実家に帰らせていただきます!

syouki

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14.何してるの?

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「あ~!ダメだぞフェル!」
「だぁ!!」

あれから2カ月。息子、フェルことフェルラードは人間の成長速度の倍以上の速さで、すくすくと成長し、魔法を使って空中を移動していく。

「降りてこないとオッパイ無いよ!!」
「!!」

まだまだ乳離れが出来ておらず、この言葉を言うと大人しく腕の中に降りて来る。

「あぅ~~…」

服の上から小さな手でおっぱいをテシテシと叩いて催促する。

「はいはい、今あげるからね」

シャツのボタンを外しおっぱいを出すと、キラキラとした目で乳首に吸い付く。うん、ルキそっくりだね。

満足したのか、ケフッとげっぷをして眠りについた。起こさないようにそ~っとベッドに降ろし、俺はん~と伸びをした。

「ふ~、片付けないとだけどちょっと休憩しよ」

フェルが散らかした部屋を見ながらひとりごちる。

「お茶と何かお菓子もらってこよ~っと」

つかの間の休憩にウキウキしながら部屋を出て、厨房に向かう。そう言えば、ルキは午後から出かけるって言ってた事を思い出した。たまには一人も良いかなと思って廊下を進んでいると、どこからか声が聞こえてきた。

「…っ!ジーク…もう無理だ…!」
「ダメです魔王様。まだまだこれからです!」
「んん~~~!!」

心臓がバクバクと早鐘を打つ。

え?何??ルキは出かけたんじゃ無かったの?ジークさんと部屋に籠って何してるの??

「こちらはまだ足りないと言ってますよ?」
「はぁはぁ…これ以上は…」
「これでもですか?」
「…っ!!」

確かめたい。けど怖い。

頭から血の気が引いていき、手足が冷えて震えていく。

―動かなきゃ。

重い足を引きずるように動かし、俺はその場を後にした。

何とか部屋まで戻り、まだ寝ているフェルの顔を見て視界がぼやけていく。

「フェル…」

何かの間違いであってほしい。
さっきのは俺の聞き間違いであってほしい。

フェルを胸に抱き、俺は静かに涙を流した。

俺の事、好きって言ったのに
俺の事、番にしたのに。
俺の事、妊娠させたのに。

悲しみから、ふつふつと怒りが湧いてきた。

よく考えたら、フェルの面倒見てるのほとんど俺じゃん!ルキは寝ちゃったフェルを魔法でベッドに戻すだけじゃん!その後、俺の飲んでるだけじゃん!!なんにも父親らしいことしてないくせに何してんだよ!!!

あ~~~何かどうでも良くなってきたわ!!!


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