1 / 19
1.4月
しおりを挟む
入学式の日に見かけたそいつは、とにかく浮いていた。
ぼさぼさの髪に長い前髪。分厚い眼鏡に、誰かから借りたのかサイズの合っていないスーツ。
(なんだあいつ?ある意味目立ってんな~…。ま、俺とは一生かかわることのない人種だな)
「翔~早く~!」
「みんなで写真撮ろうぜ!」
「おう、今行く~!」
そいつを視界から外し、友人の所へ行く。
自分でも言うのもなんだが、俺はリア充だと思う。家もそこそこ金持ちだし、容姿もどちらかと言えば良い方だ。年頃になってからは、女に不自由はしていない。昔、彼女というポジションで勝手に揉められたことがあったので、彼女は作らない主義になった。なので、納得した女しか抱かない。いうなればセフレだな。ま、浮気相手にはなりたくないので彼氏持ちはNGだ。それが俺、皆藤 翔の生き方だ。
「ねぇ、式の後どうする~?」
「カラオケ行く?」
「あ、わりぃ、俺パス」
「何だよ~今日くらい空けとけよ~」
「仕方ないだろ~。スーツ姿が見たいお姉さまのお呼び出し」
「ちぇ、しかたねぇな~。次は付き合えよ!」
「あぁ、埋め合わせするよ」
つるんでる連中は、高校からの付き合いで俺のことも理解してくれてる。なので適度な距離感を保っている。まぁ、女は味見済みだけど…。
友人たちと別れ駅へ向かう道で、さっきの眼鏡野郎を見かけた。何か探してるのか、辺りをキョロキョロしている。
(何してんだあいつ?)
暫く見ていたが、右へ左へウロウロして一向に進んでいない。よく見ると、何か紙を持っていた。
「さっきからウロウロして、なんか探してるのか?」
「えっ?」
見るに見かねて、つい声を掛けてしまった。手に持っている紙を取り上げるとそれは地図だった。
「あ、あの・・・?」
「あぁ、あんたさっき○○大の入学式に居ただろ?俺もそこに居たんだよ。なんか困ってそうだから声掛けたけど迷惑だったか?」
「あ、ううん。ちょっと道に迷ったみたいで…」
「だろうな。これ駅までの地図だよな?俺も行くから一緒に行くか?」
「あ、うん助かる。ありがとう」
安堵の声でお礼を言う眼鏡野郎。無言で駅まで行くと、ぺこりと頭を下げて改札へと入っていった。
何となく、後姿が見えなくなるまでそいつを見てた。
「さ、俺も行くか」
改札を抜け、眼鏡野郎とは反対のホームへと向かった。
ぼさぼさの髪に長い前髪。分厚い眼鏡に、誰かから借りたのかサイズの合っていないスーツ。
(なんだあいつ?ある意味目立ってんな~…。ま、俺とは一生かかわることのない人種だな)
「翔~早く~!」
「みんなで写真撮ろうぜ!」
「おう、今行く~!」
そいつを視界から外し、友人の所へ行く。
自分でも言うのもなんだが、俺はリア充だと思う。家もそこそこ金持ちだし、容姿もどちらかと言えば良い方だ。年頃になってからは、女に不自由はしていない。昔、彼女というポジションで勝手に揉められたことがあったので、彼女は作らない主義になった。なので、納得した女しか抱かない。いうなればセフレだな。ま、浮気相手にはなりたくないので彼氏持ちはNGだ。それが俺、皆藤 翔の生き方だ。
「ねぇ、式の後どうする~?」
「カラオケ行く?」
「あ、わりぃ、俺パス」
「何だよ~今日くらい空けとけよ~」
「仕方ないだろ~。スーツ姿が見たいお姉さまのお呼び出し」
「ちぇ、しかたねぇな~。次は付き合えよ!」
「あぁ、埋め合わせするよ」
つるんでる連中は、高校からの付き合いで俺のことも理解してくれてる。なので適度な距離感を保っている。まぁ、女は味見済みだけど…。
友人たちと別れ駅へ向かう道で、さっきの眼鏡野郎を見かけた。何か探してるのか、辺りをキョロキョロしている。
(何してんだあいつ?)
暫く見ていたが、右へ左へウロウロして一向に進んでいない。よく見ると、何か紙を持っていた。
「さっきからウロウロして、なんか探してるのか?」
「えっ?」
見るに見かねて、つい声を掛けてしまった。手に持っている紙を取り上げるとそれは地図だった。
「あ、あの・・・?」
「あぁ、あんたさっき○○大の入学式に居ただろ?俺もそこに居たんだよ。なんか困ってそうだから声掛けたけど迷惑だったか?」
「あ、ううん。ちょっと道に迷ったみたいで…」
「だろうな。これ駅までの地図だよな?俺も行くから一緒に行くか?」
「あ、うん助かる。ありがとう」
安堵の声でお礼を言う眼鏡野郎。無言で駅まで行くと、ぺこりと頭を下げて改札へと入っていった。
何となく、後姿が見えなくなるまでそいつを見てた。
「さ、俺も行くか」
改札を抜け、眼鏡野郎とは反対のホームへと向かった。
2
お気に入りに追加
79
あなたにおすすめの小説
平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです
おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの)
BDSM要素はほぼ無し。
甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。
順次スケベパートも追加していきます
お客様と商品
あかまロケ
BL
馬鹿で、不細工で、性格最悪…なオレが、衣食住提供と引き換えに体を売る相手は高校時代一度も面識の無かったエリートモテモテイケメン御曹司で。オレは商品で、相手はお客様。そう思って毎日せっせとお客様に尽くす涙ぐましい努力のオレの物語。(*ムーンライトノベルズ・pixivにも投稿してます。)
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる