クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される

こたろう文庫

文字の大きさ
上 下
11 / 147
地球編

逃亡者、女神と交渉する

しおりを挟む
「…あなたが異世界に行くのであれば許しましょう」

もう、行くしかないよな…

「わかりました、異世界に行きます」

女神様はパァっと満面の笑みになる

「行ってくれる気になって私は嬉しいです。これで殴られた甲斐があったと言うものです」

結構根に持ってるな…

「ただ、行く前に相談したい事があります」

この女神様は今まで話した限り悪い方ではないと思う。
僕は異世界に行く上で妥協点は模索していた。…短い間だったけど考える時間があって少し変わったけど…

「いいわ、言ってみなさい」

「ありがとうございます。僕の存在を消さずに異世界に送ってもらう事は出来ませんか?僕1人くらいなら行方不明になっても、そこまで大事にはならないんじゃないでしょうか?」

「そうね、全部は無理でもあなたの家族から忘れられないくらいにならしてあげてもいいわ。それ以上は無理よ。あなたの家族に息子がいなかった事になる事を伝えた上で家族の記憶だけ残すの。あなたの家族が外で息子の話をすると頭のイカれた残念な感じになるわ」

少し違ったが概ね希望通りだ。家族以外に忘れられる分は諦めよう。

「他のクラスメイトも同じようにする事は出来ませんか?」

これが考えが変わった所。クラスメイトのことあんまり好きじゃなかったけど流石に存在ごと忘れられるのは可哀想だと思った。

「それは無理よ。あなたとは状況が違うわ。親の立場で考えてみて。今も子供がいきなり居なくなって心配してるの。そこにあなたの子供の存在は世間から消えて無くなるなんて伝えたら今以上のパニックになる」

やはりそう簡単ではないようだ。

「そうですか。異世界から地球に戻ってくる事は可能ですか?」

「難しいでしょうね。過去にあちらの世界から地球に人が転移してきたことは私の知る限りないわ。」

女神様は「ただ、」っと続ける。

「不可能と決まってるわけではないわ。私も自由とはいかないけど、決められた順序を踏めばあちらの世界と行き来できるわけだし。」

可能性が0でないとしれただけで御の字だ。

「可能性があるとしれただけ良かったです」

それならと

「クラスメイト達の存在を家族からだけでも、消すのではなく、どこかに保管しとく事は出来ないですか?もしクラスメイトが地球に戻る事があればその時に戻してあげて欲しいんです。」

女神様は「うーん」と考えたあと、

「最高神様のお力を借りることが出来れば可能性はあると思うわ」

「よろしくお願いします!」

僕は頭を下げる

「聞いてみるからちょっと待っててね」

僕が頷くと女神様の姿が消えた。


しばらく待ってると女神様が戻ってきた。

「どうでしたか?」

「最高神様のご協力を得られたわ」

僕はグッと手に力がはいる。やった!

「ありがとうございます!」

僕はお礼をする

「他にはない?」

「ありがとうございました。もう大丈夫です。異世界に行く前に家族と話をする時間をもらってもいいですか?」

「えぇ、もちろんよ。ただ、あまり時間は取れないの。夕方の17時には迎えに行くからそれまでに準備しておいて」

「わかりました」


家に帰ってきた僕は両親に話をする。
ファミレスから出た後、お父さんに大事な話があるから家にすぐに帰ってきて欲しいと連絡しておいたおかげで2人共揃っている。

「大事な…話があるんだ。夕方…になったら僕は異世界に行かないといけなくなったんだ。もう…会えなくなる」

僕は泣きながら話をする

「どうゆうことなの?昨日は自分だけ逃げたって言ってたじゃない?母さん不謹慎かもだけど灰人が連れていかずに残ってくれて嬉しかったのよ」

「朝、家に女性が来たのは…覚えてないんだよね?」

「さっき電話でも言ってたけど知らないわよ」

やっぱり忘れてるみたいだ

「朝に女神様が僕に会いに来たんだ。お母さんも会ってるんだけど女神様の力で忘れてるみたい…。それで、昨日僕が転移陣から逃げたのが原因で今問題が発生してて、僕も異世界に行かないと問題が解決しないんだって」

