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18.僕として

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那都君と風悠君が帰った後、僕は「ハイメモ」の内容を整理することにした。だって、二人が僕にキス(ほっぺた)をするとか、そんなのゲームに無いんだもの!

「まずはヒロインの登場と、攻略キャラとの出会いはっと…」

あれ?今思えば、ヒロインて伊達君と同じクラスに転入だよね?クラス違ってる…。類先輩は、階段でぶつかる…ん?伊集院先輩は、登校中に転んだ所を助けてもらう…あれ?那都君風悠君は図書室で本を取ってもらう…え~っと…。

「全部僕じゃん!!!」

伊集院先輩は少し違うけど、ほぼ僕にフラグが立ってる?!

「え?!何で??単なる偶然?」

前世を思い出してから今迄の事をノートに書き出してみた。

「少しづつ違うけど、ほぼイベントと一致してる…」

流石に、今日のような「お家で晩ごはん」というイベントは無いけど、保健室や図書室。お昼休みと放課後。でも、クレープは全員じゃなかったような…。

「最近、昔の記憶があんまり思い出せないんだよな~…。まぁ、"逢坂 歩"として生きていくなら無い方が良いのかもだけど」

そう。僕の中ではゲームの世界だけど、みんなはそんな訳はなく、普通に生きて生活している。なら、僕も過去の誰かじゃ無く、"逢坂 歩"として生きるべきなんだろうと思っている。

「けど、ちょっとはハピエンが見たい自分がいるんだよな~…」

ゲーム人だった頃の悲しい性…。エンディングが見たいという、欲求承認。

「でも、見てる限りヒロインの好感度低そうなんだよな~特に那都君と風悠君…」

かと言って、人の心をどうこうすることは出来ず、僕自身も誘導なんてする気はない。

「やっぱり、ゲームと思わないほうが良いのかも。皆、生きてるんだもんね!」

そう結論を出し、僕はノートに書いた事をぐしゃぐしゃと塗りつぶしてノートを閉じた。

「あ、こんな時間だ!そろそろ母さん帰って来るかな?お風呂準備しとこうっと」

引き出しにノートをしまい、電気を消して部屋を後にした。



リビングで寛いでいると、カチャンと鍵を開ける音がした。

「あ、帰ってきた」
「歩、ただいま~」
「母さんお帰り」
「あれ?今日誰か来たの?」

鞄からお弁当を出してキッチンに置くと、洗い終わった食器の数に母さんが気が付き訊ねてきた。

「うん。僕が晩ごはん悩んでるところ聞かれちゃって、一緒に食べたいって後輩の子が言うもんだから誘ったんだけど、ダメだったかな?」
「ぜんぜん。今度母さんにも紹介して。歩のお友達」
「うん!今度は母さんがいる時に招待するね!」
「よろしく」

コツンと僕と額を合わせて笑う母さん。これは僕と母さんのスキンシップ。高校生にもなってって周りには言われそうだけど、これは父さんが生きてた頃にしたいた事なので、家族の証しみたいなもの。だから、恥ずかしいとは思わないけど、僕に大切な人が出来たらやめると母さんは言ってる。

「だって~、歩がマザコンだと思われたら嫌じゃない?」

だそうだ。そこは理解のある人とお付き合いしたいけど、まぁ、難しいよね。その代わり、このスキンシップは継承しようと思ってる。だって、これが僕の家族の証しだから。







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