イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫

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悪魔

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フードを被った如何にも怪しい男が現れたので、僕達は男の目的を知るために魔物を倒すのをやめて、動向をうかがう。

「ふははは!あと少しだ。あと少しで力が手に入る。あの女も馬鹿なものだ。裏切られるとも知らずに俺にこんな事をやらせるなんてな」
何をやるつもりかは分からないけど、かなり物騒な事を言っているのはわかる。
黒幕が別にいるようだけど、この男は裏切るつもりらしい。

男は様子を見にきただけのようで、この場を立ち去ろうとする。

「どうしようか?ヤバそうな事をしているし、とりあえず捕まえておく?」
僕はお姉ちゃんに相談する

「……そうね。もしかしたら、ここの魔物を操れたりするのかもしれないし、そうなったら村が襲われるかもしれない」

「それじゃあ拘束するね」
僕は男の首から下を土魔法で固めて拘束する。

「…!?なんだ?動けねぇ。クソ!あの女俺を切り捨てやがった」
男は首を動かし周りを見ながら憤慨している。

あの女というのが誰か知らないけど、自分も裏切ろうとしていたのに、切り捨てられたと怒るのはどうなんだろうか……?

「ここで何してるの?これは何?」
僕は自身の隠密を解いて、男から見えないように後ろから話しかける。

「だ、誰だ!?」

「この魔物達は何か僕が聞いてるんだけど……?」

「こ、子供か?おい!殺されたくなければ早くこれを解け」
声から僕が子供だとバレたようだ。

「その状態で何が出来るんですか?おじさんこそ死にたくないなら、これが何か素直に話した方がいいんじゃないですか?」

「もしかして、俺を始末しにきたあの女の手先じゃないのか?」

「あの女って誰ですか?」

「言うわけねぇだろうが」
この人何も話してくれないな。

痛めつけての尋問とかはやりたくないし、これが何かは分からないけど、魔物だけ倒したら衛兵に突き出そう。

「……話したくないならいいです。衛兵に突き出します」

「ガキがナメなこと言ってるんじゃねぇぞ!最後にもう一度だけ聞いてやる。死にたくなかったらこの拘束を解けっ!」

「僕もさっき言いましたよ。その状態で何が出来るんですか?」

「ははは、教えてやるよ。本当はもう少し待つつもりだったが、十分贄は足りるだろう。※○&♯●――」
男が何なら呪文のようなものを唱えるとヘドロのような液体が黒く光り出した。

液体が渦のようになり、浮いていた魔物達がどんどんと吸い込まれていく。
そして、中心からツノの生えた魔物?が徐々に出てくる。

「古の悪魔よ。このガキを殺し俺を助けろ!」
男が叫ぶ。
あれは悪魔らしい。
無数の魔物を生贄に悪魔を召喚したようだ。

「……えい!」
どんどんと魔物を吸い込んでいくのが良くなさそうだったので、氷魔法で凍らせる。

「グギャアア」

魔物を含めヘドロ状の液体は凍ったけど、召喚された悪魔は凍らなかった。
凍りはしなかったけど、苦しんではいる。

悪魔は苦しみながらも、全身の姿を現す。

「召喚に答えてやったら、いきなり攻撃されるとはな。死にたい奴がいるらしい」
悪魔が声を出す。

「古の悪魔よ。召喚したのは俺だ!俺を助けろ!攻撃したのはそのガキだ。殺せ!」
男が悪魔に命令する。

「フッ、何故我がお前の言う事を聞かねばならん。ただ、召喚した褒美に願いは叶えてやる。半分だけな」

悪魔が両手を前に出し掌を僕と男に向ける。
そして掌から黒い球が2つ放たれた。

ガギン!

