286 / 819
第二部 宰相閣下の謹慎事情
325 誰も味方をしてはならぬ?
しおりを挟む
※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
「――さっきの薬、嘔吐剤だったそうですよ。ナシオさんから伝言です」
さも、スプーンを取り替えていますといった態で、今度は〝鷹の眼〟ルヴェックがそっと耳元で鑑定結果を教えてくれた。
「一応、例の無効化薬もここに置きますけど、お館様が『食事には手をつけるな』って仰ってるようですし、あくまで念のためと思っておいて下さい」
そのままテーブルの上に、対面側からは見えるかどうかといったサイズの小瓶をコトリと乗せている。
「お館様や陛下、あと…フォルシアン公爵令息でしたか?彼らの食器や食事には怪しいところはなかったようです。ナシオさんの指示で、ハジェスさんとフィトさんで確認してます。お館様からの伝言は、その時だったみたいですよ」
――食べるな、触るな、そこにいろ。いいから絶対に一人で動くな。
ルヴェックの声にちょっと笑いが混ざっているのは、どれだけ信用ないんですか、と私への揶揄が多分に入っているからだろう。
思わず頬を膨らませそうになったけど、よく考えたら、薬の内容を聞いたらどうしようかと思っていた時点で、エドヴァルドを責められた義理じゃなかったかも知れない。
「……じゃあ、ちょっと頼まれて欲しい事があるんだけど。これ以上はルヴェックが不自然に見えるだろうから、護衛騎士に化けてる誰かと代わって?」
ルヴェックの表情が一瞬痙攣ったのは、きっと気のせい。
化けるってなんです…と言いながらも、最終的にはハジェスが入れ替わりにやって来てくれた。
「呼んでる…と、ルヴェックが」
「あ、ありがとうハジェス。ちょっと斜め向かいのぽっちゃり王子ご一行を威嚇しながら、話聞いてくれる?」
武闘派と言うより知性派、どちらかと言えば雰囲気柔らかめなハジェスに言う事ではないのかも知れないけど、この際仕方がない。
「アイツら、睨んでおけば良いのか?」
普通に聞けば、仮にも一国の王子相手に何を言っているんだって話になるけど、イデオン公爵邸内において、サレステーデ王族に対する敬意などと言うモノは、既に地の底以下、彷徨うどころか埋められていた。
「うん。それで、そのまま聞いて?――早急に貴族牢に誰か人を遣って、サレステーデのドナート第二王子の食事を取り上げてくれる?もう配られているなら、吐かせるか解毒剤飲ませるかして?あと、ドロテア第一王女の方は、誰かが牢の鍵を壊しているかも知れないから、まだ牢にいるかどうかを確認して?」
「―――」
私の言葉に、ハジェスだけでなく、隣のシャルリーヌも息を呑んでいる。
理由を聞いても?と、乾いた声のハジェスに、シャルリーヌも微かに頷いていた。
「私の食事に嘔吐剤が混ぜられた。だけど陛下やエドヴァルド様の食事には混ぜられていない。この時点で、無差別に混ぜて夕食会を潰したいって言う可能性は消えた。そしてフォルシアン公爵令息の食事も無事。この時点で、貴族牢の王族二人が、最後の足掻きを試みた…って言う可能性も消えた」
なるほど、とハジェスとシャルリーヌが同時に納得の声を洩らしている。
「そして、見ての通りに犯人はそこのぽっちゃり王子と公爵だった」
「……向こうもこっちを見てるな」
「でしょ?多分、私が気分が悪くなって、この部屋から外に出たところで捕まえて、貴族牢の王子の所に放り込むつもりなんじゃないかと思うのよ。で、そのまま貴族牢のドナート王子と一緒に殺されるか何かして、無理心中事件として片付けられる。犯人は私――的な?」
はぁ⁉と小声ながらに呆れた口調を隠していないのは、シャルリーヌだ。
とりあえず聞いて?と、私は片手を上下に振って彼女を宥める。
「彼らは一刻も早く、貴族牢の王子王女を処刑してしまいたいのよ。だけど今日はどう足掻いても連れ帰れそうにない。なら、アンジェスで処刑してしまえる理由を作りたい。ドナート王子がこの国の聖女あるいはその姉を口説きに来た事と、エドヴァルド様がそれを拒否した事は既に公になってる。なら、私は本当はサレステーデに行きたがっているけど、エドヴァルド様がそれを許さなかった。だったら来世で結ばれようと二人は……的な陳腐な脚本を考えたっておかしくないと思うのよ」
「陳腐と言うか……それが事実なら、お館様の反応を推し量るのが既に恐ろしいと言うか……」
「待って待って、レイナ、じゃあ、王女サマの方はどうするつもりだって言うの?」
