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終章 うたかた
五山送り火(後)
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毎年八月十三日からは「お盆の入り」だ。
各家でお盆供養の飾りつけがなされて、お上人さんが早朝からそれぞれの檀家を回ってお経を上げる。
仏教ごとは、基本後回しにしない――と言う慣習に則ってか、なるべく午前中に回ろうと言う方向にどうやら傾くものらしく、お寺に近い家では朝の六時台からの訪問となる家もあるそうだ。
朝の十時半頃、お上人さんがやって来た菜穂子の実家なんかは、まだいい方なんだろう。
「基本は仏壇の前に棚を設けて、御位牌を出してお祀りします。他の宗派さんは分かりませんけど、日蓮宗にはそこまでガチガチに決められた飾り方はないんです。地域の風習やら、各家庭で引き継がれてきた伝統の違いやらもありますさかいに。大事なのは御本尊、御位牌を隠さへんことと、なるべくなみなみと注がれてる水を用意して貰うことですやろか」
何でも、ご先祖様を始め多くの救われない餓鬼を一緒に供養すると言う点からも、コップよりも大きめの容れ物に入った水を用意するのが好ましいらしい。
「餓鬼……」
お上人さんの話に、思わず辰巳一家のことが頭をよぎる。
(後で、お水いっぱいお供えしよう……)
辰巳幸子の妹さんにまで、届くかどうかは分からなくとも。
祖母にさえ届いていれば、もしかしたら辰巳幸子くらいには届くかも知れない。
八瀬青年曰く、お盆の入りから五山送り火までは、見えないだけで魂はそれぞれ所縁のある場所に戻っていくものらしい。
『僕自身は別に会いたい家族もいませんし、十王庁居残りで働きますよ』
むしろ家族には会いたくないくらいだと言っていた。
若宮八幡宮の鏡に八瀬青年がチラッと映っていたのは、今回の件で「高辻先生の孫」の様子を見ようとしたはいいが、六道珍皇寺の井戸がすぐ近くにあったことと、時期的な要因とが重なってそのまま地上へと出てしまい、本当にたまたま映ってしまったんだとか。
普通に生活をしている限りは、まず見えないのだそう。
残念なことに。
(おじいちゃん、おばあちゃん、お帰り。言うても、会うたばっかりやけど)
誰に通じる話とも思えないので、菜穂子は仏壇に向かいながら内心でそう呟くしかない。
両親には「お盆やからか知らんけど、夢で会えたから満足」と、朝のうちにとりあえず伝えておいた。
まあそのうち、今年の不思議体験を語る日が来るだろうとは思う。
十三日は、そんなこんなで仏壇周りを整えることに終始した。
翌日と翌々日は、菜穂子の実家がある町内では、毎年防災広場の雑草抜きやら掃き掃除やらが、町内会主催で行われている。
と言うのも最後八月十六日、五山送り火の日にはその防災広場で、町内会予算を使っておつまみやら飲み物やらを買い込んでの「大文字鑑賞会」が行われるからだ。
公的行事としては「五山送り火」だが、実家の町内では「大文字鑑賞会」だ。
――何故なら防災広場から見えるのが、如意ヶ嶽(大文字山)に浮かぶ「大」の文字だけだから。
そもそも昨今では、一ヶ所から五山全ての送り火を見ることが出来る場所自体、両手の指の数でこと足りる。
しかも事前抽選制だったり宿泊者しか上がれないホテルの屋上だったりするので、実質ゼロと言ってもいいくらいじゃなかろうか。
ただ、京都に住めば住むほど、住民はむしろそこまで一度に五山の全てを見ることに固執をしていないので、皆が思い思いの山を見ながら、あの世に戻る祖先の霊を見送っていた。
実家の町内でも、見えるのが大文字だけだからと言って、誰もクレームを上げたりはしないのだ。
そんな中、今年は町内会の組長だったらしい父が準備に駆り出されていったものの、あまりの暑さに菜穂子は準備の方は「ごめんなさい」してしまった。
普段は東京にいるから、準備までは、やいやい言われないだろうという母の言葉にちゃっかり甘えたのだ。
さすがに「大文字鑑賞会」の方は、近頃町内の人口減少や高齢化の波が押し寄せてきていることもあってか、顔を出してくれと父に頼まれた。
元より今年は、祖父も祖母も送り火で送る年だ。
二つ返事で頷いた菜穂子は、点火時間の少し前くらいを見計らって、防災広場へと顔を出した。
誰が親しいと言われても、もう困るしかないので、広場の隅で時間まで大人しくしているつもりだった。
「いや、深町さんトコのお孫さんやないの!」
高齢の住民にとっては、菜穂子は「深町さん家のお孫さん」だ。
彼ら彼女たちからすれば、同世代はあくまで祖父母。
今は父が家主だろうとも、父は「息子」で母は「嫁」だ。
そう言った日々の状況の積み重ねがより大げさになって、閉鎖的だのなんだのと、また京都の外側での偏見が大きくなっていくんだろう。
「そうですー、ご無沙汰してます」
そんなこんな、思うところは多々あれど、それらは全て呑み込んで、この場では会釈をするに留めておく。
