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第一部 宰相家の居候
【宰相Side】エドヴァルドの邂逅(後)
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
ギーレン王都中心部にあった、その事務弁護士の事務所では、身なりの良い、いかにも上流階級を相手にしていますと言った雰囲気の壮年の男性が応対してきた。
「申し訳ありません。長年、そちらの公爵家の対応に当たらせていただいておりましたのは、先代の所長で……今は私がこの事務所を預かっております。ミック・メールディンクです」
「イデオン公爵エドヴァルドだ。本家はアンジェスにあるが、今回は外交のためにこちらの国に来る機会を得た。それを機に、長年そのままになっていた、相続権放棄の手続きを完了させてしまいたいと思い、直接伺わせて貰った。放棄の宣誓書に当人の直筆署名が必要で、他国との書面のやりとりは出来かねると言われていたからな」
「公爵閣下。大変失礼かとは存じますが……この案件自体が〝王族案件〟に相当している事はご存知でいらっしゃいましたか?」
メールディンクの言葉に、私は僅かに目を瞠った。
「いや……初耳だ。だがしかし、放棄したい相続権の生い立ちの事を思えば、さもありなんと言う気はしている」
何しろ、オーグレーン家最後の当主アロルド・オーグレーンは、先代国王の叔父だったのだから。
「そうですか。何故他国との書面のやり取りが出来かねると、長年申し上げてきたのかと言えば、そう言った事情があったのですよ。うっかり配達途中に内容が洩れでもすれば、大変な事になりますから」
「私は特段、責めているつもりはない。これを機に手続きを進めて貰えるなら、それで充分だ」
「――その事ですが」
だがメールディンクは、かなり言いにくそうな表情になった末に「王族案件とは、最終的には王族の許可が必要になると言う事だから、提出後認可まで時間がかかるかも知れない」と、そう言ってきた。
「もちろん、正規の申請書類一式はお渡しいたします。署名の上、こちらまで再度お持ち下されば結構です。ですが恐らくは、外交からのお戻りまでには許可はされないかと……」
なるほど…と、私は思わず天を仰いだ。
「分かった。貴殿は貴殿の仕事を全うしてくれればそれで良い。後はこちらで考えるとしよう」
アンジェスもギーレンも、法廷闘争の弁護士と、行政手続きを担うような事務方の弁護士は、別である事が多い。
稀にヤンネ・キヴェカスの様に、両方をこなす人間はいるが、絶対的にその人数は少ない。
メールディンクは事務弁護士のようだが、それにしても王族案件とまで言われて、争いたいと思う法廷弁護士は流石にいないだろう。
どうやらこれは、国王か王子を揺さぶるか、正妃あるいは第二夫人を揺さぶるか、改めて考えた方が良さそうだった。
メールディンクから書類を受け取って、私はとりあえず馬車をナリスヴァーラ城へと向かわせた。
城と名付けられてはいるが、元は戦争が起きた時に王都を守る砦のような意味で作られたようだから、他の王族の城に比べるとそれほど大きくはなく、様式も石造りの重厚な物だ。
と言うか、アンジェスのイデオン公爵邸よりも、居住区域としては狭いのかも知れない。
王位を継げなかったアロルド・オーグレーンは、もしかしたら王宮の華やかさとはかけ離れた雰囲気のこの城で、独り鬱屈とした思いを抱えていたのだろうか。
そうであったとしても、国を揺るがす醜聞を巻き起こした事は、到底許容は出来ないのだが。
「遠路ようこそお越し下さいました。王宮より、宰相閣下のご滞在中のお世話を申しつかりましたベレンセと申します。どうぞ執事と言う認識でいて下さればと存じます」
そう言って頭を下げたのは、既に老年期に差しかかっているであろう男性だった。
もしやと思い男性を見つめると、返って来たのはその思いを肯定するかの様な、柔らかい微笑だった。
