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第三部 宰相閣下の婚約者
681 商業ギルドの底力
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最後にコンティオラ公爵邸に現れた面々の中で、内二人は未就学児童。
学園見学と王都滞在を純粋に楽しむつもりで、ナルディーニ侯爵領の領都から出て来ていた。
父親が薬を盛られて臥せっていることも、どうやら知らされていなかったらしいけど、兄妹ともに年齢はミカ君よりも上。
全てではないにせよ、理解が出来ない年齢と言うわけではなかった。
妹は青い顔色で母親にしがみつき、兄の方は母親のドレスの裾をそっとつまんでいた。
「コンティオラ公爵夫人」
ヒルダ夫人としても、気を失ってソファに横たわる娘が心配だったに違いないけれど、こちらは冷ややかな息子の視線と、物理的にはオノレ子爵の身体によって、それを阻まれていた。
「王都高等法院次席法院長クロヴィス・オノレが申し上げる。夫人とご令嬢は加害者ではないにせよ『加害者になるかも知れなかった』と言う点では事情聴取、証言ともに拒否権はないものと心得ていただきたい」
「……っ」
ヒルダ夫人の顔色が、それまで以上に青く――白くなった様な気がした。
ヒース君は何を思うのか微かに眉根を寄せただけで、言葉を発しない。
詐欺の被害者とは言え、公爵家の名を利用されるかも知れなかったマリセラ嬢は確かにそうだろうけど、ヒルダ夫人は……と思っていると、しかるべき機関、人に訴え出ることをせず一人で動こうとしたことで、犯人あるいは情報の隠避を疑われても仕方がないのだと、オノレ子爵が言った。
私とお義兄様がエリィ義母様に反射的に視線を向けてしまい……エリィ義母様は、扇を口元にあてたまま嫣然と微笑んでいた。
セルマに押しかけようとしていたヒルダ夫人同様、ダリアン侯爵家に押しかけようとしていた淑女がここにいます、オノレ子爵。
お嬢さんもよく聞いとけよ、なんて小声で呟いてるファルコ、足踏むよ⁉
「王都商業ギルドの方々とフォルシアン公爵家の方々は、今回のことで当事者たちと『交流』していたと言うよりは、独自に探りを入れようとしていたと拝察する。そちらに関しては、得た情報をこちらにも明かして貰うことを条件に今は拘束は控えよう。ただし故意に情報を隠避したり新たな関係者を隠すなどの言動が少しでも感じられたなら、その時点で対応は切り替えさせて貰うので、そのつもりでいて貰いたい」
これは誰が答えるのが礼儀なのかと思っていると、お義兄様がエリィ義母様に視線を向けていて、エリィ義母様もそれは当然とばかりに、微笑んで「承りましたわ」と答えていた。
なるほど、日本の法定相続を考えると夫人が半分、残り半分を子供が分け合うわけだから、それに近い考え方なのかも知れない。
この場合は、エリィ義母様の方が長子であるお義兄様よりも発言権があると言うことなんだろう。
「……そう言うことでしたら」
まあ、高等法院と敢えて事を構える必要はないし……などと、若干物騒な呟きがその前に聞こえた気がしたけど、どうやら誰もイフナースにそれを突っこもうとは思わなかったようだ。
「もちろん、王都商業ギルドとして故意に情報を隠すことはしないとお約束いたします」
うっかり忘れたりするかも知れないが――なんて副音声がイフナースの笑顔に見えたのは気のせいだろうか。
まあきっとオノレ子爵も、その程度のことは織り込み済みなんだろう……と、思うようにしておこう。
「では、あらぬ誤解を受けないよう予め、ギルドとして〝痺れ茶〟とやらの流通路を追いかけていることはお伝えをしておきます」
「……ほう」
あ、うん。
オノレ子爵がちょっと驚いたのはよく分かる。
元々ギルドが情報を掴んだのは、投資詐欺の話が先であり〝痺れ茶〟の話はラジス副団長がここに来るまでは掴んでいなかったはずだ。
明らかに、こちらが見ていないところでイフナースとラジス副団長が何かしら示し合わせて、入れ違いに戻って行った時点で報告をしたに違いない。
「茶葉の流通となれば、合法であれば銘柄そのものが、非合法であっても何かが流通した情報はギルドに残ります。今、王都商業ギルドからギルド長名で一斉の緊急連絡を飛ばして、情報を集めさせているところです」