「東京の学校行ってはったんやったねぇ」
何が言いたい、と顔を顰める菜穂子をよそに、その後しばらくは「東京に行ってる者からしたら、この辺でも田舎に見えるんやろうね」だのなんだのと、マウントなのか何なのか分からない「世間話」が続いた。
これで「お話し合い」している気になっているんだろうから、本当に何の茶番だと言いたくなってしまう。
菜穂子は、生産性のないその会話が途切れる頃を見計らって、クーラーボックスの中からソフトドリンク入りのペットボトルを適当に抜き取ると、後は黙ってセットされたベンチに腰掛けて、点火されるのを待った。
順番としては、菜穂子たちが見る如意ヶ嶽の大の文字が、五山の中で一番先に、午後八時に点灯される。
そこから反時計回りに5分置きで点灯され それぞれ約30分間火が灯されるのだ。
そのあとはそれぞれの山の火の勢いが順番に沈んでいくのを見ながら、ご先祖様を見送ることになる。
最初の点火から約十分ほどで「大」の文字として認識できるようになり、その頃には集まった人たちの間でも歓声が上がった。
(――ほな、またね)
「!?」
火の勢いが弱くなった頃、耳元でそんな声が聞こえたのは気のせいじゃないと思いたい。
「……保育士、調べてみようかなぁ……」
「何やの唐突に」
菜穂子の呟きに、隣にいた母が反応する。
どうやら、祖母らしき声は母には届かなかったようだ。
「んー……今から先生はさすがに無理やと思うから、保育士やったらまだ目指せるかなと思て」
「おばあちゃんが教えてはった学校覗きに行って、その気になってんのかいな。えらい単純やな、あんたも」
「どうせそろそろ就職活動始めなあかんところやったから、それも選択肢の一つに入れたってええやんか、別に」
「まあ、あんたの人生なんやから、好きにしたらええ言うたら、ええんやけど。大学はちゃんと卒業してや」
「そこは分かってるて、さすがに」
咄嗟にそう言い返したところで、母は沈黙する。
ただ反発でも反対でもない空気を、母からは感じた。
「とりあえず、明日東京帰るわ」
「そうか。まあ、ぼちぼち頑張りよし。あんたが機嫌ようしてたら、向こうでおばあちゃんも、おじいちゃんも安心しはるやろうからな」
「……ん、そうする」
前略、閻魔さま
それから八瀬さん。
上手いこといったら、将来「賽の河原の学校」で雇って貰えますか。
ぜひ前向きにご検討下さい。
最後の火が消える直前、菜穂子は大文字山に向かってそう心の中で呟いた。
各家でお盆供養の飾りつけがなされて、お上人さんが早朝からそれぞれの檀家を回ってお経を上げる。
仏教ごとは、基本後回しにしない――と言う慣習に則ってか、なるべく午前中に回ろうと言う方向にどうやら傾くものらしく、お寺に近い家では朝の六時台からの訪問となる家もあるそうだ。
朝の十時半頃、お上人さんがやって来た菜穂子の実家なんかは、まだいい方なんだろう。
「基本は仏壇の前に棚を設けて、御位牌を出してお祀りします。他の宗派さんは分かりませんけど、日蓮宗にはそこまでガチガチに決められた飾り方はないんです。地域の風習やら、各家庭で引き継がれてきた伝統の違いやらもありますさかいに。大事なのは御本尊、御位牌を隠さへんことと、なるべくなみなみと注がれてる水を用意して貰うことですやろか」
何でも、ご先祖様を始め多くの救われない餓鬼を一緒に供養すると言う点からも、コップよりも大きめの容れ物に入った水を用意するのが好ましいらしい。
「餓鬼……」
お上人さんの話に、思わず辰巳一家のことが頭をよぎる。
(後で、お水いっぱいお供えしよう……)
辰巳幸子の妹さんにまで、届くかどうかは分からなくとも。
祖母にさえ届いていれば、もしかしたら辰巳幸子くらいには届くかも知れない。
八瀬青年曰く、お盆の入りから五山送り火までは、見えないだけで魂はそれぞれ所縁のある場所に戻っていくものらしい。
『僕自身は別に会いたい家族もいませんし、十王庁居残りで働きますよ』
むしろ家族には会いたくないくらいだと言っていた。
若宮八幡宮の鏡に八瀬青年がチラッと映っていたのは、今回の件で「高辻先生の孫」の様子を見ようとしたはいいが、六道珍皇寺の井戸がすぐ近くにあったことと、時期的な要因とが重なってそのまま地上へと出てしまい、本当にたまたま映ってしまったんだとか。
普通に生活をしている限りは、まず見えないのだそう。
残念なことに。
(おじいちゃん、おばあちゃん、お帰り。言うても、会うたばっかりやけど)
誰に通じる話とも思えないので、菜穂子は仏壇に向かいながら内心でそう呟くしかない。
両親には「お盆やからか知らんけど、夢で会えたから満足」と、朝のうちにとりあえず伝えておいた。
まあそのうち、今年の不思議体験を語る日が来るだろうとは思う。
十三日は、そんなこんなで仏壇周りを整えることに終始した。
翌日と翌々日は、菜穂子の実家がある町内では、毎年防災広場の雑草抜きやら掃き掃除やらが、町内会主催で行われている。