「お察しの通り、私を始め、此処に今おります使用人の大半は、かつてアロルド様にお仕えした事がある者にございます。今回、閣下のお越しに伴いまして、皆それぞれ一時的に故郷より呼び戻されてございます」
「……なるほどな」
気の休まるヒマもないような、侍女や令嬢に取り囲まれるくらいなら、彼らの様な人材がいてくれる方がまだ良いと言わねばなるまい。
先代当主の想い出話を聞かされる方が、多分まだマシだ。
「だが私の事は、外交でこの地を訪れた他国の客と思って接して貰って構わない。それと滞在中、間違っても余計な手引きはしてくれるな。分かった瞬間に城から叩き出すし、その際に首と胴が離れていようが文句は言わせんと他の者にも周知しておいてくれ」
「………畏まりましてございます、閣下」
実際にどう思ったかは分からないが、彼らが使用人の立場にある限りは、表立って私の話に異を唱えられない。
頭を下げたベレンセに改めて先導される形で、私は城の中へと足を踏み入れた。
「ただいま昼食の用意をさせております。終わりました後にでも、城内を案内させて頂きたいと思っておりますので、それまではこちらの寝室にてどうかお寛ぎ下さいますよう」
一礼したベレンセが下がって行った後、念の為ノーイェルらアンジェス王宮派遣の護衛騎士達が、寝室に不埒な人間が潜り込んでいないか、ざっと部屋の中を確認した。
「今の時点では、誰も入り込んで来ていないようですが、夜はまた、例の罠を設置しておきましょう」
…どうも引っかかる方に期待している風に見えるのは、気の所為と思いたいが。
「お館様」
もはや護衛騎士を取り繕う事すらしていない、フィトとナシオが、一足遅れる形で、部屋へと入って来た。
「どうやら、ギーレンの王宮から『監視役』が裏で配されてきていますね。我々に近い存在のようですから、本格的に退けるとなると、少し準備の時間をいただきたいですね」
ベレンセら、城の使用人たちは知らないのではないかと、フィトは言う。
「ただ、城の主しか知らなそうな隠し通路や、いかにも怪しげな液体入りの小瓶が並ぶ隠し部屋もありましたので、最低限、分かっている出入口は塞いで、小瓶は叩き割っておきました」
今いる使用人が存在を知らなくても、後から忍び込まれたら厄介ですし…と、ナシオが言う。
表のノーイェル達と、裏のフィト達とで、勝手に役割分担が出来ているこの状況に、果たして安堵すべきなのだろうか。
「ああ、あと途中でちょっと小耳に挟みましたが、アンジェスの聖女サマは、王宮内の色々な派閥から搔き集められたお貴族サマの令息たちに、蝶よ花よと煽てられながら観光満喫してるようですよ。アレ、取り巻いてる連中皆、聖女をオトせって言われてますね。本人も『えぇー誰がイイかなー?』なんて、清々しいクズ発言してますから、お互い様な気もしますね。もういっそのこと、置き去りにして帰ったらどうです?」
「………」
いっそ堕とされてくれれば良いと私が思っている事は、流石にこの場では口に出来ない。
もしかしたら顔には出ているのかも知れないが。
ノーイェルが真面目に「フィト殿それは……」と困った反応を見せていても、私は迂闊にどちらにも頷けない――まだ、今は。
「チチチッ!」
「⁉」
その時、聞き覚えのある鳴き声と共に、何かがカツンと寝室の窓にぶつかる音が聞こえた。
フィトとナシオが、気を引き締めるように私の前に立ちながら、ゆっくりと窓際へと近づいていく。
「あれ?誰もいない――気のせい?」
「違う違う、ナシオ!アレだ、アレ!」
そう言ったフィトが一度窓の外を指差した後に、鍵を外して、片側の窓を開いた。
「ピッ!」
その瞬間、白い塊が一瞬視界を横切り、そのままぽすっと私の胸元にぶつかった。
思わず片手を出したそこに、胸元からコロンと転がり落ちている。
「………ヘリファルテ」
「「え⁉」」
皆が驚いたように私の手元を覗き込む中、当のヘリファルテは、ジッと私を見た後、小さな足をジタバタと動かし始めた。
そうそう都合よく、野生が部屋に飛び込んで来たりはするまい。
コレは間違いなく、騎士トーカレヴァ・サタノフと、レイナとの間をしょっちゅう飛び交っているヘリファルテ〝リファ〟だ。
