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仕分け
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昼食を食べた僕達は屋敷に戻ってきていた。
とりあえず、国が引き取る物に印は付け終わったので、ここからは印を付けた物を馬車に積み込むことになる。
やり始めて数十分、僕は迷っていた。
実際にはやり始める前から迷ってはいたけど……。
この依頼はアイテムボックスを使えばすぐに終わるのだ。
アイテムボックスの中に入れていき、馬車の中で取り出す。これをするだけで大体は終わる。
時間が掛かるのは、引き取りリストに載っていない物の仕分けだけだ。これも仕分けだけ終わったらアイテムボックスを使えば外に簡単に出すことが出来る。
ローザ達にはアイテムボックスの事は話していない。
ローザ達には色々なスキルの事を話してしまったけど、アイテムボックスの事は話してしまうか迷う。
知られているスキルのほとんどは、僕の魔力量によって威力や効果がおかしくなっているだけで、スキル自体はそこまで異常ではない。
でもアイテムボックスに関しては魔力量云々とは関係なく異常なスキルだ。
ラクネとダイスくんにはバレてしまったから話しただけで、元々言うつもりはなかった。
もちろん、ローザ達が知ったところで悪いようにするとは思わない。でも秘密はどこから漏れるか分からないので、知っている人は少ない方がいい。
はたして楽をするためだけに秘密をバラしていいものか……。
「このまま運び続けるのは大変だから、支援魔法を掛けるよ。身体強化魔法と防護魔法ね」
僕はそう言って、身体強化とシールドを掛けた。シールドは棚とかが倒れてくるかもしれないから安全の為だ。
アイテムボックスの事は、やっぱり秘密にしたほうがいいと、言うのを踏みとどまったけど、少しでも楽はしたいので、支援魔法をみんなに掛けることにしたのだ。
「ありがとう。助かるわ」
みんなに掛けたのは身体強化とシールドだけだけど、自分には腕力強化と脚力強化も掛けた。
元の身体能力がみんなに比べて低いので、ここまでやってやっと同じくらいになるのだから、自分にだけ追加のスキルを掛けているのは許してほしい。
複合してストックしていたのを発動したので、みんなとは違うスキルを使ったことはバレていないだろう。
色々と話してしまいはしたけれど、隠せるスキルは引き続き隠していくつもりだ。
別荘での事は既に疑問に思われていた事だし、半分バレていたようなものだから、仕方なかったと自分に言い聞かせる。
支援魔法を使ったことで、大分作業がはかどった。
定期的に回復魔法を使ったので疲れが溜まる事もなく、休憩もあまり取らずに続けた。
それでも夕方になった時点で、まだリストの物を積み込み終えてはいなかった。
「暗くなってきたし、今日はここまでにしましょう」
ローザの判断で今日の作業は終わりになった。
「さすが貴族の屋敷だね。物が多すぎるよ」
「それでも、あと少しでリストの分は終わるわよ。そこからは国が見落としたお宝探しとスキル書探しだから、やっと楽しくなってくるわ。今はその為の我慢よ」
「そうだね。ここからが本番だもんね」
「それじゃあ明日も頑張りましょう。今日と同じ時間に集合ね」
「うん、わかったよ」
翌日も屋敷に集まり、引き続きリストの物を運び出していく。
そして昼前になり、やっとリストの分を運び出すことを終えた。
「やっと終わったね」
ここまでやって、今のところ報酬は発生していない。ここから価値のあるものを探すわけだけど、国の職員の仕事がしっかりとしていれば高いものはないし、あったとしても、見落とすくらいだから見つけるのは難しい。
ベテラン冒険者はこんな依頼受けないし、生活がかかっている新人冒険者にはリスクが大きい。
話を聞いている時はおいしい依頼だと思ったけど、やってみて思う。全然おいしい依頼ではなかった。
「エルクの支援魔法のおかげで、思っていたより早いペースね。少し早いけど、キリがいいからご飯にしましょう」
今日も昨日と同じカフェで昼食を食べる。
今日は昨日と違って、軽食じゃなくて結構ガッツリめの料理が出てきた。
なんでかローザに聞いたら、昨日帰る時に明日も来るかもしれないと言ったらしい。
特に軽食以外の料理を用意するようには言ってなかったみたいだけど、気を効かして用意してくれていたようだ。
ここまでやれるからこそ、貴族に気に入られて支援してもらえるのだろう。
料理も美味しくて、サービスも良い。これは通いたくなるね。
お腹の膨れた僕達は屋敷に戻り、まずはリストにあるもので引き渡していないものがないかチェックする。
これは現物を確認するのではなく、引き渡した時に証明書の控えをもらっているので、リストと照らし合わせていくだけだ。なのですぐに終わった。
腹ごなしの時間としてはちょうどよかった。
ここからは楽しい楽しいお宝探しではあるけど、基本的にはゴミである。
残っているものは、全く価値が無いものと買い取りが二束三文の物、そして国の職員が見落とした物だ。
僕には物の価値が全く分からないので、仕分けはみんなに任せる。
こういった時に鑑定とか査定みたいな、物の価値がわかるスキルがあればいいのにと思うけど、どちらも創れなかった。
相変わらず魔力量の問題ではなく、ロックが掛かっているような感じだ。創ろうとすることが出来ない。
僕はみんなが仕分けて、ゴミと判断した物を馬車に詰め込んでいく。捨てる物なので丁寧に運ぶ必要もなく、放り込むだけなのでさっきよりも楽である。
価値とは関係なく、欲しいものがあればもらっていいと言われているけど、今のところ欲しい物はない。
わかってはいたことだけど、リストにあるやつを運び出していくよりも、価値を確認しながら仕分けていくので時間が掛かる。
結局、家具など大物の仕分けが終わった所で1日が終わってしまった。
今の所、買い取りに出す物は無い。
持っていきさえすれば、買い取ってくれそうな物もあるけど、大物なので持っていくには一苦労で、それに対してもらえる対価が少なすぎるからだ。
当然、今日の報酬も0である
とりあえず、国が引き取る物に印は付け終わったので、ここからは印を付けた物を馬車に積み込むことになる。
やり始めて数十分、僕は迷っていた。
実際にはやり始める前から迷ってはいたけど……。
この依頼はアイテムボックスを使えばすぐに終わるのだ。
アイテムボックスの中に入れていき、馬車の中で取り出す。これをするだけで大体は終わる。
時間が掛かるのは、引き取りリストに載っていない物の仕分けだけだ。これも仕分けだけ終わったらアイテムボックスを使えば外に簡単に出すことが出来る。
ローザ達にはアイテムボックスの事は話していない。
ローザ達には色々なスキルの事を話してしまったけど、アイテムボックスの事は話してしまうか迷う。
知られているスキルのほとんどは、僕の魔力量によって威力や効果がおかしくなっているだけで、スキル自体はそこまで異常ではない。
でもアイテムボックスに関しては魔力量云々とは関係なく異常なスキルだ。
ラクネとダイスくんにはバレてしまったから話しただけで、元々言うつもりはなかった。
もちろん、ローザ達が知ったところで悪いようにするとは思わない。でも秘密はどこから漏れるか分からないので、知っている人は少ない方がいい。
はたして楽をするためだけに秘密をバラしていいものか……。
「このまま運び続けるのは大変だから、支援魔法を掛けるよ。身体強化魔法と防護魔法ね」
僕はそう言って、身体強化とシールドを掛けた。シールドは棚とかが倒れてくるかもしれないから安全の為だ。
アイテムボックスの事は、やっぱり秘密にしたほうがいいと、言うのを踏みとどまったけど、少しでも楽はしたいので、支援魔法をみんなに掛けることにしたのだ。
「ありがとう。助かるわ」
みんなに掛けたのは身体強化とシールドだけだけど、自分には腕力強化と脚力強化も掛けた。
元の身体能力がみんなに比べて低いので、ここまでやってやっと同じくらいになるのだから、自分にだけ追加のスキルを掛けているのは許してほしい。
