174 / 201
薬
しおりを挟む
コレットさんの叔父さんがやっているという酒場に入る。
「なんでも好きなものを注文してくださいね」
「ご馳走になります」
「いただきます」
酒場ではあるけど、お酒とおつまみ以外の食事メニューもあったので、レッドボアの煮込みという料理を僕は食べることにする。
「さっきのお姉ちゃんの説明だと、コレットさんのお母さんをなんでお姉ちゃんが助けることになったのかわからなかったんですが、聞いてもいいですか?」
お姉ちゃんの説明ではよくわからなかったので、コレットさんのお母さんに詳細を訊ねる。
「いいわよ。今から1年半前くらいに護衛の依頼で王都に向かっていたの。あと少しで王都に着くという時に、私達が対処しきれない魔物と遭遇してしまって、なんとか護衛対象を護りながら逃げることは出来たのだけど、私は爪で切り裂かれて大怪我を負って気を失ってしまった。王都の治療所がどこにあるのか知らないパーティメンバーは、冒険者ギルドに私を運んで、治療所に先生を呼びに行ってもらいながら、その場にいた冒険者に私の治療を頼んだけど、私の傷は酷くて助かりそうになかった。そんな私を治療してくれたのがエレナちゃんだったって話よ。気を失っていたから、私も聞いた話だけどね」
「助かってよかったです。でも、お姉ちゃんに何かきっかけを与えたようなことはなかったように聞こえますけど……」
「私が自分の力を自覚してから初めて回復魔法を使ったのがこの人だったってだけよ。助けて欲しいって声が聞こえて、その時に、昔お母さんが神父様に私の治療をして欲しいと頼んでいたことを思い出したの。この力を神父様のように誰かの為に使おうって、そう思った時だからよく覚えているだけ」
お姉ちゃんが答える。
「なんだか不思議な縁を感じるね」
「そうだね」
「お母さん。私、エレナさんと一緒に困っている人を助ける為に世界を回りたい。今すぐって話じゃなくて、お母さんとお父さんに心配させないように準備が出来たら、行くのを許して欲しい」
コレットさんが頼む。
コレットさんの家に向かう最中に、お姉ちゃんがコレットさんに将来、食べる物に困っている村を中心に世界を回る計画をしているという話をしていた。
その時コレットさんは何も言っていなかったけど、一緒に行きたいようだ。
「エレナちゃんは、娘が同行することを迷惑とは思っていませんか?正直に言ってください」
「迷惑どころか、一緒に来てくれるなら嬉しいです。ただ、私もお父さんからまだ反対されています。私は村や街を回って、食べるものがない人、治療するお金がない人に無償で援助するつもりでいるからです。今は、その方達からお金を頂かなくてもいいように色々と準備を進めている最中ですが、難しいことをやろうとしているのはわかってます。私と一緒に行くことで、コレットさんが不幸になってしまうかもしれません。私が心配しているのはそれだけです」
「それが本当にコレットのやりたいことなら、お母さんは応援してもいいわよ。でも、ゆっくりと冷静に考えて決めて欲しい。お父さんもコレットが本当にそれがやりたいのだと分かれば応援してくれるはずよ。前は、王都に行ったところでエレナちゃんに会えるかどうかもわからないのに、漠然としたまま行きたいと言っていたから反対されたの。あれだとお母さんも応援出来ないわ」
「うん。ちゃんと考える」
食事も食べ終わり、コレットさん達とは別れる。
「お姉ちゃんはスキル屋から何かスキルを買ったの?」
学院長の屋敷へと帰る最中、気になっていたことを聞く。
「食べ物を生み出すようなスキルが欲しいと言ったわ。エルクのスキルみたいなやつを期待してね。でも、そういったスキルは無いからと薬学というスキルを与えられたわ。このスキルがあると抽出・調薬・防腐の3つのことも出来るって言ってた」
お姉ちゃんも僕と一緒でスキル屋が選んだスキルを買わされたようだ。
「いいスキルを貰ってよかったね」
でも、お姉ちゃんのやりたい事を考えると、食べ物を生み出すスキルよりもいいスキルだと思う。
治療所が必ずあるわけではない村では、食べ物があれば長く生きることが出来るというわけではない。
「エルクはこのスキルを何に使うのかわかるの?回復薬を作るようなスキルだと思ってたんだけど、設備を借りてやってみたら失敗したの。根本が違うような感覚はあるんだけど、何が違うのかわからないから、色々と試している所なの」
「回復薬を作るスキルだと僕も思うけど、お姉ちゃんが貰ったスキルはもっとお手軽に薬を作ることが出来るんじゃないかな。僕も詳しくは知らないけど、回復薬は錬金術師が長い時間を掛けて生成しているよね。だから、少し体調が悪いからって使えるほど安くない。それがそのスキルなら簡単に作れるのかもしれないね。僕の予想だけど、薬草とかから回復薬を作るのに必要な成分だけを抽出することが出来て、集めた成分を調薬することで回復薬が作れる。さらに、防腐処理をすることで長期の保管が可能になるから、近くに治療所や錬金術師がいない村でも必要な時に使うことが出来るかなって。もしそうなら、薬草とか必要なものはあるけど、お姉ちゃんに最適なスキルかもしれないなって僕は思うよ」
話を聞く限りでは薬剤師になれるスキルのように聞こえた。
お姉ちゃんには回復薬と言ったけど、風邪薬とか腹痛薬を作れるスキルかもしれない。
「……そうかもしれない。だからスキル屋の人は私の回復魔法についても助言していったのかな」
「何か言ってたの?」
「治癒魔法と回復魔法は同じようで、癒える工程に大きな違いがあるって。治癒魔法は怪我をした相手の自然治癒力を活性化させて怪我を癒す。回復魔法は術者の力で、正常な状態に戻るようにエネルギーを送っているって。だから、回復魔法は相手を選ばないって言ってたの」
「そうなんだ。あんまりよくわからないけど……」
工程が違うだけで、結局どっちも同じなんじゃないかなと思う。
「治癒魔法だと、治せる怪我に限界があるみたい。術師がどれだけ優秀だとしても、癒すのに使うエネルギーは怪我をした本人だから、体力が保たなければ助からない。でも、回復魔法は術師の魔力が無くならなければ、相手がどれだけ弱っていても癒すことが出来るってことみたい。スキル屋がなんでそんなことをその時に言ったのかわからなかったけど、エルクの話を聞いて、一つ可能性が浮かんだわ。もしかしたら回復魔法は人以外にも使えるのかもしれない。もし疲弊した土も回復出来るなら、薬草を大量に育てることが出来るわ。薬草だけじゃなくて、畑の収穫量も増えると思う」
「そうだといいね」
もしスキル屋がそんな思惑でお姉ちゃんに薬学のスキルを与えて、回復魔法について教えたというのなら、スキル屋はお姉ちゃんの夢を応援しているということかな。
「色々と試して確認してみる」
僕も同じスキルを創って、何が出来るか試してみよう。
「なんでも好きなものを注文してくださいね」
「ご馳走になります」
「いただきます」
酒場ではあるけど、お酒とおつまみ以外の食事メニューもあったので、レッドボアの煮込みという料理を僕は食べることにする。
「さっきのお姉ちゃんの説明だと、コレットさんのお母さんをなんでお姉ちゃんが助けることになったのかわからなかったんですが、聞いてもいいですか?」
お姉ちゃんの説明ではよくわからなかったので、コレットさんのお母さんに詳細を訊ねる。
「いいわよ。今から1年半前くらいに護衛の依頼で王都に向かっていたの。あと少しで王都に着くという時に、私達が対処しきれない魔物と遭遇してしまって、なんとか護衛対象を護りながら逃げることは出来たのだけど、私は爪で切り裂かれて大怪我を負って気を失ってしまった。王都の治療所がどこにあるのか知らないパーティメンバーは、冒険者ギルドに私を運んで、治療所に先生を呼びに行ってもらいながら、その場にいた冒険者に私の治療を頼んだけど、私の傷は酷くて助かりそうになかった。そんな私を治療してくれたのがエレナちゃんだったって話よ。気を失っていたから、私も聞いた話だけどね」
「助かってよかったです。でも、お姉ちゃんに何かきっかけを与えたようなことはなかったように聞こえますけど……」
「私が自分の力を自覚してから初めて回復魔法を使ったのがこの人だったってだけよ。助けて欲しいって声が聞こえて、その時に、昔お母さんが神父様に私の治療をして欲しいと頼んでいたことを思い出したの。この力を神父様のように誰かの為に使おうって、そう思った時だからよく覚えているだけ」
お姉ちゃんが答える。
「なんだか不思議な縁を感じるね」
「そうだね」
「お母さん。私、エレナさんと一緒に困っている人を助ける為に世界を回りたい。今すぐって話じゃなくて、お母さんとお父さんに心配させないように準備が出来たら、行くのを許して欲しい」
