クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫

文字の大きさ
上 下
19 / 147
王国 処刑編

逃亡者、なりすます

しおりを挟む
僕の首が飛ぶ。
「うっぷ。気持ち悪いな。やっぱり見なければよかったかな。でも見ないといけないよな…」

僕はその光景を見ながら吐きそうになる。助かるためとはいえ、罪悪感に呑まれそうになる。

なんで僕が生きているのか、時は地下牢に閉じ込められた所まで遡る。


思ったより表立った実力行使に出るのが早かったな…
国王の隣にいた高村がやっぱり気になるな。僕を売ったか?もしそうなら流石に許せないな。

さてどうするか。

「僕を捕まえてどうするつもりですか?」
僕は見張りの兵士に声を掛ける。

「国王様を怒らせたんだ。死刑に決まってるだろ。」
ハハハと笑いながら言われる。

やっぱりか。予定より早いけど、この国から逃げることにするか。ただ、どうやって逃げたもんか…

実は見張りの兵士を見るのはこれで2回目だ。
鑑定をした結果、ミア(人形)を殺した男だ。名前はロンド。職業は[暗殺者]でステータスは平均40前後。ATKとSPDが高いな。僕のステータスの大体4倍くらいか。
流石にLUKは僕の方が圧倒的に高いけど…かなり手強いな。ラッキーだったのはスキルが[状態異常付与]だったことだ。僕に状態異常攻撃は効かない。

まともに戦っても勝てないよな。僕、戦闘に関しては素人だし、攻撃スキルももってない。何より牢屋に入ってるし…。

使いたくなかったけどあれを使うか…。
僕はスキル[逃走]を使用する。意味があるかわからないけど牢屋から逃げる事を強く意識する。気づいたら城の外とかだったら困るから。

気づいたら僕は牢屋の外にいた。よし!成功だ。しかもロンドも倒れている。最高の結果が得られたな。多分逃げる過程で気絶させたんだろう。どうやったかは不明だけど。

僕はこの結果を得て次の一手をとる。

まずは脱獄しても捕まらないように偽装スキルで変装する。
そして倒れているロンドに偽装を掛ける。そしてロンドを牢屋の中に縛って寝かせる。

しばらくしてロンドが目を覚ました。

「えらく熟睡してましたね?」
僕はロンドに声を掛ける。

ロンドは僕をみて驚愕する。
「お前は誰だ?なんで俺の顔をしている?」

「分かりませんか?あなたですよ。今日からね…」
僕は自分の顔をロンドの顔に偽装していた。格好も兵士だ。
「ふざけるな!」
ロンドは激昂する

僕はロンドに鏡を見せる
「あなたは影宮くんですよ。よく見てください。」
ロンドは顔をペタペタと触る。
「えっ?なんだこれ、俺に何をした?」
ロンドは困惑している。

「あなたと僕の体を交換しました。あー、確かこの後影宮くんは死刑になるんでしたね」
ハハハと僕はやられたように笑いながら答える。
やった後、テンションが下がった。うん、やめよう。

「あなたに聞きたいことがあるんです?教えてくれますか?」

「…なんだ?」

「昨日ミア…メイドの子を殺しましたよね?誰の命令ですか?」
僕は一応確認する。国王か宰相だろう。

「なんのことかわからないな」
ロンドは知らないふりをする。

「そうですか。ちなみに昨日僕は現場にいたんですよ。ロンドさん。」

「…っ!なんで俺の名前を知っている!?仲間にも本当の名前は言ってないんだぞ!」

「そうでしたか。僕のスキルであなたの名前はわかりましたよ。昨日ミアを刺したのもロンドって人でしたね。他にも何人も殺してきたんですか?」
ロンドは目を伏せて何も答えない。

僕は覚悟が決まる。
「答えないなら結構です。あなたを許す気はありませんし……それではさよなら」

僕は近くにあった棒でロンドを叩き気絶させる。
声を出せないように口に布を噛ませておいた。

しばらくして他の兵士が「影宮灰人の処刑が決まった。連れて行け」と指示がでる。その際なんで縛られているのか聞かれたので、「暴れたので黙らせた」と答えておいた。

僕は足の紐をほどきロンドを処刑台に引っ張っていく。

処刑人にロンドを引き渡す際に、口の布は取られる。

僕はマズイ!と思ったがロンドは命乞いはするが入れ替わりがバレることは言わなかった。

そして、刑が実行された。

こんな奴は死んで当然と心の中では折り合いがついていたと思っていたんだけどな。
心の中では色々な感情が渦巻いていた
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

処理中です...