675 / 803
第三部 宰相閣下の婚約者
685 忘れじの膝枕
しおりを挟む
呼吸もままならないほどの口づけを繰り返されて、時間の間隔も何もかもが吹き飛んだ。
「……座ろうか」
確かにそんな声を聞いた筈で、だからこそ声は出せないまでも、頷いた筈だった。
それが。
「ぴゃっ⁉︎」
「寝台に横になると誤解を招くからな。代わりにしばらくこうしていたい」
……それから、ゆっくりとソファに腰を下ろした筈で。
気付けば何故か膝、と言うか太腿の上にエドヴァルドの頭。
世に言う膝枕。
ちょっと待って⁉︎
何がどうして、こうなった!
「あああのっ、エドヴァルド様⁉︎」
「…………」
「っ! ル、ルド!」
「……どうした?」
「いやっ、どうした? じゃなくて……っ」
目は閉じたまま、クスリとエドヴァルドが笑ったように見えた。
「……恋人同士とかだと一緒に横になったり、どちらかが膝枕をして、交流を深めたりする――だったか? 以前に言っていただろう」
「え⁉ それ……は……」
それはまだ、この世界に来て二か月も経っていなかった頃に、ヨンナはじめ侍女'ズとピクニックをした時に言った言葉だ。
あれからヨンナたちとはリベンジピクニックをしたものの、エドヴァルドとはすっかりうやむやになっていた。
ひとえに、膝枕のことを聞かれても困ると思ったからだ。
膝枕の何たるかは、リベンジピクニックの際に侍女'ズと話はしたけれど。
どこから洩れた。まさか、また参加出来なかったセルヴァンのプチ復讐がさく裂したのか。
「今度はセルヴァンとユーハンと〝鷹の眼〟とかでやった方がいいのかな……」
「何の話だ」
「いえっ、なんでも⁉」
「レイナ」
「ひゃいっ」
「ぴくにっくとやらは、いつやってくれるんだ?」
「いや、ちゃんと聞いてるし!」
うっかりツッコミを入れてしまったところで、エドヴァルドは左腕を瞼の上に乗せた状態で、くつくつと低く笑っていた。
「そうだな……いっそ、きゃんぷとやらとまとめてやるか?」
「え、いいんですか⁉ シャーリー……ボードリエ伯爵令嬢を誘うつもりだったんですけど」
シャルリーヌもキャンプ自体にあまりいい思い出はないようはことは言っていたけど、イデオン邸で私とやるのなら……くらいの感触はあったから、いずれ計画を立てようとは思っていたのだ。
「やったことがないことをやりたいのなら、まずは私に声をかけてくれないか。何にせよ、貴女の『初めて』を譲りたくはない」
「……っ」
どうやらヨンナたちと先んじて「ピクニック」をしたことに、拗ねているのはこちらも同じだったらしい。
って言うか、言い方!
「ぴくにっくはもう仕方がないとして、きゃんぷはまだなんだろう? 確かに私は今は身動きが取れないし、やれるとしても三国会談の後以降になるだろうが、せめてそれまでは待ってくれないか?」
「……ルド……」
うっかり「エドヴァルド様」と言いかけて、空気ごと言葉を呑み込んでから言い直した。
「レイナ」
「はい」
「膝枕は……もう、誰かとやったのか?」
顔の上に手が置かれたままで、エドヴァルドの表情がよく見えない。
ただ、答えずにはいられない空気はひしと感じたので、私は小さく首を横に振ってから、口を開いた。
「……誰も。そもそもピクニック自体、私の居た国では家族とか恋人とか、ごく親しい人と行くと言う認識ですし。そう言う意味では、誰も」
お弁当を持って出かけると言う意味では、幼稚園や小学校あたりは「遠足」として、それに近いイベントはあったはずだけど、ピクニックかと言われれば、厳密には違う気がするからだ。
「私の膝は……ルドに初めて貸しました」
「…………そうか」
腕の下から見える口元が、わずかに綻んだ。そんな気がした。
「ではこれからも、誰にも貸さないでくれ」
はい、と頷く以外に果たして言えることがあっただろうか。
「このまま、少し休んでも構わないか? 貴女も色々あっただろうし、疲れているとは思うんだが……」
「あっ、はい、どうぞ! えっと……寝にくくなければ……」
「いや……こんなに落ち着くものだとは……思わなかった……」
そう言ったきり、エドヴァルドからの反応が返らなくなった。
どうしたことかと見下ろしていると、すぅ……と、静かな寝息すら聞こえてきて、私は心底驚かされてしまった。
誰かに膝を貸したことはもちろん、誰かに膝枕をしてもらったことすらない私としては、この体勢で眠ることが出来るのかと、斬新な驚きがあったのだ。
……いつか逆のパターンを頼んでみても良いんだろうか……
詳細は分からないまでも「疲れ果てた」と本人が言っていたので、今日は余計なことは聞かない方が良いのかも知れないとは思っているけれど。
これ、寝返りとか打つようならどうしたら良いんだろう……とか、あらぬ心配をしながら見守っている間に、そこそこの時間は経っていたのかも知れない。
やがて、部屋の入口の扉が軽く叩かれる音が聞こえた。
「あっ、はい、どうぞ」
こればっかりは、起こしてしまったとしても不可抗力だろう。
私としても、返事はせざるを得なかった。
「……ん……」
「っ⁉」
ただ、そこで寝返りを打ったエドヴァルドに腰から抱きつかれてしまったのが全くの想定外で、私は声にならないまでも小さな悲鳴を上げてしまった。
「ル……エドヴァルド様! そろそろ――」
「…………レイナちゃん?」
時すでに遅し。
エドヴァルドが目を覚ますよりも早く、イル義父様が扉を開けて、中に入って来てしまっていた。
「……随分斬新な休憩の仕方だ」
「!」
そう言えば「おかしな声がしたら出禁」って言い渡していたと聞いたような。
今のはカウントされないよね⁉ とばかりに、私は慌てて両手を横に振った。
「ええっとですね、イル義父様! これは『膝枕』と言いまして、私の居た国で家族とか恋人限定で寛いで過ごす姿勢と言うか……いざ説明して実践したら、ことのほか気に入ったみたいと言うか……?」
「……ひざまくら」
「その、今度詳しく説明しますので、ぜひエリィ義母様ともこのように過ごしてみて下さい!」
「レイナちゃんの国の習慣……」
「ええっと、抱きつくのはちょっと違うかも知れません……」
「……なるほど」
納得いったのかいってないのか、すん……と無表情になったイル義父様は、歩きながら手近にあった薄めの本を手に取ると、それをおもむろにエドヴァルドに向かって投げつけていた。
「⁉ イ、イル義父様⁉」
「途中からもう起きてたくせに往生際が悪いぞ、エドヴァルド。私ですらエリィとしていないようなことを満喫しておいて、ふざけるなよ」
「……っ」
ちっ、と気のせいじゃなく舌打ちが聞こえた。
私の膝の上で。
「……それは確実に八つ当たりだろう、イル」
「それがどうした。ただでさえ、時間もエリィも足りなかったんだ」
「…………」
どこかで聞いたようなセリフを吐く義父に、エドヴァルドが沈黙している。
そしてやがて諦めたように身体を起こすと、気だるげに髪をかき上げていた。
……勘弁して下さい、色気が駄々洩れです。
「夕食をとらずにもう少し互いに補充していても良かったが、それではエリィとレイナちゃんが、あんまりだ。諦めて食堂へ来い」
「…………承知した。話しておきたいこともあるしな」
「忘れていなかったのなら、何よりだ」
そう言ってイル義父様は身を翻さ――なかった。
多分、そうしたらエドヴァルドが来ないと思ったのかも知れない。
本当に観念したエドヴァルドが立ち上がって、私にエスコートの手を差し伸べてくれるまで、イル義父様はそこから動かなかった。
「エリィは先に食堂に案内しておいたよ。あまり待たせると寂しがらせてしまう。さ、行こうか」
「「…………」」
この邸宅の主はイル義父様だ。
私もエドヴァルドも、そこは素直に従うことにした。
「……座ろうか」
確かにそんな声を聞いた筈で、だからこそ声は出せないまでも、頷いた筈だった。
それが。
「ぴゃっ⁉︎」
「寝台に横になると誤解を招くからな。代わりにしばらくこうしていたい」
……それから、ゆっくりとソファに腰を下ろした筈で。
気付けば何故か膝、と言うか太腿の上にエドヴァルドの頭。
世に言う膝枕。
ちょっと待って⁉︎
何がどうして、こうなった!