複合してストックしていたのを発動したので、みんなとは違うスキルを使ったことはバレていないだろう。
色々と話してしまいはしたけれど、隠せるスキルは引き続き隠していくつもりだ。
別荘での事は既に疑問に思われていた事だし、半分バレていたようなものだから、仕方なかったと自分に言い聞かせる。
支援魔法を使ったことで、大分作業がはかどった。
定期的に回復魔法を使ったので疲れが溜まる事もなく、休憩もあまり取らずに続けた。
それでも夕方になった時点で、まだリストの物を積み込み終えてはいなかった。
「暗くなってきたし、今日はここまでにしましょう」
ローザの判断で今日の作業は終わりになった。
「さすが貴族の屋敷だね。物が多すぎるよ」
「それでも、あと少しでリストの分は終わるわよ。そこからは国が見落としたお宝探しとスキル書探しだから、やっと楽しくなってくるわ。今はその為の我慢よ」
「そうだね。ここからが本番だもんね」
「それじゃあ明日も頑張りましょう。今日と同じ時間に集合ね」
「うん、わかったよ」
翌日も屋敷に集まり、引き続きリストの物を運び出していく。
そして昼前になり、やっとリストの分を運び出すことを終えた。
「やっと終わったね」
ここまでやって、今のところ報酬は発生していない。ここから価値のあるものを探すわけだけど、国の職員の仕事がしっかりとしていれば高いものはないし、あったとしても、見落とすくらいだから見つけるのは難しい。
ベテラン冒険者はこんな依頼受けないし、生活がかかっている新人冒険者にはリスクが大きい。
話を聞いている時はおいしい依頼だと思ったけど、やってみて思う。全然おいしい依頼ではなかった。
「エルクの支援魔法のおかげで、思っていたより早いペースね。少し早いけど、キリがいいからご飯にしましょう」
今日も昨日と同じカフェで昼食を食べる。
今日は昨日と違って、軽食じゃなくて結構ガッツリめの料理が出てきた。
なんでかローザに聞いたら、昨日帰る時に明日も来るかもしれないと言ったらしい。
特に軽食以外の料理を用意するようには言ってなかったみたいだけど、気を効かして用意してくれていたようだ。
ここまでやれるからこそ、貴族に気に入られて支援してもらえるのだろう。
料理も美味しくて、サービスも良い。これは通いたくなるね。
お腹の膨れた僕達は屋敷に戻り、まずはリストにあるもので引き渡していないものがないかチェックする。
これは現物を確認するのではなく、引き渡した時に証明書の控えをもらっているので、リストと照らし合わせていくだけだ。なのですぐに終わった。
腹ごなしの時間としてはちょうどよかった。
ここからは楽しい楽しいお宝探しではあるけど、基本的にはゴミである。
残っているものは、全く価値が無いものと買い取りが二束三文の物、そして国の職員が見落とした物だ。
僕には物の価値が全く分からないので、仕分けはみんなに任せる。
こういった時に鑑定とか査定みたいな、物の価値がわかるスキルがあればいいのにと思うけど、どちらも創れなかった。
相変わらず魔力量の問題ではなく、ロックが掛かっているような感じだ。創ろうとすることが出来ない。
僕はみんなが仕分けて、ゴミと判断した物を馬車に詰め込んでいく。捨てる物なので丁寧に運ぶ必要もなく、放り込むだけなのでさっきよりも楽である。
価値とは関係なく、欲しいものがあればもらっていいと言われているけど、今のところ欲しい物はない。
わかってはいたことだけど、リストにあるやつを運び出していくよりも、価値を確認しながら仕分けていくので時間が掛かる。
結局、家具など大物の仕分けが終わった所で1日が終わってしまった。
今の所、買い取りに出す物は無い。
持っていきさえすれば、買い取ってくれそうな物もあるけど、大物なので持っていくには一苦労で、それに対してもらえる対価が少なすぎるからだ。
当然、今日の報酬も0である
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