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1.魔王誕生
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晴天に恵まれた、ある穏やかな日。
人々は活気に満ち溢れ、いつもの日常を過ごしていた。
「ん?なんだ?山の方に黒い雲が広がってるぞ?」
「雨雲…て感じでもなさそうだな…」
不気味に広がる雲を見つめていると、次第に辺りは暗くなり、昼間だというのに夜の様に真っ暗になってしまった。
「お、おい。何かおかしいぞ?」
「何が起こってるんだ?!」
ある者は空を見上げ、またある者は建物へ走っていく。子供たちは、親に手を引かれ家の中へ。皆、不安を抱いて不気味な空を見る。
すると、一際大きな雷が山へと落ちた。それは辺りを一瞬で明るく照らし、地震かと思うほどの揺れをもたらした。
「うわー!!」
「キャー!!」
立っていられないほどの揺れに、人々は驚愕の声を上げた。暫くすると揺れは収まったが、今度は不気味な声がどかからか聞こえてきた。
⦅ニンゲンドモヨ、ワレノコエガキコエルカ?⦆
「な、何だ?どこから聞こえてくるんだ?!」
ざわざわと、皆、辺りを見渡し、ゴクリと唾を飲み込む。
⦅ワレハマオウ、ルキアルド。イマコノチニヨミガエッタ⦆
「ま、魔王だって?!」
「そんな…何百年も前に滅びたはずじゃ…」
「物語じゃ無かったのか…?」
予期せぬ魔王の復活に、皆血の気の引いた顔で空を見上げている。
⦅イマヨリ、コノセカイハワレノモノ。サカラウモノニハメツボウヲサズケヨウ…⦆
「滅亡…?」
「これからどうなるんだ…?」
魔王の声が消え、辺りがうっすらと明るくなった時、その疑問は恐怖へと変わった。なぜなら、空には無数の魔物がこちへと向かって来ている姿が見えたからだ。
「うわー!!に、逃げろー!!」
「ママー!!怖いよー!!」
街から逃げ出せない様に、人型で翼を持った魔物達が地に降り立った。人々は腰を抜かし、その場から動けない。
『我々は魔王様の命によりこの地に遣わされた。逆らえば命は無いと思え』
ギロリと紫色をした目で睨まれ、皆震えながらも、コクコクと頷いた。
(し、死にたくない…)
(逆らわなければ、大丈夫だ…)
この日を境に、世界は光を失った―――――
人々は活気に満ち溢れ、いつもの日常を過ごしていた。
「ん?なんだ?山の方に黒い雲が広がってるぞ?」
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「お、おい。何かおかしいぞ?」
「何が起こってるんだ?!」
ある者は空を見上げ、またある者は建物へ走っていく。子供たちは、親に手を引かれ家の中へ。皆、不安を抱いて不気味な空を見る。
すると、一際大きな雷が山へと落ちた。それは辺りを一瞬で明るく照らし、地震かと思うほどの揺れをもたらした。
「うわー!!」
「キャー!!」
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⦅ニンゲンドモヨ、ワレノコエガキコエルカ?⦆
「な、何だ?どこから聞こえてくるんだ?!」
ざわざわと、皆、辺りを見渡し、ゴクリと唾を飲み込む。
⦅ワレハマオウ、ルキアルド。イマコノチニヨミガエッタ⦆
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「そんな…何百年も前に滅びたはずじゃ…」
「物語じゃ無かったのか…?」
予期せぬ魔王の復活に、皆血の気の引いた顔で空を見上げている。
⦅イマヨリ、コノセカイハワレノモノ。サカラウモノニハメツボウヲサズケヨウ…⦆
「滅亡…?」
「これからどうなるんだ…?」
魔王の声が消え、辺りがうっすらと明るくなった時、その疑問は恐怖へと変わった。なぜなら、空には無数の魔物がこちへと向かって来ている姿が見えたからだ。
「うわー!!に、逃げろー!!」
「ママー!!怖いよー!!」
街から逃げ出せない様に、人型で翼を持った魔物達が地に降り立った。人々は腰を抜かし、その場から動けない。
『我々は魔王様の命によりこの地に遣わされた。逆らえば命は無いと思え』
ギロリと紫色をした目で睨まれ、皆震えながらも、コクコクと頷いた。
(し、死にたくない…)
(逆らわなければ、大丈夫だ…)
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