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第二部 宰相閣下の謹慎事情
376 ラヴォリ商会
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「スヴェンテ老公爵の奥方様が、膝の痛みから始まって、お一人で歩かれる事が困難になられたあたりから、邸宅内でのご移動に、老公爵が庭にあった手押し車の改良を思い立たれたところから始まって、相談を受けた我々ラヴォリ商会が職人ギルドに話を持ちこんで、何年かかけた末に今の形にまで辿り着いているのですよ」
なるほど元になったのが手押し車だと言うのなら、座椅子に肘掛け、足置きを職人ギルド自慢の技術力で追加したとは言え、車輪はまだそれほど大きくはないだろうし、移動にも労力を要する訳で、その労力を魔道具でカバー出来ないかと話し合っているのが、現在だと言う事なんだろう。
「あの歩行補助器具は、今はスヴェンテ公爵家だけの使用なんですか?」
介護用ベッドを一回り小さくして立たせたかの様な歩行補助器具を思い浮かべながら、私がカールフェルドに確認をすると「基本的には」との答えが返ってきた。
「後は職人ギルドと商業ギルドに見本を1台ずつ置いて、希望者に格安で貸し出すようにしてあるんですよ。まだ決して安くはないですし、見て頂いて分かったかと思いますが、あの器具を動かす為の人手も必要になりますから、購入するにしても、実際に試してからの方が良いだろうと言う事でね」
ただスヴェンテ公爵家は、人手もあり、必要にかられている事もあって、使ってみての問題点が出て来れば都度連絡を入れて、交換するとの条件で長期の購入計画を交わしているのだそうだ。
「ですので、改良案があるとの話であれば、スヴェンテ公爵家も二つ返事で資金捻出を許可して下さるでしょう。老公爵夫妻の仲の良さは、出入りの業者皆が知っている程ですからね。――お聞かせ頂いても?」
カールフェルドに問われた私は軽く頷いて、部屋にある、一人がけの椅子を指差した。
「今の歩行補助器具は、極端な言い方をすれば、寝台に小型の車輪を付けている様なものじゃないですか。そうじゃなく、ああいった一人がけの椅子に、馬車の車輪とまでは言いませんが、もう少し大きなサイズの車輪を付けて、それを自力で回して移動するんですよ」
「⁉」
恐らくはまったく想像の外にあったんだろう。
カールフェルドは目を丸くしているし、エドヴァルドも少し驚いている様だった。
「私も専門職人じゃないので、街中なんかで見かけた範囲でしか説明が出来ないんですけど、確か後ろ二輪のサイズを大きくして、前の二輪は足乗せ部分を支える程度で、今ある車輪くらいだった気がします。後、前の二輪を大きくして、後ろに支えとなる小さな車輪を付けている型もあった…かな?すみません、私自身は絵は書けないので、あの椅子に大きめの車輪を二つ付ける型を想像して下さい」
ここは王都だ。
後は小さな車輪をどこに付けるか、後ろにも前にも転倒しない最適なバランスは、職人ギルドの皆様がアイデアを出し合えば、恐らくはあっと言う間に計算出来るだろう。
「…っ、すまない、誰かオイゲンをここへ!デザイン用の筆記具一式持参でと伝えろ!」
カールフェルドの声に応えるかの様に、さほど間を置かずして一人の壮年男性が姿を現した。
「ぼ…若旦那、お呼びですか?」
明らかに「坊ちゃん」と言いかけて、慌てて訂正をした感じだ。
古参の従業員と言う事なんだろうか。
「オイゲン、ちょっとあの椅子を絵に書き起こしてくれ。大体で良い。正面じゃなく、斜めから見た絵を頼む」
「はあ、まあ、構いませんが……?」
いきなり何だとは思っていても、来客との応対中なのは見て分かるため、ここでの質問は控えたんだろう。
男性は、さらさらと、スケッチ手前の素描で椅子の絵をあっと言う間に書き上げた。
「ユングベリ商会長、車輪の大きさや位置を彼に指示して貰えまいか」
「ああ、はい、分かりました」
最初は全く要領を得ないと言った態で書き始めた男性も、私が肘掛けあたりまでの大きさの車輪を左右両方に書き込むようお願いした時点で、それが何の絵かと言う事に気が付いたらしかった。
「ぼ…若旦那、これは…この方は一体……」
