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第三部 宰相閣下の婚約者
599 お義母さまと一緒
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いくら国内最大の商会と言えど、店舗や事務所にベッドがある筈もない。
コンティオラ公爵夫人は、今はまだバリエンダール出張中で不在の、商会長の執務室のソファで横になっているとのことだった。
カール商会長代理の先導で商会に入ったところで、従業員と思しき男性が、ちょうどコンティオラ公爵夫人が気が付いたらしいことを告げた。
「助かりました。何が起きてここにいるのか、詳しく説明して良いものか分かりませんでしたので……」
「――分かった、すぐに商会長の執務室へ行こう」
そうしてカール商会長代理がこちらを見たので、私もエリィ義母様も了承の意をこめて無言で頷いた。
扉を軽くノックしたカール商会長代理が「失礼、この館の者です」と断りを入れて、中に入って行く。
一応まだ、中にいるのがコンティオラ公爵夫人だと、本人に確認をとっていないため、扉の外から名前を呼ぶことも名乗ることも避けたのだろう。
あくまで今は、カール商会長代理が「顔を見て、そうと判断した」だけの状況なのだから。
彼に続いて中に入ると、琥珀色の髪をキッチリと結わえた美女が、背筋をピンと伸ばした姿勢で、ソファに腰を下ろしていた。
美少女がそのまま成長したかの様なエリィ義母様と比べて、こちらは若い頃から「美女」だったんだろうと思わせる、少しキツめの美人――と言った感じだ。
エリィ義母様とは方向性が違うけれど、ナルディーニ侯爵家の当主が手に入れたいと望んだのも無理からぬ容貌だと思った。
「……フォルシアン公爵夫人?」
そんな美女が、開口一番エリィ義母様の名前を口にしたところからすると、目の前のこの女性はコンティオラ公爵夫人と言うことで間違いないんだろう。
カール商会長代理も、この場はまずエリィ義母様から話を始めて貰った方が良いと判断したのか、エリィ義母様に目くばせをして、一歩後ろへと下がった。
「お話の前に、ご気分はいかが?ここはラヴォリ商会の本店ですわ。こちらの馬車と、夫人がお乗りだった馬車とがぶつかりそうになって、馬車の車輪が外れたんだそうですのよ?」
「……車輪が……」
エリィ義母様の言葉を耳にしたコンティオラ公爵夫人は、自身の体調のことよりも、馬車の車輪が外れたと言う事実に対して、愕然としているようだった。
「そんな……それでは今日中にセルマの街へは……」
セルマとは確か、王都からコンティオラ公爵領へと向かう街道沿い、直轄領を出てすぐのところにある街の名前だ。
コンティオラ公爵領内の街や村と王都とを行き来する場合において、王都から出て宿をとる最初の街であり、また、領内から王都に入る前に休む最後の街として立ち寄る商人や貴族が多い街と、家庭教師に教わった気がする。
「夫人……もしや、ご実家へ?」
私がその可能性を口にしていたせいもあってか、エリィ義母様はそこは直球でコンティオラ公爵夫人に確認をとろうとしている。
王都から出ようとしていたことは間違いないのだから、そこは普通に聞いても問題ないと判断したんだろう。
「! それは……」
ただ意外にも、コンティオラ公爵夫人は目に激しい動揺の色を浮かべた。
あれ? もしかして、セルマの街にこそ用があったんだろうか。
もしもエモニエ侯爵領が、エリィ義母様のご実家、ダリアン侯爵領と同じくらいに距離が離れているのなら、勢いだけで飛び出したのではない可能性もある。
エリィ義母様、と私は背後からそっと囁きかけた。
「エモニエ侯爵領が、お義母様のご実家と同じくらい距離があるなら、目的地はむしろセルマと言う可能性も……」
「……そのくらいの距離はあると思うわ」
エリィ義母様の言葉に、コンティオラ公爵夫人がビクリと身体を震わせた。
その様子を見たエリィ義母様は「ここはレイナちゃんから説明して貰った方が良いかしらね」と、私の方を振り返った。
「――どうぞ、お義母様のご判断で」
私自身の身分は、まだ揺らぎやすい身分だ。
私がフォルシアン公爵家の養女となった話は、ほとんど知られていない筈。
この場はエリィ義母様に判断をして貰うのが最適解な気がした。
「そうね……」
