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第三部 宰相閣下の婚約者
777 銀の骸と向き合う覚悟(4)
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鉱山の毒が原因となった公害病は、他の四大公害病、すなわち工場排水が劇症に直結したメチル水銀中毒や、大気汚染よる集団喘息障害に比べると症状の悪化が緩やかだった。
そのため被害の広がりがより潜在化し、社会問題として発覚するのが大きく遅れた。
恐らくそれは、アルノシュト伯爵領の鉱山周辺においても、同じ道を辿っていたのだ。
「呪いと言うのは我々医療従事者からするともちろん眉唾な話だと思うし、それを声高に叫べと言うならそれもやぶさかではないが……感染性がないと言うのも、間違いないのだろうか?」
風評被害を抑えて欲しいと呻いた私の声を耳にしたガールシン医局長が、大事なことだと言わんばかりにこちらに確認をしてくる。
エドヴァルドの服の袖をギュッと握りしめたまま、私は何とか首を縦に振って、それを肯定した。
「不適切な採掘で流れ出た有毒成分が、作物や飲料水を汚染したんです。その成分は、何よりもまず骨を脆くします。それから身体の機能のあらゆるところを壊していくんです。だから感染じゃないんです。土壌と水場が改善されるまでは、そこに住んではいけないんです。何故なら口にするあらゆる物が、遅効性の毒と化しているから」
「……っ」
医局長が息を呑み、先刻コップ一杯とは言え水を飲み干したエドヴァルドのこめかみがわずかに動く。
ファルコは私の言葉には直接反応をしなかった代わりに、ただ強く拳を握りしめていた。
「遅効性、とは? 具体的にはどのくらいの量で症状となって表れるものなのだろうか?」
「それは……口にした当人の体質によるんじゃないでしょうか。それまでに持病があれば更に個人差が大きくなる気もしますし……」
真摯と言うよりも悲愴と言った方がいいかも知れない医局長の表情を見ていると、ただ「分からない」で済ますことはとても出来なかった。
「あっ、あの、ホントにコップ一杯では何ともないですから……」
ただ、それだけは私にも分かっているので、医局長と言うよりは、エドヴァルドの方を向いてそこは力説をしておく。
エドヴァルドは、一瞬だけこちらを向いて僅かに目元をほころばせたものの、口に出してはなにも言わなかった。
宰相として、公爵として、決して安堵したとは言えなかったのかも知れない。
「レイナ……貴女が元いた国で同じ症状の病人を見たことがあると言うのは、よく分かった。では、治療法や薬についての情報を尋ねるのは……酷な話になるか?」
「エドヴァルド様……」
私は大学で経済を学ぼうとしていた人間であって、医学や薬学を学ぼうとしていたわけではなかった。
エドヴァルドも、私が医学や薬学に関しては門外漢だと察した上で、なるべく罪悪感を持たないように、そんな聞き方をしてくれたに違いなかった。
「その……私が医療従事者じゃないと言うことを抜きにしても、技術的に難しいことが山積しているのは間違いないです……」
キレート剤の投与による鉱毒の体外排出促進、ビタミンD2やD3の接種による低カルシウム、低蛋白状態の体質改善……などと、とても説明出来た代物ではないし、何ならビタミンの抽出方法すらさっぱり分からない。
思いつくとしたら、食品経由での栄養摂取と言うことくらいだ。
「食品……?」
「レイナ?」
ネットでパパっと確認出来ないことがもどかしくて仕方がない。受験勉強の延長で補足資料に目を通した記憶を引っ張りだすことしか出来ないのだ。
ビタミンD2はキノコ、とりわけシイタケやマイタケ、霊芝に紫外線をあてたり熱を加えたりすることで変化するんじゃなかっただろうか?
