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帝都の学院

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翌日、帝都の学院の中等部1年A組の教室にマルクスさんと一緒に入る。

ガヤガヤガヤ……

「静かにしてください。王都の王立学院から留学生を招きました。では、ロックくんから順番に自己紹介をしてください」
マルクスさんが説明して、自己紹介するように言う。

「ロックだ。こんな時ではあるが、よろしく頼む」

「アンジェリーナです。短い間ですがよろしくお願いします」

「エルクだよ。仲良くしてね」

「エレナです。エルクは私の弟です。私は高等部に通ってましたが、学院長の計らいで一緒に学ばせてもらえることになりました。よろしくお願いします」
お姉ちゃんの自己紹介を聞いて、教室がまた騒つく。

「静かに。エレナちゃんが言ったことは本当です。それから、エルク君も飛び級しています。王国と帝国では教育方針の違いもありますので、共に学びを深めてください」

「「はい!」」

「最後に、こちらはルーカス先生です。あちらの学院の学院長であり、私が教鞭をとるキッカケを与えてくれた恩師です。ルーカス先生には教育を手伝ってもらえることになっています。訓練にも顔を出してくれることになっていますので、この機会に色々と教えてもらってください。ではガルド先生、あとはお願いします」

「はい。では、早速訓練に参加してもらいましょうか。スレッド」

「はい」
赤い短髪の男の子が返事をする。

「案内を任せます」

「わかりました」


スレッド君から学院の説明を聞きながら、訓練場へとやってくる。

「ロイドだ。訓練を担当している。今日はダンジョンを使っての訓練を行うが、その前に今日から一緒に訓練を行う君達の実力を見させてもらいたい。ダンジョンは危険もあるからだ」

「わかりました。どうすればいいですか?」
お姉ちゃんが返事をする。

「俺と模擬戦をしてもらう」

「模擬戦ですか……」
お姉ちゃんは複雑そうな顔をする。
初等部で先生を殺しかけたことを思い出したのかな。

「どうかしたか?」
ロイド先生がお姉ちゃんの様子を見て、確認する。

「昔の失敗を思い出しただけです。大丈夫です」

「先生!模擬戦の相手は俺にやらせてください。王国の生徒の実力がどの程度なのか知りたいです」
やんちゃそうな男の子が言う。

「……カムイか。いいだろう。ただし、結果がどうであっても引きずらないと約束しなさい。この子達は優秀な成績をおさめていると聞いている」

「わかった。約束する。それに、俺の方が強いから問題ない」
カムイ君はスゴい自信家のようだ。

「誰からにする?」
僕は順番を聞く。

「私からやるわ。スキル屋からスキルを買って多少戦えるようにはなったくらいだから」
アンジェが最初にやると言う。

「いいんじゃないか?相手の力量もわからず戦うと、俺らは加減を間違えるかもしれない」
ロック君が間違ってはいないことを言うけど、もっと声量を抑えてほしい。

「随分と上からだな」
カムイ君はイラつきを隠し切れていない。
さっきカムイ君も同じようなことを言っていたんだけどなぁ。

「2人とも慎め。これは喧嘩ではない。実力を測るための模擬戦だ」

「すみません」
「ふん」
ロック君はここでも変わらないな。

「それでは、カムイとアンジェリーナの模擬戦を始める。2人は前に」
カムイ君とアンジェが訓練場の真ん中まで移動する。

アンジェもスキル屋でスキルを買ったみたいだけど、何を買ったのかな?
アイテムボックスのスキルだけだと戦えないと思うけど……。

「防護魔法は掛かってはいるが、防護魔法は万能ではない。やり過ぎないように。では、始め!」

「カムイ!やってやれー」
「いけー!」
「頑張ってー!」
カムイ君に声援が飛ぶ。
完全にアウェーだ。

「アンジェちゃん!」
「頑張れ!」
僕とお姉ちゃんとでアンジェを応援する。

「まずは小手調だ!」
カムイ君が手から火柱を放つ。

アンジェはジャンプして避けるけど、跳んだ距離がおかしい。
アンジェは訓練場の天井まで跳んで、柱を持って天井にぶら下がる。

何をしたんだろう?

「くそ!」
カムイ君が少し熱くなりながら、火球を飛ばす。

アンジェが何かしたのだろうけど、何故か火球の勢いはどんどんと落ちていき、アンジェには届かずに地に落ちて消える。

「くうゔ」
火球に目がいっていたけど、いつの間にかカムイ君がヒザをついていた。
何が起きたのだろうか?

ダン!
アンジェが天井からポケットに入れていた小石を落とし、小石が床に当たるが、小石が落ちたにしては音が大きすぎる。

「舐めるな!」
カムイ君が苦しそうな顔をしながら立ち上がり、さっきよりも魔力を込めてアンジェに火の槍を飛ばす。

今度はアンジェのところまで届き、アンジェの脇腹をかする。

「そこまで。2人ともまだ戦えるだろうが、力を確認するには十分だ」
ロイド先生が中断させる。

アンジェが天井の柱を離すと、ゆっくりと落ちてくる。

「お疲れ様。怪我はしてない?」

「防護魔法があったから少し赤くなっただけよ。防護魔法がなかったら危なかったわ」

「一応回復魔法を掛けておくね。ヒール!でも、防護魔法を掠っただけで貫通しているから、スゴい威力だったんだね」

「ありがとう」

「さっき何をしてたの?」

「重力の掛かり方を操作したのよ。自分に掛かる重力は軽減させて、相手には強くしたの。まだ熟練度が高くないけどね」

「アンジェは重力魔法を買ってたんだね。次は誰がやる?」

「俺が行くか。エルクにやったようにすれば、あいつには負けないだろうからな」
ロック君に嫌なことを思い出さされた。


カムイ君とロック君が模擬戦を始める。
そして、予想通りの結果で模擬戦が終わる。

カムイ君は成す術なしに奔走させられ続けた。
僕もあの時、こんな感じに見えてたのかな。
少し憂鬱な気分になる。

僕はロック君に勝てるようになれるのだろうか。

「お疲れ様。次は僕の番かな」

「いや、相手が限界だ。少しやり過ぎたな」
カムイ君の方を見ると、膝を付いて項垂れていた。
魔力を使い過ぎたというのもあると思うけど、自信を無くしたように見える。

カムイ君にはまだ僕とお姉ちゃんの相手が残っているわけだけど、大丈夫なんだろうか?
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