ギルドの手紙連絡システムがあるからこそなせる業だ。
非合法なら非合法で「該当の品かどうかは不明だが、似たモノが通過あるいは裏で販売された形跡がある」くらいの情報は各ギルドの自警団が掴めると言うことらしい。
それに返信の内容によっては、その茶葉の流通にがっつり絡んでいる汚職ギルドが地方に存在していると言うことも知れて、一石二鳥なのだとイフナースは微笑った。
「またポイント溜まりそうですねぇ……」
うっかりそう呟いた私には、更に清々しい笑顔が返って来た。
「ちゃんと前向きに努力する姿勢を見せておきませんと、いつ『離縁だ』と言われるか分かりませんので……いい大人なのだから気にするなと思われるのかも知れませんが、やはり祝福はしていただきたいですし、信頼を裏切りたくもありませんのでね」
「なるほど……」
結婚前の約束など無視してしまえば? と言う人もやはり一定数いるんだろう。
だけどイフナースとしては、どうせなら大手を振って夫婦を名乗りたいのかも知れない。
そしてきっとテオドル大公やユリア夫人も、ベルィフに暮らす大公の娘さん夫妻も、ギルド長になると言うその「過程」にイフナースの本気を見たいのであって、仮に副ギルド長あたりで止まってしまったとしても、無理に別れさせることはないような気がした。
互いの誠意と信頼の上に成り立つ約束なんだろう、きっと。
「ユングベリ商会長にも、その茶葉の話はぜひ伺いたいと――ギルド長が。ラヴォリ商会の商会長代理も、今、会長がバリエンダール滞在中と言っていましたから、恐らく頼めばすぐに連絡はとってくれると思いますよ」
「それは……」
ラヴォリ商会はアンジェス国内最大の商会で、バリエンダールへの販路も拡大しつつあるところだ。
確かに、頼めばバリエンダールにおける〝痺れ茶〟の現状は確認してくれるかも知れない。
ただ――。
「バリエンダールへの連絡は、もう少し待って貰えますか」
そうお願いした私に、イフナースが「おや」と言った表情を見せた。
「私自身、バリエンダールの王都商業ギルド長との伝手があります。彼のギルド長は王太子殿下や宰相令息との繋がりが深い。どちらへの連絡が良いか、連絡後考えられる周囲の動きも考えて、イデオン宰相閣下の判断を仰ぎたいんです」
ここでは言えないけれど、何せ三国会談を控えている。
ミラン王太子が国内を掃除するのに邪魔にならない動き方を考えなくてはならないし、そうなると話はこちらの手に余る。
国策としてエドヴァルドが考えるべき話になるのだ。
「難しい話を丸投げ――と言うわけでもなさそうですね」
「単に〝痺れ茶〟の販路を潰して終わりにするつもりなら、とっくに動かれているでしょうからね。それを止めている『何か』がきっとあるんですよ。だとすれば、今の私に出来ることは『判断材料を増やす』こと。国と国とが絡む話になるわけですから、それ以上は越権であり傲慢だと思いますよ?」
そう。
エドヴァルドの役に立ちたいと言っても、物事には限度がある。
あちこち首を突っ込んだ挙句、エドヴァルドの立場を悪くするようでは本末転倒なのだ。
その見極めが出来ず、また誰も教えなかったのか――ジェイの漁場問題などと言う、外交の絡む話に手を出してしまったのが、マリセラ嬢だ。
私は、そんな風にはなりたくない。
「なるほど判断材料を増やすこと、ですか……確かにいきなり隣国に連絡、と言うのは外交面から言っても問題――と言うよりは、慎重にすべきなのでしょうね」
イフナースはどこまで私の考えを汲み取ってくれたのか、それでも一応は納得したように頷いていた。
「確かに、さすがにそれは私も控えて貰うようお願いしたいな」
私とイフナースの会話を聞いたオノレ子爵もしかりだ。
「ぜひイデオン宰相閣下と話をして貰って、その後の方針は高等法院とも共有をお願いしたいと伝えて貰いたいな」
――そして最終的には、エドヴァルドと話をして、彼が決めた方針を王都商業ギルドと高等法院にも伝えて欲しいと言うことで、話がまとめられてしまった。
「じゃあレイナちゃん、夕食はフォルシアン公爵邸でとりましょうか? さすがにもうコンティオラ公爵閣下はお越しにならないと思うけれど、イデオン公と夫は夕食をとりに戻るはずだから」
