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6.新しい出会い

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「新入社員の人はこちらに集合してくださーい」

「…ふ~。なんとか間に合った」

じんわりと額に浮かんだ汗をぬぐい、俺は声のする方に小走りで向かった。そこにはすでにたくさんの新入社員が集まっていた。

(同期って結構いるんだな~…。仲良くなれるかな?)

あたりを見まわすと、二、三人で話してるグループがいくつか出来ていた。あちゃ~出遅れたか…さらに視線を泳がせれば、バチッと視線がぶつかった。

(お、女の子…!)

腰に届きそうなストレートの黒髪。遠目だが、160センチに満たないくらいの小柄な身長。ペコっと頭を下げてきたので、俺も頭を下げた。クスッとわずかに口元が笑っていた。

(か、かわいい!!)

今、俺の心臓は猛烈にドキドキしている。今迄色んな女の子に出会ってきたが(ほとんど湊に取られたが…)こんなにドキドキするのは初めてだ!これが一目惚れか!!けど、俺みたいな男があんなにカワイイ女の子の横に立てるわけ無いよな~…。一目惚れと同時に失恋か…。くすん。…と思っていたら、彼女がこっちに向かって歩いてきた。まさか俺に?!なんてな~なんて思っていたのに俺の目の前で止まった。

「初めまして。私、神崎 沙羅って言います」
「は、初めまして。俺、斎藤比呂樹って言いましゅ」

ゔっ!めっちゃ嚙んだ!なんだよ”しゅ”って!!!!

「斎藤君ね。これからよろしく」
「は、はい!よろしく!」

彼女、神崎さんは俺の噛んだ事を笑う事も無く、にっこりと微笑んで挨拶をしてくれた。まさに女神!!

「沙羅~?」
「あ、友達が呼んでるから行くね。じゃ」
「あ、はい。じゃあ」

くるりと踵を返しながらひらひらと手を振って去っていく神崎さん。いよいよ俺にも春が来たのか?!
なんて事を考えていると、

「新入社員の皆さーん!今から会場に入りますので、名前を呼ばれたらこちらに来てくださーい!」

と、現実に引き戻れた。

神崎さんと同じ部署に!なんて甘い考えはあっけなく崩れ去った。俺は総務課で彼女は営業課だった。はぁ~…まあ同じ会社にいるんだし顔を合わすぐらいは出来るかな…。

入社式も終わり、それぞれの部署の上司との顔合わせの為に移動する事になった。俺と同じ総務課は、俺を含めて3人だった。

「中野晃司です。よろしくお願いします」
「森下万梨阿です。よろしくお願いします」
「斎藤比呂樹です。よろしくお願いします」
「課長の岡田です。入社おめでとう」

岡田課長は、40代くらいの優しそうな男性だった。

軽く明日の打ち合わせをして、今日は解散となった。

「じゃ、明日からよろしく」
「「「はい。よろしくお願いします」」」

さ、明日から頑張るぞ!





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