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僕の評価

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学院長は僕のこれからについて相談があるらしい

「これからについてですか?」
とりあえず聞き返す

「ああ、これまでは他の周りの生徒に危険が及ばないように色々と理由を付けて、君が攻撃魔法を使わないようにしてきた。心当たりはあるだろう?」

そういえば、戦闘を禁止されていた。
僕が年齢的に危険だという理由だと思っていたけど、周りの生徒が危険にならないようにだったようだ。

「そうですね。言われてみればそのようです。もしかして僕にもさっき言っていたスキルを使っていたんですか?僕が疑問に思わないように」
そうであれば、僕が自分の力に気づかずに生活してきたのも仕方ない。

「最初のうちだけね。途中から、君はスキルを使わなくても気づかないことがわかったから使うのをやめたよ。エレナちゃんに聞いていた通りだとわかったからね」

「どういうことですか?」
なんだかバカにされたようにも感じた。

「エルクは常識がズレてて鈍感ってことよ」
お姉ちゃんが答える

やっぱりバカにされていたようだ。しかしスキルを使われていないのに気付かなかったのは真実のようなので、反論することが出来ない

「そういうわけで君にはスキルを使っていなかったけど、周りには使わせてもらっていた。エレナちゃんだけでなく、サウス先生やシリウス先生にね。それから冒険者ギルドのカッシュくんにも使わせてもらった。こうでもしないと、みんながみんな君に力を隠すように動いてはくれなかったからね」
なるほど、カッシュさんも学院長のスキルの影響下にあったのか……。

「すみません、シリウス先生って誰ですか?」
僕は学院長に聞く。知らない名前が出てきたからだ

「君のクラスの担任の先生だよ」

そうだったんだ。言われてみれば名前を聞いたことがあるような、ないような……

「そうでしたね。忘れてました」

「それで今までは、自覚しないまま攻撃魔法を使われてしまうと、死者が出てしまう可能性があったからね。だから、そういった対応にさせてもらっていたけれど、これからは問題なく使ってもらってもいいかと思ってね。正直なところ、君達2人に授業で学んでもらいたいことは特にないんだよ。将来悪い道に進まないように、人との関わりや常識などを学んで欲しいと思って通ってもらっているだけだね。座学の方は別として、実技の方であれば2人とも今までの卒業生を入学時点で超えているから、訓練には参加しなくても卒業は出来るし、クラスもAのままだ。もちろん悪い成績を付けることもない。この事を踏まえた上で、訓練や対抗戦に参加するかを決めて欲しい」

「僕が自分の力を自覚したとしても、加減を間違えたりして間違いが起きてしまうこともあると思いますけど……」
手加減を間違えて攻撃を当ててしまえば、そのつもりがなくても殺してしまうかもしれない。
ほとんどないことだが、他の生徒の対抗戦であっても、魔法の当たりどころが悪ければ死んでしまうこともあるらしい。僕の場合はそうなる可能性がグッと上がる

「その説明をしていなかったね。対抗戦の時は、専門の職員が防護魔法を掛けることで、怪我をしにくくしている。もちろん防護魔法は絶対ではないから、命を落とすことも残念ながらなくはない。しかし、君の魔法には防護魔法が耐えられないことはわかっているからね。なので君の対戦相手には私が防護魔法を掛ける。そうすれば安心だ。エレナちゃんの試合の時にも同様の対処をしていた」

「学院長の防護魔法は僕の魔法でも壊れないんですか?」

「将来はどうなるかわからないけど、少なくても今は壊れることはないよ。そうだね、口で言ってもわからないと思うから、実際に見てもらった方がいいね」
そう言った学院長に連れられて、訓練場にやってきた。
貸し切っており、中には誰もいない。