頷いたエリィ義母様は、顔色の悪いコンティオラ公爵夫人の方へと向き直った。
「コンティオラ公爵夫人、私、つい最近娘が一人増えましたの」
「⁉」
コンティオラ公爵夫人にしてみれば、脈絡のない話と言うべきだろう。
無言のまま目を丸くしていた。
「夫人も彼女の顔だけは、過日〝ロッピア〟でご覧になられたことがあるのではなくて?レイナ・ソガワ嬢。今、ギーレンに留学中の聖女サマの姉君。近くイデオン公爵様と結婚されることが決まったものですから、私共フォルシアン公爵家で輿入れまでお預かりすることになったんですのよ?」
ですから今は、レイナ・フォルシアン――私の娘ですわ。
そう言ってエリィ義母様は、にこやかに微笑んで、先制口撃をコンティオラ公爵夫人にお見舞いしていた。
「――――」
そこで初めて、大きく見開かれたコンティオラ公爵夫人の目が、こちらを向いた。
どうやらエリィ義母様が会話の主導権をこちらに譲ってくれるらしいと、察した私は〝カーテシー〟の姿勢をとった。
「きちんとご挨拶をさせていただくのは初めてかと存じます。レイナ・フォルシアンにございます。どうぞお見知りおきを」
事実上の、娘にとっての最大の障害である私に対してどう出るかと身構えたのだけれど、コンティオラ公爵夫人は、すぐに激昂したりはしなかった。
なぜ、ラヴォリ商会との馬車の事故で、私やエリィ義母様がここにいるのかを訝しんでいる感じだった。
どうやら、娘に対して限定で視野が狭くなっているだけで、公爵夫人としての責は果たせると公爵が以前に口にしていたのは、夫としての贔屓目だけではないように感じた。
……ならば余計に、投資詐欺に巻き込まれていることが「何故」と思える。
「夫人。実は私にはもう一つ別の顔がありまして」
無言を肯定と解釈して、そのまま話を続ける。
「ユングベリ商会の商会長と言う肩書を持っています。今日はそちらの肩書でこのラヴォリ商会を義母と共に訪れ、今回の事故に遭遇したわけです」
「……ユングベリ商会」
ピクリとこめかみが動いたコンティオラ公爵夫人に、あくまで穏やかに私は「はい」と頷いて、夫人に向けて片手をかざした。
「――カルメル商会、シャプル商会、ブロッカ商会」
「⁉」
わざとゆっくり商会の名前を告げながら、親指からひとつずつ、数えるように倒していく。
「これらの商会の件で、ラヴォリ商会と共にユングベリ商会もお力になれると思うのですが……いかがでしょうか?」
「……っ」
コンティオラ公爵夫人は、一瞬呼吸をすることも忘れたかのような動揺を見せて、私とカール商会長代理を交互に見やった。
コンティオラ公爵夫人は、今はまだバリエンダール出張中で不在の、商会長の執務室のソファで横になっているとのことだった。
カール商会長代理の先導で商会に入ったところで、従業員と思しき男性が、ちょうどコンティオラ公爵夫人が気が付いたらしいことを告げた。
「助かりました。何が起きてここにいるのか、詳しく説明して良いものか分かりませんでしたので……」
「――分かった、すぐに商会長の執務室へ行こう」
そうしてカール商会長代理がこちらを見たので、私もエリィ義母様も了承の意をこめて無言で頷いた。
扉を軽くノックしたカール商会長代理が「失礼、この館の者です」と断りを入れて、中に入って行く。
一応まだ、中にいるのがコンティオラ公爵夫人だと、本人に確認をとっていないため、扉の外から名前を呼ぶことも名乗ることも避けたのだろう。
あくまで今は、カール商会長代理が「顔を見て、そうと判断した」だけの状況なのだから。
彼に続いて中に入ると、琥珀色の髪をキッチリと結わえた美女が、背筋をピンと伸ばした姿勢で、ソファに腰を下ろしていた。
美少女がそのまま成長したかの様なエリィ義母様と比べて、こちらは若い頃から「美女」だったんだろうと思わせる、少しキツめの美人――と言った感じだ。
エリィ義母様とは方向性が違うけれど、ナルディーニ侯爵家の当主が手に入れたいと望んだのも無理からぬ容貌だと思った。
「……フォルシアン公爵夫人?」
そんな美女が、開口一番エリィ義母様の名前を口にしたところからすると、目の前のこの女性はコンティオラ公爵夫人と言うことで間違いないんだろう。
カール商会長代理も、この場はまずエリィ義母様から話を始めて貰った方が良いと判断したのか、エリィ義母様に目くばせをして、一歩後ろへと下がった。
