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第一部 宰相家の居候
165 鬼畜は褒め言葉ですか、陛下
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※1日複数話更新です。お気を付け下さい。
団欒の間の床に、後手に縛られた状態で転がされている〝双子の片割れ〟は、屈み込んだ私を睨むように見上げていた。
「えっと……アナタが誰か、一応は分かるんだけれど、裏方の人達が詳しく尋問するのに、身ぐるみ剥いで尊厳を傷つけるとか言われるとさすがに後味が悪いので、先にアナタが〝シーグ〟なのか〝リック〟なのか知りたいかな」
「なっ……⁉」
「これでも〝聖女の姉〟なので、何も知らないってワケじゃないのよね」
嘘です。ハッタリです。某ゲームの静止画で見ただけです。
もちろんそんな事は口にしないで、知らない筈の情報を知っていると言う、薄気味悪さだけを煽っておく。
「尊厳…って、まさかコイツ……」
とりあえず私の言いたい事にいち早く気が付いたファルコに、頷いてネタばらしをした。
「んー…それを確認したいんだけどね?この子、ギーレンのエドベリ王子に仕えている子で、表向きは一人の少年なんだけど、実際は双子なのよ。男と女の双子である事と、成長期前の身体である事とを利用して、色々とおイタをしていた感じなんだけど」
「な…んで…それを…っ」
驚愕に目を見開いているっぽい彼、あるいは彼女に、私はにこやかに微笑って見せる。
「だから言ってるじゃない。これでも〝聖女の姉〟だって。私の事調べに来たんでしょう?エドベリ王子から頼まれて。ふふ…まさかエドヴァルド様がそこまで拒否をするとは思わなかったから、今頃焦ってる感じかな?」
敢えて「王子」を強調してみれば、案の定嚙みついてきた。
「――殿下とお呼びしろ、無礼者!聖女の姉ごときがしたり顔で殿下を語るなっ」
「さすが、若いなぁ…その体勢から、まだ怒鳴れるんだね?」
「くっ……」
アンタに若いって言われてもな…とか呟くファルコ、一言多い!
「……で、どっち?」
「………」
「黙ったままだと、着てる服とかひん剥かれちゃうよ?そこにいるお兄さんに」
意趣返しにファルコを指差してみたら、ファルコがちょっと顔を痙攣らせていた。
「人聞き悪ぃな、おい!だったらアンタが身ぐるみ剥がせば良いだろうがよ!」
「私が剥がして、男の子だったらタダの変態じゃないの!」
「俺が剥がして女だったら、じゃあどうなるってんだよ!」
まあまあ…と、間に入ってきたのはウルリック副長だった。
一見穏やかなようで、目が笑っていない。
それが、彼なりの相手への恫喝の仕方なのかもしれなかった。
「お二人ともに良心が疼くとおっしゃるなら、私がやりますよ?軍人ですから、さすがに変態扱いはされないと思いますし。鬼畜と言われる程度なら、別に気にしませんしね」
「気にしないんだ……」
「将軍ほどの威厳がない私には、むしろ褒め言葉ですよ、レイナ嬢」
この時ミカ君が、やっぱりウルリック副長は敵に回しちゃいけない人だと、思ったとか思わなかったとか。
「じゃあ、まあそういう事で」
あっさりと上着に手をかけるウルリック副長に「ひっ…」と空気を吸い込むような短い悲鳴が微かに聞こえた。
「シ…シーグ!シーグ・アルビレオだ!だから触るなっ‼」
「…だ、そうですがレイナ嬢?」
手は離さないまでも、脱がす事までは止めたらしいウルリック副長に、私も「……一応、脱がしちゃダメな方だったってことで」と、肯定しておいた。
「そうですか。ではいったんこの手は引っこめますが、気が変わったらいつでもおっしゃって下さい」
「―――」
誰が、いつ気が変わるのか…なんて事はツッコミません、はい。
少女も顔を痙攣らせているし、充分だよね。
「シーグ」
「な…っ」
いきなりの呼び捨てに反発しているけど、何しろ身動きがとれない。
悔しそうに私を見ているばかりだった。
「シーグちゃんの方が良かったかな?まぁ、細かいコトは気にしないで。あの〝イクスゴード〟って言うお店はそれほど大きくないから、ボードリエ家の見張りをしているのって、あそこだとアナタしかいなかったと思うんだけど、他のお店なり家なりには、仲間はいたのかな?アナタが帰らなければ、他に誰かここに来る?」
私がお店の名前を出した途端、シーグの顔色が更に悪くなった。
まさかそんなところで見つかっていたなどとは、思いもよらなかったに違いない。
「……まあさすがに、いきなり仲間を売るような事はしないか。ファルコ、素直に喋りたくなるお薬みたいなのって、あるのかな?」
別名、自白剤とも言う。
「ないと思うか?」
「ううん、聞いてみただけ。続きはそれを飲んで貰ってからにしようかなと思って」
「……アンタ相変わらず、考え方が割と物騒なんだよな」
「そうかな?ほら、薬で喋らされたって言う事実がある方が、捕まったドジと思われるだけで、裏切り者とまでは言われなくない?慈悲のココロじゃない、慈悲の」
「自分で言ってりゃ、コイツの感動も半減だろうよ」
「別にこの子に感動して欲しいワケじゃないもの。ただ、この子が〝シーグ〟なら、ちょっと手伝って欲しい事があったから、いちいち『この裏切り者!』とかって私とは別に襲ってこられたりしても困るんだって」
「手伝いだと?」
語尾を跳ね上げたファルコに、言われたシーグの方でも、何を言っているんだとばかりに目を丸くしていた。
「そ…んなもの、私が手伝うワケが…っ」
反発の声をあげたシーグを、私は真っすぐに指差した。
「ううん、アナタは絶対に私を手伝う」
「―――」
何かちょっと〝聖女の姉〟が予言しているみたいに見えるかな?