と言うのも最後八月十六日、五山送り火の日にはその防災広場で、町内会予算を使っておつまみやら飲み物やらを買い込んでの「大文字鑑賞会」が行われるからだ。
公的行事としては「五山送り火」だが、実家の町内では「大文字鑑賞会」だ。
――何故なら防災広場から見えるのが、如意ヶ嶽(大文字山)に浮かぶ「大」の文字だけだから。
そもそも昨今では、一ヶ所から五山全ての送り火を見ることが出来る場所自体、両手の指の数でこと足りる。
しかも事前抽選制だったり宿泊者しか上がれないホテルの屋上だったりするので、実質ゼロと言ってもいいくらいじゃなかろうか。
ただ、京都に住めば住むほど、住民はむしろそこまで一度に五山の全てを見ることに固執をしていないので、皆が思い思いの山を見ながら、あの世に戻る祖先の霊を見送っていた。
実家の町内でも、見えるのが大文字だけだからと言って、誰もクレームを上げたりはしないのだ。
そんな中、今年は町内会の組長だったらしい父が準備に駆り出されていったものの、あまりの暑さに菜穂子は準備の方は「ごめんなさい」してしまった。
普段は東京にいるから、準備までは、やいやい言われないだろうという母の言葉にちゃっかり甘えたのだ。
さすがに「大文字鑑賞会」の方は、近頃町内の人口減少や高齢化の波が押し寄せてきていることもあってか、顔を出してくれと父に頼まれた。
元より今年は、祖父も祖母も送り火で送る年だ。
二つ返事で頷いた菜穂子は、点火時間の少し前くらいを見計らって、防災広場へと顔を出した。
誰が親しいと言われても、もう困るしかないので、広場の隅で時間まで大人しくしているつもりだった。
「いや、深町さんトコのお孫さんやないの!」
高齢の住民にとっては、菜穂子は「深町さん家のお孫さん」だ。
彼ら彼女たちからすれば、同世代はあくまで祖父母。
今は父が家主だろうとも、父は「息子」で母は「嫁」だ。
そう言った日々の状況の積み重ねがより大げさになって、閉鎖的だのなんだのと、また京都の外側での偏見が大きくなっていくんだろう。
「そうですー、ご無沙汰してます」
そんなこんな、思うところは多々あれど、それらは全て呑み込んで、この場では会釈をするに留めておく。
「東京の学校行ってはったんやったねぇ」
何が言いたい、と顔を顰める菜穂子をよそに、その後しばらくは「東京に行ってる者からしたら、この辺でも田舎に見えるんやろうね」だのなんだのと、マウントなのか何なのか分からない「世間話」が続いた。
これで「お話し合い」している気になっているんだろうから、本当に何の茶番だと言いたくなってしまう。
菜穂子は、生産性のないその会話が途切れる頃を見計らって、クーラーボックスの中からソフトドリンク入りのペットボトルを適当に抜き取ると、後は黙ってセットされたベンチに腰掛けて、点火されるのを待った。
順番としては、菜穂子たちが見る如意ヶ嶽の大の文字が、五山の中で一番先に、午後八時に点灯される。
そこから反時計回りに5分置きで点灯され それぞれ約30分間火が灯されるのだ。
そのあとはそれぞれの山の火の勢いが順番に沈んでいくのを見ながら、ご先祖様を見送ることになる。
最初の点火から約十分ほどで「大」の文字として認識できるようになり、その頃には集まった人たちの間でも歓声が上がった。
(――ほな、またね)
「!?」
火の勢いが弱くなった頃、耳元でそんな声が聞こえたのは気のせいじゃないと思いたい。
「……保育士、調べてみようかなぁ……」
「何やの唐突に」
菜穂子の呟きに、隣にいた母が反応する。
どうやら、祖母らしき声は母には届かなかったようだ。
「んー……今から先生はさすがに無理やと思うから、保育士やったらまだ目指せるかなと思て」
「おばあちゃんが教えてはった学校覗きに行って、その気になってんのかいな。えらい単純やな、あんたも」
「どうせそろそろ就職活動始めなあかんところやったから、それも選択肢の一つに入れたってええやんか、別に」
「まあ、あんたの人生なんやから、好きにしたらええ言うたら、ええんやけど。大学はちゃんと卒業してや」
「そこは分かってるて、さすがに」
咄嗟にそう言い返したところで、母は沈黙する。
ただ反発でも反対でもない空気を、母からは感じた。
「とりあえず、明日東京帰るわ」
「そうか。まあ、ぼちぼち頑張りよし。あんたが機嫌ようしてたら、向こうでおばあちゃんも、おじいちゃんも安心しはるやろうからな」
「……ん、そうする」
前略、閻魔さま
それから八瀬さん。
上手いこといったら、将来「賽の河原の学校」で雇って貰えますか。
ぜひ前向きにご検討下さい。
最後の火が消える直前、菜穂子は大文字山に向かってそう心の中で呟いた。
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ありがとうございました。
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