イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫

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記憶欠落

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フランベルグ家の屋敷に到着したけど、屋敷は無惨に壊された後だった。
爆破でもされたのか瓦礫に埋もれている。

これを見る限り賊の狙いはこの屋敷というか、フランベルグ家を狙ったものだったのだろう。

「お父様……、お母様……」
ローザがフラフラと屋敷の方へと近づいていき、膝をつく。

「まだ死んだって確定したわけじゃないから諦めずに探そう。屋敷の外に逃げたかもしれないし、地下室とかに隠れてるかもしれないよ?」
僕はローザに声を掛ける。
惨状からして、可能性があるのは地下くらいだ。

「え、ええ。……地下室ならあの辺りにあったわ」
埋まっている可能性もあるので、僕は慎重に瓦礫をどかして地下室への道を開ける。

「う、うぅぅ」
地下室に入り、ローザが泣き崩れる。

地下室にはとても生きているようには見えない状態で2人倒れていた。
剣で深く何度も斬られたようだ。

僕は回復魔法を2人に掛けるけど目を覚さない。
既に亡くなってしまったようだ。

僕は泣き崩れるローザを見る。

僕は魔力を溜める。
お姉ちゃんは生き返ったんだ。なんでかはわからないけど、可能性はあるはずだ。

制御出来る限界を超えて魔力を溜め続ける。
あの時お姉ちゃんを助けようとやったのと同じだ。
ローザの両親が助かるなら暴走したっていい。

制御を失いつつも魔力を溜め続けた結果、僕は意識を失った。

目を覚ますと、高そうなベッドの上だった。

前に魔力を暴走させた時と同じく体がうまく動かない。
窓から見える景色はまだ暗い。
今がどのくらいかは分からないけど夜のようだ。

近くには誰もいない。
ここがどこなのかもわからない。

前の時はラクネが起きた時にいてくれたからよかったけど、どうしよう。

あの時は意識がハッキリとしているか確認された後は安静にしていただけだったから、とりあえず寝てればいいかな?
魔力は使ったらダメなんだよね……。

やることもないので、僕はとりあえず寝ることにする。
高そうな部屋の高そうなベッドに寝かされていたんだから、悪い扱いはされていないはずだ。
朝になれば誰か来てくれるかもしれない。

「エルク、朝よ」
僕はお姉ちゃんの声で起きる。

「おはよう、お姉ちゃん」

「朝ごはん食べに行こう」
お姉ちゃんに行こうと言われるが、寝て起きたくらいで体が動くようにはなっていない。

「魔力を暴走させたからか体が動かないんだ。あの後どうなったか教えて」
僕は動けないことを伝え、ローザの両親が助かったのかを聞く。

「あの後ってどの後の事?それに昨日は動けてたのに、今日になって動けなくなったの?」
お姉ちゃんの言っていることがよくわからない。

「ローザの両親を助けようとして魔力が暴走しちゃったと思うんだけど……」

「暴走したの?確かに制御が出来ていないようにも見えたけど、その後普通にしていたからなんとか堪えたんだと思ってたわよ。なんで今頃になって暴走の反動がきたのかわからないけど……ほら、これで動けるでしょ?」
お姉ちゃんが回復魔法を掛けてくれたら動けるようになった。

「何したの?」

「エルクの体の中の魔力を整えたのよ。少し違和感はあると思うけどね。リーナが暴走させた時にやってることよ」
お姉ちゃんはこんなことも出来たようだ。

「それで、ローザの両親は助かったの?それからここはどこ?」

「本当に覚えてないの?2人なら息を吹き返したわよ。ギリギリ間に合ったってエルクが言ってたわ。ここはフランベルグ領の宿屋よ」
助けられたようだ。良かった。

「ローザの両親を助けようとした後から記憶がないよ。何があったか教えて」

「大丈夫なの?」

「お姉ちゃんのおかげで動けるし大丈夫だと思うよ」

「……何か違和感があったらすぐに言うのよ。それで忘れちゃってるところを知りたいのよね」

「うん」

「エルクが領主様達に2度回復魔法を掛けた後、2人とも息を吹き返したわ。その後は賊を捕まえる手伝いをして、怪我人を治したみたいよ。ここの宿は領主様がお礼として貸してくれているの。ざっくりだけどこんな感じよ」
全く覚えが無い。
でも特に変わったことはやってないようだ。