学院長が魔力を溜めて、防護魔法を掛ける

「これで大丈夫だよ。万が一のことがあるといけないから、私の腕に攻撃してみてくれ。本気でいいよ」
学院長はそう言って右手を横に上げた。

「……とりあえず、少しずつ込める魔力を増やします」
大丈夫だと言われても、心配ではあるのでまずは手加減をして風魔法を使うことにする。
手加減をしたと言っても、ルインダンジョンの魔物を倒せる威力はある

風の刃は学院長の腕に当たるが、傷一つ付けることは出来なかった。

「このくらいならまだまだ壊れないよ。本気を出したところでかすり傷さえしないから気にしなくていいよ。それに万が一腕が切れて落ちたとしても、治癒魔法で自分で治せるから大丈夫だよ。私が治せなくても、即死じゃなければエレナちゃんが治してくれるだろうし、気にせずに打ってきなさい」

ここまで言われてしまうと、僕にもプライドがある。
確かにお姉ちゃんなら切れた腕もくっつける事が出来るはずだから、本気の本気でいって、少なくてもかすり傷くらいはつけてやる

僕は魔力を溜めに溜める。

『また※※をか※※』

限界近くまで魔力を溜めた時に不思議な声が聞こえた気がした。何と言っていたかは聞き取れなかった

僕は振り向くけど、誰もいなかった。
ここにはお姉ちゃんと学院長の3人しかいない

「エルク、どうしたの?」
お姉ちゃんに心配される

「なんでもないよ」
僕は答える。気のせいかな?

「いきます」
僕は声を掛けてから、限界近くまで溜めた魔力の魔法を学院長の右腕に当てる

残念ながらかすり傷さえつけることが出来なかった。
前にお姉ちゃんが学院長は僕達よりも強いと言っていた意味がよくわかった。

「なかなかの威力だね。でも熟練度が全然だ。総魔力の半分も制御出来ていないんじゃないかな?今のだと、エレナちゃんの半分の威力もないよ。でもこれでわかったかな?私が防護魔法を掛けていれば、君が対抗戦に参加しても安心だよ」

「ありがとうございます。よく分かりました。ちなみにですけど、僕とお姉ちゃんが戦ったらどっちが勝ちそうですか?」
学院長の言葉を聞いて気になってしまった。
前にお姉ちゃんから1対1なら負けないと言われた時は、お姉ちゃんにもプライドがあるんだと思ったけど……

「私は君が使えるスキルの全ては知らないからね。それを聞かないとなんとも言えないけど、私の知っている範囲で答えるなら、対抗戦で君が勝つことはないだろう。少なくても、エレナちゃんの水のバリアを破る事は出来ない。他の……そうだね、前にやったダンジョンを使ったタイムアタックとかなら君が勝つと思うよ」
お姉ちゃんのプライドとかではなくて、本当にお姉ちゃんに僕は勝てないようだ

「だから言ったでしょ。1番は私よ」
お姉ちゃんは自慢げに胸を張った。えへん!と聞こえるようだ

「そうだね、やっぱりまだお姉ちゃんには敵わないんだね」
とりあえず、お姉ちゃんといい勝負になると言われるくらいを目標にまずは頑張ろうと思う

「安心して戦える事はわかってくれたかな?それでこれからは対抗戦にも参加するかい?」
僕は考える。

「個人の対抗戦はこれから参加していきます。でもチーム戦の方は今まで通りで大丈夫です。チーム戦の時は今まで通りサポートに回ります」

ラクネやダイスくんと、どういう作戦で戦おうとか話して対決に挑んでいる今の状況に僕は満足している。2人には自分の力に気づいた事は話したから、2人の方から何か言ってこない限りは今のままでいい。

個人戦に関しては、中等部で勝ち続けて上位に入ると高等部の上位者と戦うことになるらしい。
親善試合の意味合いの方が強いけど、お姉ちゃんと正式に戦うことが出来るだろう。
勝ち負けに拘っているわけではないけど、勝てないと言われているのはなんだか悔しい。

「わかった。それで手配しておくよ」

「お願いします」

学院長は他に要件はないとのことで、部屋に戻っていった

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