私は微笑って、それっぽく断言してみた。
「だってシーグ、あの店からボードリエ家に探りを入れていたなら、割と早い段階で気が付いたでしょう?」
「な…にを」
「エドベリ王子の『愛情』が一方通行で、シャルリーヌ嬢はこれっぽっちもギーレンに行く気がないってコト」
「!」
返事の代わりに、床に転がされた状態のまま、シーグが固まった。
「下手をしたら、本人が家で愚痴っていたのを直接耳にしたりしていない?不安にならなかった?今のままシャルリーヌ嬢がギーレンに戻ったとしても、エドベリ王子の方が手ひどくはねつけられて、恥をかくんじゃないか――って。ふふ。これが『リック』の方だったら、男性目線で見ちゃうから、エドベリ王子の求めに応じるのが当然…くらいに思って、疑問も持たなかったかも知れないけど、ね?」
無言は図星。
私は更にニッコリと笑ってみた。
何故か団欒の間の成人男性陣が全員ドン引きなのは、ちょっと解せないけど。
「ね、私、アナタにエドベリ殿下を裏切れなんて一言も言っていないよ?パトリック元第一王子の件だけでも十分に噂の的になっているご令嬢を、真実の愛だなんて一時の情に流されて手に入れるなんて、それって本当に殿下の為になると、アナタは思う?」
「わ…たし如き、そんなこと…」
「今のご正妃様にしてみたら、彼女が帰国したら、経緯はどうあれ、息子を捨てて次期国王に擦り寄った悪女。第二夫人にしてみたら、ベクレル伯爵家はご正妃様派閥。自分の息子が、いつ寝首をかかれるかも知れないと、不安しか覚えない。私が派閥の領袖なら、そんな結婚ゴリ押しするような次期王位継承者なら要らないって思うわ。最悪王家には、庶子とは言えイルヴァスティ子爵令嬢が、まだいるもの。自分の息のかかった王配を送り込む方がよっぽどマシ」
ほうら、殿下ピンチでしょ?とシーグの顔を覗き込めば、その顔色は、真っ青だ。
「そりゃあ、シャルリーヌ嬢とこのまま引き裂かれれば、その時は殿下は激怒されるかも知れない。でも一歩引いてみて?ここで殿下をお諫めする方が、将来、素晴らしい国王陛下になられるの。だから…ね?私を手伝って?」
「何…を…」
「アンジェス国宰相エドヴァルド・イデオンが、ギーレンに定住する事になれば、その侍女としてシャルリーヌ嬢を引き抜いた後で、自国で妻にする――って言うのが、今のエドベリ殿下のお考えでしょう?私は、エドヴァルド様にはアンジェスに戻って貰いたいから、それを阻止する。アナタがそれを手伝ってくれたら、シャルリーヌ嬢はギーレンに行く事なく、この先の殿下の評判にも傷はつかない。ね、コレって裏切りかな?」
「………考えさせて欲しい」
根気よく待ってみた末の、シーグの答えが、それだった。
「一度にアレコレ言われても、理解が追いつかない」
もちろん、と笑顔のまま私は答える。
詭弁?丸め込んでる?気のせいです、断じて!