「あああのっ、エドヴァルド様⁉︎」
「…………」
「っ! ル、ルド!」
「……どうした?」
「いやっ、どうした? じゃなくて……っ」
目は閉じたまま、クスリとエドヴァルドが笑ったように見えた。
「……恋人同士とかだと一緒に横になったり、どちらかが膝枕をして、交流を深めたりする――だったか? 以前に言っていただろう」
「え⁉ それ……は……」
それはまだ、この世界に来て二か月も経っていなかった頃に、ヨンナはじめ侍女'ズとピクニックをした時に言った言葉だ。
あれからヨンナたちとはリベンジピクニックをしたものの、エドヴァルドとはすっかりうやむやになっていた。
ひとえに、膝枕のことを聞かれても困ると思ったからだ。
膝枕の何たるかは、リベンジピクニックの際に侍女'ズと話はしたけれど。
どこから洩れた。まさか、また参加出来なかったセルヴァンのプチ復讐がさく裂したのか。
「今度はセルヴァンとユーハンと〝鷹の眼〟とかでやった方がいいのかな……」
「何の話だ」
「いえっ、なんでも⁉」
「レイナ」
「ひゃいっ」
「ぴくにっくとやらは、いつやってくれるんだ?」
「いや、ちゃんと聞いてるし!」
うっかりツッコミを入れてしまったところで、エドヴァルドは左腕を瞼の上に乗せた状態で、くつくつと低く笑っていた。
「そうだな……いっそ、きゃんぷとやらとまとめてやるか?」
「え、いいんですか⁉ シャーリー……ボードリエ伯爵令嬢を誘うつもりだったんですけど」
シャルリーヌもキャンプ自体にあまりいい思い出はないようはことは言っていたけど、イデオン邸で私とやるのなら……くらいの感触はあったから、いずれ計画を立てようとは思っていたのだ。
「やったことがないことをやりたいのなら、まずは私に声をかけてくれないか。何にせよ、貴女の『初めて』を譲りたくはない」
「……っ」
どうやらヨンナたちと先んじて「ピクニック」をしたことに、拗ねているのはこちらも同じだったらしい。
って言うか、言い方!
「ぴくにっくはもう仕方がないとして、きゃんぷはまだなんだろう? 確かに私は今は身動きが取れないし、やれるとしても三国会談の後以降になるだろうが、せめてそれまでは待ってくれないか?」
「……ルド……」
うっかり「エドヴァルド様」と言いかけて、空気ごと言葉を呑み込んでから言い直した。
「レイナ」
「はい」
「膝枕は……もう、誰かとやったのか?」
顔の上に手が置かれたままで、エドヴァルドの表情がよく見えない。
ただ、答えずにはいられない空気はひしと感じたので、私は小さく首を横に振ってから、口を開いた。
「……誰も。そもそもピクニック自体、私の居た国では家族とか恋人とか、ごく親しい人と行くと言う認識ですし。そう言う意味では、誰も」
お弁当を持って出かけると言う意味では、幼稚園や小学校あたりは「遠足」として、それに近いイベントはあったはずだけど、ピクニックかと言われれば、厳密には違う気がするからだ。
「私の膝は……ルドに初めて貸しました」
「…………そうか」
腕の下から見える口元が、わずかに綻んだ。そんな気がした。
「ではこれからも、誰にも貸さないでくれ」
はい、と頷く以外に果たして言えることがあっただろうか。
「このまま、少し休んでも構わないか? 貴女も色々あっただろうし、疲れているとは思うんだが……」
「あっ、はい、どうぞ! えっと……寝にくくなければ……」
「いや……こんなに落ち着くものだとは……思わなかった……」
そう言ったきり、エドヴァルドからの反応が返らなくなった。
どうしたことかと見下ろしていると、すぅ……と、静かな寝息すら聞こえてきて、私は心底驚かされてしまった。
誰かに膝を貸したことはもちろん、誰かに膝枕をしてもらったことすらない私としては、この体勢で眠ることが出来るのかと、斬新な驚きがあったのだ。
……いつか逆のパターンを頼んでみても良いんだろうか……
詳細は分からないまでも「疲れ果てた」と本人が言っていたので、今日は余計なことは聞かない方が良いのかも知れないとは思っているけれど。
これ、寝返りとか打つようならどうしたら良いんだろう……とか、あらぬ心配をしながら見守っている間に、そこそこの時間は経っていたのかも知れない。
やがて、部屋の入口の扉が軽く叩かれる音が聞こえた。
「あっ、はい、どうぞ」
こればっかりは、起こしてしまったとしても不可抗力だろう。
私としても、返事はせざるを得なかった。
「……ん……」
「っ⁉」
ただ、そこで寝返りを打ったエドヴァルドに腰から抱きつかれてしまったのが全くの想定外で、私は声にならないまでも小さな悲鳴を上げてしまった。
「ル……エドヴァルド様! そろそろ――」
「…………レイナちゃん?」
時すでに遅し。
エドヴァルドが目を覚ますよりも早く、イル義父様が扉を開けて、中に入って来てしまっていた。
「……随分斬新な休憩の仕方だ」
「!」
そう言えば「おかしな声がしたら出禁」って言い渡していたと聞いたような。
今のはカウントされないよね⁉ とばかりに、私は慌てて両手を横に振った。
「ええっとですね、イル義父様! これは『膝枕』と言いまして、私の居た国で家族とか恋人限定で寛いで過ごす姿勢と言うか……いざ説明して実践したら、ことのほか気に入ったみたいと言うか……?」
「……ひざまくら」
「その、今度詳しく説明しますので、ぜひエリィ義母様ともこのように過ごしてみて下さい!」
「レイナちゃんの国の習慣……」
「ええっと、抱きつくのはちょっと違うかも知れません……」
「……なるほど」
納得いったのかいってないのか、すん……と無表情になったイル義父様は、歩きながら手近にあった薄めの本を手に取ると、それをおもむろにエドヴァルドに向かって投げつけていた。
「⁉ イ、イル義父様⁉」
「途中からもう起きてたくせに往生際が悪いぞ、エドヴァルド。私ですらエリィとしていないようなことを満喫しておいて、ふざけるなよ」
「……っ」
ちっ、と気のせいじゃなく舌打ちが聞こえた。
私の膝の上で。
「……それは確実に八つ当たりだろう、イル」
「それがどうした。ただでさえ、時間もエリィも足りなかったんだ」
「…………」
どこかで聞いたようなセリフを吐く義父に、エドヴァルドが沈黙している。
そしてやがて諦めたように身体を起こすと、気だるげに髪をかき上げていた。
……勘弁して下さい、色気が駄々洩れです。
「夕食をとらずにもう少し互いに補充していても良かったが、それではエリィとレイナちゃんが、あんまりだ。諦めて食堂へ来い」
「…………承知した。話しておきたいこともあるしな」
「忘れていなかったのなら、何よりだ」
そう言ってイル義父様は身を翻さ――なかった。
多分、そうしたらエドヴァルドが来ないと思ったのかも知れない。
本当に観念したエドヴァルドが立ち上がって、私にエスコートの手を差し伸べてくれるまで、イル義父様はそこから動かなかった。
「エリィは先に食堂に案内しておいたよ。あまり待たせると寂しがらせてしまう。さ、行こうか」
「「…………」」
この邸宅の主はイル義父様だ。
私もエドヴァルドも、そこは素直に従うことにした。
801
685 忘れじの膝枕 とも連動!
