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4.快適な新生活

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「ひろ兄!朝だよ~」
「…ん~もうちょっと…」
「今日、入社式でしょ~。遅刻しても知らないよ~」
「…うわ!そうだった!!湊サンキュ」

湊と同居を始めて数日が過ぎた。初日は、まだ湊の寝具が無かったので仕方なく同じベッドで寝た。はぁ~…なにが悲しくて初使用のベッドで男と一緒なんだか…。しかも朝起きたら湊の抱き枕になってたし!いくら俺の方が背が低いからって!!まぁ、朝食が美味かったのでチャラにしたけど…。


遡る事同居二日目。湊の荷物も届き、俺の荷解きもまだだったので二人で片づけをした。

「湊~、クローゼットに掛ける服は?」
「スーツとコートくらいだから、そんなにスペースいらないよ」
「そっか。ま、使う時は言ってくれ」
「ありがと、ひろ兄」

うっ!そういう笑顔は今も天使なんだよな~…。

湊の荷物は少なく、寝具一式と小ぶりな引き出し式の衣装ケース。後は、着替えなどの身の回りの物だけだった。

「湊、机は無いのか?」
「勉強机?そんなのここに置いて勉強したらひろ兄の睡眠の邪魔になっちゃうじゃん。試験の時は図書館行くし、時間が足りないときはリビング使わせ貰って良いかな?」
「ああ、それは構わないけど…」
「ありがと。じゃ、それもルールに付け加えとくね」

…意外と気を使ってくれてるんだな。と、思ったがよく考えたら初めから俺の部屋に住む前提の荷物ではないか、と思い直した。そういえば、やたらとキッチン用日詰めてたな…。母さん…いつから計画してたんだ…。

二人がかりの荷解きは夕方までに終わり、その日の夕食はさっそく湊が作るというので、二人で買い出しに出た。

「ひろ兄、食べたい物ある?」
「そうだな~…」

何が良いかな~。昨日は唐揚げだったからハンバーグが良いかな~…。

「ひろ兄、ハンバーグ好きだよね?ハンバーグにしよっか!」
「お、おう…」

な、何で俺の考えてることが分かったんだ…?

そしてその晩は、チーズがたっぷり入ったチーズインハンバーグを堪能した。俺、湊にチーズインハンバーグ好きって言ったかなぁ…??

次の日は、湊のコップや生活雑貨を買いに少し繁華街まで足を延ばした。何故か、「記念に撮ろう~」と言われ、プリクラを撮らされた。…初プリクラが湊かよ。てか、何の記念だ?

そして、ここ数日にわたり湊との同居も悪くないと思えてきた。ま、俺も大人だからね。昔の事は水に流そう。

「じゃ、行ってくるわ~」
「あ、ひろ兄!」
「ん?」
「ほら~ネクタイ曲がってるよ~」

湊の細く綺麗な指が、俺のネクタイをキュッと直す。”ドキッ” …ん?ドキって何だ??

「はい、出来たよ」
「ああ、サンキュ」
「あ、今日は遅くなる?」
「いや、入社式と所属部署の上司との顔合わせだけだからそんなには遅くならないと思う」
「じゃ、今日はごちそう作って待ってるから早く帰って来てね」
「お、おう…。じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃ~い」

…何だ、この新婚みたいな会話…。

俺は顔が熱くなるの感じながら、会社へと向かった。


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