クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫

文字の大きさ
上 下
124 / 147
国盗り編

話をつける

しおりを挟む
僕が王座に座って待っていると貴族らしき男が3人入ってきた。
兵士を何人も連れている。

鑑定してみると、やはり貴族だった。男爵2人と伯爵が1人。
確か男爵よりは伯爵の方が偉いよね?伯爵ってどのくらいの位置なのかな?偉そうではある。

「侵入者というのは貴様か?この忙しい時に……」
伯爵は大分イラついている。

「僕が王になった今、今まで貴族だった者をどうするかは僕の気分次第だよ。言葉遣いには気を付けた方がいいと思うよ?」

「何を意味不明なことを言っている」

「王国は帝国との戦に負けたんだよ。完全に負けて全ての領土を失った。僕の策略で王国の領土は、帝国のものではなく僕のものになった。わかるかな?」

「戦場まではここからどれだけ急いでも3日は掛かる。戦は今日からだ。よって貴様の言っていることを信じることは出来ない」

「遠くの人と連絡を取る方法はある。それから長距離を短時間で移動する方法もあるよ。どうやったかを君に教えるつもりはないけどね」

「おい、こいつを捕まえろ」
伯爵は僕の言うことを無視して捕まえるように兵士に命令する。
兵士達は僕を捕まえようと槍を構えて迫ってくる

「王になったことを今証明することは出来ないけど、僕の地位を証明するものは1つあるよ。ほらこれを見せてあげる」
僕は襲ってくる兵士の槍を掴んで、ギルド証を見せる

「……ひっ!」
ギルド証を見た兵士は腰を抜かして、尻餅をつきそのままズルズルと後退りしていく。

周りの兵士はそれを見て、僕を囲んだまま動きが止まる。

「そこの君、そう。あの伯爵にも見せてあげてよ」
僕は兵士の1人を近くに来るように手招きする

「え、あ、はい」
呼ばれた兵士は槍を構えたままゆっくりと警戒したまま近づいてくる。

「はい、これをそこの伯爵に見せてね。知らなかったんだから今回だけは見逃してあげるよ」
僕は警戒する兵士にギルド証を無理矢理渡す。
ギルド証を見た兵士は動揺して槍を落とす。

「はい」
僕は槍を拾って兵士に渡す

「す、すみませんでした」
兵士は真っ青な顔で謝る。

「今回だけは見逃すって言ったよね?許してあげるから伯爵に渡して来てね」

「は、はい」
兵士はダッシュで伯爵の元まで行き、ギルド証を伯爵に渡す

「え、Sランク冒険者……」
伯爵はギルド証を見て驚く。

「僕と敵対しない方がいいことはわかるよね?」

「い、いや、しかし……Sランクの冒険者は把握しておりますが、あなた様のような方は存じておりません。いえ、疑っていると言うわけではないのですが……」
否定しつつも、話し方が明らかに変わった。
ギルド証は魔道具だ。簡単には偽造できない事を理解しているのだろう。

「訳あって王国には僕の情報が流れないようにしてもらっていました。僕の顔に見覚えはありませんか?」

「……まさか。いや、しかし。あの者は処刑されたはずだ」
確信はないようだけど、気づきはしたようだ。

「自分を死んだ事にするくらい簡単に出来るんですよ。まあ、これでSランクということは信じてもらえたかな?信じられないなら、信じてもらう為に城を破壊でもしましょうか?それか信じてくれる人が出てくるまで倒していけばいいですかね?」

「やめてくれ。いや、やめてください。それでは今回の騒ぎもあなた様が?」

「そうだよ。召喚した異世界人がいなくなったんだよね?」

「はい、その通りです」

「今この城にいる中で1番権力があるのは君でいいのかな?」

「は、はい。その通りです」

「数日もすれば、王国が戦に負けたと知らせが届くだろう。それまで異世界人に危害を加えないと約束してもらう。今は隠れてもらっているから探すのをやめるだけでいい。いいね?」

「し、しかし……」

「数日もすれば僕の言っていることが真実だったとわかるよ。それまで探す手を止めればいいだけ。僕の言っていることが嘘だったら再開すればいい。それとも僕と敵対する?Sランクであることは信じているから対応を変えたんだよね?」

「わ、わかりました。おい、今すぐ召喚者捜索の手を止めるように城中に言ってこい!これは命令だ」
伯爵が兵士に指示を出す。
兵士達は慌てて部屋から出て行く

「これでよろしいですか?」

「うん、話を聞いてくれてよかったよ。無駄に血を流さなくて済んだ。僕はこれで一旦出て行くけど、城の中には僕の協力者がいるからね。約束を違えたらすぐに制裁しにくるから気を付けてね」
僕は伯爵と話がついたので転移で篠塚君の所まで行く。
伯爵の目の前から消えたことで僕の言っていることの真実味が増しただろう。

「お待たせ。とりあえず、今この城で1番偉いらしい伯爵と話はついたから、捜索は一旦終わるはずだよ。それでも隠れてた方が安全ではあるから、あと1週間くらいはこのまま隠れていて欲しい。僕が王になったことがこの城にまで伝われば、出てきても問題ないからね」

「おう、ありがとな。この場所はうまく隠してあるから見つかることはないはずだけど、上でバタバタしていればみんな不安がるから助かるよ」

「僕は戻るけど、捜索が再開されるようなら念話で教えて。すぐに来るから」

「おう」

僕はそれから食料庫に行き、城で生活している者がギリギリ困らないくらいの食材を残して収納へと入れる。

これで王城で今やることは終わったので、ミア達の所へと転移で戻る。

委員長は既に戻ってきていた。先生もいる。

「遅かったけど、何かあった?」
ミアに聞かれる

「特に問題はなかったよ。王城にいる人は、まだ負けて領土を全て失った事を知らないから、時間が掛かっただけだよ」

「そっか。何もなくて良かったよ」

「うん、それじゃあ行こっか」
僕は馬車に乗り込む

何故か先生も馬車に乗った

「先生、この馬車は逆方向ですよ?」
僕は先生に教える。先生はフィル達と帰る予定のはずだ

「私も行く事にしたわ。残してきた生徒が心配だから……」

「そうなんですね。わかりました」
さっきミアに叱られたばかりなので、ちゃんと学習して何も言わない事にする。

「……あれ?そうなると坂原さん達はどうするんですか?」
何も言わないようにと思ったけど、気になった。

「フィルちゃんにお願いしたから大丈夫よ。それに街まで行けば姫野さんも小山君もいるからね」
フィルが了承しているなら別にいいか。

「それなら心配いりませんね。夜間で大変だとは思いますけど、王城までお願いします」
僕は御者の方に馬車を出してもらう。

夜間で危ないので、スピードは落としてもらって光魔法で辺りを照らしながら進む。

光魔法は委員長も使えたので3人で順番に使う。
先生も代わると言ったけど、杖の能力だけで魔法を使うには、先生のステータスでは厳しかったので諦めてもらった。
使えることは使えるけど、消費魔力が多すぎたからだ。

順調に進み、予定通り馬車は朝になる前に最初の村に到着した。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...