「とは言え、さっきの『地下』には戻って貰うけどね?結論が出たら、呼んでくれる?まあ、一晩くらいしか時間はあげられないけど」
シーグは無言で頷き、いつの間にか団欒の間にいたイザクが、彼女を連れて行った。
素直に喋る薬と言ったから、来ていたのかも知れない。
「…ねえ、レイナ様」
この中で、誰よりも早く驚愕から戻って来たのは、ミカ君だった。
うん、まあ、6歳の子に聞かせる話じゃなかったしね。
「今の話、僕にも分かるように教えて欲しいって言うのは…ダメかな?僕にはまだ早いのは分かる。それは分かるんだけど、僕はもう、ただ笑ったままの子供ではいたくないんだ」
――これでは完全に、チャペックを怒れない。
私は頭を抱えたくなった。
団欒の間の床に、後手に縛られた状態で転がされている〝双子の片割れ〟は、屈み込んだ私を睨むように見上げていた。
「えっと……アナタが誰か、一応は分かるんだけれど、裏方の人達が詳しく尋問するのに、身ぐるみ剥いで尊厳を傷つけるとか言われるとさすがに後味が悪いので、先にアナタが〝シーグ〟なのか〝リック〟なのか知りたいかな」
「なっ……⁉」
「これでも〝聖女の姉〟なので、何も知らないってワケじゃないのよね」
嘘です。ハッタリです。某ゲームの静止画で見ただけです。
もちろんそんな事は口にしないで、知らない筈の情報を知っていると言う、薄気味悪さだけを煽っておく。
「尊厳…って、まさかコイツ……」
とりあえず私の言いたい事にいち早く気が付いたファルコに、頷いてネタばらしをした。
「んー…それを確認したいんだけどね?この子、ギーレンのエドベリ王子に仕えている子で、表向きは一人の少年なんだけど、実際は双子なのよ。男と女の双子である事と、成長期前の身体である事とを利用して、色々とおイタをしていた感じなんだけど」
「な…んで…それを…っ」
驚愕に目を見開いているっぽい彼、あるいは彼女に、私はにこやかに微笑って見せる。
「だから言ってるじゃない。これでも〝聖女の姉〟だって。私の事調べに来たんでしょう?エドベリ王子から頼まれて。ふふ…まさかエドヴァルド様がそこまで拒否をするとは思わなかったから、今頃焦ってる感じかな?」
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「くっ……」
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「私が剥がして、男の子だったらタダの変態じゃないの!」
「俺が剥がして女だったら、じゃあどうなるってんだよ!」
まあまあ…と、間に入ってきたのはウルリック副長だった。
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それが、彼なりの相手への恫喝の仕方なのかもしれなかった。
「お二人ともに良心が疼くとおっしゃるなら、私がやりますよ?軍人ですから、さすがに変態扱いはされないと思いますし。鬼畜と言われる程度なら、別に気にしませんしね」
「気にしないんだ……」
「将軍ほどの威厳がない私には、むしろ褒め言葉ですよ、レイナ嬢」
この時ミカ君が、やっぱりウルリック副長は敵に回しちゃいけない人だと、思ったとか思わなかったとか。
「じゃあ、まあそういう事で」
あっさりと上着に手をかけるウルリック副長に「ひっ…」と空気を吸い込むような短い悲鳴が微かに聞こえた。
「シ…シーグ!シーグ・アルビレオだ!だから触るなっ‼」
「…だ、そうですがレイナ嬢?」
手は離さないまでも、脱がす事までは止めたらしいウルリック副長に、私も「……一応、脱がしちゃダメな方だったってことで」と、肯定しておいた。
「そうですか。ではいったんこの手は引っこめますが、気が変わったらいつでもおっしゃって下さい」
「―――」
誰が、いつ気が変わるのか…なんて事はツッコミません、はい。
少女も顔を痙攣らせているし、充分だよね。
「シーグ」
「な…っ」
いきなりの呼び捨てに反発しているけど、何しろ身動きがとれない。
悔しそうに私を見ているばかりだった。
「シーグちゃんの方が良かったかな?まぁ、細かいコトは気にしないで。あの〝イクスゴード〟って言うお店はそれほど大きくないから、ボードリエ家の見張りをしているのって、あそこだとアナタしかいなかったと思うんだけど、他のお店なり家なりには、仲間はいたのかな?アナタが帰らなければ、他に誰かここに来る?」
私がお店の名前を出した途端、シーグの顔色が更に悪くなった。
まさかそんなところで見つかっていたなどとは、思いもよらなかったに違いない。
「……まあさすがに、いきなり仲間を売るような事はしないか。ファルコ、素直に喋りたくなるお薬みたいなのって、あるのかな?」
別名、自白剤とも言う。
「ないと思うか?」
「ううん、聞いてみただけ。続きはそれを飲んで貰ってからにしようかなと思って」
「……アンタ相変わらず、考え方が割と物騒なんだよな」
「そうかな?ほら、薬で喋らされたって言う事実がある方が、捕まったドジと思われるだけで、裏切り者とまでは言われなくない?慈悲のココロじゃない、慈悲の」
「自分で言ってりゃ、コイツの感動も半減だろうよ」
「別にこの子に感動して欲しいワケじゃないもの。ただ、この子が〝シーグ〟なら、ちょっと手伝って欲しい事があったから、いちいち『この裏切り者!』とかって私とは別に襲ってこられたりしても困るんだって」
「手伝いだと?」
語尾を跳ね上げたファルコに、言われたシーグの方でも、何を言っているんだとばかりに目を丸くしていた。
「そ…んなもの、私が手伝うワケが…っ」
反発の声をあげたシーグを、私は真っすぐに指差した。
「ううん、アナタは絶対に私を手伝う」
「―――」
何かちょっと〝聖女の姉〟が予言しているみたいに見えるかな?