「オイゲン、彼女が渦中の人物――ユングベリ商会の商会長だ。我が商会と反目しあわない為の手土産として、異国で実用化されている歩行補助器具の仕組みを、こうやって説明してくれているところだ」
「‼」
「ああっ、その、後ろや前にひっくり返ったりしない、最適な車輪の比率なんかは職人さん達で試行錯誤お願いしますね?あくまで予想完成図として捉えて下さい!」
どうにも矢継ぎ早に質問が飛んできそうな気がしたので、私は慌てて機先を制した。
「最終的に人が座って自立出来る比率になれば、大きい方の車輪は、使用者本人が回して動かす事で、行きたい方向に動かせる筈です。もちろん魔道具としての装置であっても良いとは思うんですけど、それを取り払えるなら、購買層を上位貴族や富裕層に絞る必要はないでしょう?」
一から木の製品を作る職人を探して交渉するのは、少なくとも当分無理に違いないし、そもそもイデオン公爵領の中で、木製の工芸品が有名とか、中央に打って出たいとかは聞いていない。
案だけ出して丸投げと言われればそれまでだけど、既に開発チームがあると言うのなら、そこに任せてしまった方が話が早いに決まっている。
「………よろしいのですか?」
そこまで聞くと、流石に……と、カールフェルドも思ったらしい。
私は苦笑交じりに片手を振った。
「商会長代理自身が仰ったじゃないですか。お互いに反目しあわないための手土産…と。こちらがこれから開く販路に、おかしな妨害を入れる事はしないと確約して下されば、それで充分です」
まあ、たまに優良生産者を紹介して頂ければ有難いですけどね?と、微笑う私に、カールフェルドは一瞬言葉に詰まったものの、そう長い間を置かずに「分かりました」と軽く頷いた。
「そう言えば、バリエンダールに赴くと仰っていらっしゃいましたね」
「ええ、まあ。あ、でも商会長がガラス職人を探していらっしゃるのであれば、妨害はしません。何と言うか……私の狙いは海産物なので」
「海産物?クヴィスト領やコンティオラ領の中にも、海産物を主力とする街はありますが、敢えてアンジェスの外に出ると仰る?」
「そうですね。……まあ、これ以上はお話しは出来ませんが」
こう言う時には、もったいぶっておくに限る。
案の定向こうも、商売上の秘密があると思ってくれたっぽかった。
「ああ、これ以上は確かに野暮ですね。失礼致しました。いえ、もしよろしければ、向こうで当方の商会長に会われては如何かと思いまして。私の一筆と、今のこの歩行補助器具の設計図があれば、父も確実に否とは申しませんでしょう。ガラス製品の市場調査と職人探しは、一朝一夕でどうにかなる事ではありませんからね。まだしばらくは向こうに滞在する予定でおりますから」
ある意味、王都を息子に任せても大丈夫だと言う信頼の表れであり、眼鏡の開発に対する本気度が窺い知れる。
「父の方が先んじてバリエンダールに乗り込んでいる分、街の為政者たちの勢力図や権力の関係なんかを、既にある程度把握している筈です。この設計図と引き換えに情報を引き出されると良いですよ」
「え……こちらこそ、よろしいんですか?」
「この図面にはそのくらいの価値はあると、私は判断していますよ。現存するガラス製品の販路も、香辛料の市場も、全て荒らさないと仰る限りは、恐らくは商会長も同じ判断を下す事でしょう。――オイゲン、その図面をもう一通書いてくれるか」
カールフェルドの話の途中から、男性はもう既に手を動かし始めていた。
「正直なところ、この地域の周辺住民は皆〝ツェツィ・オンペル〟が取り壊される事なく残る事を喜んでいるのですよ。後継ぎもいませんでしたし、大半の人間が半ば諦めていましたからね」
「……人望のあるご夫妻だったんですね」
「貴族である事を全く鼻にかけず、どの住民に対しても平等に接していらっしゃいましたからね。その志だけでも受け継いで下さると嬉しいですね」
カールフェルドはそう言って、損得のない柔らかい笑みを口元に浮かべた。
「あー……」
さすがにお店の名前は、バーレント伯爵家やヘルマンさんも絡むので、そのままは残せないだろうけど、夫人の名前をとった〝ツェツィ〟シリーズなら、下位貴族層や王都在住市民からの支持は得られるような気がした。
(あ、イイかも?)
