6 / 56
6.カワイイ後輩
しおりを挟む
キーンコーンカーンコーン
下校30分前のチャイムが鳴り、図書室も閉館の時間が来た。数名の生徒が本を直して、図書室から退室していく。
「「先輩、一緒に帰ろう」」
「うん、良いよ」
誰も残っていないか室内を一回りして、電気を消し施錠した。
「鍵、返してくるから下駄箱で待ってて」
「「うん」」
那都君、風悠君と一旦分かれて、職員室に鍵を返しに行った。
「失礼しました」
返却して職員室を出ると、二人が廊下に立っていた。
「あれ?下駄箱でって言わなかった?」
「「迎えに来た」」
「そっか、ありがと」
走ってきたのか、二人の顔にうっすらと汗が流れていた。ポケットからハンカチを出して、那都君、風悠君の汗を拭いてあげた。
「走ってこなくても良かったのに」
「「!!」」
二人の頬が少し赤く染まる。あ!男の子にすることじゃなかったなぁ…。
「ご、ごめんね。恥ずかしかったね」
「「大丈夫。むしろ嬉しかったから」」
「そ、そう?…じゃ、帰ろっか」
頷いた二人と一緒に下駄箱に向かうと、ヒロインが扉の辺りをウロウロしていた。
(何してるんだろ?)
疑問に思いながら靴を履き替え、扉を出るとタイミング悪くぽつぽつと雨が降り出してきた。
(え~…天気予報、雨って言ってなかったのに~)
幸い、そんなに強い雨でもないので走れば大丈夫かなって思っていると、二人が折り畳み傘を手にやって来た。
「「先輩、俺の傘に入る?」」
いや、同時に言われても…。どうした方が良いのか考えていると、ヒロインがチラチラとこちらを見ていた。
「や~ん、雨降ってきちゃった~。傘無いのにどうしよう…」
いや、あきらかに那都君と風悠君に向かって言ってるよね??
「那都、途中で交代にしよう」
「そうだな、風悠」
「ん?」
「先輩、行こう」
そう言って、那都君に肩を抱かれその場を離れる事になった。
「えっ?ちょっと…!」
ヒロインが何か言ってるぽかったけど、二人に片耳ずつ塞がれてよく聞こえなかった。
「「うるさい女」」
「那都君、風悠君何も聞こえないんだけど」
そう言うと、パッと手を離してくれた。
「「虫がいたから」」
「そ、そう…」
良くわからないけど、虫がいたから耳を塞いだの?
二人と一緒に帰るのは最寄りの駅まで。家が反対方向だからね。駅までの中盤に差し掛かると、今度は風悠君に肩を抱かれて風悠君の傘に入れられた。う~ん、なんの意味があるんだろう…。
駅に着いて二人をよく見ると、片方の肩がそれぞれ濡れていた。
「濡れてるよ二人とも」
ハンカチを出して二人の濡れた肩を拭く。
「「先輩が濡れなくて良かった」」
「もう、僕の事は良いのに…」
「先輩、傘一本持っていって」
「風邪ひかないでね」
僕に傘を押し付け、二人はホームへと走って行った。
「ありがとー」
そう叫ぶと、二人は振り向いて手を振ってくれた。
ほんと、かわいい後輩だな。
下校30分前のチャイムが鳴り、図書室も閉館の時間が来た。数名の生徒が本を直して、図書室から退室していく。
「「先輩、一緒に帰ろう」」
「うん、良いよ」
誰も残っていないか室内を一回りして、電気を消し施錠した。
「鍵、返してくるから下駄箱で待ってて」
「「うん」」
那都君、風悠君と一旦分かれて、職員室に鍵を返しに行った。
「失礼しました」
返却して職員室を出ると、二人が廊下に立っていた。
「あれ?下駄箱でって言わなかった?」
「「迎えに来た」」
「そっか、ありがと」
走ってきたのか、二人の顔にうっすらと汗が流れていた。ポケットからハンカチを出して、那都君、風悠君の汗を拭いてあげた。
「走ってこなくても良かったのに」
「「!!」」
二人の頬が少し赤く染まる。あ!男の子にすることじゃなかったなぁ…。
「ご、ごめんね。恥ずかしかったね」
「「大丈夫。むしろ嬉しかったから」」
「そ、そう?…じゃ、帰ろっか」
頷いた二人と一緒に下駄箱に向かうと、ヒロインが扉の辺りをウロウロしていた。
(何してるんだろ?)
疑問に思いながら靴を履き替え、扉を出るとタイミング悪くぽつぽつと雨が降り出してきた。
(え~…天気予報、雨って言ってなかったのに~)
幸い、そんなに強い雨でもないので走れば大丈夫かなって思っていると、二人が折り畳み傘を手にやって来た。
「「先輩、俺の傘に入る?」」
いや、同時に言われても…。どうした方が良いのか考えていると、ヒロインがチラチラとこちらを見ていた。
「や~ん、雨降ってきちゃった~。傘無いのにどうしよう…」
いや、あきらかに那都君と風悠君に向かって言ってるよね??
「那都、途中で交代にしよう」
「そうだな、風悠」
「ん?」
「先輩、行こう」
そう言って、那都君に肩を抱かれその場を離れる事になった。
「えっ?ちょっと…!」
ヒロインが何か言ってるぽかったけど、二人に片耳ずつ塞がれてよく聞こえなかった。
「「うるさい女」」
「那都君、風悠君何も聞こえないんだけど」
そう言うと、パッと手を離してくれた。
「「虫がいたから」」
「そ、そう…」
良くわからないけど、虫がいたから耳を塞いだの?
二人と一緒に帰るのは最寄りの駅まで。家が反対方向だからね。駅までの中盤に差し掛かると、今度は風悠君に肩を抱かれて風悠君の傘に入れられた。う~ん、なんの意味があるんだろう…。
駅に着いて二人をよく見ると、片方の肩がそれぞれ濡れていた。
「濡れてるよ二人とも」
ハンカチを出して二人の濡れた肩を拭く。
「「先輩が濡れなくて良かった」」
「もう、僕の事は良いのに…」
「先輩、傘一本持っていって」
「風邪ひかないでね」
僕に傘を押し付け、二人はホームへと走って行った。
「ありがとー」
そう叫ぶと、二人は振り向いて手を振ってくれた。
ほんと、かわいい後輩だな。
200
お気に入りに追加
423
あなたにおすすめの小説
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした
和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。
そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。
* 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵
* 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください
社畜だけど異世界では推し騎士の伴侶になってます⁈
めがねあざらし
BL
気がつくと、そこはゲーム『クレセント・ナイツ』の世界だった。
しかも俺は、推しキャラ・レイ=エヴァンスの“伴侶”になっていて……⁈
記憶喪失の俺に課されたのは、彼と共に“世界を救う鍵”として戦う使命。
しかし、レイとの誓いに隠された真実や、迫りくる敵の陰謀が俺たちを追い詰める――。
異世界で見つけた愛〜推し騎士との奇跡の絆!
推しとの距離が近すぎる、命懸けの異世界ラブファンタジー、ここに開幕!

