置するわけにもいかず、かといって触れるわけにもいかないので、伊集院先輩が先生を呼びに職員室へと走って行った。その間に、キララさんは類先輩の手を両手で包み、うるうるとした目で先輩を見つめ、「宮之阪先輩、あたしが慰めて差し上げます」と、その手を自分の胸に持っていこうとしたらしい。それを察知した先輩は、力を入れて頑なにそれを拒否したそうだ。その内に、伊集院先輩が先生を連れて戻ってきて、キララさんは先生に引きずられるように保健室に向かったとのこと。姿が見えなくなるまで、「あたしが慰めるの~!!」「伊集院先輩~!ほんとはテニス嫌いでしょ~?」「あたしはヒロインなのよ~!!」と、ずっと叫んでいたそうだ。
「伊集院先輩、テニス嫌いなんですか?」
「親に無理やり始めさせられた時はな。でも、今では好きだから」
「…良かった」
ふんわりと微笑む伊集院先輩。そっか~昔は嫌いだったんだ~…。でも、今はテニスしてる先輩はカッコイイし、嫌々してなくて良かった。
「類先輩は、何か嫌なことがあったんですか?」
「う~ん…無いとは言わないけど、人間、生きてればみんな色々あるでしょ。それに、俺にはすでに癒しがあるから大丈夫だよ」
僕の目を真っすぐに見て、類先輩は語った。確か、先輩の家って大企業の社長さんなんだよね。跡取りのプレッシャーってあるんだろうな~…。でも、癒しがあるなら大丈夫だよね。…癒しって何だろう?
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