多分、よほどのことがない限りはあの二人は戻って来るはずとエリィ義母様は言い、私は――思わず納得してしまった。
学園見学と王都滞在を純粋に楽しむつもりで、ナルディーニ侯爵領の領都から出て来ていた。
父親が薬を盛られて臥せっていることも、どうやら知らされていなかったらしいけど、兄妹ともに年齢はミカ君よりも上。
全てではないにせよ、理解が出来ない年齢と言うわけではなかった。
妹は青い顔色で母親にしがみつき、兄の方は母親のドレスの裾をそっとつまんでいた。
「コンティオラ公爵夫人」
ヒルダ夫人としても、気を失ってソファに横たわる娘が心配だったに違いないけれど、こちらは冷ややかな息子の視線と、物理的にはオノレ子爵の身体によって、それを阻まれていた。
「王都高等法院次席法院長クロヴィス・オノレが申し上げる。夫人とご令嬢は加害者ではないにせよ『加害者になるかも知れなかった』と言う点では事情聴取、証言ともに拒否権はないものと心得ていただきたい」
「……っ」
ヒルダ夫人の顔色が、それまで以上に青く――白くなった様な気がした。
ヒース君は何を思うのか微かに眉根を寄せただけで、言葉を発しない。
詐欺の被害者とは言え、公爵家の名を利用されるかも知れなかったマリセラ嬢は確かにそうだろうけど、ヒルダ夫人は……と思っていると、しかるべき機関、人に訴え出ることをせず一人で動こうとしたことで、犯人あるいは情報の隠避を疑われても仕方がないのだと、オノレ子爵が言った。
私とお義兄様がエリィ義母様に反射的に視線を向けてしまい……エリィ義母様は、扇を口元にあてたまま嫣然と微笑んでいた。
セルマに押しかけようとしていたヒルダ夫人同様、ダリアン侯爵家に押しかけようとしていた淑女がここにいます、オノレ子爵。
お嬢さんもよく聞いとけよ、なんて小声で呟いてるファルコ、足踏むよ⁉
「王都商業ギルドの方々とフォルシアン公爵家の方々は、今回のことで当事者たちと『交流』していたと言うよりは、独自に探りを入れようとしていたと拝察する。そちらに関しては、得た情報をこちらにも明かして貰うことを条件に今は拘束は控えよう。ただし故意に情報を隠避したり新たな関係者を隠すなどの言動が少しでも感じられたなら、その時点で対応は切り替えさせて貰うので、そのつもりでいて貰いたい」
これは誰が答えるのが礼儀なのかと思っていると、お義兄様がエリィ義母様に視線を向けていて、エリィ義母様もそれは当然とばかりに、微笑んで「承りましたわ」と答えていた。
なるほど、日本の法定相続を考えると夫人が半分、残り半分を子供が分け合うわけだから、それに近い考え方なのかも知れない。
この場合は、エリィ義母様の方が長子であるお義兄様よりも発言権があると言うことなんだろう。
「……そう言うことでしたら」
まあ、高等法院と敢えて事を構える必要はないし……などと、若干物騒な呟きがその前に聞こえた気がしたけど、どうやら誰もイフナースにそれを突っこもうとは思わなかったようだ。
「もちろん、王都商業ギルドとして故意に情報を隠すことはしないとお約束いたします」
うっかり忘れたりするかも知れないが――なんて副音声がイフナースの笑顔に見えたのは気のせいだろうか。
まあきっとオノレ子爵も、その程度のことは織り込み済みなんだろう……と、思うようにしておこう。
「では、あらぬ誤解を受けないよう予め、ギルドとして〝痺れ茶〟とやらの流通路を追いかけていることはお伝えをしておきます」
「……ほう」
あ、うん。
オノレ子爵がちょっと驚いたのはよく分かる。
元々ギルドが情報を掴んだのは、投資詐欺の話が先であり〝痺れ茶〟の話はラジス副団長がここに来るまでは掴んでいなかったはずだ。
明らかに、こちらが見ていないところでイフナースとラジス副団長が何かしら示し合わせて、入れ違いに戻って行った時点で報告をしたに違いない。
「茶葉の流通となれば、合法であれば銘柄そのものが、非合法であっても何かが流通した情報はギルドに残ります。今、王都商業ギルドからギルド長名で一斉の緊急連絡を飛ばして、情報を集めさせているところです」
ギルドの手紙連絡システムがあるからこそなせる業だ。
