上 下
2 / 16

2.予期せぬ来訪者

しおりを挟む
「ただいま~って誰もいないけど」

お肉屋さんの後、パン屋さん・総菜屋さん・豆腐屋さんなど色々立ち寄り、今日の晩御飯と明日の朝ごはん分の買い物をしてしまった。まぁ、今日明日くらい自炊休んでもいいだろ。

「さて、ちょっと早いけど一人引っ越し祝いでもするか」

総菜屋さんで買ってきた天ぷらと唐揚げ、豆腐屋さんで買ってきた豆腐をテーブルに並べ缶ビールの蓋を開けようとしたら…

”ピンポーン”

「あれ?今日はもう届くものは無かったはず…」

”ピンポーン”

「は、は~い!!」

新聞か何かの勧誘かなと思いながら、俺は玄関のドアを開けた。

「ひろ兄!!」

開けた瞬間に、俺の視界は色を失った。

「どうしたのひろ兄?あ、ご飯中だった?良かった~。色々買って来たんだ!一緒に食べようよ!」

どうして湊がここに…?

「ひろ兄?」

目の前の男――片桐 湊――は、俺の4歳下の幼馴染。眉目秀麗で高身長。…俺に彼女が出来なかった原因とも言える。

「…はっ!な、何で湊がここに?!」
「俺、大学こっちなんだ!それで真理子さんに聞いてひろ兄に会いに来たんだ!」
「そ、そっか…母さんに聞いたのか…」

くっ!まさか湊がこっちに来るって知ってたら、母さんに口止めしてたのに!…って湊相手じゃ無理か…。母さん湊に激甘だからな…。

「ひろ兄の好きなイチゴのショートケーキも持って来たんだ!後で食べようよ!」

ショ、ショートケーキ!コホン…ケーキに罪は無い。

「…あがっていいぞ」
「お邪魔しま~す!!」

ニコニコと笑顔で家に上がる湊。昔は泣き虫で人見知りで俺の後ろに隠れてばっかりだったくせに。

「あ~ダメだよひろ兄!野菜もちゃんと食べないと!!」
「…っ!は、母親みたいな事言ってんじゃねぇよ」
「ま、そんな事だろうと思ってサラダも持ってきたけどね。さ、食べよ~!」

テキパキとテーブルに総菜を並べる湊。あ、ローストビーフサラダ…美味そう。

「いただきま~す!」
「…いただきます」
「はい、ひろ兄!」
「お、おう…」

紙皿にサラダと唐揚げを取り分けて俺に渡す湊。いや、手際良いな…。まぁ、せっかくなのでローストビーフをぱくり。

「うっま…!特にこのドレッシング!!」
「良かった~。それ、俺のお手製なんだ!」
「そっか~湊のお手製…はぁ?」
「さすがにローストビーフは作れなかったからデパ地下だけどね」
「そ、そうか…」

まじか…こいつ料理スキルまであるのか…。

「ちなみに、家事全般得意だよ!」
「そ、そうか。そりゃ、一人暮らしで苦労する事ないな」
「うん!だから、真理子さんにひろ兄のことよろしくって頼まれたんだ」
「そっか、母さんに俺の事…はぁ?!」
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

こっそりバウムクーヘンエンド小説を投稿したら相手に見つかって押し倒されてた件

神崎 ルナ
BL
バウムクーヘンエンド――片想いの相手の結婚式に招待されて引き出物のバウムクーヘンを手に失恋に浸るという、所謂アンハッピーエンド。 僕の幼なじみは天然が入ったぽんやりしたタイプでずっと目が離せなかった。 だけどその笑顔を見ていると自然と僕も口角が上がり。 子供の頃に勢いに任せて『光くん、好きっ!!』と言ってしまったのは黒歴史だが、そのすぐ後に白詰草の指輪を持って来て『うん、およめさんになってね』と来たのは反則だろう。   ぽやぽやした光のことだから、きっとよく意味が分かってなかったに違いない。 指輪も、僕の左手の中指に収めていたし。 あれから10年近く。 ずっと仲が良い幼なじみの範疇に留まる僕たちの関係は決して崩してはならない。 だけど想いを隠すのは苦しくて――。 こっそりとある小説サイトに想いを吐露してそれで何とか未練を断ち切ろうと思った。 なのにどうして――。 『ねぇ、この小説って海斗が書いたんだよね?』 えっ!?どうしてバレたっ!?というより何故この僕が押し倒されてるんだっ!?(※注 サブ垢にて公開済みの『バウムクーヘンエンド』をご覧になるとより一層楽しめるかもしれません)

誕生日会終了5分で義兄にハメられました。

天災
BL
 誕生日会の後のえっちなお話。

何をされても起きない僕は弟の友達の美形くんに食われちゃいました

霧乃ふー  短編
BL
ベッドで寝るのが大好きな僕。 いつものようにぐうぐう寝ていると、だんだんと身体にいやらしい感覚がやって来て、、、 弟の友達の美形くん×寝るのが大好きな主人公

犯されないよう逃げるけど結局はヤラれる可哀想な受けの話

ダルるる
BL
ある日目が覚めると前世の記憶が戻っていた。 これは所謂異世界転生!?(ちょっと違うね) いやっほーい、となるはずだったのに…… 周りに男しかいないししかも色んなイケメンに狙われる!! なんで俺なんだぁぁぁ…… ーーーーーーー うまくにげても結局はヤられてしまう可哀想な受けの話 題名についた※ はR18です ストーリーが上手くまとまらず、ずっと続きが書けてません。すみません。 【注】アホエロ 考えたら負けです。 設定?ストーリー?ナニソレオイシイノ?状態です。 ただただ作者の欲望を描いてるだけ。 文才ないので読みにくかったらすみません┏○┓ 作者は単純なので感想くれたらめちゃくちゃやる気でます。(感想くださいお願いしやす“〇| ̄|_)

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

【BL・R18】可愛い弟に拘束されているのは何ででしょうか…?

梅花
BL
伯爵家長男の俺は、弟が大好き。プラチナブロンドの髪や青色の瞳。見た目もさることながら、性格も良くて俺を『にーに』なんて呼んだりしてさ。 ても、そんな弟が成人を迎えたある日…俺は… 基本、R18のため、描写ありと思ってください。 特に告知はしません。 短編になる予定です。地雷にはお気をつけください!

【報告】こちらサイコパスで狂った天使に犯され続けているので休暇申請を提出する!

しろみ
BL
西暦8031年、天使と人間が共存する世界。飛行指導官として働く男がいた。彼の見た目は普通だ。どちらかといえばブサ...いや、なんでもない。彼は不器用ながらも優しい男だ。そんな男は大輪の花が咲くような麗しい天使にえらく気に入られている。今日も今日とて、其の美しい天使に攫われた。なにやらお熱くやってるらしい。私は眉間に手を当てながら報告書を読んで[承認]の印を押した。 ※天使×人間。嫉妬深い天使に病まれたり求愛されたり、イチャイチャする話。

悪役の弟に転生した僕はフラグをへし折る為に頑張ったけど監禁エンドにたどり着いた

霧乃ふー  短編
BL
「シーア兄さまぁ♡だいすきぃ♡ぎゅってして♡♡」 絶賛誘拐され、目隠しされながら無理矢理に誘拐犯にヤられている真っ最中の僕。 僕を唯一家族として扱ってくれる大好きなシーア兄様も助けに来てはくれないらしい。 だから、僕は思ったのだ。 僕を犯している誘拐犯をシーア兄様だと思いこめばいいと。

処理中です...