可愛すぎだろとか、お嬢さんが可愛がられる筈だとか呟く、フィトやナシオの声が耳をすり抜けていく。
「手紙……」
ヘリファルテが持ち運べるサイズの手紙には、それほど多くの事は書けない。
私はヘリファルテの足に括りつけられていた小型の筒を外すと、手紙の大きさを元へと戻すようにして、内容を確認した。
〝シーカサーリの街にある、ベクレル伯爵家に入りました。
以前の話の通りに、王家の評判に揺さぶりをかけますので、もう少しだけお待ち下さい。
以降のやり取りは〝鷹の眼〟同士で可能とファルコに聞きました。
近いうちに、お迎えに上がります。
その時は――宰相閣下、私と駆け落ちしましょう――〟
「くっ…くく…っ」
「「お館様⁉」」
「こ…これほど、手紙を貰って嬉しいと思った事もないな…レイナ…っ!」
滅多にない、お腹を押さえるようにして笑う私の姿に、部屋にいた全員が驚いた様に目を丸くしているが、そんな事はどうでも良かった。
「やはり私にはレイナしかいない。ギーレン王家が何を言おうと、レイナ以外の手は取らない。フィト、ナシオ、良いな?近未来のイデオン公爵夫人は――レイナただ一人だ」
答えの代わりに、フィトとナシオはその場に片膝を付いた。
「元より我ら〝鷹の眼〟は、ファルコ以下、皆がそのつもりをしております」
「お館様のご意志に背くような事は決して致しません」
「ああ。よろしく頼む。とりあえず、このヘリファルテを通してファルコと連絡をとれ。どうやらレイナと共に来ているようだ」
――さて、私は何と返事をしておこうか。
ギーレン王都中心部にあった、その事務弁護士の事務所では、身なりの良い、いかにも上流階級を相手にしていますと言った雰囲気の壮年の男性が応対してきた。
「申し訳ありません。長年、そちらの公爵家の対応に当たらせていただいておりましたのは、先代の所長で……今は私がこの事務所を預かっております。ミック・メールディンクです」
「イデオン公爵エドヴァルドだ。本家はアンジェスにあるが、今回は外交のためにこちらの国に来る機会を得た。それを機に、長年そのままになっていた、相続権放棄の手続きを完了させてしまいたいと思い、直接伺わせて貰った。放棄の宣誓書に当人の直筆署名が必要で、他国との書面のやりとりは出来かねると言われていたからな」
「公爵閣下。大変失礼かとは存じますが……この案件自体が〝王族案件〟に相当している事はご存知でいらっしゃいましたか?」
メールディンクの言葉に、私は僅かに目を瞠った。
「いや……初耳だ。だがしかし、放棄したい相続権の生い立ちの事を思えば、さもありなんと言う気はしている」
何しろ、オーグレーン家最後の当主アロルド・オーグレーンは、先代国王の叔父だったのだから。
「そうですか。何故他国との書面のやり取りが出来かねると、長年申し上げてきたのかと言えば、そう言った事情があったのですよ。うっかり配達途中に内容が洩れでもすれば、大変な事になりますから」
「私は特段、責めているつもりはない。これを機に手続きを進めて貰えるなら、それで充分だ」
「――その事ですが」
だがメールディンクは、かなり言いにくそうな表情になった末に「王族案件とは、最終的には王族の許可が必要になると言う事だから、提出後認可まで時間がかかるかも知れない」と、そう言ってきた。
「もちろん、正規の申請書類一式はお渡しいたします。署名の上、こちらまで再度お持ち下されば結構です。ですが恐らくは、外交からのお戻りまでには許可はされないかと……」
なるほど…と、私は思わず天を仰いだ。
「分かった。貴殿は貴殿の仕事を全うしてくれればそれで良い。後はこちらで考えるとしよう」
アンジェスもギーレンも、法廷闘争の弁護士と、行政手続きを担うような事務方の弁護士は、別である事が多い。
稀にヤンネ・キヴェカスの様に、両方をこなす人間はいるが、絶対的にその人数は少ない。
メールディンクは事務弁護士のようだが、それにしても王族案件とまで言われて、争いたいと思う法廷弁護士は流石にいないだろう。
どうやらこれは、国王か王子を揺さぶるか、正妃あるいは第二夫人を揺さぶるか、改めて考えた方が良さそうだった。
メールディンクから書類を受け取って、私はとりあえず馬車をナリスヴァーラ城へと向かわせた。
城と名付けられてはいるが、元は戦争が起きた時に王都を守る砦のような意味で作られたようだから、他の王族の城に比べるとそれほど大きくはなく、様式も石造りの重厚な物だ。
と言うか、アンジェスのイデオン公爵邸よりも、居住区域としては狭いのかも知れない。
王位を継げなかったアロルド・オーグレーンは、もしかしたら王宮の華やかさとはかけ離れた雰囲気のこの城で、独り鬱屈とした思いを抱えていたのだろうか。
そうであったとしても、国を揺るがす醜聞を巻き起こした事は、到底許容は出来ないのだが。
「遠路ようこそお越し下さいました。王宮より、宰相閣下のご滞在中のお世話を申しつかりましたベレンセと申します。どうぞ執事と言う認識でいて下さればと存じます」
そう言って頭を下げたのは、既に老年期に差しかかっているであろう男性だった。
もしやと思い男性を見つめると、返って来たのはその思いを肯定するかの様な、柔らかい微笑だった。
「お察しの通り、私を始め、此処に今おります使用人の大半は、かつてアロルド様にお仕えした事がある者にございます。今回、閣下のお越しに伴いまして、皆それぞれ一時的に故郷より呼び戻されてございます」
「……なるほどな」
気の休まるヒマもないような、侍女や令嬢に取り囲まれるくらいなら、彼らの様な人材がいてくれる方がまだ良いと言わねばなるまい。
先代当主の想い出話を聞かされる方が、多分まだマシだ。
「だが私の事は、外交でこの地を訪れた他国の客と思って接して貰って構わない。それと滞在中、間違っても余計な手引きはしてくれるな。分かった瞬間に城から叩き出すし、その際に首と胴が離れていようが文句は言わせんと他の者にも周知しておいてくれ」
「………畏まりましてございます、閣下」
実際にどう思ったかは分からないが、彼らが使用人の立場にある限りは、表立って私の話に異を唱えられない。
頭を下げたベレンセに改めて先導される形で、私は城の中へと足を踏み入れた。
「ただいま昼食の用意をさせております。終わりました後にでも、城内を案内させて頂きたいと思っておりますので、それまではこちらの寝室にてどうかお寛ぎ下さいますよう」
一礼したベレンセが下がって行った後、念の為ノーイェルらアンジェス王宮派遣の護衛騎士達が、寝室に不埒な人間が潜り込んでいないか、ざっと部屋の中を確認した。
「今の時点では、誰も入り込んで来ていないようですが、夜はまた、例の罠を設置しておきましょう」
…どうも引っかかる方に期待している風に見えるのは、気の所為と思いたいが。
「お館様」
もはや護衛騎士を取り繕う事すらしていない、フィトとナシオが、一足遅れる形で、部屋へと入って来た。
「どうやら、ギーレンの王宮から『監視役』が裏で配されてきていますね。我々に近い存在のようですから、本格的に退けるとなると、少し準備の時間をいただきたいですね」
ベレンセら、城の使用人たちは知らないのではないかと、フィトは言う。
「ただ、城の主しか知らなそうな隠し通路や、いかにも怪しげな液体入りの小瓶が並ぶ隠し部屋もありましたので、最低限、分かっている出入口は塞いで、小瓶は叩き割っておきました」
今いる使用人が存在を知らなくても、後から忍び込まれたら厄介ですし…と、ナシオが言う。
表のノーイェル達と、裏のフィト達とで、勝手に役割分担が出来ているこの状況に、果たして安堵すべきなのだろうか。
「ああ、あと途中でちょっと小耳に挟みましたが、アンジェスの聖女サマは、王宮内の色々な派閥から搔き集められたお貴族サマの令息たちに、蝶よ花よと煽てられながら観光満喫してるようですよ。アレ、取り巻いてる連中皆、聖女をオトせって言われてますね。本人も『えぇー誰がイイかなー?』なんて、清々しいクズ発言してますから、お互い様な気もしますね。もういっそのこと、置き去りにして帰ったらどうです?」
「………」
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もしかしたら顔には出ているのかも知れないが。