なんだかんだ、シャルリーヌがすっかり会話に加わっている。
「ドロテア王女の方はね、フォルシアン公爵令息をここから出したところで、彼が王女を好ましく思っていたなんて、誰も信じないから、同じ脚本は書けないでしょう?だったら多分、こちらとは逆の脚本を書いていると思うわ」
「逆?」
「王女を不憫に思ったドナート王子が、ドロテア王女を逃がした。ドロテア王女はフォルシアン公爵令息を探してこの『月神の間』に来る途中、侵入者と判断されて、うっかり斬り捨てられる」
「「――うっかり」」
ハジェスとシャルリーヌの声が、意図せずハモっていた。
うっかりじゃないだろう事なんて、全員が認識済みだ。
「ただ、陳腐は陳腐なんだけど、それでも、あそこにいるぽっちゃり二人には無理だと思うのよねぇ……どう見てもタダの道化に見えるって言うか」
確かに、とまたしてもハジェスとシャルリーヌの声が被る。
「その『うっかり』のドサクサで、もしかしたら、あそこのぽっちゃり二人も巻き込まれるかも知れない。ファルコやベルセリウス将軍がめちゃくちゃ警戒をしている男が一人いるでしょ?どう見ても彼、ぽっちゃり二人に忠誠誓って付いてる様に見えないのよねぇ……もっと、別の目的があって動いていると言うか」
「……例えば第三王子派が漁夫の利を狙ってたり?」
シャルリーヌの呟きに、思わず「そう、それ」と私も場を忘れた答え方をしてしまった。
「第三王子は既に次期王位争いからは下りて、国内貴族との縁組が出来ているって聞いてはいるけどね?だからと言って『最後の一人』になれば、事情も変わるだろうし。……まあ、それは後でも良いんだけど、とりあえず、貴族牢の食事を止めるのと、牢の鍵の確認を急いでくれないかな」
「……分かった、そうしよう。それでまさかとは思うが、部屋から出てみるとは言わないな?多分、と言うか間違いなく〝鷹の眼〟全員『俺らを殺す気か!』って反対してくるぞ。俺も含めてだが」
あはは…と、私は乾いた笑い声を洩らした。
「まぁ…言おうとしていたのは否定しないけどね。でも多分、さっきスプーンの交換を頼んだところを見た時点で、向こうも自分たちの目論見が半分バレた事には気が付いている筈なのよ。だとしたら、牢から逃げた王女をこの部屋まで引き込んだ上で、ドサクサまぎれに私やフォルシアン公爵令息を斬る方向に切り替えてくるかも知れないな――なんて」
その瞬間、ハジェスの周りの空気がピリッと引き締まった気がした。
「なら、すぐに王女を確保して――」
「待って。それならそれで、王女はこの部屋の中にまで引き込んでしまった方が良いと思うの」
場を離れかけたハジェスが、私の言葉に思わずと言った態で急停止していた。
「いやいやいや。お館様は確かに『動くな』と言ったかも知れないが、こっちで囮になるとかなら、意味ないだろう」
「――この部屋には、既に『招かれざる客』がいるのよ。予め聞いていた夕食会だけの参加者を加味しても、さっきの謁見と、人数が合っていない。王女を捕まえる為に何人かを外へ割こうとすると、この部屋の警護が逆に手薄になる」
「……っ」
「もしかすると、バレた時の保険なのかも知れない。だから貴族牢に確認に行くのは最低限にして、いないならいないで、王女をこっちまで引き入れた方が絶対に安全性は高い筈」
「二人とも牢でピンピンしていた時はどうする?」
「その時は、向こうの手勢から誰かが確認に行くでしょうから、それを捕まえて、後はエドヴァルド様なり陛下なりに判断して貰うってコトで」
「なるほど。一応、お館様に報告する気はある…と」
「……それちょっとヒドくない?」
「疑われるくらいには、前科がありすぎだ。まあ、そう言う事なら承知した。貴族牢の確認と、お館様への報告と、警備体制の見直しをファルコと相談してくる。それまでは、ここはサタノフに頼むから、くれぐれも動かないように」
「……ほんっと、レイナ信用ないわねぇ……」
踵を返したハジェスをチラ見しながら、しみじみとシャルリーヌが呟いている。
――誰も味方をしてくれない、と私は私でいじけたくなっていた。
「――さっきの薬、嘔吐剤だったそうですよ。ナシオさんから伝言です」
さも、スプーンを取り替えていますといった態で、今度は〝鷹の眼〟ルヴェックがそっと耳元で鑑定結果を教えてくれた。
「一応、例の無効化薬もここに置きますけど、お館様が『食事には手をつけるな』って仰ってるようですし、あくまで念のためと思っておいて下さい」
