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25. side 瞬⑤

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急に起き上がり、俺を四つん這いにして、猫の本能と言うべきか、俺の首を甘噛しながら激しく突いてきた。奥まで突かれて、俺の体は快楽に流されていた。グチュグチュと俺の中をかき乱すレオン。

「瞬…オシッコ出ちゃう…!!」
「俺も、またいっちゃう…!あ~!イクっ!イク~!」

レオンの精液が自分の中に注がれるのが分かる。レオンは力尽きたのか、そのまま俺の背中に体を預けた。

「瞬、あったかいニャ…僕を見つけてくれた時とおんなじニャ…」

スース―とレオンの寝息が聞こえてきた。俺は、起こさないようにそっとレオンの下から抜け出し、体を拭くためのタオルを取りに行った。

「ごめんね、レオン…」

そう一人呟きながらレオンの体を拭いて、服を着せた。その間も、幸せそうな顔でレオンは眠っていた。

「レオンと幸せに暮らしたい…」

猫でも人間でも、俺にはレオンが必要なんだと思った――――――。


翌朝、朝ごはんとレオン用のお昼ご飯の用意をしていると、バタバタとレオンが走ってきた。昨夜の事は何もなかったかのようにレオンに「おはよう」と告げる。少し戸惑っているみたいだったけど、レオンも「おはよう」と返してくれた。けど、お昼ご飯の話をしたら、レオンにキスをされた。ダメだよレオン!俺を煽らないで!!

少しの不安を残して、俺は仕事へと出かけた。

(レオン大丈夫かな…)

こんな時、連絡をとる手段がないのが悔やまれる。せめて、ペットカメラでも設置しておくんだったと後悔した。
そして、家に帰ると――――――裸のレオンがリビングでうずくまっていた。

何かあったのかと慌てて駆け寄ると、レオンの体の下にシミがあった。解らずに自慰をしてしまったのだと分かった。人間の、男の体の事を説明しておくべきだった。怒られると思ったのか、泣きそうな顔をして俺を見る。安心させるように怒らないことを伝えて、お風呂へと連れていく。落ち込んでいるのか、いつもみたいにレオンははしゃがなかった。話をする時間を作るためにピザを注文して、レオンを膝の上に座らせる。人間になってどう思っているか聞いた。
「僕が人間になったら、ご主人様は悲しまないかニャとは思ったニャ」
「あ…」

思い出した。俺は、元恋人に振られた後に乱暴され、その後も家まで押しかけられた夜、寄り添うレオンに

「レオンは優しいね…。レオンが人間だったら良かったのに…」

と、呟いた。まさか、そんな言葉が引き金になって本当に人間になるなんて思わない。けど、現実にレオンは人間になった。俺のせいかと言えば、レオンは自分が望んだと言う。悲しそうに、猫のままが良かったかと聞かれた。猫でも人間でもレオンがいてくれて俺は救われたと、俺は伝えた。

何故、俺が泣いていたのか。俺がレオンに救われた理由を話そうと、決心した。

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