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第二部 宰相閣下の謹慎事情
260 謹慎は難しいようです
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
翌日。
中心街にあるインフォーマルレストラン〝チェカル〟での、カジュアルに近いパーティーは夜との事なので、それまではエドヴァルドにあれこれ解説をして貰いながら、ユングベリ商会の実店舗登録の為の書類を必死に読みこなしていた。
誰かに代わって貰うと言う発想はそもそも皆無だったし、エドヴァルドも、私が最低限しか聞いて来ないだろう事は予想がついていたのか「分からない事が出て来たら聞くと良い」と言って、あれこれ口を差し挟む事なく、隣に居てくれたのだ。
その合間に聞いたところによれば、ヘルマンさんの店でお直しを頼んだ既製服は、数日中に公爵邸に届けられると言う事らしかった。
既製服の配達は、ヘルマンさん自身がしてくれる事になった。
昨日は最後グダグダになってしまって〝聖女ブランド〟の話が出来なかったと言うのもあったけど、デッサン帳をぶん投げられた上に部屋の窓枠を凍り付かせられたとあっては、もう平謝りで、オマケで既製服に合うアクセサリーまで付けてくれる事になった。
デッサン帳は商法書ほど分厚くないので、額を切って血を流すような事はなかったけど、もしかしたら今日あたり多少は腫れているかも知れない。
「……行商人登録の時は、どうしていたんだ」
多分、素人には提出書類を読みこなすのさえ至難の業だと思ったんだろう。
エドヴァルドは、そんな風に隣で書類を覗き込んでいる。
昨日は帰って来てからもしばらくは苛々が垣間見えていたけれど、セルヴァンとヨンナの、気遣うようでいて、邸宅内ではそれ以上暴走させまいとの絶妙なコンビネーションによって、あっと言う間に夕食、入浴、寝室と手際よく自室に、文字通り放り込まれていたので、私から何かを言う隙もなかった。
セルヴァン曰く、宰相になりたての頃や有象無象のご令嬢が邸宅に押しかけていた頃なども、苛々を爆発させて邸宅を凍り付かせていた事が一度ならずあった為、対処の仕方はある程度心得ていると言う事らしかった。
…いつかぜひ、そのコツを聞いてみたいと思う。
「ベクレル伯爵に手伝って頂きました。どう言う意図を持ってこの一文が書かれているのかとか、分かりやすく噛み砕いて説明して下さいました」
もちろん、そんな事はおくびにも出さないけど。
「何語でだ?」
「そう言えば…ギーレン語でしたね。リーリャギルド長が、提出先がギーレンの商業ギルドだからと、気を利かせて書類を揃えて下さったみたいです。どこでも提出出来ると言う趣旨から言えば、何語でも良いらしいんですけど、その方が手続きが早く進むと思われたのかも知れません」
「なるほどな……ああ、それで言うと、家庭教師はどうしたい?まあ、私の謹慎期間中は必要ない話ではあるが、その後の話として」
エドヴァルドの思いがけない申し出に、私はふと書類から顔を上げた。
「……続けて良いんですか、家庭教師?」
「貴女が望むなら、どの科目でも、いくらでも」
恐らくは、もう舞菜のフォローは必要ないだろう現状から言って、必要ないと切られる可能性も頭にあった。
やはり独学で学べる事には限界があるので、家庭教師を付けてくれると言うなら、有難くそれに従いたかった。
「もともと、マリーツさんにはダンスの練習は続けた方が良いって言われていたんですよね。あくまで一回きりの夜会のための『突貫工事』だったから…って。好きか嫌いかと聞かれると、そこまで好きって訳でもないんですけど……やっぱり、恥はかきたくないですし、エドヴァルド様にかかせたくもないですし」
私がそう言って苦笑すると、僅かにエドヴァルドの表情が動いた様に見えた。
「いや……私の事は気にしなくても良いが……元々、夜会に出ても踊るつもりはないから、貴女に批判の矛先が向く事もないだろうし……と言うか、私が踊らない以上は貴女に踊らせるつもりもないが」
