クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫

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獣人編

逃亡者、権力を使う

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翌日の昼頃、屋敷に商業ギルドのマスターと幹部と思われる男2人がやってきた。
サラさんが応接室に案内する

応接室にはフィルを真ん中にクルトと僕が座っている。
対面にサラさんが3人を案内して座らせる

「サラさん、お茶を人数分お願い」

「かしこまりました」
サラさんはお辞儀をして出ていく

しばらくしてサラさんがお茶とお茶請けを持ってくる

「ありがとう」
サラさんは部屋から出て行く

「私が[ハイトミア]のリーダーのフィルです。私に何か話があるとのことでしたがなんでしょうか?」
フィルが問いかける

「私はハリメドだ。代表は君じゃないのかね?」
ハリメドは僕に向かって聞いてくる

「…」

「代表は私です」
僕が黙っているとフィルが代わりに答えた。

「聞いてはいたが、なんの冗談かね?」
変わらずハリメドは僕に話しかける

僕はハリメドを睨みつける。殺気を飛ばしたといっても過言ではない

ハリメドは気絶してしまった
しまった。やりすぎた

「そちらの代表が急に倒れましたけど大丈夫なんですか?」
僕は何食わぬ顔で残りの2人に確認する

「……起こしますので少し時間を下さい」

2人はハリメドを揺すったり叩いたりして起こす

「大丈夫ですか?急に倒れられましたが」
目を覚ましたハリメドに僕は話しかける

「…っ!大丈夫だ」

「それで要件はなんですか?」
フィルが再度確認する

「ダンジョンの件ですよ」
ハリメドは懲りずに僕に話しかける

「……いい加減にしろよ。代表はフィルとだって言ってるだろ。それとも個人的に僕に用があるのか?」

ハリメドはまた気絶した

「そっちでよく話し合ってから、この部屋に入ってこい。隣の部屋を貸してやる」

僕は残った2人に言って応接室から追い出す

「ゴメンね、こんなつもりはなかったんだけど」
僕はフィルとクルトに謝る

「いえ、大丈夫です」
「あれは向こうが失礼を働いているのでハイトくんは悪くありませんよ」

「ありがとう。次入ってきた時に僕に用があるのかフィルに用があるのか聞くから。僕に用があるようだったら僕が1人で対応するから待ってて欲しい」

「……わかったよ。何をするつもりか聞いてもいいかな?」

「フィルと話したくなるように交渉するだけだよ」

「そんな悪い顔をして言わないで下さいよ」

しばらくして3人が応接室に戻ってきた

「ハリメドさん、何度も倒れられて大丈夫ですか?それでさっきの続きですが用があるのはフィルですか?それとも僕にですか?」

「用があるのは獣人のガキじゃない」
2人が止めるがハリメドは言い切った

残念だ
「そうみたいだからフィルとクルトは出ててもらえるかな」

「やりすぎないでくださいね」
クルトはそう言って出て行こうとする

「私はここにいます。その責任がありますので」
フィルは残ると言う。あまり見られたくないんだけどな

「なら僕も残りますよ」

「わかったよ」
結局クルトも残るようだ

「それで僕に用件は何でしょうか?」
ハリメドに聞く

「ダンジョンの件だ」

「ダンジョンがどうされましたか?」

「とぼけるな、転移陣の件だ。商業ギルド所属の探索者には使わせないのは何故だ?」

「何を言ってるかわかりませんね」

「お前がやらせてるんだろ?」

「先程も言いましたがそちらの件の代表はフィルです。その件で来られたならお帰りください」

「それて帰れるわけないだろう」

「……少し席を外します」
僕は部屋から出てある事をしてから部屋に戻る

部屋の中は無言で包まれていた

「お待たせしました、それでフィルと話す気にはなりましたか?」

「何を言ってるんだ。獣人と話すことなんかない」