そのままテーブルの上に、対面側からは見えるかどうかといったサイズの小瓶をコトリと乗せている。
「お館様や陛下、あと…フォルシアン公爵令息でしたか?彼らの食器や食事には怪しいところはなかったようです。ナシオさんの指示で、ハジェスさんとフィトさんで確認してます。お館様からの伝言は、その時だったみたいですよ」
――食べるな、触るな、そこにいろ。いいから絶対に一人で動くな。
ルヴェックの声にちょっと笑いが混ざっているのは、どれだけ信用ないんですか、と私への揶揄が多分に入っているからだろう。
思わず頬を膨らませそうになったけど、よく考えたら、薬の内容を聞いたらどうしようかと思っていた時点で、エドヴァルドを責められた義理じゃなかったかも知れない。
「……じゃあ、ちょっと頼まれて欲しい事があるんだけど。これ以上はルヴェックが不自然に見えるだろうから、護衛騎士に化けてる誰かと代わって?」
ルヴェックの表情が一瞬痙攣ったのは、きっと気のせい。
化けるってなんです…と言いながらも、最終的にはハジェスが入れ替わりにやって来てくれた。
「呼んでる…と、ルヴェックが」
「あ、ありがとうハジェス。ちょっと斜め向かいのぽっちゃり王子ご一行を威嚇しながら、話聞いてくれる?」
武闘派と言うより知性派、どちらかと言えば雰囲気柔らかめなハジェスに言う事ではないのかも知れないけど、この際仕方がない。
「アイツら、睨んでおけば良いのか?」
普通に聞けば、仮にも一国の王子相手に何を言っているんだって話になるけど、イデオン公爵邸内において、サレステーデ王族に対する敬意などと言うモノは、既に地の底以下、彷徨うどころか埋められていた。
「うん。それで、そのまま聞いて?――早急に貴族牢に誰か人を遣って、サレステーデのドナート第二王子の食事を取り上げてくれる?もう配られているなら、吐かせるか解毒剤飲ませるかして?あと、ドロテア第一王女の方は、誰かが牢の鍵を壊しているかも知れないから、まだ牢にいるかどうかを確認して?」
「―――」
私の言葉に、ハジェスだけでなく、隣のシャルリーヌも息を呑んでいる。
理由を聞いても?と、乾いた声のハジェスに、シャルリーヌも微かに頷いていた。
「私の食事に嘔吐剤が混ぜられた。だけど陛下やエドヴァルド様の食事には混ぜられていない。この時点で、無差別に混ぜて夕食会を潰したいって言う可能性は消えた。そしてフォルシアン公爵令息の食事も無事。この時点で、貴族牢の王族二人が、最後の足掻きを試みた…って言う可能性も消えた」
なるほど、とハジェスとシャルリーヌが同時に納得の声を洩らしている。
「そして、見ての通りに犯人はそこのぽっちゃり王子と公爵だった」
「……向こうもこっちを見てるな」
「でしょ?多分、私が気分が悪くなって、この部屋から外に出たところで捕まえて、貴族牢の王子の所に放り込むつもりなんじゃないかと思うのよ。で、そのまま貴族牢のドナート王子と一緒に殺されるか何かして、無理心中事件として片付けられる。犯人は私――的な?」
はぁ⁉と小声ながらに呆れた口調を隠していないのは、シャルリーヌだ。
とりあえず聞いて?と、私は片手を上下に振って彼女を宥める。
「彼らは一刻も早く、貴族牢の王子王女を処刑してしまいたいのよ。だけど今日はどう足掻いても連れ帰れそうにない。なら、アンジェスで処刑してしまえる理由を作りたい。ドナート王子がこの国の聖女あるいはその姉を口説きに来た事と、エドヴァルド様がそれを拒否した事は既に公になってる。なら、私は本当はサレステーデに行きたがっているけど、エドヴァルド様がそれを許さなかった。だったら来世で結ばれようと二人は……的な陳腐な脚本を考えたっておかしくないと思うのよ」
「陳腐と言うか……それが事実なら、お館様の反応を推し量るのが既に恐ろしいと言うか……」
「待って待って、レイナ、じゃあ、王女サマの方はどうするつもりだって言うの?」
なんだかんだ、シャルリーヌがすっかり会話に加わっている。
「ドロテア王女の方はね、フォルシアン公爵令息をここから出したところで、彼が王女を好ましく思っていたなんて、誰も信じないから、同じ脚本は書けないでしょう?だったら多分、こちらとは逆の脚本を書いていると思うわ」
「逆?」
「王女を不憫に思ったドナート王子が、ドロテア王女を逃がした。ドロテア王女はフォルシアン公爵令息を探してこの『月神の間』に来る途中、侵入者と判断されて、うっかり斬り捨てられる」
「「――うっかり」」