黒球は僕が咄嗟に張った結界によって防がれる。

結界は2発で壊れそうになっている。
なかなかの威力だったようだ。

「な、何をした!」
悪魔が動揺する。

僕は答える事なく、悪魔を土魔法で首まで拘束する。

「くっ!」

ピキ…ピキ…

拘束したけど、固めた土にヒビが入っていく。
あまり長い間拘束し続ける事は出来ないようだ。

「うーん……」
僕は悩む。
悪魔らしいし、人間ではない。
それに僕を殺そうとしたわけだけど、言葉が通じる以上殺すのは抵抗がある。

でも野放しには出来ない。

悩んでいる間にも悪魔が拘束から抜け出そうとしている。

とりあえずもう一度土魔法を掛け直そうとした時、悪魔の周りに水の膜が張られた。

お姉ちゃんが水のバリアもとい、水の牢獄で閉じ込めた。

悪魔が土の拘束から逃れ、牢獄から出ようと水に手を触れる。

チッ
悪魔の指が高速回転している水によって切断された。

指は少しずつ回復しているように見える。

「お姉ちゃん、ありがとう。あれ、どうしたらいいのかな?」

「どうしたらって言っても、暴れるなら討伐するしかないんじゃない?」

「そうは言うけど、言葉が通じるし、殺すのは抵抗があるよ。お姉ちゃんはないの?」

「もちろんあるわよ。でもここで逃した結果、この悪魔が村を襲うかもしれない。もしかしたらお母さん達も殺されるかもしれないじゃない。盗賊と同じよ。違うのは、盗賊と違って衛兵の手に負えないってことだけ。冒険者ギルドで教えられたわ。盗賊に情けをかけることは他の命を捨てる事だって」
お姉ちゃんの言う通りだ。

「そうだね……」
僕は覚悟を決める。

「エルクがやる必要はないわ。こういうのはお姉ちゃんに任せなさい」
お姉ちゃんがそう言ってくれるけど、お姉ちゃんの手は少し震えている。
お姉ちゃんもやりたくはないのだ。

「ま、待て!いや、待ってください。もう1人いるみたいだが、我を殺す算段をしてないか!?」
悪魔はお姉ちゃんに気づけてない。
僕の言葉しか聞こえてなかったみたいだけど、話の内容は理解したようだ。

僕はお姉ちゃんに確認してから隠密を解く。

「あなたは誰かを害するかもしれない。だから討伐する」
お姉ちゃんが悪魔に告げる。

「ゆ、許して下さい」
さっきまでの威勢の良さはどこにもない。

「だ、ダメよ!ここで見逃したら私達の知らないところであなたが誰かを殺すかもしれないじゃない。エルクの拘束から自力で出られるような存在を野放しには出来ない」

「悪魔を召喚して何をしようとしていたの?殺さずに無力化する方法はないの?」
僕は男に聞く。
仕方ないのかもしれないけど、お姉ちゃんに殺しはやっぱりしてほしくない。

「……悪魔に命令してこの国を手に入れるつもりだった。第一王子を支持する貴族を徐々に殺していき、無理矢理でも第二王子を王とした後は、裏で俺が国を支配するつもりだった」
みんなでクウザって子を名ばかりの王にしようとしている。

「さっき言ってたあの女っていうのは?」

「第二王子の母親だよ。元々あの女が考えたことだ。俺はあの女の考えを利用してやっただけだ」

「なんで悪魔はおじさんの言うことを聞かないの?」

「俺が知るか!……お前が召喚の途中で邪魔したからかもな」
召喚が不完全だったってことかな?
実際に生贄の魔物も凍ったまま残っているわけだし……

「ねえ、召喚される前にいたところに戻ることは出来ないの?僕達も本当は殺したくはないんだけど、一度あんなことをしたんだから、反省したみたいだから解放するなんてことは出来ないのはわかるよね?」
僕は悪魔に聞く。

「帰ることは出来ない。言っていることはもっともだが、許して欲しい」

「……召喚が中断されたからあの男の人の言うことを聞かないの?」

「少し違うな。本来であれば召喚された後に、召喚した者が対価を提示して契約を結ぶ。契約が成立すれば我は契約主が死ぬまで命令に従い、死んだら元の世界へと帰る。成立しなければそのまま元の世界へと帰る。今回は途中で召喚が中断されたせいで、契約の有無に関係なく帰れない」

「凍ってる魔物達を溶かしても再開されないの?」

「既に門は閉じている。魔物が動き出すだけだ」

「契約の対価って?」

「なんでもいい。我が召喚主の命令に従ってもいいと思うものならなんでもな。だが、大体は魂を要求する。その場合は死んだ時にもらっていく」

「契約は今でも出来るの?」
僕は1つの案が浮かんだ。

「……坊主、頭がいいな。契約は出来る。そして契約さえ出来れば、契約主が死ねば俺は死なずに元の世界へと帰れるはずだ。さあ、我を召喚したという男と契約をさせろ。そしてあの男を殺せ」
悪魔が言った。

「そんなこと言ってない!契約するのは僕とだよ」
誰かを殺さずにこの場を収めようとしているのに、それじゃあ対象が悪魔から召喚した男に変わっただけだ。
それなら人間でないだけまだ悪魔の方がマシである。

結果としてこの男は処刑されるかもしれないけど、処刑されることを加味して動くのは殺したのと変わらない気がする。

なので僕が悪魔と契約することにした。
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