「⁉」
良いのか一国の宰相がそれで、と思ったけれど、エドヴァルドの表情は大真面目だ。
私は咳払いをして、その場を誤魔化した。
「じゃ、じゃあ、デビュタント用以外の基本一式を覚えるまでと言う事で、お願いして良いですか?やっぱり『基本を知っていて踊らない』事と『何も知らないから踊れない』では、周りの印象も随分違うと思うんですよ」
「それは……まあ……」
これを、ダンス嫌いのエドヴァルドの「妥協」だと無理矢理結論づけて、私は次の希望に話を移した。
「文字に関して、ギーレンとバリエンダールで止まっているので、ベルィフとサレステーデの事も、可能な範囲で知りたいと思うんですけど」
ベルィフはギーレンの隣国、サレステーデはバリエンダールの隣国だ。
直接アンジェスと国境を接していないので、一見すると不要な話だと言えなくもない。
エドヴァルドの表情にも、理由を聞きたいと、しっかり表れていた。
「あー…えーっと…念のため、でしょうか……」
私も確たる理由を説明出来る訳じゃない。
単に〝蘇芳戦記〟の中で出て来る国名であるだけに、私の認識とどのくらい齟齬があるのか、家庭教師を通してでも少し知りたいだけなのだ。
両国とも、ゲーム内でアンジェスと直接交わる場面はなかったにせよ、ギーレン側からプレイを始めれば、ベルィフとの関わりはシャルリーヌの修道院ルートの延長で後々出て来るし、バリエンダール側から物語を始めれば、病弱で王宮から出られず〝幻の姫〟と噂されるミルテ王女の視点で進む話の中に、サレステーデとの戦争…とまではいかないにせよ、国境付近での小競り合いが幾度となく勃発する。
いずれ関わらないと言う保証はなかった。
私が読んだ〝本〟の知識とのズレを知りたいだけですと正直に言うと、エドヴァルドも眉を顰めはしたが、すぐさま反対をする事はなかった。
「……分かった。どちらもアンジェスと国境を接している訳ではないから、私にはすぐに思い浮かぶ伝手がない。ボードリエ伯爵に頼んで、学園の教師を紹介して貰う方が良いかも知れないな」
「え、学園の先生ですか?」
「学園の授業には、他国語の授業も選択科目の中に含まれている。まあ半数がギーレンを取って、残りの内のまた半数がバリエンダールを取るから、少数派の科目にはなるがな。輿入れと共にやってくる貴族子弟もゼロではないから、教師としては存在しているんだ」
「学園の授業と両立して、教えてくれるでしょうか?」
「学園では副業を認めていない訳ではないから、予め学園長の許可さえあれば、可能ではある。もしかしたら、学園まで来いと言われる可能性もあるが…それは、言われた時に考えよう」
何だか、あまりそれは認めたくなさそうに見えるけれど、確かに、まずは話をしてみない事には始まらない。
それに〝蘇芳戦記〟に絡んで知っておきたいとなれば、シャルリーヌも一緒に学ぼうとするのではないだろうか。
私が「もしかしたら、シャルリーヌ嬢も〝物語〟繋がりで一緒に学びたいと言うかも……?」と水を向ければ、案の定、エドヴァルドはちょっと怯んだ。
「――その辺りも、ボードリエ伯爵と話をしてから検討しよう」
そんな訳で、昼食の後はボードリエ伯爵とシャルリーヌ双方に宛てて手紙を書くと私が言い、エドヴァルドも分かったとばかりに頷いたその時、扉を叩く音と共にセルヴァンが書斎の中へと入って来た。
「失礼致します。旦那様、王宮からの使者が今参りまして、これを――」
そう言ったセルヴァンが、手にしていた、筒状に丸められた封書をエドヴァルドへと差し出す。
「……っ、普通、謹慎早々手紙を寄越すか、誰だ⁉」
くだらない用事だったら突き返してやる!と吐き捨てる様に呟きながら、セルヴァンから封書を受け取ったエドヴァルドは、その場で中身に目を通し始めた。
「……あの国、滅ぼしてやろうか」
「⁉」
やがて、物騒極まりない一言と共に、エドヴァルドが封書を握りつぶした。
ギョッと目を見開く私をよそに「セルヴァン」と、忠実な家令に声をかける。
