イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で最強に・・・(旧:学園最強に・・・)

こたろう文庫

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ラクネの個人戦

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学内対抗戦の個人戦は基本休みの日に行われる。
他のクラスの生徒と試合をする事の方が多いのと、人数が多くて放課後だけでは追い付かないのが理由だ。

一般への公開はしていないが、教育の一環として生徒の観戦は認められている。

ラクネの相手は2年生の男の子だ。学内で対戦相手が組まれるので、上級生と試合をする事も多々あるようだ。
相手の男の子は、下級生相手に負けられないと気合が入っている。
体格的にも年齢的にもラクネが不利だが、逆に勝つことが出来ればかなり良い評価に繋がるだろう。

どちらも負けられない試合である

試合相手は当日まで知らされていないので、たまたま相手の事を知っていない限りは相手がどんな戦いを得意としているかはわからない。

昨日ラクネと作戦を練った。
作戦といっても、相手がわからないのでどうゆう展開が自分にとって有利かを一緒に考えた。

ラクネはまずは魔力を溜めながら相手の動きを見る。
魔法など遠距離戦を得意としているのか、剣術など近接戦を得意としているかを見る為だ。

相手も魔力を溜め始めた。
相手は魔法での遠距離戦を望んでいる可能性が高いな

ラクネは冷静に相手の魔法の発動まで魔力を溜め続ける。
ラクネの魔力が持つならばここは少しでも多くの魔力を溜めておいた方がいい。

相手は火球を飛ばしてきた。かなり大きいな。
ラクネは溜めた魔力を使って自分を囲うよう、ドーム状に土壁を作る。

火球は土壁に当たるが壊す事は出来ない。

「よし!」

壊れなかったのは、ドーム状にした事で衝撃が逃げやすくなっている為だ。

ここで壊れてしまったら、この後の展開は絶望的になっていた。
壁が壊れる事もそうだし、魔力をかなり消費してしまっている事もそうだ。何より、相手の魔法の方が数段威力が高いことになる。

相手は壁を壊そうと火球を当て続けるが、魔力を気にしてかさっきよりも威力が弱そうにみえる。

これは悪手だと思う。

このまま待っていても相手の魔力切れでラクネが勝ちそうだけど、勝利を確実にするためにラクネが動く。

相手を会場の壁に押しつぶすように土壁を新しく作って動かしていく。

相手は潰されないように走る。

昨日一緒に考えた作戦通りに試合が進んでいく。

上から見ているとラクネが何をしようとしているかが分かるけど、壁で視界が塞がれている相手はラクネの姿が見えていないだろう。

相手は押し潰そうとする壁をなんとか躱す。

そして、ラクネが最初に作ったドーム状の土壁を壊しにかかる。
相手は土壁に火球を当て続ける。
そして度重なる攻撃に耐え切れなくなり、土壁が遂に壊れた。

上から見ていた僕たち観客はわかっていたが、そこにラクネはいない。

ラクネは相手を押しつぶす為に土壁を作った際、同時に最初に作ったドーム状の土壁の一部に穴を開けてそこから抜け出していた。

押し潰そうとする壁に隠れて移動したラクネが現在どこにいるのか……それは相手の後ろだ。
ラクネの姿が無いことに驚き、動きが止まった相手を土魔法で拘束する。
そして、相手に降伏勧告をする。

本当の戦いであれば、拘束ではなく土弾を当てるべきだけど、これは試合なので出来る限り怪我をさせないように勝つことが求められる。

相手は降参した。

ラクネの勝利だ

ラクネが僕の方に手を振るので、僕も手を振りかえす。

試合を終えたラクネと合流する

「ありがとう、エルクくんのおかげで勝てたよ」
満面の笑みで報告してきた

「おめでとう。特訓は手伝ったけど、これがラクネの実力だよ」

「そんなことないよ……ドーム状にして力を分散させるとか、持久戦と思わせて後ろを取るとか私だけじゃ思いつかないもん」
作戦も一緒に考えたけど、実際に戦って勝ったのはラクネだし、ラクネが1人で作戦を考えたとしても勝ってた可能性は高い。

「ラクネは考えすぎだよ。買ったんだから素直に喜べばいいよ」

「そうかな?」

「そうだよ。せっかく勝ったんだからお祝いしようよ。どうせならリーナさんも呼ぼうか?高等部のチーム戦で勝ってたし」

「いいの?」

「もちろんだよ」

「それじゃあ、私の家に行こうか。お姉ちゃん休みだから帰ってると思う」

僕はラクネの家にお邪魔する

リーナさんは家にはおらず、僕達が家に入った後に帰ってきた。

「あ、お姉ちゃん。出掛けてたの?」

「あなたの試合を観に行ってたのよ。試合が終わった後に話しかけようと思ったけど、仲良さそうに話してたから、あなた達の後ろを歩いてたのよ。全然気づかないんだから」
そうだったのか、なんか恥ずかしいな

「これから、ラクネの勝利を祝うんです。リーナさんも一緒にどうですか?」

「いいのかしら?お邪魔じゃない?」

「もちろんです」
ラクネは何故か赤くなっている

僕達はラクネの部屋でお祝いをする。
ラクネにはバレているけど、リーナさんもいるので一応バックから出すフリをして、ケーキとジュースを取り出して切り分ける。

「それじゃあ、ラクネの対抗戦勝利を祝ってかんぱーい!」

お祝いを始める。

照れるラクネをリーナさんと2人で褒めちぎる。
ラクネの顔がどんどん赤くなっていくのが面白い

2人共ケーキを食べ終えているので、僕は新しいケーキを出しつつリーナさんに気になっていた事を聞くことにする。

「ケーキまだありますよ。どうぞ」

「ありがとう」
「頂くわ」

「リーナさんに聞きたいことがあったんです」

「何かしら?」

「前に高等部のチーム対抗戦を見に行ったんですけど、最後に戦っていたのはリーナさんですよね?」

「そうよ。魔法を掛けてもらってはいるけど、獣人だとどうしても何人かに絞られちゃうわよね。」
顔はわからなかったけど、やっぱりリーナさんだった。

「おめでとうございます。試合すごかったです」

「ありがとう」
リーナさんはそう言うけど、少し様子がおかしく見える

「あの、僕、同じチームの女の子にどこかで会ったことがあるような気がしてるんですけど、あの子が誰か教えてもらえませんか?」
僕はあの背の小さい女の子の事が気になっていた

「……それは言えないわ。ごめんね。その為にあの魔法を掛けてるのだし許してね。」
うーん、教えてもらえないようだ。
まあ簡単に教えてもらえるなら、確かに魔法で隠してる意味がなくなるか

「そうですか、わかりました。少し気になっただけなので大丈夫です」

「私もお姉ちゃんに聞きたいことがあったの」
ラクネもリーナさんに聞きたいことがあったようだ

「何かしら?」

「お姉ちゃん、あんなにスゴい魔法使えたの?スゴすぎて信じられないよ」

「あれは、同じチームの子の協力を得て発動しているのよ。私1人では無理よ」

「そうなんだ。それでもあれだけの魔法を制御したんだからお姉ちゃんはスゴいよ」

「ありがとう」

「くすぐったいよぉー」
リーナさんはラクネの髪をくしゃくしゃにしながら答えた。
羨ましい。

僕もなんとかこの流れに乗ることが出来ないだろうか……
この時の僕の心は、背の小さい女の子からラクネの獣耳にシフトしていた。
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