コレットさんが頼む。
コレットさんの家に向かう最中に、お姉ちゃんがコレットさんに将来、食べる物に困っている村を中心に世界を回る計画をしているという話をしていた。
その時コレットさんは何も言っていなかったけど、一緒に行きたいようだ。
「エレナちゃんは、娘が同行することを迷惑とは思っていませんか?正直に言ってください」
「迷惑どころか、一緒に来てくれるなら嬉しいです。ただ、私もお父さんからまだ反対されています。私は村や街を回って、食べるものがない人、治療するお金がない人に無償で援助するつもりでいるからです。今は、その方達からお金を頂かなくてもいいように色々と準備を進めている最中ですが、難しいことをやろうとしているのはわかってます。私と一緒に行くことで、コレットさんが不幸になってしまうかもしれません。私が心配しているのはそれだけです」
「それが本当にコレットのやりたいことなら、お母さんは応援してもいいわよ。でも、ゆっくりと冷静に考えて決めて欲しい。お父さんもコレットが本当にそれがやりたいのだと分かれば応援してくれるはずよ。前は、王都に行ったところでエレナちゃんに会えるかどうかもわからないのに、漠然としたまま行きたいと言っていたから反対されたの。あれだとお母さんも応援出来ないわ」
「うん。ちゃんと考える」
食事も食べ終わり、コレットさん達とは別れる。
「お姉ちゃんはスキル屋から何かスキルを買ったの?」
学院長の屋敷へと帰る最中、気になっていたことを聞く。
「食べ物を生み出すようなスキルが欲しいと言ったわ。エルクのスキルみたいなやつを期待してね。でも、そういったスキルは無いからと薬学というスキルを与えられたわ。このスキルがあると抽出・調薬・防腐の3つのことも出来るって言ってた」
お姉ちゃんも僕と一緒でスキル屋が選んだスキルを買わされたようだ。
「いいスキルを貰ってよかったね」
でも、お姉ちゃんのやりたい事を考えると、食べ物を生み出すスキルよりもいいスキルだと思う。
治療所が必ずあるわけではない村では、食べ物があれば長く生きることが出来るというわけではない。
「エルクはこのスキルを何に使うのかわかるの?回復薬を作るようなスキルだと思ってたんだけど、設備を借りてやってみたら失敗したの。根本が違うような感覚はあるんだけど、何が違うのかわからないから、色々と試している所なの」
「回復薬を作るスキルだと僕も思うけど、お姉ちゃんが貰ったスキルはもっとお手軽に薬を作ることが出来るんじゃないかな。僕も詳しくは知らないけど、回復薬は錬金術師が長い時間を掛けて生成しているよね。だから、少し体調が悪いからって使えるほど安くない。それがそのスキルなら簡単に作れるのかもしれないね。僕の予想だけど、薬草とかから回復薬を作るのに必要な成分だけを抽出することが出来て、集めた成分を調薬することで回復薬が作れる。さらに、防腐処理をすることで長期の保管が可能になるから、近くに治療所や錬金術師がいない村でも必要な時に使うことが出来るかなって。もしそうなら、薬草とか必要なものはあるけど、お姉ちゃんに最適なスキルかもしれないなって僕は思うよ」
話を聞く限りでは薬剤師になれるスキルのように聞こえた。
お姉ちゃんには回復薬と言ったけど、風邪薬とか腹痛薬を作れるスキルかもしれない。
「……そうかもしれない。だからスキル屋の人は私の回復魔法についても助言していったのかな」
「何か言ってたの?」
「治癒魔法と回復魔法は同じようで、癒える工程に大きな違いがあるって。治癒魔法は怪我をした相手の自然治癒力を活性化させて怪我を癒す。回復魔法は術者の力で、正常な状態に戻るようにエネルギーを送っているって。だから、回復魔法は相手を選ばないって言ってたの」
「そうなんだ。あんまりよくわからないけど……」
工程が違うだけで、結局どっちも同じなんじゃないかなと思う。
「治癒魔法だと、治せる怪我に限界があるみたい。術師がどれだけ優秀だとしても、癒すのに使うエネルギーは怪我をした本人だから、体力が保たなければ助からない。でも、回復魔法は術師の魔力が無くならなければ、相手がどれだけ弱っていても癒すことが出来るってことみたい。スキル屋がなんでそんなことをその時に言ったのかわからなかったけど、エルクの話を聞いて、一つ可能性が浮かんだわ。もしかしたら回復魔法は人以外にも使えるのかもしれない。もし疲弊した土も回復出来るなら、薬草を大量に育てることが出来るわ。薬草だけじゃなくて、畑の収穫量も増えると思う」
