イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫

文字の大きさ
上 下
162 / 201

宣戦布告

しおりを挟む
「全員手を止めて集まってくれ」
魔物が襲来してからしばらく経ち、冒険者ギルドに行ったり、王城に呼ばれたりした後、今日も初等部の女子寮の修繕を手伝っていると、初等部の先生から号令が掛かる。
僕達は作業を中断して、先生のところに集まる。
さっき昼ごはんは食べたばかりだし、なんだろうか……。

「先程、帝国から宣戦布告があったとの連絡を受けた。よって作業はしばらくの間中止する。各自家に帰り、王都に残るのか、それとも王都を離れて避難するのか話してきなさい」
ダイス君が正式に次の王になることに決まり、帝国が攻めてくるという話は流れたと思ったけど、先日のスタンピードを攻める機と帝国は見たようだ。

こんな時に攻めてくるなんて……。
こういう時こそ手を取り合って助け合う時じゃないのかな。

僕はアンジェと家に帰り、お母さんとお父さんに説明をする。

「帝国と戦をすることになるみたいだよ。先生が王都に残るか、王都を離れて避難するか家族と話しなさいって」

「エレナも一緒の方がいいわよね。今日も教会に行ってるから迎えに行ってきてもらえる?」

「うん。行ってくる」
僕はお姉ちゃんを呼びに教会に行く。

「エレナちゃんならあっちにいるわよ」
教会でシスターさんにお姉ちゃんのいる場所を教えてもらい、教えてもらった場所に行くと、そこは畑だった。

「何してるの?」
今は冬なので、作物は収穫も終わっている筈だ。

「食べ物の貯蓄がどんどん無くなっていっているから、次の年にたくさん植えられるように畑を広げているのよ。エルクはどうしたの?学院に行ったんじゃないの?」

「帝国から宣戦布告をされたんだって。それで、作業は中止になって家族とどうするか話してくるようにって言われて解散になったよ。お姉ちゃんも一緒に話をしようってことで呼びに来たの」

「神父様に教えてくるわ。エルクはここで待ってて」

「うん」
お姉ちゃんが教会の中に走っていったので、僕は戻ってくるのを待ちつつ、途中になっている畑の拡張を代わりにやっておく。
お姉ちゃんはクワを持っていたけど、僕は土魔法でやろうと思う。

地面に手を付いて、畑を耕すように地面の土を掘り返していく。
空気が入り、土がフカフカになるようにイメージして進める。

「ふぅ。終わった」
ヒモで囲われた箇所は硬い地面から畑に変わった。

「あれ!?作っちゃったの?」
お姉ちゃんが戻ってきて驚く。

「待ってる時間に魔法で耕しておいたよ」

「なんで勝手にやっちゃうの?」

「何かやり方が間違ってた?フカフカの土になったよ」

「畑を耕す苦労を学ぶ為でもあったのに……」

「……ごめんなさい。そんな理由もあるとは知らなかったよ」

「エルクは親切でやってくれたんだからいいわ。でも今度から一声掛けてね」

「うん。戻した方がよければ戻そうか?押して固めるくらいしか出来ないけど」

「そこまでしなくても大丈夫よ。それにそれどころではなくなったから、勉強がてらなんて言っている暇も無くなっちゃうわ。神父様はお城に行って詳細を確認してくるそうよ。話はしたから帰りましょう」


「「ただいま」」
お姉ちゃんと家に帰り、話を始める。

「2人が帰ってくる前に少し話をしたのだけれど、王都に残るのがいいと思うの。王都の中で戦をするわけではないし、王都を離れても行くところがないわ。エルクとエレナはどう思う?」

「僕も王都に残ってもいいと思うよ。せっかく友達も出来たし、お別れもしたくないかな」

「私は……戦になったら王都を離れようかなって思ってる。逃げるんじゃなくて、帝国領の方に」

「……戦に参加するつもり?」
お母さんが怖い顔でお姉ちゃんに聞く。

「違うよ。戦が始まれば、戦場の近くにある村が被害にあうでしょ?助けに行きたいの」
お姉ちゃんは前に言っていたことを前倒ししたいようだ。

「駄目よ。危な過ぎるわ。それにエレナをそんなところに行かせたくない」
お母さんは当然反対した。
お父さんも顔を見る限り反対のようだ。

「私なら大丈夫よ。王国でもトップクラスに強いらしいし……」

「そうかもしれないけど、危険なことには変わりないわ。それに、エレナが行って何が出来るの?」

「……怪我人を治療することは出来るよ」
お姉ちゃんは送り出してくれないことに少し熱くなっている。

「兵士に襲われるってことは、残念だけど殺されている可能性の方が高いわ。エレナが村にいる時に襲われれば助けられるかもしれないけど、エレナは鉢合わせた兵士をどうするの?殺すの?立場的には敵かもしれないけど、徴兵されただけの民間人かもしれないわよ」
お母さんはお姉ちゃんの心の方を心配しているようだ。