「――今すぐ王宮へ向かう。支度と馬車の用意を」
「かしこまりました」
余計な事は聞かず、セルヴァンはすぐさま主の命令を行動に移している。
私はどうしようもないので、黙って成り行きを伺っていたところに、フワリとエドヴァルドの手が頭に置かれた。
「レイナ。そのボードリエ伯爵への家庭教師の紹介の件、サレステーデ語を先に、なるべく早く伯爵に頼んでみてはくれないか」
「あ…はい…分かりました……?」
要領を得ない私に、さすがに補足が必要だと思ったんだろう。
恐らくは機密に抵触しない範囲で、エドヴァルドが手紙の内容を教えてくれた。
「礼儀知らずのサレステーデ王族、第二王子と第一王女がいきなり王宮の正門に押しかけて来たらしい。フォルシアン公爵が初期対応にあたってはくれたようだが、どうやら面倒な話に巻き込まれているようだ。こちらにも無関係な話とは言い難いらしいから、いったん謹慎の話は棚上げする形で、王宮に行って来る」
「………うわぁ」
事前のアポなしで他国の王宮にいきなり乗り込むとか、確かにケンカを売っているのかと言う話だ。
と言うか、王宮の〝転移扉〟ではなく正門に現れたと言う事は、アンジェス国内どこかの貴族家に、ワンクッション置く形でやって来て、そこから馬車で乗り付けて来たと言う事になる。
それも含めて、問題行動満載の出来事であるには違いない。
「あ、はい、分かりました。なるべく早く、ボードリエ伯爵邸訪問の許可をいただくようにします」
「すまないが、頼んだ」
そう言ってエドヴァルドは、慌ただしく邸宅を後にして行った。
――レストラン〝チェカル〟での夕食には、ちゃんと間に合わせると言い残して。
もしかして、私、自分自身で何かフラグを立てたんだろうか……。
翌日。
中心街にあるインフォーマルレストラン〝チェカル〟での、カジュアルに近いパーティーは夜との事なので、それまではエドヴァルドにあれこれ解説をして貰いながら、ユングベリ商会の実店舗登録の為の書類を必死に読みこなしていた。
誰かに代わって貰うと言う発想はそもそも皆無だったし、エドヴァルドも、私が最低限しか聞いて来ないだろう事は予想がついていたのか「分からない事が出て来たら聞くと良い」と言って、あれこれ口を差し挟む事なく、隣に居てくれたのだ。
その合間に聞いたところによれば、ヘルマンさんの店でお直しを頼んだ既製服は、数日中に公爵邸に届けられると言う事らしかった。
既製服の配達は、ヘルマンさん自身がしてくれる事になった。
昨日は最後グダグダになってしまって〝聖女ブランド〟の話が出来なかったと言うのもあったけど、デッサン帳をぶん投げられた上に部屋の窓枠を凍り付かせられたとあっては、もう平謝りで、オマケで既製服に合うアクセサリーまで付けてくれる事になった。
デッサン帳は商法書ほど分厚くないので、額を切って血を流すような事はなかったけど、もしかしたら今日あたり多少は腫れているかも知れない。
「……行商人登録の時は、どうしていたんだ」
多分、素人には提出書類を読みこなすのさえ至難の業だと思ったんだろう。
エドヴァルドは、そんな風に隣で書類を覗き込んでいる。
昨日は帰って来てからもしばらくは苛々が垣間見えていたけれど、セルヴァンとヨンナの、気遣うようでいて、邸宅内ではそれ以上暴走させまいとの絶妙なコンビネーションによって、あっと言う間に夕食、入浴、寝室と手際よく自室に、文字通り放り込まれていたので、私から何かを言う隙もなかった。
セルヴァン曰く、宰相になりたての頃や有象無象のご令嬢が邸宅に押しかけていた頃なども、苛々を爆発させて邸宅を凍り付かせていた事が一度ならずあった為、対処の仕方はある程度心得ていると言う事らしかった。
…いつかぜひ、そのコツを聞いてみたいと思う。
「ベクレル伯爵に手伝って頂きました。どう言う意図を持ってこの一文が書かれているのかとか、分かりやすく噛み砕いて説明して下さいました」
もちろん、そんな事はおくびにも出さないけど。
「何語でだ?」