ビタミンD3は半乾燥のシラスや生のイクラ、焼き紅鮭に多く含まれて……いたような。
キレート剤は、金属を溶出しやすくするキレート効果があると言う意味での名称でしかなく、実際にはアミノ酸の一種であるグリシンの成分を利用していたはずで――
「グリシン……湿疹や皮膚炎、肝機能回復、だよね? 確か内蔵成分が豊富なのは魚介類……ほたて、かに、えび……って、ホタテ!?」
最後いきなり声を荒げてしまった私に、その場にいた皆が驚いたようにこちらをガン見した。
「エドヴァルド様!」
「あ、ああ」
「本来は症状を悪化させない、あるいは予防のための成分なんです。即効性は一切ありませんし、煮ればいいのか焼けばいいのか、蒸せばいいのかも分かりません。単なる気休めでしかないのかも知れません。ですが――」
「カトル・アルノシュトの症状悪化を防げるかも知れない食材がある、と?」
エドヴァルドは、私がぶつぶつとキノコや魚介類の名前を隣で呟くのが嫌でも耳に入ったんだろう。
私の言いたいことにあたりをつけるのは、容易かったようだ。
「今回の漁場投資詐欺の責任を取って貰う形で、ナルディーニ侯爵家でもコンティオラ公爵家でもいいんですけど、鉱毒の症状改善の研究のために、ほたて筆頭に素材の永年無料提供をして貰うのはどうですか?」
「ジェイが鉱毒に冒された人々の症状改善に役立つのか」
「あくまで記事――文献で目にしただけなので、確実に効果があるとは断言出来ません。これからの研究になると思います」
何なら殻を砕いて土に撒く実験だって、してもいいのかも知れない。
カトルの居た村は、既にカトル以外全ての人間がこの世を去ってしまった。
それ以前、川の上流に住まう人々も、ファルコの姉同様に、間に合わなかった。
けれど今年の報告書から名前の出て来た村ならば。あるいは、その下流の村ならば。
「本来であれば、アルノシュト伯爵領が発端の話だ。咎を負うのであれば、真っ先に私であらねばならない筈だ。だが――」
「エドヴァルド様……もう、ヤーデルード鉱山を始めイデオン公爵領の外の鉱山にも調査を依頼して、土壌改善の研究をギーレンの王立植物園にも持ち掛けています。ほたても役に立つかも知れません。間に立って、これらを繋いで貰うのがエドヴァルド様のお役目――では、いけませんか?」
仲立ちと交渉も、存外骨の折れる仕事だ。三国会談だって控えている。
エドヴァルドが背負うものとて、決して軽いものではない。
「レイナ……」
眉根を寄せるエドヴァルドの表情は、決して納得のいっているものではない。
鉱毒混じりの水を、何の躊躇もなく飲み干したくらいには、彼は罪悪感を抱えている。
私とファルコが、それまでずっとエドヴァルドの関与を阻んできたがために、尚更。
だけど私の名前を呼びはしたものの、私が折れないと言うことにも気が付いたんだろう。
何とも言えないと言わんばかりの表情と、その視線を、今度はファルコの方へと向けていた。
「ファルコ」
「……っ」
カトルの方に視線を固定させたままのファルコは、返事の代わりにビクリと肩を震わせていた。
こればかりは、私にも口は挟めない。
かつて姉を亡くし、公爵領を束ねる者としてのエドヴァルドを恨む気持ちを抱えたまま、ここまで来ていたのだ。
もしかしたら、私と言う緩衝材が入ることでその気持ちが解けようとしているのかも知れない。けれどそれは、私が確認したり強要したりすることじゃない。
ファルコが決断し、エドヴァルドが受け止めなければならないことなのだ。
だからエドヴァルドは待っている。
――ファルコの口から、語られる言葉を。
そのため被害の広がりがより潜在化し、社会問題として発覚するのが大きく遅れた。
恐らくそれは、アルノシュト伯爵領の鉱山周辺においても、同じ道を辿っていたのだ。
「呪いと言うのは我々医療従事者からするともちろん眉唾な話だと思うし、それを声高に叫べと言うならそれもやぶさかではないが……感染性がないと言うのも、間違いないのだろうか?」
風評被害を抑えて欲しいと呻いた私の声を耳にしたガールシン医局長が、大事なことだと言わんばかりにこちらに確認をしてくる。
エドヴァルドの服の袖をギュッと握りしめたまま、私は何とか首を縦に振って、それを肯定した。
「不適切な採掘で流れ出た有毒成分が、作物や飲料水を汚染したんです。その成分は、何よりもまず骨を脆くします。それから身体の機能のあらゆるところを壊していくんです。だから感染じゃないんです。土壌と水場が改善されるまでは、そこに住んではいけないんです。何故なら口にするあらゆる物が、遅効性の毒と化しているから」
「……っ」
医局長が息を呑み、先刻コップ一杯とは言え水を飲み干したエドヴァルドのこめかみがわずかに動く。
ファルコは私の言葉には直接反応をしなかった代わりに、ただ強く拳を握りしめていた。
「遅効性、とは? 具体的にはどのくらいの量で症状となって表れるものなのだろうか?」
「それは……口にした当人の体質によるんじゃないでしょうか。それまでに持病があれば更に個人差が大きくなる気もしますし……」
真摯と言うよりも悲愴と言った方がいいかも知れない医局長の表情を見ていると、ただ「分からない」で済ますことはとても出来なかった。
「あっ、あの、ホントにコップ一杯では何ともないですから……」
ただ、それだけは私にも分かっているので、医局長と言うよりは、エドヴァルドの方を向いてそこは力説をしておく。
エドヴァルドは、一瞬だけこちらを向いて僅かに目元をほころばせたものの、口に出してはなにも言わなかった。
宰相として、公爵として、決して安堵したとは言えなかったのかも知れない。
「レイナ……貴女が元いた国で同じ症状の病人を見たことがあると言うのは、よく分かった。では、治療法や薬についての情報を尋ねるのは……酷な話になるか?」
「エドヴァルド様……」
私は大学で経済を学ぼうとしていた人間であって、医学や薬学を学ぼうとしていたわけではなかった。
エドヴァルドも、私が医学や薬学に関しては門外漢だと察した上で、なるべく罪悪感を持たないように、そんな聞き方をしてくれたに違いなかった。
「その……私が医療従事者じゃないと言うことを抜きにしても、技術的に難しいことが山積しているのは間違いないです……」
キレート剤の投与による鉱毒の体外排出促進、ビタミンD2やD3の接種による低カルシウム、低蛋白状態の体質改善……などと、とても説明出来た代物ではないし、何ならビタミンの抽出方法すらさっぱり分からない。
思いつくとしたら、食品経由での栄養摂取と言うことくらいだ。
「食品……?」
「レイナ?」
ネットでパパっと確認出来ないことがもどかしくて仕方がない。受験勉強の延長で補足資料に目を通した記憶を引っ張りだすことしか出来ないのだ。
ビタミンD2はキノコ、とりわけシイタケやマイタケ、霊芝に紫外線をあてたり熱を加えたりすることで変化するんじゃなかっただろうか?