「それでは、フィルと話したくなるまで待つとしましょう。……ちなみになんでそんなに獣人を嫌うんですか?」

「……私の両親は獣人によって殺された。金品を盗む為にだ」

「そんなことが……でもそれはフィルではないですよね?人間の盗賊だっていますし」
気持ちはわからなくはないけど、関係ない獣人まで虐げるのは違う

「お前にわたしの気持ちがわかるものか」

「僕も盗賊に襲われたことがあります。殺されそうになりましたよ。人間の盗賊でしたけど。ハリメドさんの言い分だと僕は無関係の人間まで滅ぼしても良さそうですね」

「……そんなわけないだろう」

「なにが違うんですか?」

「私達は人間だ。何故獣人と同じにされないといけない」

「僕をそんな小さい枠組みに入れないで欲しい。人間だろうと、獣人だろうと、魔族だって、言葉が通じる以上は、当人が善なのか悪なのかで動きたいですね」

屋敷の外が騒がしくなる

「ハイト様、ハリメド様に用があると言う方がお見えです」

「通していいよ」

男性が応接室に入ってくる

「なんだ、今は忙しいのがわからんのか?」

「それは承知しています。ハリメド様の屋敷が何者かに破壊されました。幸い怪我人はいませんが屋敷は全壊です」

「なんだと!」

「なんか大変みたいですね。今日は帰った方がいいんじゃないですか?あぁ、帰る家がなくなったんでしたね」

「貴様がやったのか!」

「だとしたらどうするんですか?衛兵にでも突き出しますか?」
もちろんやったのは僕だ

「そうしてやる」

「そうですか、サラさーん、ちょっといいかな?」
僕は部屋の外で待機しているサラさんを呼ぶ

「何用でしょうか?」

「僕を捕まえるみたいだから衛兵さんを呼んでもらえるかな」

「かしこまりました」
サラさんは衛兵を呼びに行った

「何を考えている」
ハリメドが聞いてくる

「いや、衛兵さんに僕を捕まえるか決めてもらおうと思いましてね。僕も最近知ったんですがSランクになると大体の罪は許されるらしいですよ」

「ぐぬぬ」
わかりやすく悔しがっている

しばらくして衛兵がやってきた

「来たみたいですよ」

「ハイト様、どうされましたか?」

「そこのハリメドさんが僕を捕まえるって言うからね。呼んだんだよ」

「よくわかりませんが、何をしたのでしょうか?」

「さあ、それはハリメドさんに聞いてよ」
僕はハリメドに話を振る

「私の勘違いだ。来てもらったのにすまなかった」
ハリメドは悔しそうにそう言った

「いいんですか?」

「かまわん」

「そうゆうことみたいです。よく確認せずに呼んですいませんでした」

「いえ、またいつでも呼んで下さい」

「ありがとう、サラさんよろしく」

「かしこまりました」

サラさんが衛兵に手土産を持たせる

「それで、ダンジョンの件でしたよね?フィルと話す気になりましたか?」

「ぐぬぬ」
幹部らしき2人はフィルと話すようにハリメドに言うが、ハリメドは認めようとしない

「まだダメですか、残念です。また席を外させてもらいます」

「ちょっと待て…」

僕はハリメドを無視して部屋から出る。そしてまたある事をして部屋に戻ってくる

「お待たせしました」

「なにか外で大きな音がしていたが今度は何をした?」
2度目だし何かしたのは流石にわかるらしい

「いえ、私は何もしてませんよ。あー、これは独り言ですが、誰かのせいで何十人もの人が路頭に迷うみたいですよ」

「貴様、まさか……」

「サラさーん」

「何用でしょうか?」

「誰か来る気がするんだ。来たらそのまま通していいからね」

「かしこまりました」

応接室は異様な空気に包まれる

「ハイトさん、何をしたんですか?」
フィルに聞かれる

「僕は何もしてないからわからないけど、もしかしたらまたハリメドさんの大事なものが壊れたのかもね」

「ハイト様、商業ギルドの方が来られました」
サラさんがそう言って男性を中に入れた

この人さっき見たな…
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