私は微笑って、それっぽく断言してみた。
「だってシーグ、あの店からボードリエ家に探りを入れていたなら、割と早い段階で気が付いたでしょう?」
「な…にを」
「エドベリ王子の『愛情』が一方通行で、シャルリーヌ嬢はこれっぽっちもギーレンに行く気がないってコト」
「!」
返事の代わりに、床に転がされた状態のまま、シーグが固まった。
「下手をしたら、本人が家で愚痴っていたのを直接耳にしたりしていない?不安にならなかった?今のままシャルリーヌ嬢がギーレンに戻ったとしても、エドベリ王子の方が手ひどくはねつけられて、恥をかくんじゃないか――って。ふふ。これが『リック』の方だったら、男性目線で見ちゃうから、エドベリ王子の求めに応じるのが当然…くらいに思って、疑問も持たなかったかも知れないけど、ね?」
無言は図星。
私は更にニッコリと笑ってみた。
何故か団欒の間の成人男性陣が全員ドン引きなのは、ちょっと解せないけど。
「ね、私、アナタにエドベリ殿下を裏切れなんて一言も言っていないよ?パトリック元第一王子の件だけでも十分に噂の的になっているご令嬢を、真実の愛だなんて一時の情に流されて手に入れるなんて、それって本当に殿下の為になると、アナタは思う?」
「わ…たし如き、そんなこと…」
「今のご正妃様にしてみたら、彼女が帰国したら、経緯はどうあれ、息子を捨てて次期国王に擦り寄った悪女。第二夫人にしてみたら、ベクレル伯爵家はご正妃様派閥。自分の息子が、いつ寝首をかかれるかも知れないと、不安しか覚えない。私が派閥の領袖なら、そんな結婚ゴリ押しするような次期王位継承者なら要らないって思うわ。最悪王家には、庶子とは言えイルヴァスティ子爵令嬢が、まだいるもの。自分の息のかかった王配を送り込む方がよっぽどマシ」
ほうら、殿下ピンチでしょ?とシーグの顔を覗き込めば、その顔色は、真っ青だ。
「そりゃあ、シャルリーヌ嬢とこのまま引き裂かれれば、その時は殿下は激怒されるかも知れない。でも一歩引いてみて?ここで殿下をお諫めする方が、将来、素晴らしい国王陛下になられるの。だから…ね?私を手伝って?」
「何…を…」
「アンジェス国宰相エドヴァルド・イデオンが、ギーレンに定住する事になれば、その侍女としてシャルリーヌ嬢を引き抜いた後で、自国で妻にする――って言うのが、今のエドベリ殿下のお考えでしょう?私は、エドヴァルド様にはアンジェスに戻って貰いたいから、それを阻止する。アナタがそれを手伝ってくれたら、シャルリーヌ嬢はギーレンに行く事なく、この先の殿下の評判にも傷はつかない。ね、コレって裏切りかな?」
「………考えさせて欲しい」
根気よく待ってみた末の、シーグの答えが、それだった。
「一度にアレコレ言われても、理解が追いつかない」
もちろん、と笑顔のまま私は答える。
詭弁?丸め込んでる?気のせいです、断じて!
「とは言え、さっきの『地下』には戻って貰うけどね?結論が出たら、呼んでくれる?まあ、一晩くらいしか時間はあげられないけど」
シーグは無言で頷き、いつの間にか団欒の間にいたイザクが、彼女を連れて行った。
素直に喋る薬と言ったから、来ていたのかも知れない。
「…ねえ、レイナ様」
この中で、誰よりも早く驚愕から戻って来たのは、ミカ君だった。
うん、まあ、6歳の子に聞かせる話じゃなかったしね。
「今の話、僕にも分かるように教えて欲しいって言うのは…ダメかな?僕にはまだ早いのは分かる。それは分かるんだけど、僕はもう、ただ笑ったままの子供ではいたくないんだ」
――これでは完全に、チャペックを怒れない。
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