「大体はわかったけど、みたいってどういうこと?それからローザは?」

「エルクは隠密のスキルを使ってて、私もエルクが何をしていたのかを実際に見たわけじゃないの。エルク自身から何をしていたのか聞いたのよ。ローザちゃんは王都に戻ったよ。領主様は今ここを離れることは出来ないから、代理で国王様に報告に行くみたい。馬車は貸してくれたから、ご飯を食べたら私達はお母さん達の所に帰りましょう」

「うん……」

朝食を食べた後、宿屋の外に出る。

「聖女様、昨日はありがとうございました。おかげさまで息子がこうして歩けています」
「お姉ちゃんありがとう」

宿の外には沢山の人がいた。
みんなお姉ちゃんにお礼を言っている。
お姉ちゃんは照れながら嬉しそうにしつつも、少し浮かない顔をしている。

「お姉ちゃん大人気だね。みんなお姉ちゃんに感謝してるのになんで浮かない顔をしてるの?」
僕は馬車に乗り込みながら言う。

「私が治してない人まで私が治したことになってるのよ。エルクが隠密を使って治してたせいだからね」
お姉ちゃんは御者台に乗りながら言った。

「……ごめん」
覚えてないけど、僕が原因だったようだ。

「別に怒ってないよ。みんなが喜んでるならそれでいいのよ。ただ、やってないことでお礼を言われているのがちょっと気になっただけ。出発するよ」

「うん。まだ下手だけど途中で代わるね」

「最初は横に付いててあげるわ。心配だもの」

「うん、お願い」

馬車は出発する。街を出るまで街の人がお姉ちゃんを見掛けてお礼を言ったり手を振ったりしていた。

街の人は明るく振る舞ってはいるけど、街は戦闘の跡でボロボロになっているところがある。
何人の人が殺されてしまったのだろう。

賊の目的が何だったのか知らないけど、なんでこんなことが出来るのかな……。

街を出る所で馬車を止められる。

「街を、命を救ってくれたこと感謝する。本来であればもっと盛大に送り出したいのだが、街がこんな状態では満足にもてなすことも出来ず、不甲斐ないばかりだ」
馬車を止めたのはローザのお父さんだった。

お姉ちゃんから聞いた通り、本当に息を吹き返したようだ。

「そんな盛大にしていただいても恥ずかしいだけなので、お気持ちだけお受け取りします。この馬車を貸していただけただけで十分です」
お姉ちゃんが答える。

「エルク君には以前娘を助けてもらっただけでなく、私達の命まで助けてもらった。おかげで娘を1人にさせないですむ。今は街のことを優先しないといけないが、また改めてお礼をさせてほしい」

「あまり気にしなくて大丈夫です。友達のためにやっただけなので……」

「気持ちは嬉しいが、これだけのことをしてもらって何もなしとすることは出来ない。今はこんな物しか用意出来ないが受け取って欲しい」
高そうな短剣を1本ずつもらった。

「それはフランベルグ家が後ろ盾に付いていることを証明するものだ。何か困ったことがあればそれを見せるといい」
なんでこれをくれたのかなと短剣を見ていたら、説明してくれた。

「ありがとうございます。改めてお礼と言ってましたが、これだけでも貰いすぎなくらいです」
断るのは失礼なので、お礼を言って貰うことにする。

「ありがとうございます」
お姉ちゃんもお礼を言って貰うことにしたようだ。

ローザのお父さんに挨拶して生まれ育った村へと向かう。
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