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15.優しい二人
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お昼休み。
僕はひっそりと校舎裏でお弁当を広げていた。
「いつも通りとか言っちゃったけど、やっぱり無理~…」
今までひっそりと過ごしていた僕にとって、いきなり学校中の注目を浴びるなんて心臓がもたない。なので、4限目終了のチャイムと共にここに逃げてきた。溜息をつきながら、お弁当を口に運ぶ。うん。我ながら美味しい。
「あ、夜は母さんいないんだった。晩ごはんどうしよっかなぁ~…」
久し振りにデリバリー…はお金がもったいないしなぁ…。なんて考えながら食べていると、目の前に影が落ちた。
「「見っけ」」
「那都君、風悠君」
顔を上げると、二人が僕を見下ろしていた。
「なんでこんなところで一人で食べてるの?」
「教室行ったら、居なくて探したんだよ」
「え?教室来たの?」
ストンと、僕の両側に腰を下ろしてランチバックからお弁当を取り出す。
「一緒に食べようと思って、お弁当作ってもらった」
「おかず、交換しよ」
僕の返事も待たずに、二人はひょいひょいとおかずを入れ替えていく。
「「いただきます」」
いつの間にかおかずは全部入れ替わっていて、僕のお弁当がやたら豪華になっていた。
「これじゃ、二人のおかずが足りないんじゃ…」
「「大丈夫。歩先輩のおかずなら、一つでご飯三口は食べれるから」」
「…ぷっ!何それ。そんなわけないよ~」
いたって真面目な顔で二人が言うもんだから、思わず笑ってしまった。
「そういえば、今朝は何で会長と一緒に来たの?」
「え?!あ~…」
類先輩の車に乗せてもらったなんて、話しちゃって良いのかな…?でも、那都君と風悠君なら誰にも話したりしないかな。
「誰にも言わないでね?実は、マンション出たら類先輩の乗った車がたまたま走ってたんだ。そしたら、類先輩が僕に気が付いて学校の近くまで乗せてくれたってわけなんだけど」
「「…ふ~ん、たまたま、ね…」」
「??」
何か、二人から黒いオーラが見えるんだけど気のせいかな…?
「…歩先輩、さっき晩ごはんがどうとか言ってなかった?」
「聞いてたの?今日、母親の帰りが遅くて僕一人だから、晩ごはん何にするか悩んでたんだよね~」
独り言が聞こえてたかと思うと少し恥ずかしいなぁ…。
「俺達がお邪魔しちゃダメ?」
「え?」
「一緒にご飯食べたい」
唐突な提案に驚いていると、二人が僕の顔を覗き込んで、じーっと見てくる。
(うっ…!そんな顔で僕を見ないでよ~~!!)
「「ダメ?」」
「わ、わかったから、そんなに僕を見ないで!」
見られてる恥ずかしさに両手で顔を覆うと、両隣の二人の体が揺れていることに気付く。
「もう!そんなに笑わないでよ~!!」
「笑ってないよ」
「歩先輩の可愛さに悶えてた」
「なっ…!もう、先輩を揶揄わないの!!ほら、早く食べないとお昼休み終わっちゃうよ!!」
誤魔化す様に、僕は箸を動かしてお弁当を頬張る。そんな僕を、二人は優しい顔で見ていたなんて僕は全く気付いていなかった。
僕はひっそりと校舎裏でお弁当を広げていた。
「いつも通りとか言っちゃったけど、やっぱり無理~…」
今までひっそりと過ごしていた僕にとって、いきなり学校中の注目を浴びるなんて心臓がもたない。なので、4限目終了のチャイムと共にここに逃げてきた。溜息をつきながら、お弁当を口に運ぶ。うん。我ながら美味しい。
「あ、夜は母さんいないんだった。晩ごはんどうしよっかなぁ~…」
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「え?教室来たの?」
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僕の返事も待たずに、二人はひょいひょいとおかずを入れ替えていく。
「「いただきます」」
いつの間にかおかずは全部入れ替わっていて、僕のお弁当がやたら豪華になっていた。
「これじゃ、二人のおかずが足りないんじゃ…」
「「大丈夫。歩先輩のおかずなら、一つでご飯三口は食べれるから」」
「…ぷっ!何それ。そんなわけないよ~」
いたって真面目な顔で二人が言うもんだから、思わず笑ってしまった。
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「え?!あ~…」
類先輩の車に乗せてもらったなんて、話しちゃって良いのかな…?でも、那都君と風悠君なら誰にも話したりしないかな。
「誰にも言わないでね?実は、マンション出たら類先輩の乗った車がたまたま走ってたんだ。そしたら、類先輩が僕に気が付いて学校の近くまで乗せてくれたってわけなんだけど」
「「…ふ~ん、たまたま、ね…」」
「??」
何か、二人から黒いオーラが見えるんだけど気のせいかな…?
「…歩先輩、さっき晩ごはんがどうとか言ってなかった?」
「聞いてたの?今日、母親の帰りが遅くて僕一人だから、晩ごはん何にするか悩んでたんだよね~」
独り言が聞こえてたかと思うと少し恥ずかしいなぁ…。
「俺達がお邪魔しちゃダメ?」
「え?」
「一緒にご飯食べたい」
唐突な提案に驚いていると、二人が僕の顔を覗き込んで、じーっと見てくる。
(うっ…!そんな顔で僕を見ないでよ~~!!)
「「ダメ?」」
「わ、わかったから、そんなに僕を見ないで!」
見られてる恥ずかしさに両手で顔を覆うと、両隣の二人の体が揺れていることに気付く。
「もう!そんなに笑わないでよ~!!」
「笑ってないよ」
「歩先輩の可愛さに悶えてた」
「なっ…!もう、先輩を揶揄わないの!!ほら、早く食べないとお昼休み終わっちゃうよ!!」
誤魔化す様に、僕は箸を動かしてお弁当を頬張る。そんな僕を、二人は優しい顔で見ていたなんて僕は全く気付いていなかった。
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