ハジェスとシャルリーヌの声が、意図せずハモっていた。
うっかりじゃないだろう事なんて、全員が認識済みだ。
「ただ、陳腐は陳腐なんだけど、それでも、あそこにいるぽっちゃり二人には無理だと思うのよねぇ……どう見てもタダの道化に見えるって言うか」
確かに、とまたしてもハジェスとシャルリーヌの声が被る。
「その『うっかり』のドサクサで、もしかしたら、あそこのぽっちゃり二人も巻き込まれるかも知れない。ファルコやベルセリウス将軍がめちゃくちゃ警戒をしている男が一人いるでしょ?どう見ても彼、ぽっちゃり二人に忠誠誓って付いてる様に見えないのよねぇ……もっと、別の目的があって動いていると言うか」
「……例えば第三王子派が漁夫の利を狙ってたり?」
シャルリーヌの呟きに、思わず「そう、それ」と私も場を忘れた答え方をしてしまった。
「第三王子は既に次期王位争いからは下りて、国内貴族との縁組が出来ているって聞いてはいるけどね?だからと言って『最後の一人』になれば、事情も変わるだろうし。……まあ、それは後でも良いんだけど、とりあえず、貴族牢の食事を止めるのと、牢の鍵の確認を急いでくれないかな」
「……分かった、そうしよう。それでまさかとは思うが、部屋から出てみるとは言わないな?多分、と言うか間違いなく〝鷹の眼〟全員『俺らを殺す気か!』って反対してくるぞ。俺も含めてだが」
あはは…と、私は乾いた笑い声を洩らした。
「まぁ…言おうとしていたのは否定しないけどね。でも多分、さっきスプーンの交換を頼んだところを見た時点で、向こうも自分たちの目論見が半分バレた事には気が付いている筈なのよ。だとしたら、牢から逃げた王女をこの部屋まで引き込んだ上で、ドサクサまぎれに私やフォルシアン公爵令息を斬る方向に切り替えてくるかも知れないな――なんて」
その瞬間、ハジェスの周りの空気がピリッと引き締まった気がした。
「なら、すぐに王女を確保して――」
「待って。それならそれで、王女はこの部屋の中にまで引き込んでしまった方が良いと思うの」
場を離れかけたハジェスが、私の言葉に思わずと言った態で急停止していた。
「いやいやいや。お館様は確かに『動くな』と言ったかも知れないが、こっちで囮になるとかなら、意味ないだろう」
「――この部屋には、既に『招かれざる客』がいるのよ。予め聞いていた夕食会だけの参加者を加味しても、さっきの謁見と、人数が合っていない。王女を捕まえる為に何人かを外へ割こうとすると、この部屋の警護が逆に手薄になる」
「……っ」
「もしかすると、バレた時の保険なのかも知れない。だから貴族牢に確認に行くのは最低限にして、いないならいないで、王女をこっちまで引き入れた方が絶対に安全性は高い筈」
「二人とも牢でピンピンしていた時はどうする?」
「その時は、向こうの手勢から誰かが確認に行くでしょうから、それを捕まえて、後はエドヴァルド様なり陛下なりに判断して貰うってコトで」
「なるほど。一応、お館様に報告する気はある…と」
「……それちょっとヒドくない?」
「疑われるくらいには、前科がありすぎだ。まあ、そう言う事なら承知した。貴族牢の確認と、お館様への報告と、警備体制の見直しをファルコと相談してくる。それまでは、ここはサタノフに頼むから、くれぐれも動かないように」
「……ほんっと、レイナ信用ないわねぇ……」
踵を返したハジェスをチラ見しながら、しみじみとシャルリーヌが呟いている。
――誰も味方をしてくれない、と私は私でいじけたくなっていた。
858
お気に入りに追加
12,955
あなたにおすすめの小説
離婚する両親のどちらと暮らすか……娘が選んだのは夫の方だった。
しゃーりん
恋愛
夫の愛人に子供ができた。夫は私と離婚して愛人と再婚したいという。
私たち夫婦には娘が1人。
愛人との再婚に娘は邪魔になるかもしれないと思い、自分と一緒に連れ出すつもりだった。
だけど娘が選んだのは夫の方だった。
失意のまま実家に戻り、再婚した私が数年後に耳にしたのは、娘が冷遇されているのではないかという話。
事実ならば娘を引き取りたいと思い、元夫の家を訪れた。
再び娘が選ぶのは父か母か?というお話です。
【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
結婚して5年、冷たい夫に離縁を申し立てたらみんなに止められています。
真田どんぐり
恋愛
ー5年前、ストレイ伯爵家の美しい令嬢、アルヴィラ・ストレイはアレンベル侯爵家の侯爵、ダリウス・アレンベルと結婚してアルヴィラ・アレンベルへとなった。
