乙女ゲームのモブに転生したようですが、何故かBLの世界になってます~逆ハーなんて狙ってないのに攻略対象達が僕を溺愛してきます

syouki

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6.カワイイ後輩

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キーンコーンカーンコーン

下校30分前のチャイムが鳴り、図書室も閉館の時間が来た。数名の生徒が本を直して、図書室から退室していく。

「「先輩、一緒に帰ろう」」
「うん、良いよ」

誰も残っていないか室内を一回りして、電気を消し施錠した。

「鍵、返してくるから下駄箱で待ってて」
「「うん」」

那都君、風悠君と一旦分かれて、職員室に鍵を返しに行った。

「失礼しました」

返却して職員室を出ると、二人が廊下に立っていた。

「あれ?下駄箱でって言わなかった?」
「「迎えに来た」」
「そっか、ありがと」

走ってきたのか、二人の顔にうっすらと汗が流れていた。ポケットからハンカチを出して、那都君、風悠君の汗を拭いてあげた。

「走ってこなくても良かったのに」
「「!!」」

二人の頬が少し赤く染まる。あ!男の子にすることじゃなかったなぁ…。

「ご、ごめんね。恥ずかしかったね」
「「大丈夫。むしろ嬉しかったから」」
「そ、そう?…じゃ、帰ろっか」

頷いた二人と一緒に下駄箱に向かうと、ヒロインが扉の辺りをウロウロしていた。

(何してるんだろ?)

疑問に思いながら靴を履き替え、扉を出るとタイミング悪くぽつぽつと雨が降り出してきた。

(え~…天気予報、雨って言ってなかったのに~)

幸い、そんなに強い雨でもないので走れば大丈夫かなって思っていると、二人が折り畳み傘を手にやって来た。

「「先輩、俺の傘に入る?」」

いや、同時に言われても…。どうした方が良いのか考えていると、ヒロインがチラチラとこちらを見ていた。

「や~ん、雨降ってきちゃった~。傘無いのにどうしよう…」

いや、あきらかに那都君と風悠君に向かって言ってるよね??

「那都、途中で交代にしよう」
「そうだな、風悠」
「ん?」
「先輩、行こう」

そう言って、那都君に肩を抱かれその場を離れる事になった。

「えっ?ちょっと…!」

ヒロインが何か言ってるぽかったけど、二人に片耳ずつ塞がれてよく聞こえなかった。

「「うるさい」」
「那都君、風悠君何も聞こえないんだけど」

そう言うと、パッと手を離してくれた。

「「虫がいたから」」
「そ、そう…」

良くわからないけど、虫がいたから耳を塞いだの?

二人と一緒に帰るのは最寄りの駅まで。家が反対方向だからね。駅までの中盤に差し掛かると、今度は風悠君に肩を抱かれて風悠君の傘に入れられた。う~ん、なんの意味があるんだろう…。

駅に着いて二人をよく見ると、片方の肩がそれぞれ濡れていた。

「濡れてるよ二人とも」

ハンカチを出して二人の濡れた肩を拭く。

「「先輩が濡れなくて良かった」」
「もう、僕の事は良いのに…」
「先輩、傘一本持っていって」
「風邪ひかないでね」

僕に傘を押し付け、二人はホームへと走って行った。

「ありがとー」

そう叫ぶと、二人は振り向いて手を振ってくれた。
ほんと、かわいい後輩だな。
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