ビタミンD3は半乾燥のシラスや生のイクラ、焼き紅鮭に多く含まれて……いたような。
キレート剤は、金属を溶出しやすくするキレート効果があると言う意味での名称でしかなく、実際にはアミノ酸の一種であるグリシンの成分を利用していたはずで――
「グリシン……湿疹や皮膚炎、肝機能回復、だよね? 確か内蔵成分が豊富なのは魚介類……ほたて、かに、えび……って、ホタテ!?」
最後いきなり声を荒げてしまった私に、その場にいた皆が驚いたようにこちらをガン見した。
「エドヴァルド様!」
「あ、ああ」
「本来は症状を悪化させない、あるいは予防のための成分なんです。即効性は一切ありませんし、煮ればいいのか焼けばいいのか、蒸せばいいのかも分かりません。単なる気休めでしかないのかも知れません。ですが――」
「カトル・アルノシュトの症状悪化を防げるかも知れない食材がある、と?」
エドヴァルドは、私がぶつぶつとキノコや魚介類の名前を隣で呟くのが嫌でも耳に入ったんだろう。
私の言いたいことにあたりをつけるのは、容易かったようだ。
「今回の漁場投資詐欺の責任を取って貰う形で、ナルディーニ侯爵家でもコンティオラ公爵家でもいいんですけど、鉱毒の症状改善の研究のために、ほたて筆頭に素材の永年無料提供をして貰うのはどうですか?」
「ジェイが鉱毒に冒された人々の症状改善に役立つのか」
「あくまで記事――文献で目にしただけなので、確実に効果があるとは断言出来ません。これからの研究になると思います」
何なら殻を砕いて土に撒く実験だって、してもいいのかも知れない。
カトルの居た村は、既にカトル以外全ての人間がこの世を去ってしまった。
それ以前、川の上流に住まう人々も、ファルコの姉同様に、間に合わなかった。
けれど今年の報告書から名前の出て来た村ならば。あるいは、その下流の村ならば。
「本来であれば、アルノシュト伯爵領が発端の話だ。咎を負うのであれば、真っ先に私であらねばならない筈だ。だが――」
「エドヴァルド様……もう、ヤーデルード鉱山を始めイデオン公爵領の外の鉱山にも調査を依頼して、土壌改善の研究をギーレンの王立植物園にも持ち掛けています。ほたても役に立つかも知れません。間に立って、これらを繋いで貰うのがエドヴァルド様のお役目――では、いけませんか?」
仲立ちと交渉も、存外骨の折れる仕事だ。三国会談だって控えている。
エドヴァルドが背負うものとて、決して軽いものではない。
「レイナ……」
眉根を寄せるエドヴァルドの表情は、決して納得のいっているものではない。
鉱毒混じりの水を、何の躊躇もなく飲み干したくらいには、彼は罪悪感を抱えている。
私とファルコが、それまでずっとエドヴァルドの関与を阻んできたがために、尚更。
だけど私の名前を呼びはしたものの、私が折れないと言うことにも気が付いたんだろう。
何とも言えないと言わんばかりの表情と、その視線を、今度はファルコの方へと向けていた。
「ファルコ」
「……っ」
カトルの方に視線を固定させたままのファルコは、返事の代わりにビクリと肩を震わせていた。
こればかりは、私にも口は挟めない。
かつて姉を亡くし、公爵領を束ねる者としてのエドヴァルドを恨む気持ちを抱えたまま、ここまで来ていたのだ。
もしかしたら、私と言う緩衝材が入ることでその気持ちが解けようとしているのかも知れない。けれどそれは、私が確認したり強要したりすることじゃない。
ファルコが決断し、エドヴァルドが受け止めなければならないことなのだ。
だからエドヴァルドは待っている。
――ファルコの口から、語られる言葉を。
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