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3.お昼休み
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午前中の授業が終わり、お昼休みになった。僕は、お弁当を抱えてパタパタと生徒会室に向かっていた。
(もう!こんな時に限って授業が長引くなんて!)
先輩を待たせてると思うと胃が痛くなってくる。しかも、その相手が宮之阪 類なんて。男だから好感度もないだろうし、ましてや”ざまぁ”なんて無いと思うけど用心に越したことは無いだろう。
やっと生徒会室に着き、扉の前で呼吸を整える。
コンコンコン
扉をノックすると、カチャっと扉が開き目の前に宮之阪先輩が立っていた。
「いらっしゃい」
「すみません!遅くなりました!」
僕より背の高い先輩を見上げながら謝ると、にこっと笑って僕の肩を抱いて室内へ促し扉を閉めた。カチリ…
「急いで来てくれたんだね。汗かいてるよ」
スッと僕の額の汗を指で拭う。至近距離の先輩に、男の僕でもドキドキした。
「す、すみません。ありがとうございます」
「さ、座って。冷たいお茶を用意してあるから」
初めて入った生徒会室は、どこかの会社みたいに正面に会長の机があり、その前に応接室のようなソファーとテーブルが設置されていた。お茶は、二人掛けのソファーの前に並んで用意されていた。
「失礼します」
その片方に座ると、当たり前のように先輩は僕の横に座った。
「この後、デザートも用意してるからね」
「あ、ありがとうございます」
こんなに至れり尽くせりだと、本当にこれがお礼になっているのか不安になってしまう。緊張しながらお弁当の蓋を開ける。
「逢坂君のお弁当、美味しそうだね」
「そうですか?自分で作ってるんでそう言ってもらえると嬉しいですね」
「そうなんだ。よかったら俺のと交換してくれない?」
「え?先輩のとですか?いや、お口に合うか…」
「じゃあ、その玉子焼き食べさせて」
そう言うと、あーんと口を開けて僕が食べさせるのを待っている。え?何この展開??
断れるはずもなく、玉子焼きを一切れ箸で取り先輩の口に運ぶ。普通の玉子焼きを口にしてるだけなのに、その食べ方が妙に艶っぽい。流石、最難関の攻略対象!
「ん、美味しいよ」
「お口に合って良かったです」
良かった~。転生前の僕、自炊やってて。
「じゃあ、お返し。あ~ん」
条件反射で口を開けると、先輩は僕の口に唐揚げを運んだ。その唐揚げは、冷めてるのに噛むと肉汁が溢れてきて柔らかかった。
「めっちゃ美味しいです!」
「良かった」
先輩のお母さんが作ったのかな?このレシピ欲しい~!!
「その唐揚げ、俺が作ったんだ」
「え?!」
まさかの先輩の手作り!!
「良かったら、今度作り方教えてあげようか?
「いいんですか?!」
「うん。俺の家でね」
「ふぇ?」
「あ、ご飯粒付いてるよ」
そう言って、先輩は僕の口元のご飯粒を取って自分の口に入れた。
「※☆△×□$#!!」
突然の事に僕の顔は真っ赤になる。
「逢坂君、カワ…」
先輩の手がそっと僕の頬に触れそうになった時、ドンドンドンと扉を叩く音が聞こえた。
「こら類!いるのは分かってるんだ!開けろ!!」
「…チッ」
え?!先輩今舌打ちした。
「ちょっと待ってね。お邪魔虫が来たみたいだから」
「は、はい…」
美形にあんなことされると、男でもドキドキするもんなんだと改めて実感した。
(もう!こんな時に限って授業が長引くなんて!)
先輩を待たせてると思うと胃が痛くなってくる。しかも、その相手が宮之阪 類なんて。男だから好感度もないだろうし、ましてや”ざまぁ”なんて無いと思うけど用心に越したことは無いだろう。
やっと生徒会室に着き、扉の前で呼吸を整える。
コンコンコン
扉をノックすると、カチャっと扉が開き目の前に宮之阪先輩が立っていた。
「いらっしゃい」
「すみません!遅くなりました!」
僕より背の高い先輩を見上げながら謝ると、にこっと笑って僕の肩を抱いて室内へ促し扉を閉めた。カチリ…
「急いで来てくれたんだね。汗かいてるよ」
スッと僕の額の汗を指で拭う。至近距離の先輩に、男の僕でもドキドキした。
「す、すみません。ありがとうございます」
「さ、座って。冷たいお茶を用意してあるから」
初めて入った生徒会室は、どこかの会社みたいに正面に会長の机があり、その前に応接室のようなソファーとテーブルが設置されていた。お茶は、二人掛けのソファーの前に並んで用意されていた。
「失礼します」
その片方に座ると、当たり前のように先輩は僕の横に座った。
「この後、デザートも用意してるからね」
「あ、ありがとうございます」
こんなに至れり尽くせりだと、本当にこれがお礼になっているのか不安になってしまう。緊張しながらお弁当の蓋を開ける。
「逢坂君のお弁当、美味しそうだね」
「そうですか?自分で作ってるんでそう言ってもらえると嬉しいですね」
「そうなんだ。よかったら俺のと交換してくれない?」
「え?先輩のとですか?いや、お口に合うか…」
「じゃあ、その玉子焼き食べさせて」
そう言うと、あーんと口を開けて僕が食べさせるのを待っている。え?何この展開??
断れるはずもなく、玉子焼きを一切れ箸で取り先輩の口に運ぶ。普通の玉子焼きを口にしてるだけなのに、その食べ方が妙に艶っぽい。流石、最難関の攻略対象!
「ん、美味しいよ」
「お口に合って良かったです」
良かった~。転生前の僕、自炊やってて。
「じゃあ、お返し。あ~ん」
条件反射で口を開けると、先輩は僕の口に唐揚げを運んだ。その唐揚げは、冷めてるのに噛むと肉汁が溢れてきて柔らかかった。
「めっちゃ美味しいです!」
「良かった」
先輩のお母さんが作ったのかな?このレシピ欲しい~!!
「その唐揚げ、俺が作ったんだ」
「え?!」
まさかの先輩の手作り!!
「良かったら、今度作り方教えてあげようか?
「いいんですか?!」
「うん。俺の家でね」
「ふぇ?」
「あ、ご飯粒付いてるよ」
そう言って、先輩は僕の口元のご飯粒を取って自分の口に入れた。
「※☆△×□$#!!」
突然の事に僕の顔は真っ赤になる。
「逢坂君、カワ…」
先輩の手がそっと僕の頬に触れそうになった時、ドンドンドンと扉を叩く音が聞こえた。
「こら類!いるのは分かってるんだ!開けろ!!」
「…チッ」
え?!先輩今舌打ちした。
「ちょっと待ってね。お邪魔虫が来たみたいだから」
「は、はい…」
美形にあんなことされると、男でもドキドキするもんなんだと改めて実感した。
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