悪役令嬢と同じ名前だけど、僕は男です。
みあき
BL
名前はティータイムがテーマ。主人公と婚約者の王子がいちゃいちゃする話。
男女共に子どもを産める世界です。容姿についての描写は敢えてしていません。
メインカプが男性同士のためBLジャンルに設定していますが、周辺は異性のカプも多いです。
奇数話が主人公視点、偶数話が婚約者の王子視点です。
pixivでは既に最終回まで投稿しています。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中
risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。
任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。
快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。
アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——?
24000字程度の短編です。
※BL(ボーイズラブ)作品です。
この作品は小説家になろうさんでも公開します。

【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み

騎士団で一目惚れをした話
菫野
BL
ずっと側にいてくれた美形の幼馴染×主人公
憧れの騎士団に見習いとして入団した主人公は、ある日出会った年上の騎士に一目惚れをしてしまうが妻子がいたようで爆速で失恋する。

悪役側のモブになっても推しを拝みたい。【完結】
瑳来
BL
大学生でホストでオタクの如月杏樹はホストの仕事をした帰り道、自分のお客に刺されてしまう。
そして、気がついたら自分の夢中になっていたBLゲームのモブキャラになっていた!
……ま、推しを拝めるからいっか! てな感じで、ほのぼのと生きていこうと心に決めたのであった。
ウィル様のおまけにて完結致しました。
長い間お付き合い頂きありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる