イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫

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試験

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翌日、カムイから大事な話があると言われる。

「とりあえずお前も座れ。それで、話とはなんだ?昨日の件なら急いで決めなくていいぞ」
カムイを対面に座らせて、コーヒーを飲みながら聞く。

「昨日の件です。悩んでも答えが変わることはないので話させてください」

「意思が固まってるなら構わない。それでどうすることにしたんだ?」

「俺には家族と縁を切ることは出来ません。昨日帰ってからよく考えて、親父がアイスドラゴンと戦わなかった気持ちが少しわかりました」

「そうか。ある程度の力しか手に入らないがその答えでいいんだな?アイスドラゴンには勝てるようになるだろうが、王都を襲ったような魔物からは逃げるしかない。その程度の力でいいんだな?」

「力が欲しくないわけではありませんが、家族と別れてまで手に入れるものではないと気付きました」

「家族に別れを言うつもりがないことはわかった。莫大な力を求めていることに変わりはあるか?」

「優先順位を決めただけです。なれるなら師匠のような圧倒的な強さが欲しい」
ギラついた目はそのままか。

「お前に2つ試験を与える。受けるかどうかはお前が決めろ。もし試験をクリアしたなら、本格的に力をつけてやる。但し失敗したら破門だ。お前に掛けている限界まで魔法を使い続けられる魔法も解く。大人しく学院に帰れ。受けないなら今まで通りの扱いで我慢しろ」

「試験とは何をするのですか?」

「受けると決めてから教える。但し、不可能なことを課すつもりはないと約束する」
この試験にはこいつの覚悟を試すという意味も込められている。

「受けます!何をすればいいのか教えて下さい」

「即答か……。危ういが悪くはない。まず一つ目、俺をセレイユの前まで連れて行け。期限は3日だ。やり方は問わない。もう一つはアイスドラゴンを倒してこい。期限は一つ目も含めて10日だ。戦闘において他の力を借りることは許さない。お前1人の力で倒して首をここに持ってこい」

「セレイユというのは、セレイユ皇帝陛下のことですか?」

「そうだ。謁見という形でも、襲撃してでも構わない。俺が普通に歩くだけでセレイユの前に辿り着けば一つ目はクリアとする?」

「わかりました」
 カムイが小屋を出ていく。

「さて、魔術の訓練をしながらカムイの様子を見るか」
 俺は目の前の壁をスクリーンにしてカムイの様子を映し出す。

「カムイさんに可能なんですか?」
話を聞いていたルイナに心配そうに聞かれる。

「大分厳しいが無理ではないはずだ。まあ、一つ目の試験に関してはあいつ次第でどうにでもなる。問題は二つ目だが、冷静に対処出来れば勝てるだろう」
ルイナと話しながらカムイを見ていると、カムイは真っ直ぐに学院へと向かった。そして訓練中だということを無視してスレッドの前に行く。

「授業を休んで今まで何してたんだい?」
スレッドが学院再開後登校していなかったカムイに何をしていたのか聞く。

「頼みがある。セレイユ皇帝陛下に会わせてほしい。このとおりだ」
カムイは膝をつきスレッドに頭を下げる。

「目的のために恥を捨てたか。悪くない選択だな」
俺はカムイの行動に感心する。

「無理に決まっているだろう。理由を聞くからとりあえず立ってくれないか?」
周りから注目を浴びていることに気を遣ったスレッドがカムイの腕を持ち立ち上がらせようとする。

「理由は言えない。このとおりだ。頼む」
カムイは立ち上がることを拒否して再度頭を下げる。

「何に困っているのか知らないけど、理由を言えないならセレイユ姉さんに会わせることは出来ない。諦めて欲しい」

「……わかった」
カムイは立ち上がり訓練場を後にする。

「カムイさんは大丈夫でしょうか?」
ルイナが心配そうにスクリーンを眺める。

「あいつがとれる一番穏便なやり方がダメになっただけだ。いつまでも眺めていないで訓練を再開するぞ」

「わかりました」
ルイナには訓練を再開させて、俺はカムイの様子を見る。

カムイは学院を出た後、変装して城に向かう。
そして……

「侵入者だ!!」
城壁を破壊して城に侵入したカムイは兵士から身を隠し、時に戦いながら皇帝を探す。

「止まれ!」
セレイユを見つけたカムイは、セレイユを守っていた近衛兵に囲まれる。
分が悪いと思っていると、カムイがセレイユに向かって火球を放つ。当たれば消し炭になるのではないかという程に大きな火球だ。
カムイの凶行に近衛兵はセレイユを守るために動かざるを得ず、その隙をつかれてカムイに倒される。

「セレイユ皇帝陛下に会っていただきたい方がいます。これ以上手荒な真似はしたくありませんのでついて来てもらえますか?」

「お断りします」

「そうですか。残念です」
カムイはセレイユの腹を殴り気絶させて担ぎ、床と壁を壊して最短距離で外に出る。

「ルイナ。もうすぐセレイユがここに来る。お前は隠れてろ」

「わかりました」

俺はルイナに隠れるように言ってから、訓練用の部屋から出てソファに座る。


しばらくしてセレイユが目隠しをされ、縛られた状態でカムイに連れてこられる。

「解いてやれ」

「はい」
カムイがセレイユの拘束を解く。

「……どこですかここは?私をどうするつもりですか?」
セレイユが周りを見てから聞く。皇帝として教育されているからか動揺している様子は見られない。

「ここは俺の家だ。弟子の試験にちょうどよかっただけだ。帰っていい」

「ふざけているのですか?皇帝の私を拐ってそれで許されると思っているのですか?」
セレイユは強気な発言をする。

「別にお前らの許しなんていらない。俺を捕まえたくなったらいつでも来ればいい。命の保証はしないが遊んでやる。お前に何かやらせたい時はルフを向かわせるからそれまでは好きにしてろ。皇帝がお帰りだ。森の外まで案内してやれ」
ルフの名前を出したから、スキル屋の関係者だと言うことは伝わっただろう。カムイの試験にちょうどいいと思っただけで本当にこれ以上の用はないのでカムイに連れて行かせる。


「さて、一つ目の試験は合格だ。アイスドラゴンを討伐してこい」
カムイがセレイユを送り、戻ってきたところで一つ目の試験の合格を言い渡す。

「ありがとうございます。行って来ます」

「準備は怠るなよ」

「はい」
カムイがリュックに食料やテントなど各種必要な物を詰め込んで出発する。

「カムイさんはアイスドラゴンに勝てますか?」
ルイナに聞かれる。

「負けるだろうな。死ぬかもしれない」
カムイの能力的には勝てるかもしれないが、あいつには圧倒的に経験が足りない。その経験不足を埋めるだけの何かがなければ負けるだろう。そして、雪山の中で負けるということは死ぬと同義だ。

「そんな!お師匠様はカムイさんが邪魔だから行かせたんですか?」

「人聞きの悪いことを言うな。死んだなら生き返らせて学院に送り届けてやる。さっきの試験でカムイの覚悟は見た。後は格上を相手にどう戦うのか確認するだけだ」
仮にカムイがアイスドラゴンを倒せた場合、ガキの頃からの目標を達したことになる。その上で何のために力を求めるのかも知りたいところだ。
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