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遺跡調査

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最寄りの村からしばらく歩いて、やっと遺跡に到着した。
ギルドで聞いてたよりも遠かったな。

遺跡って聞いてたから勝手にピラミッドみたいな建造物を想像していたけど、あったのは地下への入り口だった。

入り口は土で隠れていて探すのに苦労した。
サーチのスキルで階段を見つけれたからよかったけど、遺跡に入ることも出来ずに依頼失敗するところだった

隠れていたから今まで未発見だったのだろうけど、それならそれで先に説明しておいて欲しかった。

ここがたまたまなのかも知れないけど、ダンジョンの入り口みたいだな

僕は遺跡の中に入る

「マップはちゃんと機能してるな。これなら最後に紙に写せばいいから地図の作成は狙い通り楽出来そうだな」

地図を作成する為に僕は遺跡の隅々まで歩く。

罠は今のところないみたいだ。
魔物が住み着いているようで、スライムとゴブリンを見つけた。
サーチも機能してくれているので、出来るだけ戦闘は回避する。
スライムとゴブリンくらいなら多分勝てるけど、疲れるし無理はしない

マップを埋めながら進む為、思ったよりも時間が掛かる。

地下3階の途中で本日は切り上げることにする

村まで戻って宿屋に泊まろうと思ったけど、この村には宿屋はないらしい。

どうしよう……。クラリスさんは村に小さいけど旅人用の宿屋があるって言ってたのに。
潰れちゃったのかな…

僕が村長さんに頼み込んだところ、空き家を貸してくれた。村を出るまで使っていいそうだ。
ありがたい。

村長さんに聞いたところ、この村は以前はもう少し栄えていたそうだけど、10年程前から管理している領主様の家の権威が落ちてきて、この村にも影響が出ているらしい。
若者は村を離れて過疎化が進んでいるようだ。