「お話の前に、ご気分はいかが?ここはラヴォリ商会の本店ですわ。こちらの馬車と、夫人がお乗りだった馬車とがぶつかりそうになって、馬車の車輪が外れたんだそうですのよ?」
「……車輪が……」
エリィ義母様の言葉を耳にしたコンティオラ公爵夫人は、自身の体調のことよりも、馬車の車輪が外れたと言う事実に対して、愕然としているようだった。
「そんな……それでは今日中にセルマの街へは……」
セルマとは確か、王都からコンティオラ公爵領へと向かう街道沿い、直轄領を出てすぐのところにある街の名前だ。
コンティオラ公爵領内の街や村と王都とを行き来する場合において、王都から出て宿をとる最初の街であり、また、領内から王都に入る前に休む最後の街として立ち寄る商人や貴族が多い街と、家庭教師に教わった気がする。
「夫人……もしや、ご実家へ?」
私がその可能性を口にしていたせいもあってか、エリィ義母様はそこは直球でコンティオラ公爵夫人に確認をとろうとしている。
王都から出ようとしていたことは間違いないのだから、そこは普通に聞いても問題ないと判断したんだろう。
「! それは……」
ただ意外にも、コンティオラ公爵夫人は目に激しい動揺の色を浮かべた。
あれ? もしかして、セルマの街にこそ用があったんだろうか。
もしもエモニエ侯爵領が、エリィ義母様のご実家、ダリアン侯爵領と同じくらいに距離が離れているのなら、勢いだけで飛び出したのではない可能性もある。
エリィ義母様、と私は背後からそっと囁きかけた。
「エモニエ侯爵領が、お義母様のご実家と同じくらい距離があるなら、目的地はむしろセルマと言う可能性も……」
「……そのくらいの距離はあると思うわ」
エリィ義母様の言葉に、コンティオラ公爵夫人がビクリと身体を震わせた。
その様子を見たエリィ義母様は「ここはレイナちゃんから説明して貰った方が良いかしらね」と、私の方を振り返った。
「――どうぞ、お義母様のご判断で」
私自身の身分は、まだ揺らぎやすい身分だ。
私がフォルシアン公爵家の養女となった話は、ほとんど知られていない筈。
この場はエリィ義母様に判断をして貰うのが最適解な気がした。
「そうね……」
頷いたエリィ義母様は、顔色の悪いコンティオラ公爵夫人の方へと向き直った。
「コンティオラ公爵夫人、私、つい最近娘が一人増えましたの」
「⁉」
コンティオラ公爵夫人にしてみれば、脈絡のない話と言うべきだろう。
無言のまま目を丸くしていた。
「夫人も彼女の顔だけは、過日〝ロッピア〟でご覧になられたことがあるのではなくて?レイナ・ソガワ嬢。今、ギーレンに留学中の聖女サマの姉君。近くイデオン公爵様と結婚されることが決まったものですから、私共フォルシアン公爵家で輿入れまでお預かりすることになったんですのよ?」
ですから今は、レイナ・フォルシアン――私の娘ですわ。
そう言ってエリィ義母様は、にこやかに微笑んで、先制口撃をコンティオラ公爵夫人にお見舞いしていた。
「――――」
そこで初めて、大きく見開かれたコンティオラ公爵夫人の目が、こちらを向いた。
どうやらエリィ義母様が会話の主導権をこちらに譲ってくれるらしいと、察した私は〝カーテシー〟の姿勢をとった。
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事実上の、娘にとっての最大の障害である私に対してどう出るかと身構えたのだけれど、コンティオラ公爵夫人は、すぐに激昂したりはしなかった。
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685 忘れじの膝枕 とも連動!
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
2巻刊行記念「オムレツ狂騒曲」は2023年4月のバックナンバーに、3巻刊行記念「星の影響-コクリュシュ-」は2024年3月のバックナンバーに掲載中です!
そして4巻刊行記念「月と白い鳥」はコミックス第1巻と連動!
https://www.regina-books.com/extra
今回から見方が変わりました。何か一話、アルファポリス作品をレンタル頂くことで全てご覧いただけますので宜しくお願いしますm(_ _)m
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