「女神様?よくわからないんだけど…どうしてもいかないといけないの?」

「うん。昨日の事ニュースで行方不明者多数ってやってるでしょ?」

両親は頷く

「本当は事件にならないはずだったんだって。神様の力で元々僕達はいなかった事になる予定だったけど、僕が転移から逃げたからそれが出来なくなった…

僕が地球にいると出来ないから、僕が異世界に行った後、神様がもう一度力を使って存在を消すんだって。」

「そんな…じゃあ異世界に行ったら私達は灰人の事忘れちゃうんでしょ…。そんなの嫌よ!」

僕はお母さんの言葉に嬉しくなる。

「本当はそうなんだけど、女神様にお願いして両親の記憶だけは残してもらう事になったよ。他の人からは忘れられちゃうけど…」

「そうなの?」

「うん。だから外で僕の話をしないように気をつけてね」

一応注意しておく。

「それに、僕は異世界に行ってもいつか地球に戻ってくるつもりだよ。なんとしても」

お母さんは泣きだしてしまった。

「嫌よ、離れ離れになるなんて、私は反対よ!なにかやれる事があるはずよ!なにか…なにかあるは「もう決めたのだろう?」」

お父さんが真剣な顔で聞いてくる。

「うん。もう決心はついたよ」

「そうか。頑張ってこい!」

お父さんが応援してくれる。

「お母さん……行ってくるね」

「頑張って…くるのよ」

「うん。ありがとう……絶対帰ってくるから」

僕は決意を固くする


ピンポーン!
チャイムが鳴る

玄関には女神様が立っていた。

時計を見ると17時10分になるところだった。

「気を使ってもらってありがとうございます。」

「いいのよ。最後の別れになるんだもの、これくらい」

やっぱりこの女神様は優しい方だった。

「最後ではありません。僕は地球に帰ってきますから」

僕は女神様に宣言する

「叶う事を願っています」

「ありがとうございます」


「私はアステリナ、地球の女神です。息子さんにはツラい選択をさせてしまい申し訳ありません。」

女神様が両親に挨拶する。

「め…女神様?」

両親は困惑している

「はい、女神です。別れは済みましたか?」

「はい。色々としていただいたみたいてありがとうございます。納得は出来ていませんが、息子をよろしくお願いします。」

お母さんが頭を下げる

「では行きましょうか」

「はい。……お母さん、お父さん、行ってきます!」

僕はこうして異世界に旅立った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

おっさんなのに異世界召喚されたらしいので適当に生きてみることにした

高鉢 健太
ファンタジー
 ふと気づけば見知らぬ石造りの建物の中に居た。どうやら召喚によって異世界転移させられたらしかった。  ラノベでよくある展開に、俺は呆れたね。  もし、あと20年早ければ喜んだかもしれん。だが、アラフォーだぞ?こんなおっさんを召喚させて何をやらせる気だ。  とは思ったが、召喚した連中は俺に生贄の美少女を差し出してくれるらしいじゃないか、その役得を存分に味わいながら異世界の冒険を楽しんでやろう!

社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します

湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。  そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。  しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。  そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。  この死亡は神様の手違いによるものだった!?  神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。  せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!! ※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

異世界に転移したからモンスターと気ままに暮らします

ねこねこ大好き
ファンタジー
新庄麗夜は身長160cmと小柄な高校生、クラスメイトから酷いいじめを受けている。 彼は修学旅行の時、突然クラスメイト全員と異世界へ召喚される。 転移した先で王に開口一番、魔軍と戦い人類を救ってくれとお願いされる。 召喚された勇者は強力なギフト(ユニークスキル)を持っているから大丈夫とのこと。 言葉通り、クラスメイトは、獲得経験値×10万や魔力無限、レベル100から、無限製造スキルなど チートが山盛りだった。 対して麗夜のユニークスキルはただ一つ、「モンスターと会話できる」 それ以外はステータス補正も無い最弱状態。 クラスメイトには笑われ、王からも役立たずと見なされ追放されてしまう。 酷いものだと思いながら日銭を稼ごうとモンスターを狩ろうとする。 「ことばわかる?」 言葉の分かるスキルにより、麗夜とモンスターは一瞬で意気投合する。 「モンスターのほうが優しいし、こうなったらモンスターと一緒に暮らそう! どうせ役立たずだし!」 そうして麗夜はモンスターたちと気ままな生活を送る。 それが成長チートや生産チート、魔力チートなどあらゆるチートも凌駕するチートかも分からずに。 これはモンスターと会話できる。そんなチートを得た少年の気ままな日常である。 ------------------------------ 第12回ファンタジー小説大賞に応募しております! よろしければ投票ボタンを押していただけると嬉しいです! →結果は8位! 最終選考まで進めました!  皆さま応援ありがとうございます!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

異世界召喚?やっと社畜から抜け出せる!

アルテミス
ファンタジー
第13回ファンタジー大賞に応募しました。応援してもらえると嬉しいです。 ->最終選考まで残ったようですが、奨励賞止まりだったようです。応援ありがとうございました! ーーーー ヤンキーが勇者として召喚された。 社畜歴十五年のベテラン社畜の俺は、世界に巻き込まれてしまう。 巻き込まれたので女神様の加護はないし、チートもらった訳でもない。幸い召喚の担当をした公爵様が俺の生活の面倒を見てくれるらしいけどね。 そんな俺が異世界で女神様と崇められている”下級神”より上位の"創造神"から加護を与えられる話。 ほのぼのライフを目指してます。 設定も決めずに書き始めたのでブレブレです。気楽〜に読んでください。 6/20-22HOT1位、ファンタジー1位頂きました。有難うございます。

【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!

まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。 そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。 その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する! 底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる! 第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

処理中です...