原因がこの村ではなく、上の貴族様なのでどうしようもないみたいだ。


僕は貸してもらった空き家を軽く風魔法で掃除してから休む。

翌日も遺跡の調査に向かう

地下5階からはスライムがいなくなって、代わりにオークが住み着いていた。

オークも倒したことがあるので大丈夫だろう。
基本は戦わずに逃げるけど……

地下6階までマップが出来た所で外に出る。

何階まであるんだろう?
帰りの時間を考えると遅くても明後日には帰らないといけない

空き家に泊まって、翌日

地下10階までマップを埋める
そして目の前には大きな扉がある

罠は無いようなので、そっと扉を少しだけ開けて中をうかがう。

「オーガだ。前見たやつと色が違って赤色だけど…」

まだ僕のことには気づいていないようなので、一旦扉を閉める。

サーチでこの部屋の奥に階段の反応があるからまだ先がありそうだよね。

時間もいいくらいだろうからここまでにしようかな。
オーガは見た目が怖いし。前にクラリスさんもオーガからは逃げろって言ってたからね。

10階分の地図があれば馬車代を引いてもお金が減ることはないだろう。
一応、宝箱も2個だけど見つけたし、中身はよくわからない本と錆びた剣だったけど……。

僕は調査をここで止めることにする。

遺跡の中でマップの情報を紙に写しながら空き家に帰ることにする

マップのスキルは今いる所しか見れないのが不便だ。

外では使えないし、地下10階にいるときは、地下10階のマップしか見れない。
僕のスキルの創り方が良く無かったのかもしれない。
これはダンジョンでも同じだった。

普通は少しづつ紙に書きながら進むんだし、それに比べれば全然いいけど

翌日、村長さんにお礼を言ってから馬車を待つ。
馬車は明日には着く予定だし来週の授業には予定通り間に合うな。

馬車に乗ると、行きでも会った女の子が乗っていた。
向こうも僕に気づいたようなので隣に座る

「偶然だね」

「うん…」
なんだか元気が無いようだ

「元気ないみたいだけど、何かあったの?」

「うん…ううん。なにもないよ」
何かあったみたいだけど言いたくないみたいだ。
行きの時もなんだか様子がおかしかったからね…

「……お菓子食べる?」
僕はクッキーを取り出す。バタークッキーとチョコチップ入りだ。
言いたくないなら無理には聞かないことにする。

甘いものでも食べて、少しでも元気が出ればいいけど……

僕がクッキーを渡そうとすると、馬車の入り口の方が騒がしくなる
護衛の人達だ

「坊主、俺の仲間が世話になったようだな。礼を言う」
護衛の男の人が近づいてきてお礼を言われる

この人は知らないけど、他の護衛の人達は行きの馬車でも護衛をしてくれた人達だ。

「いえ、僕は怪我を治しただけで、助けてもらったのは僕の方です。あの人達が守ってくれなかったら死んでたかも知れません」

「それが俺達の仕事だから気にするな!それより美味そうなもん持ってるな、俺にも分けてくれないか?小腹が空いちまってな。」

「もちろんいいですよ。こっちがバターでこっちがチョコチップです。たくさんあるので仲間の方と食べて下さい」

僕はクッキーを袋に入れて渡す

「こんなにいいのか?ありがとう、頂くよ」

「命を助けてもらっているので、こんなもので悪いくらいですよ。足りなかったら言ってください」

「ありがとな」
男の人は戻って行った

「はい、クッキー。食べるよね?」
僕は女の子にクッキーを渡す

女の子は食べていいのか迷いながらも、何故か護衛の人達を見てから食べ始めた。

女の子も護衛の人に助けられたので、先に食べていいのかと思ったのかもしれない。
違う気がするけど、他に考えられないし……まあ、いいや

「…おいしい。ありがとう」

「まだあるから、欲しくなったら遠慮なく言ってね」

「うん…」
流石にお菓子食べたくらいでは元気にはならないか

馬車がしばらく進んだところでまた盗賊が現れた。
しかも今度は盗賊の数が30人はいる。もっとかも
ここ盗賊多すぎない?
今度こそ死んだかも……

「やっぱり……ごめんなさい」
女の子の様子がさらにおかしくなる。何故か僕は謝れる。
何故かわからないけど、今は気にしている場合じゃない。

僕に出来る事は変わらないので、護衛の5人に身体強化魔法とシールドを掛けて馬車の中で縮こまって震える。

外で激しい戦闘の音が続いた後、静かになった。

僕はゆっくりと顔を上げる

「全員無事か?」

すごい!あんなにいた盗賊に勝ったんだ!
ベテラン冒険者ってこんなに強いんだ
全く怪我してないし、さっきのリーダーの人が強すぎるんだ。

僕はリーダーの強さに感動する

隣の女の子はホッとしているようだけど、まだ元気はないままだ。
今は歓喜してもいいくらいの状況なのに、何がこの子をこんなに悩ませているのだろうか?

馬車は異様な空気に包まれたまま動き始める

僕は女の子と他愛のない話をする。

あまり盛り上がりはしないけど、女の子も悩んでいることを隠そうとしている為か話にはのってくる。

「遺跡に行ってたんだよね?何かお宝はあった?」
話の流れで遺跡について聞かれた

「よくわからない本が1冊と錆びた剣だけかな。地図は結構書けたから少しは儲けが出ると思う」

「そうなんだ。よくわからない本って何?」

「タイトルも書いてない本が宝箱に入ってたんだよ。これ」
僕は女の子に本を見せる

「中見てもいい?」

「いいよ。面白いものじゃないと思うけど」
僕は本を渡す

女の子が本をパラパラと捲ると、急に本から光が出てきて女の子に吸い込まれた。
本も消えた

護衛の人達がこっちに走ってきて、周りの乗客がこっちを見る。

「え…ご、ごめんなさい。私、知らなくて……」
女の子に謝られる。

「大丈夫ですか?」
護衛のリーダーの人が女の子に確認する

「わ、わたしは、大丈夫です。でも、本が……そんな……」
女の子は本が何かわかったのかな?すごく動揺している

「あの本が何かわかったの?」
僕は顔に出さないようにしていたけど、内心動揺していた。ヤバい!
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