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「チチチッ!」
「⁉」
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フィトとナシオが、気を引き締めるように私の前に立ちながら、ゆっくりと窓際へと近づいていく。
「あれ?誰もいない――気のせい?」
「違う違う、ナシオ!アレだ、アレ!」
そう言ったフィトが一度窓の外を指差した後に、鍵を外して、片側の窓を開いた。
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そうそう都合よく、野生が部屋に飛び込んで来たりはするまい。
コレは間違いなく、騎士トーカレヴァ・サタノフと、レイナとの間をしょっちゅう飛び交っているヘリファルテ〝リファ〟だ。
可愛すぎだろとか、お嬢さんが可愛がられる筈だとか呟く、フィトやナシオの声が耳をすり抜けていく。
「手紙……」
ヘリファルテが持ち運べるサイズの手紙には、それほど多くの事は書けない。
私はヘリファルテの足に括りつけられていた小型の筒を外すと、手紙の大きさを元へと戻すようにして、内容を確認した。
〝シーカサーリの街にある、ベクレル伯爵家に入りました。
以前の話の通りに、王家の評判に揺さぶりをかけますので、もう少しだけお待ち下さい。
以降のやり取りは〝鷹の眼〟同士で可能とファルコに聞きました。
近いうちに、お迎えに上がります。
その時は――宰相閣下、私と駆け落ちしましょう――〟
「くっ…くく…っ」
「「お館様⁉」」
「こ…これほど、手紙を貰って嬉しいと思った事もないな…レイナ…っ!」
滅多にない、お腹を押さえるようにして笑う私の姿に、部屋にいた全員が驚いた様に目を丸くしているが、そんな事はどうでも良かった。
「やはり私にはレイナしかいない。ギーレン王家が何を言おうと、レイナ以外の手は取らない。フィト、ナシオ、良いな?近未来のイデオン公爵夫人は――レイナただ一人だ」
答えの代わりに、フィトとナシオはその場に片膝を付いた。
「元より我ら〝鷹の眼〟は、ファルコ以下、皆がそのつもりをしております」
「お館様のご意志に背くような事は決して致しません」
「ああ。よろしく頼む。とりあえず、このヘリファルテを通してファルコと連絡をとれ。どうやらレイナと共に来ているようだ」
――さて、私は何と返事をしておこうか。
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685 忘れじの膝枕 とも連動!
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
2巻刊行記念「オムレツ狂騒曲」は2023年4月のバックナンバーに、3巻刊行記念「星の影響-コクリュシュ-」は2024年3月のバックナンバーに掲載中です!
そして4巻刊行記念「月と白い鳥」はコミックス第1巻と連動!
https://www.regina-books.com/extra
今回から見方が変わりました。何か一話、アルファポリス作品をレンタル頂くことで全てご覧いただけますので宜しくお願いしますm(_ _)m
書籍刊行記念 書き下ろし番外編小説「森のピクニック」は下記ページ バックナンバー2022年6月欄に掲載中!
2巻刊行記念「オムレツ狂騒曲」は2023年4月のバックナンバーに、3巻刊行記念「星の影響-コクリュシュ-」は2024年3月のバックナンバーに掲載中です!
そして4巻刊行記念「月と白い鳥」はコミックス第1巻と連動!
https://www.regina-books.com/extra
今回から見方が変わりました。何か一話、アルファポリス作品をレンタル頂くことで全てご覧いただけますので宜しくお願いしますm(_ _)m
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