親同士に決められた政略結婚だったが、アルヴィラは旦那様とちゃんと愛し合ってやっていこうと決意していたのに……。
そんな決意を打ち砕くかのように旦那様の態度はずっと冷たかった。
(しかも私にだけ!!)
社交界に行っても、使用人の前でもどんな時でも冷たい態度を取られた私は周りの噂の恰好の的。
最初こそ我慢していたが、ある日、偶然旦那様とその幼馴染の不倫疑惑を耳にする。
(((こんな仕打ち、あんまりよーー!!)))
旦那様の態度にとうとう耐えられなくなった私は、ついに離縁を決意したーーーー。
【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。
くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」
「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」
いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。
「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と……
私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。
「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」
「はい、お父様、お母様」
「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」
「……はい」
「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」
「はい、わかりました」
パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、
兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。
誰も私の言葉を聞いてくれない。
誰も私を見てくれない。
そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。
ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。
「……なんか、馬鹿みたいだわ!」
もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる!
ふるゆわ設定です。
※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい!
※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ!
追加文
番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】初めて嫁ぎ先に行ってみたら、私と同名の妻と嫡男がいました。さて、どうしましょうか?
との
恋愛
「なんかさぁ、おかしな噂聞いたんだけど」
結婚式の時から一度もあった事のない私の夫には、最近子供が産まれたらしい。
夫のストマック辺境伯から領地には来るなと言われていたアナベルだが、流石に放っておくわけにもいかず訪ねてみると、
えっ? アナベルって奥様がここに住んでる。
どう言う事? しかも私が毎月支援していたお金はどこに?
ーーーーーー
完結、予約投稿済みです。
R15は、今回も念の為
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
意地を張っていたら6年もたってしまいました
Hkei
恋愛
「セドリック様が悪いのですわ!」
「そうか?」
婚約者である私の誕生日パーティーで他の令嬢ばかり褒めて、そんなに私のことが嫌いですか!
「もう…セドリック様なんて大嫌いです!!」
その後意地を張っていたら6年もたってしまっていた二人の話。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている
と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。