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
2巻刊行記念「オムレツ狂騒曲」は2023年4月のバックナンバーに、3巻刊行記念「星の影響-コクリュシュ-」は2024年3月のバックナンバーに掲載中です!
そして4巻刊行記念「月と白い鳥」はコミックス第1巻と連動!
https://www.regina-books.com/extra
今回から見方が変わりました。何か一話、アルファポリス作品をレンタル頂くことで全てご覧いただけますので宜しくお願いしますm(_ _)m
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
2巻刊行記念「オムレツ狂騒曲」は2023年4月のバックナンバーに、3巻刊行記念「星の影響-コクリュシュ-」は2024年3月のバックナンバーに掲載中です!
そして4巻刊行記念「月と白い鳥」はコミックス第1巻と連動!
https://www.regina-books.com/extra
今回から見方が変わりました。何か一話、アルファポリス作品をレンタル頂くことで全てご覧いただけますので宜しくお願いしますm(_ _)m
お気に入りに追加
12,980
あなたにおすすめの小説

【完】お義母様そんなに嫁がお嫌いですか?でも安心してください、もう会う事はありませんから
咲貴
恋愛
見初められ伯爵夫人となった元子爵令嬢のアニカは、夫のフィリベルトの義母に嫌われており、嫌がらせを受ける日々。
そんな中、義父の誕生日を祝うため、とびきりのプレゼントを用意する。
しかし、義母と二人きりになった時、事件は起こった……。

誰にも信じてもらえなかった公爵令嬢は、もう誰も信じません。
salt
恋愛
王都で罪を犯した悪役令嬢との婚姻を結んだ、東の辺境伯地ディオグーン領を治める、フェイドリンド辺境伯子息、アルバスの懺悔と後悔の記録。
6000文字くらいで摂取するお手軽絶望バッドエンドです。
*なろう・pixivにも掲載しています。

山に捨てられた令嬢! 私のスキルは結界なのに、王都がどうなっても、もう知りません!
甘い秋空
恋愛
婚約を破棄されて、山に捨てられました! 私のスキルは結界なので、私を王都の外に出せば、王都は結界が無くなりますよ? もう、どうなっても知りませんから! え? 助けに来たのは・・・

婚約破棄 ~家名を名乗らなかっただけ
青の雀
恋愛
シルヴィアは、隣国での留学を終え5年ぶりに生まれ故郷の祖国へ帰ってきた。
今夜、王宮で開かれる自身の婚約披露パーティに出席するためである。
婚約者とは、一度も会っていない親同士が決めた婚約である。
その婚約者と会うなり「家名を名乗らない平民女とは、婚約破棄だ。」と言い渡されてしまう。
実は、シルヴィアは王女殿下であったのだ。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
白い結婚三年目。つまり離縁できるまで、あと七日ですわ旦那様。
あさぎかな@電子書籍二作目発売中
恋愛
異世界に転生したフランカは公爵夫人として暮らしてきたが、前世から叶えたい夢があった。パティシエールになる。その夢を叶えようと夫である王国財務総括大臣ドミニクに相談するも答えはノー。夫婦らしい交流も、信頼もない中、三年の月日が近づき──フランカは賭に出る。白い結婚三年目で離縁できる条件を満たしていると迫り、夢を叶えられないのなら離縁すると宣言。そこから公爵家一同でフランカに考え直すように動き、ドミニクと話し合いの機会を得るのだがこの夫、山のように隠し事はあった。
無言で睨む夫だが、心の中は──。
【詰んだああああああああああ! もうチェックメイトじゃないか!? 情状酌量の余地はないと!? ああ、どうにかして侍女の準備を阻まなければ! いやそれでは根本的な解決にならない! だいたいなぜ後妻? そんな者はいないのに……。ど、どどどどどうしよう。いなくなるって聞いただけで悲しい。死にたい……うう】
4万文字ぐらいの中編になります。
※小説なろう、エブリスタに記載してます
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。