「そこまで考えられてなかった……。ごめんなさい」
お姉ちゃんにもお母さんの気持ちが伝わったようだ。

「エルクは行くとは言わないのか?もちろん行ってほしいわけじゃない。黙って行くくらいなら、話してほしいってことだ。反省しているようだったから黙っていたが、魔物と戦いに行ったことは聞いている」
お父さんに聞かれる。
誰かから僕がスタンピードの対処をしにいった事を聞いていたようだ。

「僕は行かないよ。お姉ちゃんにも似たことを言われたけど、カッシュさんに死ぬかもしれないことに関わりたいなら、死ぬ覚悟をして家族に別れを告げてこいって言われてね。命を掛けてでも守りたい人のためならやるけど、もう無茶はしないって決めたよ」

「そうか。安心した。もし危険なことに首を突っ込まないといけない時は、一度立ち止まり頭を冷やすんだ。エルクもエレナも優しい子に育ってくれてお父さんは嬉しいが、2人とも自分のことが無頓着な時がある。自分を第一に考えてほしい」

「「うん」」

「アンジェちゃんはどうするの?王都に残るならこのままうちにいていいからね」
お母さんがアンジェに聞く。

「戦になれば今よりも食糧難になると思います。これ以上お世話になるわけにはいきません」

「食料ならたくさんあるから気にしなくていいよ」
不要な遠慮をしているアンジェに言う。

「嘘をつかなくてもいいわよ。ただでさえ冬で新しく収穫は出来ないのに、スタンピードに戦と、食料は無くなる一方よ。少ない食料を他所者の私がもらうわけにはいかないわ」
村で貧しい生活をしてきたからこそ、負い目を感じるのだろう。

「アイテムボックスにたくさん入ってるんだよ。冬になる前に買い込んだりしたやつだから、本当にたくさんあるんだ。信じられないなら後で見せるから、僕達に遠慮して出て行くって言ってるなら、その必要はないよ」
創造のスキルが急に使えなくなるか、僕の魔力が枯渇しない限り、食糧難で僕が困ることはない。

「本当に負担にならない?」

「ならないよ」

「アンジェちゃんのことは家族のように思っているのよ。だから、例え食料がなくてもそんな遠慮をしなくていいの」

「……ありがとうございます」

「後はエレナだけね。急いで決めなくていいからゆっくり考えて。じっくり考えて、それでも行くというなら止めないわ」

「うん」

お姉ちゃんが行く判断をしたなら、全力で応援してあげよう。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。

魔力∞を魔力0と勘違いされて追放されました

紗南
ファンタジー
異世界に神の加護をもらって転生した。5歳で前世の記憶を取り戻して洗礼をしたら魔力が∞と記載されてた。異世界にはない記号のためか魔力0と判断され公爵家を追放される。 国2つ跨いだところで冒険者登録して成り上がっていくお話です 更新は1週間に1度くらいのペースになります。 何度か確認はしてますが誤字脱字があるかと思います。 自己満足作品ですので技量は全くありません。その辺り覚悟してお読みくださいm(*_ _)m

異世界から日本に帰ってきたら魔法学院に入学 パーティーメンバーが順調に強くなっていくのは嬉しいんだが、妹の暴走だけがどうにも止まらない!

枕崎 削節
ファンタジー
〔小説家になろうローファンタジーランキング日間ベストテン入り作品〕 タイトルを変更しました。旧タイトル【異世界から帰ったらなぜか魔法学院に入学。この際遠慮なく能力を発揮したろ】 3年間の異世界生活を経て日本に戻ってきた楢崎聡史と桜の兄妹。二人は生活の一部分に組み込まれてしまった冒険が忘れられなくてここ数年日本にも発生したダンジョンアタックを目論むが、年齢制限に壁に撥ね返されて入場を断られてしまう。ガックリと項垂れる二人に救いの手を差し伸べたのは魔法学院の学院長と名乗る人物。喜び勇んで入学したはいいものの、この学院長はとにかく無茶振りが過ぎる。異世界でも経験したことがないとんでもないミッションに次々と駆り出される兄妹。さらに二人を取り巻く周囲にも奇妙な縁で繋がった生徒がどんどん現れては学院での日常と冒険という非日常が繰り返されていく。大勢の学院生との交流の中ではぐくまれていく人間模様とバトルアクションをどうぞお楽しみください!

充実した人生の送り方 ~妹よ、俺は今異世界に居ます~

中畑 道
ファンタジー
「充実した人生を送ってください。私が創造した剣と魔法の世界で」 唯一の肉親だった妹の葬儀を終えた帰り道、不慮の事故で命を落とした世良登希雄は異世界の創造神に召喚される。弟子である第一女神の願いを叶えるために。 人類未開の地、魔獣の大森林最奥地で異世界の常識や習慣、魔法やスキル、身の守り方や戦い方を学んだトキオ セラは、女神から遣わされた御供のコタローと街へ向かう。 目的は一つ。充実した人生を送ること。

処理中です...