イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫

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体の秘密

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僕の体に魂が2つあるのでは?という件から派生して、魔力を限界まで使っても辛くならない件を学院長に聞いていたら、まさかの学院長も同じだった。

「私も魔力を限界まで使っても体調を崩すことはない。でも私の体に魂が複数あるわけではないよ。私は自分の魔力量を超えて魔法を使うことが出来るんだが、そのスキルの本質は体の中にもう一つ魔力を貯蓄するタンクを作ることにあるんだ。魔力が欲しい量に足りない時、そこのタンクから任意で魔力を取り出す事で限界を超えて魔力を使うことが出来る。普段はこのタンクの魔力は使わず貯めた状態にしているから、私が限界まで魔力を使ったとしても、体の状態はタンクの魔力が普段使う魔力の代わりに整えてくれるわけだ」

「えっと、つまりどういうことですか?」

「私の魔力タンクだろうと、君の言う魂だろうと、なんでもいいから体の中に普段使う魔力以外が存在しているなら、魔力を限界まで使っても体調を崩さないということだよ。私としては、エルク君は色々なスキルを使えるのだから、その中のどれかのスキルが、私のスキルのようなタンクの役割を果たしていると考えた方が、魂が複数あるよりは自然ではないかと思うよ」
確かに創造のスキルにはその場で何かを創らなくても、魔力を貯めておける機能がある。
そう考えると当てはまりそうだけど、気になるのはあのスキルを使い始めた頃は魔力を貯めてなんていなかったことだ。
まあ、あのスキルは色々と特殊なので、僕の知らないところでタンクの役割をしていてもおかしくはないか……

そうだとしたら、魂が2つあるなんて悩まなくてもよくなる。なんだか進む道が明るくなった気がする。

「ありがとうございます。とても参考になりました」

「待ちなさい。まだ話は終わってないよ」
話が終わったと思い帰ろうとしたら、まだ話の続きがあると言われた。

「すごく納得のいく説明でしたけど、まだ続きがあるんですか?」

「さっきまでの話は制限の掛かるような話ではないんだよ。私のスキルに関しては切り札のようなものだから口外しないでもらいたいが、他の話に関しては多くはないが知っている者もいる話だ」

「ここからが本番ってことですか?」
さっきまでの説明で僕の悩みは解決したような気がしたけど……

「どちらが本番ということではないよ。さっきの話以外にもう一つ、魔力を限界まで使っても体調を崩さない実例があるという話だ。この話が制限の掛かっている話になるからね」

「さっきとは別の方法でということですか?」

「方法というのは違うよ。これは体の構造の話になる。本来、人間は体に魔力を宿して生まれてくる。これは人間に限った話ではなく、獣人だったり魔族やエルフなんかもなんだけど、たまに魔力を宿していない状態で生まれてくることがあるんだ。情報に制限が掛かっているのは、そういった人たちが差別を受けないようにするためだよ。それで、その人達は魔力を宿していないからといって、ずっと体調を崩しているわけではないんだ。魔力を必要としない体として生まれてきているんだよ。そういった人達が、何かの拍子に体に魔力を得たとする。実際にあった例だとスキル書を使って魔法スキルを得たんだけど、そうなると魔力を限界まで使ったところで体調を崩したりはしないんだ。当然だよね?体調を整えるのをその人達は魔力に頼っていないのだから。まあ、エルクくんの場合は、小さい時から魔法を使えていたのだから当てはまらないのではと思うけど、この事はあまり詳しくは解明されていないことだから、魔力を宿して生まれてきていたとしても、魔力が体の調子を整える役割を果たしていないなんてこともあるかもしれない」
なんだかこの話が1番しっくりくる気がする。
元々魔法なんて存在しないはずの地球に住んでいたのだから、魔力で体の調子を整えているという方が違和感がある。
魔力を宿していない日本人として転生してきたところに、創造なんてスキルを奪ったことで体に魔力を宿した。
辻褄も合うし、これが正解な気がする。

確定ではないけど、さっきの話もあるし、僕の体に魂が2つあるという可能性がこの中では1番可能性として低そうだ。

……いや、辻褄の合わないことがあった。

「魔力を使い切った後に無理矢理魔法を使おうとするとちゃんと発動しますよね?気絶してしまいますけど……。気絶するってことは、僕の体は魔力を必要としているということですよね?」
魔力を使うことによる弊害がないと勘違いしていたけど、気絶耐性のおかげで気絶しないだけで、初めの頃は毎日気絶していたことを思い出した。

「それは違うよ。その時に使っているエネルギーの大元は魔力ではないんだよ。生命力を魔力に変換して魔法を発動しているんだ。生命力が無くなったら死んでしまうから、そうなる前に体が自動的にストップさせているんだよ」

「生命力を使ってたんですね」
そうなると、辻褄はやっぱり合ってるし、これが正解の可能性が高そうだ。
ずっと悩んでいたのが馬鹿みたいに思えるほど、スッキリとした気分になる。

「話は以上だよ。参考になったかな?」

「はい、ありがとうございます。ただ、腑に落ちないところがあります」

「なんだい?」

「最初に言ったんですけど、学院長が僕にスキルを使っていないのなら、なんで僕はずっと自分の力に気づかなかったのかって事です。クラスメイトの模擬戦を見た時に、あれ?おかしいなって思ったはずなんです」

「それは、エルクくんが自分の力に気づいた上で、過去の自分のことを思い返したからだろう?今はなんであの時気づかなかったのだろうと思っているのかもしれないけど、それはエレナちゃんも言っていた通り、君が鈍感だっただけだと思うよ。あまり言いたくはないんだけどね」
そっか……。僕があまりにも鈍感だっただけか……

「疑ってすみませんでした。色々と教えて頂きありがとうございました」

「……これでいいんだよね?」
僕が部屋から出ようとした時、学院長が小声で何か呟いた気がしたので僕は振り向く。

「何か言いましたか?」

「いや、何も言ってないよ」

「そうですか」
気のせいだったようだ。
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