「そう言えば…ギーレン語でしたね。リーリャギルド長が、提出先がギーレンの商業ギルドだからと、気を利かせて書類を揃えて下さったみたいです。どこでも提出出来ると言う趣旨から言えば、何語でも良いらしいんですけど、その方が手続きが早く進むと思われたのかも知れません」
「なるほどな……ああ、それで言うと、家庭教師はどうしたい?まあ、私の謹慎期間中は必要ない話ではあるが、その後の話として」
エドヴァルドの思いがけない申し出に、私はふと書類から顔を上げた。
「……続けて良いんですか、家庭教師?」
「貴女が望むなら、どの科目でも、いくらでも」
恐らくは、もう舞菜のフォローは必要ないだろう現状から言って、必要ないと切られる可能性も頭にあった。
やはり独学で学べる事には限界があるので、家庭教師を付けてくれると言うなら、有難くそれに従いたかった。
「もともと、マリーツさんにはダンスの練習は続けた方が良いって言われていたんですよね。あくまで一回きりの夜会のための『突貫工事』だったから…って。好きか嫌いかと聞かれると、そこまで好きって訳でもないんですけど……やっぱり、恥はかきたくないですし、エドヴァルド様にかかせたくもないですし」
私がそう言って苦笑すると、僅かにエドヴァルドの表情が動いた様に見えた。
「いや……私の事は気にしなくても良いが……元々、夜会に出ても踊るつもりはないから、貴女に批判の矛先が向く事もないだろうし……と言うか、私が踊らない以上は貴女に踊らせるつもりもないが」
「⁉」
良いのか一国の宰相がそれで、と思ったけれど、エドヴァルドの表情は大真面目だ。
私は咳払いをして、その場を誤魔化した。
「じゃ、じゃあ、デビュタント用以外の基本一式を覚えるまでと言う事で、お願いして良いですか?やっぱり『基本を知っていて踊らない』事と『何も知らないから踊れない』では、周りの印象も随分違うと思うんですよ」
「それは……まあ……」
これを、ダンス嫌いのエドヴァルドの「妥協」だと無理矢理結論づけて、私は次の希望に話を移した。
「文字に関して、ギーレンとバリエンダールで止まっているので、ベルィフとサレステーデの事も、可能な範囲で知りたいと思うんですけど」
ベルィフはギーレンの隣国、サレステーデはバリエンダールの隣国だ。
直接アンジェスと国境を接していないので、一見すると不要な話だと言えなくもない。
エドヴァルドの表情にも、理由を聞きたいと、しっかり表れていた。
「あー…えーっと…念のため、でしょうか……」
私も確たる理由を説明出来る訳じゃない。
単に〝蘇芳戦記〟の中で出て来る国名であるだけに、私の認識とどのくらい齟齬があるのか、家庭教師を通してでも少し知りたいだけなのだ。
両国とも、ゲーム内でアンジェスと直接交わる場面はなかったにせよ、ギーレン側からプレイを始めれば、ベルィフとの関わりはシャルリーヌの修道院ルートの延長で後々出て来るし、バリエンダール側から物語を始めれば、病弱で王宮から出られず〝幻の姫〟と噂されるミルテ王女の視点で進む話の中に、サレステーデとの戦争…とまではいかないにせよ、国境付近での小競り合いが幾度となく勃発する。
いずれ関わらないと言う保証はなかった。
私が読んだ〝本〟の知識とのズレを知りたいだけですと正直に言うと、エドヴァルドも眉を顰めはしたが、すぐさま反対をする事はなかった。
「……分かった。どちらもアンジェスと国境を接している訳ではないから、私にはすぐに思い浮かぶ伝手がない。ボードリエ伯爵に頼んで、学園の教師を紹介して貰う方が良いかも知れないな」
「え、学園の先生ですか?」
「学園の授業には、他国語の授業も選択科目の中に含まれている。まあ半数がギーレンを取って、残りの内のまた半数がバリエンダールを取るから、少数派の科目にはなるがな。輿入れと共にやってくる貴族子弟もゼロではないから、教師としては存在しているんだ」
「学園の授業と両立して、教えてくれるでしょうか?」