当初の「市民に親しまれる聖女」のブランドイメージが使えなくなって、シャルリーヌでは代役に出来ないと、新たなストーリーをちょうど考えていたところだ。
亡命貴族令嬢の物語はそのままに、会社設立の手続きに来たバーレント家から、令嬢の境遇を聞いた商業ギルドが、バーレント家同様に令嬢の境遇に同情して〝ツェツィ・オンペル〟の再利用を提案してきた――事にすれば、木綿製品のどれかに〝ツェツィ〟の名を冠しても不自然ではないだろうし、支持も得やすい筈だ。
「何らかの形で、前任者がこの場所に残した想いを活かせるようにしますね」
「そうであれば嬉しいですね」
カールフェルドの笑みは、本音でそう思っている笑みだと思ったけど、隣で無言のエドヴァルドに関しては「何か考え付いたのなら、帰ったらキチンと説明するように」と、目が語っている物騒な笑みに見えて仕方がなかった。
「スヴェンテ老公爵の奥方様が、膝の痛みから始まって、お一人で歩かれる事が困難になられたあたりから、邸宅内でのご移動に、老公爵が庭にあった手押し車の改良を思い立たれたところから始まって、相談を受けた我々ラヴォリ商会が職人ギルドに話を持ちこんで、何年かかけた末に今の形にまで辿り着いているのですよ」
なるほど元になったのが手押し車だと言うのなら、座椅子に肘掛け、足置きを職人ギルド自慢の技術力で追加したとは言え、車輪はまだそれほど大きくはないだろうし、移動にも労力を要する訳で、その労力を魔道具でカバー出来ないかと話し合っているのが、現在だと言う事なんだろう。
「あの歩行補助器具は、今はスヴェンテ公爵家だけの使用なんですか?」
介護用ベッドを一回り小さくして立たせたかの様な歩行補助器具を思い浮かべながら、私がカールフェルドに確認をすると「基本的には」との答えが返ってきた。
「後は職人ギルドと商業ギルドに見本を1台ずつ置いて、希望者に格安で貸し出すようにしてあるんですよ。まだ決して安くはないですし、見て頂いて分かったかと思いますが、あの器具を動かす為の人手も必要になりますから、購入するにしても、実際に試してからの方が良いだろうと言う事でね」
ただスヴェンテ公爵家は、人手もあり、必要にかられている事もあって、使ってみての問題点が出て来れば都度連絡を入れて、交換するとの条件で長期の購入計画を交わしているのだそうだ。
「ですので、改良案があるとの話であれば、スヴェンテ公爵家も二つ返事で資金捻出を許可して下さるでしょう。老公爵夫妻の仲の良さは、出入りの業者皆が知っている程ですからね。――お聞かせ頂いても?」
カールフェルドに問われた私は軽く頷いて、部屋にある、一人がけの椅子を指差した。
「今の歩行補助器具は、極端な言い方をすれば、寝台に小型の車輪を付けている様なものじゃないですか。そうじゃなく、ああいった一人がけの椅子に、馬車の車輪とまでは言いませんが、もう少し大きなサイズの車輪を付けて、それを自力で回して移動するんですよ」
「⁉」
恐らくはまったく想像の外にあったんだろう。
カールフェルドは目を丸くしているし、エドヴァルドも少し驚いている様だった。
「私も専門職人じゃないので、街中なんかで見かけた範囲でしか説明が出来ないんですけど、確か後ろ二輪のサイズを大きくして、前の二輪は足乗せ部分を支える程度で、今ある車輪くらいだった気がします。後、前の二輪を大きくして、後ろに支えとなる小さな車輪を付けている型もあった…かな?すみません、私自身は絵は書けないので、あの椅子に大きめの車輪を二つ付ける型を想像して下さい」
ここは王都だ。
後は小さな車輪をどこに付けるか、後ろにも前にも転倒しない最適なバランスは、職人ギルドの皆様がアイデアを出し合えば、恐らくはあっと言う間に計算出来るだろう。
「…っ、すまない、誰かオイゲンをここへ!デザイン用の筆記具一式持参でと伝えろ!」
カールフェルドの声に応えるかの様に、さほど間を置かずして一人の壮年男性が姿を現した。
「ぼ…若旦那、お呼びですか?」
明らかに「坊ちゃん」と言いかけて、慌てて訂正をした感じだ。
古参の従業員と言う事なんだろうか。
「オイゲン、ちょっとあの椅子を絵に書き起こしてくれ。大体で良い。正面じゃなく、斜めから見た絵を頼む」
「はあ、まあ、構いませんが……?」
いきなり何だとは思っていても、来客との応対中なのは見て分かるため、ここでの質問は控えたんだろう。
男性は、さらさらと、スケッチ手前の素描で椅子の絵をあっと言う間に書き上げた。
「ユングベリ商会長、車輪の大きさや位置を彼に指示して貰えまいか」
「ああ、はい、分かりました」
最初は全く要領を得ないと言った態で書き始めた男性も、私が肘掛けあたりまでの大きさの車輪を左右両方に書き込むようお願いした時点で、それが何の絵かと言う事に気が付いたらしかった。
「ぼ…若旦那、これは…この方は一体……」
「オイゲン、彼女が渦中の人物――ユングベリ商会の商会長だ。我が商会と反目しあわない為の手土産として、異国で実用化されている歩行補助器具の仕組みを、こうやって説明してくれているところだ」