非合法なら非合法で「該当の品かどうかは不明だが、似たモノが通過あるいは裏で販売された形跡がある」くらいの情報は各ギルドの自警団が掴めると言うことらしい。
それに返信の内容によっては、その茶葉の流通にがっつり絡んでいる汚職ギルドが地方に存在していると言うことも知れて、一石二鳥なのだとイフナースは微笑った。
「またポイント溜まりそうですねぇ……」
うっかりそう呟いた私には、更に清々しい笑顔が返って来た。
「ちゃんと前向きに努力する姿勢を見せておきませんと、いつ『離縁だ』と言われるか分かりませんので……いい大人なのだから気にするなと思われるのかも知れませんが、やはり祝福はしていただきたいですし、信頼を裏切りたくもありませんのでね」
「なるほど……」
結婚前の約束など無視してしまえば? と言う人もやはり一定数いるんだろう。
だけどイフナースとしては、どうせなら大手を振って夫婦を名乗りたいのかも知れない。
そしてきっとテオドル大公やユリア夫人も、ベルィフに暮らす大公の娘さん夫妻も、ギルド長になると言うその「過程」にイフナースの本気を見たいのであって、仮に副ギルド長あたりで止まってしまったとしても、無理に別れさせることはないような気がした。
互いの誠意と信頼の上に成り立つ約束なんだろう、きっと。
「ユングベリ商会長にも、その茶葉の話はぜひ伺いたいと――ギルド長が。ラヴォリ商会の商会長代理も、今、会長がバリエンダール滞在中と言っていましたから、恐らく頼めばすぐに連絡はとってくれると思いますよ」
「それは……」
ラヴォリ商会はアンジェス国内最大の商会で、バリエンダールへの販路も拡大しつつあるところだ。
確かに、頼めばバリエンダールにおける〝痺れ茶〟の現状は確認してくれるかも知れない。
ただ――。
「バリエンダールへの連絡は、もう少し待って貰えますか」
そうお願いした私に、イフナースが「おや」と言った表情を見せた。
「私自身、バリエンダールの王都商業ギルド長との伝手があります。彼のギルド長は王太子殿下や宰相令息との繋がりが深い。どちらへの連絡が良いか、連絡後考えられる周囲の動きも考えて、イデオン宰相閣下の判断を仰ぎたいんです」
ここでは言えないけれど、何せ三国会談を控えている。
ミラン王太子が国内を掃除するのに邪魔にならない動き方を考えなくてはならないし、そうなると話はこちらの手に余る。
国策としてエドヴァルドが考えるべき話になるのだ。
「難しい話を丸投げ――と言うわけでもなさそうですね」
「単に〝痺れ茶〟の販路を潰して終わりにするつもりなら、とっくに動かれているでしょうからね。それを止めている『何か』がきっとあるんですよ。だとすれば、今の私に出来ることは『判断材料を増やす』こと。国と国とが絡む話になるわけですから、それ以上は越権であり傲慢だと思いますよ?」
そう。
エドヴァルドの役に立ちたいと言っても、物事には限度がある。
あちこち首を突っ込んだ挙句、エドヴァルドの立場を悪くするようでは本末転倒なのだ。
その見極めが出来ず、また誰も教えなかったのか――ジェイの漁場問題などと言う、外交の絡む話に手を出してしまったのが、マリセラ嬢だ。
私は、そんな風にはなりたくない。
「なるほど判断材料を増やすこと、ですか……確かにいきなり隣国に連絡、と言うのは外交面から言っても問題――と言うよりは、慎重にすべきなのでしょうね」
イフナースはどこまで私の考えを汲み取ってくれたのか、それでも一応は納得したように頷いていた。
「確かに、さすがにそれは私も控えて貰うようお願いしたいな」
私とイフナースの会話を聞いたオノレ子爵もしかりだ。
「ぜひイデオン宰相閣下と話をして貰って、その後の方針は高等法院とも共有をお願いしたいと伝えて貰いたいな」
――そして最終的には、エドヴァルドと話をして、彼が決めた方針を王都商業ギルドと高等法院にも伝えて欲しいと言うことで、話がまとめられてしまった。
「じゃあレイナちゃん、夕食はフォルシアン公爵邸でとりましょうか? さすがにもうコンティオラ公爵閣下はお越しにならないと思うけれど、イデオン公と夫は夕食をとりに戻るはずだから」
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