「学園では副業を認めていない訳ではないから、予め学園長の許可さえあれば、可能ではある。もしかしたら、学園まで来いと言われる可能性もあるが…それは、言われた時に考えよう」
何だか、あまりそれは認めたくなさそうに見えるけれど、確かに、まずは話をしてみない事には始まらない。
それに〝蘇芳戦記〟に絡んで知っておきたいとなれば、シャルリーヌも一緒に学ぼうとするのではないだろうか。
私が「もしかしたら、シャルリーヌ嬢も〝物語〟繋がりで一緒に学びたいと言うかも……?」と水を向ければ、案の定、エドヴァルドはちょっと怯んだ。
「――その辺りも、ボードリエ伯爵と話をしてから検討しよう」
そんな訳で、昼食の後はボードリエ伯爵とシャルリーヌ双方に宛てて手紙を書くと私が言い、エドヴァルドも分かったとばかりに頷いたその時、扉を叩く音と共にセルヴァンが書斎の中へと入って来た。
「失礼致します。旦那様、王宮からの使者が今参りまして、これを――」
そう言ったセルヴァンが、手にしていた、筒状に丸められた封書をエドヴァルドへと差し出す。
「……っ、普通、謹慎早々手紙を寄越すか、誰だ⁉」
くだらない用事だったら突き返してやる!と吐き捨てる様に呟きながら、セルヴァンから封書を受け取ったエドヴァルドは、その場で中身に目を通し始めた。
「……あの国、滅ぼしてやろうか」
「⁉」
やがて、物騒極まりない一言と共に、エドヴァルドが封書を握りつぶした。
ギョッと目を見開く私をよそに「セルヴァン」と、忠実な家令に声をかける。
「――今すぐ王宮へ向かう。支度と馬車の用意を」
「かしこまりました」
余計な事は聞かず、セルヴァンはすぐさま主の命令を行動に移している。
私はどうしようもないので、黙って成り行きを伺っていたところに、フワリとエドヴァルドの手が頭に置かれた。
「レイナ。そのボードリエ伯爵への家庭教師の紹介の件、サレステーデ語を先に、なるべく早く伯爵に頼んでみてはくれないか」
「あ…はい…分かりました……?」
要領を得ない私に、さすがに補足が必要だと思ったんだろう。
恐らくは機密に抵触しない範囲で、エドヴァルドが手紙の内容を教えてくれた。
「礼儀知らずのサレステーデ王族、第二王子と第一王女がいきなり王宮の正門に押しかけて来たらしい。フォルシアン公爵が初期対応にあたってはくれたようだが、どうやら面倒な話に巻き込まれているようだ。こちらにも無関係な話とは言い難いらしいから、いったん謹慎の話は棚上げする形で、王宮に行って来る」
「………うわぁ」
事前のアポなしで他国の王宮にいきなり乗り込むとか、確かにケンカを売っているのかと言う話だ。
と言うか、王宮の〝転移扉〟ではなく正門に現れたと言う事は、アンジェス国内どこかの貴族家に、ワンクッション置く形でやって来て、そこから馬車で乗り付けて来たと言う事になる。
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もしかして、私、自分自身で何かフラグを立てたんだろうか……。
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685 忘れじの膝枕 とも連動!
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
2巻刊行記念「オムレツ狂騒曲」は2023年4月のバックナンバーに、3巻刊行記念「星の影響-コクリュシュ-」は2024年3月のバックナンバーに掲載中です!
そして4巻刊行記念「月と白い鳥」はコミックス第1巻と連動!
https://www.regina-books.com/extra
今回から見方が変わりました。何か一話、アルファポリス作品をレンタル頂くことで全てご覧いただけますので宜しくお願いしますm(_ _)m
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
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