「‼」
「ああっ、その、後ろや前にひっくり返ったりしない、最適な車輪の比率なんかは職人さん達で試行錯誤お願いしますね?あくまで予想完成図として捉えて下さい!」
どうにも矢継ぎ早に質問が飛んできそうな気がしたので、私は慌てて機先を制した。
「最終的に人が座って自立出来る比率になれば、大きい方の車輪は、使用者本人が回して動かす事で、行きたい方向に動かせる筈です。もちろん魔道具としての装置であっても良いとは思うんですけど、それを取り払えるなら、購買層を上位貴族や富裕層に絞る必要はないでしょう?」
一から木の製品を作る職人を探して交渉するのは、少なくとも当分無理に違いないし、そもそもイデオン公爵領の中で、木製の工芸品が有名とか、中央に打って出たいとかは聞いていない。
案だけ出して丸投げと言われればそれまでだけど、既に開発チームがあると言うのなら、そこに任せてしまった方が話が早いに決まっている。
「………よろしいのですか?」
そこまで聞くと、流石に……と、カールフェルドも思ったらしい。
私は苦笑交じりに片手を振った。
「商会長代理自身が仰ったじゃないですか。お互いに反目しあわないための手土産…と。こちらがこれから開く販路に、おかしな妨害を入れる事はしないと確約して下されば、それで充分です」
まあ、たまに優良生産者を紹介して頂ければ有難いですけどね?と、微笑う私に、カールフェルドは一瞬言葉に詰まったものの、そう長い間を置かずに「分かりました」と軽く頷いた。
「そう言えば、バリエンダールに赴くと仰っていらっしゃいましたね」
「ええ、まあ。あ、でも商会長がガラス職人を探していらっしゃるのであれば、妨害はしません。何と言うか……私の狙いは海産物なので」
「海産物?クヴィスト領やコンティオラ領の中にも、海産物を主力とする街はありますが、敢えてアンジェスの外に出ると仰る?」
「そうですね。……まあ、これ以上はお話しは出来ませんが」
こう言う時には、もったいぶっておくに限る。
案の定向こうも、商売上の秘密があると思ってくれたっぽかった。
「ああ、これ以上は確かに野暮ですね。失礼致しました。いえ、もしよろしければ、向こうで当方の商会長に会われては如何かと思いまして。私の一筆と、今のこの歩行補助器具の設計図があれば、父も確実に否とは申しませんでしょう。ガラス製品の市場調査と職人探しは、一朝一夕でどうにかなる事ではありませんからね。まだしばらくは向こうに滞在する予定でおりますから」
ある意味、王都を息子に任せても大丈夫だと言う信頼の表れであり、眼鏡の開発に対する本気度が窺い知れる。
「父の方が先んじてバリエンダールに乗り込んでいる分、街の為政者たちの勢力図や権力の関係なんかを、既にある程度把握している筈です。この設計図と引き換えに情報を引き出されると良いですよ」
「え……こちらこそ、よろしいんですか?」
「この図面にはそのくらいの価値はあると、私は判断していますよ。現存するガラス製品の販路も、香辛料の市場も、全て荒らさないと仰る限りは、恐らくは商会長も同じ判断を下す事でしょう。――オイゲン、その図面をもう一通書いてくれるか」
カールフェルドの話の途中から、男性はもう既に手を動かし始めていた。
「正直なところ、この地域の周辺住民は皆〝ツェツィ・オンペル〟が取り壊される事なく残る事を喜んでいるのですよ。後継ぎもいませんでしたし、大半の人間が半ば諦めていましたからね」
「……人望のあるご夫妻だったんですね」
「貴族である事を全く鼻にかけず、どの住民に対しても平等に接していらっしゃいましたからね。その志だけでも受け継いで下さると嬉しいですね」
カールフェルドはそう言って、損得のない柔らかい笑みを口元に浮かべた。
「あー……」
さすがにお店の名前は、バーレント伯爵家やヘルマンさんも絡むので、そのままは残せないだろうけど、夫人の名前をとった〝ツェツィ〟シリーズなら、下位貴族層や王都在住市民からの支持は得られるような気がした。
(あ、イイかも?)
当初の「市民に親しまれる聖女」のブランドイメージが使えなくなって、シャルリーヌでは代役に出来ないと、新たなストーリーをちょうど考えていたところだ。
亡命貴族令嬢の物語はそのままに、会社設立の手続きに来たバーレント家から、令嬢の境遇を聞いた商業ギルドが、バーレント家同様に令嬢の境遇に同情して〝ツェツィ・オンペル〟の再利用を提案してきた――事にすれば、木綿製品のどれかに〝ツェツィ〟の名を冠しても不自然ではないだろうし、支持も得やすい筈だ。
「何らかの形で、前任者がこの場所に残した想いを活かせるようにしますね」
「そうであれば嬉しいですね」
カールフェルドの笑みは、本音でそう思っている笑みだと思ったけど、隣で無言のエドヴァルドに関しては「何か考え付いたのなら、帰ったらキチンと説明するように」と、目が語っている物騒な笑みに見えて仕方がなかった。
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