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9.お礼
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放課後。
「何がいいかな~?」
傷の手当をしてくれた伊集院先輩へのお礼を買うために、僕は街をうろうろしていた。クッキーを焼いても良かったんだけど、また噂になると先輩に迷惑を掛けてしまうので却下した。
「あっ…」
雑貨屋さんの前を通ると、鮮やかな赤色のスポーツタオルを見つけた。
「タオルなら、先輩沢山もらってるだろうし迷惑じゃないよね」
僕はそのタオルを購入し、ラッピングしてもらった。
「明日渡せるかな~?」
ラッピングされたタオルをカバンにしまい、僕は家へ帰った。
次の日。
下駄箱で靴を履き替えていると、「「先輩」」と、声を掛けられた。僕を先輩と呼んでくれてのは二人だけ。
「那都君、風悠君おはよう!」
「「おはようございます」」
「どうしたの?」
「昨日のクッキー美味しかったから」
「また作って欲しいって言ったら迷惑?」
良かった、美味しく出来てたんだ。
「いいよ。今度の僕の当番の時に持ってくるね」
「後ね…」
「何?」
「「歩先輩って呼んでいい?」」
じ~ん。何か”先輩”って感じ!
「もちろん!」
嬉しくて笑顔で答えると、二人も嬉しそうに笑ってくれた。あ、このスチル覚えてる!ぶっきらぼうな二人がほんわかして可愛かったんだよね~。…って、相手僕じゃ無かったよね??ま、いっか。眼福、眼福!
「歩先輩、今日放課後空いてる?」
「うん?特に用事は無いけど?」
「美味しいクレープのお店見つけたから一緒に行かない?」
「ほんと?!うん!行こう!」
「「じゃあ、授業終わったら待ってる」」
「うん。じゃ、また放課後ね!」
手を振って二人と別れ、教室に向かう。そう言えば、二人と連絡先の交換とかしてなかったなぁ。せっかく仲良くなれたんだし、放課後提案してみよっと。
クレープが楽しみで、少しウキウキした気持ちで歩いていると、運よく伊集院先輩が宮之阪先輩とこっちに歩いてきていた。うわ~やっぱり二人が並んで歩いてると迫力あるな~。回りがキラキラして見える!っと、見惚れてる場合じゃ無かった!
「伊集院先輩、宮之阪先輩、おはようございます」
「おはよう、逢坂君」
「はよ、逢坂。手の傷は大丈夫か?」
「あ、はい。お陰様で何ともありません。それで、これ、昨日のお礼です」
僕は鞄に入れてあったラッピングされたお礼のタオルを取り出し、伊集院先輩に渡した。
「お礼なんて良いのに…」
「いえ、そういう事はきちんとしないと僕の気が済まないので」
「…変わんないねぇ~」
「え?」
「何でもない。じゃ、遠慮なく。開けても良い?」
「あ、はい」
先輩はリボンを解いて中からタオルを取り出した。
「お、ちょうどタオル交換しようとしてたんだ~。使わせてもらうよ」
「喜んでもらえて良かったです。じゃ、失礼します」
ペコリと一礼してその場を立ち去った。
「圭だけずるくない?てか、歩の怪我の事知らなかったんだけど?」
「まあまあ、かすり傷だったし。でも、先に出し抜いたの類だろ?おあいこ」
「仕方ないな…。それより、那都と風悠がカワイイ後輩を演じてるらしい」
「マジか…。アイツら、年下ってことを利用してるな」
「ちょっと邪魔するか」
「賛成」
ニヤッと笑いながら、二人は教室へと向かった。
「何がいいかな~?」
傷の手当をしてくれた伊集院先輩へのお礼を買うために、僕は街をうろうろしていた。クッキーを焼いても良かったんだけど、また噂になると先輩に迷惑を掛けてしまうので却下した。
「あっ…」
雑貨屋さんの前を通ると、鮮やかな赤色のスポーツタオルを見つけた。
「タオルなら、先輩沢山もらってるだろうし迷惑じゃないよね」
僕はそのタオルを購入し、ラッピングしてもらった。
「明日渡せるかな~?」
ラッピングされたタオルをカバンにしまい、僕は家へ帰った。
次の日。
下駄箱で靴を履き替えていると、「「先輩」」と、声を掛けられた。僕を先輩と呼んでくれてのは二人だけ。
「那都君、風悠君おはよう!」
「「おはようございます」」
「どうしたの?」
「昨日のクッキー美味しかったから」
「また作って欲しいって言ったら迷惑?」
良かった、美味しく出来てたんだ。
「いいよ。今度の僕の当番の時に持ってくるね」
「後ね…」
「何?」
「「歩先輩って呼んでいい?」」
じ~ん。何か”先輩”って感じ!
「もちろん!」
嬉しくて笑顔で答えると、二人も嬉しそうに笑ってくれた。あ、このスチル覚えてる!ぶっきらぼうな二人がほんわかして可愛かったんだよね~。…って、相手僕じゃ無かったよね??ま、いっか。眼福、眼福!
「歩先輩、今日放課後空いてる?」
「うん?特に用事は無いけど?」
「美味しいクレープのお店見つけたから一緒に行かない?」
「ほんと?!うん!行こう!」
「「じゃあ、授業終わったら待ってる」」
「うん。じゃ、また放課後ね!」
手を振って二人と別れ、教室に向かう。そう言えば、二人と連絡先の交換とかしてなかったなぁ。せっかく仲良くなれたんだし、放課後提案してみよっと。
クレープが楽しみで、少しウキウキした気持ちで歩いていると、運よく伊集院先輩が宮之阪先輩とこっちに歩いてきていた。うわ~やっぱり二人が並んで歩いてると迫力あるな~。回りがキラキラして見える!っと、見惚れてる場合じゃ無かった!
「伊集院先輩、宮之阪先輩、おはようございます」
「おはよう、逢坂君」
「はよ、逢坂。手の傷は大丈夫か?」
「あ、はい。お陰様で何ともありません。それで、これ、昨日のお礼です」
僕は鞄に入れてあったラッピングされたお礼のタオルを取り出し、伊集院先輩に渡した。
「お礼なんて良いのに…」
「いえ、そういう事はきちんとしないと僕の気が済まないので」
「…変わんないねぇ~」
「え?」
「何でもない。じゃ、遠慮なく。開けても良い?」
「あ、はい」
先輩はリボンを解いて中からタオルを取り出した。
「お、ちょうどタオル交換しようとしてたんだ~。使わせてもらうよ」
「喜んでもらえて良かったです。じゃ、失礼します」
ペコリと一礼してその場を立ち去った。
「圭だけずるくない?てか、歩の怪我の事知らなかったんだけど?」
「まあまあ、かすり傷だったし。でも、先に出し抜いたの類だろ?おあいこ」
「仕方ないな…。それより、那都と風悠がカワイイ後輩を演じてるらしい」
「マジか…。アイツら、年下ってことを利用してるな」
「ちょっと邪魔するか」
「賛成」
ニヤッと笑いながら、二人は教室へと向かった。
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