「そうだといいね」
もしスキル屋がそんな思惑でお姉ちゃんに薬学のスキルを与えて、回復魔法について教えたというのなら、スキル屋はお姉ちゃんの夢を応援しているということかな。
「色々と試して確認してみる」
僕も同じスキルを創って、何が出来るか試してみよう。
38
お気に入りに追加
728
あなたにおすすめの小説
【完結】実はチートの転生者、無能と言われるのに飽きて実力を解放する
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング1位獲得作品!!】
最強スキル『適応』を与えられた転生者ジャック・ストロングは16歳。
戦士になり、王国に潜む悪を倒すためのユピテル英才学園に入学して3ヶ月がたっていた。
目立たないために実力を隠していたジャックだが、学園長から次のテストで成績がよくないと退学だと脅され、ついに実力を解放していく。
ジャックのライバルとなる個性豊かな生徒たち、実力ある先生たちにも注目!!
彼らのハチャメチャ学園生活から目が離せない!!
※小説家になろう、カクヨム、エブリスタでも投稿中

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*無断転載、無断翻訳を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。

僕だけレベル1~レベルが上がらず無能扱いされた僕はパーティーを追放された。実は神様の不手際だったらしく、お詫びに最強スキルをもらいました~
いとうヒンジ
ファンタジー
ある日、イチカ・シリルはパーティーを追放された。
理由は、彼のレベルがいつまでたっても「1」のままだったから。
パーティーメンバーで幼馴染でもあるキリスとエレナは、ここぞとばかりにイチカを罵倒し、邪魔者扱いする。
友人だと思っていた幼馴染たちに無能扱いされたイチカは、失意のまま家路についた。
その夜、彼は「カミサマ」を名乗る少女と出会い、自分のレベルが上がらないのはカミサマの所為だったと知る。
カミサマは、自身の不手際のお詫びとしてイチカに最強のスキルを与え、これからは好きに生きるようにと助言した。
キリスたちは力を得たイチカに仲間に戻ってほしいと懇願する。だが、自分の気持ちに従うと決めたイチカは彼らを見捨てて歩き出した。
最強のスキルを手に入れたイチカ・シリルの新しい冒険者人生が、今幕を開ける。

無能と呼ばれたレベル0の転生者は、効果がチートだったスキル限界突破の力で最強を目指す
紅月シン
ファンタジー
七歳の誕生日を迎えたその日に、レオン・ハーヴェイの全ては一変することになった。
才能限界0。
それが、その日レオンという少年に下されたその身の価値であった。
レベルが存在するその世界で、才能限界とはレベルの成長限界を意味する。
つまりは、レベルが0のまま一生変わらない――未来永劫一般人であることが確定してしまったのだ。
だがそんなことは、レオンにはどうでもいいことでもあった。
その結果として実家の公爵家を追放されたことも。
同日に前世の記憶を思い出したことも。
一つの出会いに比べれば、全ては些事に過ぎなかったからだ。
その出会いの果てに誓いを立てた少年は、その世界で役立たずとされているものに目を付ける。
スキル。
そして、自らのスキルである限界突破。
やがてそのスキルの意味を理解した時、少年は誓いを果たすため、世界最強を目指すことを決意するのであった。
※小説家になろう様にも投稿しています

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~
於田縫紀
ファンタジー
ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。
しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。
そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。
対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる