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4.7月

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梅雨も明け、蝉の声が鳴き出した。日差しがギラギラと照り付けてくる。
あれから近藤を見かけることは無かった。
だからって、俺の日常に変化が生じるわけでもない。ただ、あの顔が頭に焼き付いてるだけだ。


「翔、今日も良かったよ。またね」
「あぁ、またな」

せフレとホテルを出てブラブラしてると、こんなところにいるはずもない奴を見かけた。近藤だ。そして隣にいるのは、男だったーーーーー。

何故か俺は後をつけた。そして、近藤が一人になったところで声を掛けた。

「近藤」

ゆっくりと振り向いた近藤は、俺の顔を見てため息をついた。

「…関わらないでって言ったよね」
「さっきの男って…」
「どこから見てたの?」
「ホテルから出てきたとこから」
「つけてたの?趣味悪いね。彼は僕のせフレだよ。皆藤もいっぱいいるでしょ」
「いや、でも…」
「はぁ~。ここじゃ目立つからこっち来て」

近藤は俺の腕を掴み、近くのホテルに入った。部屋に入ると、近藤は眼鏡を外してベッドに腰掛けた。

「聞きたいことあるんでしょ?」
「あ、うん…」
「ふー。ま、大体わかるから話すね。さっき見た通り僕はゲイだよ。で、この眼鏡と服装は女よけ。こんな見た目だからね、寄ってこられても気持ち悪いし」
「…性格は今が地か?」

近藤は、綺麗な目を細めてニヤっと、笑った。

「そうだよ。あの姿で地を出したら変でしょ?それに、ああしてると誰も寄ってこないから都合が良いんだ」
「そっか…」
「…ねぇ、皆藤は男としたことある?」
「はっ?!あるわけ無いだろ」
「だよね。は、皆藤と無縁の世界だから、もう僕を見ても話しかけないでね」

話は終わりだと言わんばかりに、近藤が眼鏡に手を伸ばした。とっさに俺はその手を掴んだ。

「まだ何か用?」
「あ、いや、その…」

自分でも何故か引き止めたのか分からなかった。近藤の青い目と視線がぶつかると、引き寄せられるように、俺は近藤にキスをした。

「…っ、ご、ごめん!」

顔をはなすと、近藤の顔は真っ赤だった。

「えっ…あ…」
「何でキス何かするんだよ!せっかく諦めたのに!…あ」

近藤は口を塞いで、俺から目を逸らした。


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