用済み大賢者

2Bテータ

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16 シテイン王国見学(2)

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「た、高いな……」


武器屋に入ったコウは商品の横にある
値札を見て小さくそう呟いた。

といっても普段はルーベルおじさんから渡された
武器しか使わないため、
市場の値段は知らないのだが。

そして暫くすると、店の奥から店主らしき
男が姿を現した。


「……いらっしゃい、ゆっくり見て行ってくれ」


男はそう言うと、すぐに店の奥へと戻って行った。


(えっ? 見ておかなくていいのか?
盗まれたりしないのか……?)


コウはそう思いながらも適当な武器を手に取る。


「やっぱり、剣がしっくりくるな。
だが……やっぱり高いな……」


そう呟きコウは剣を戻すのだった。

すると、店に数人の男たちが入ってきた。


「なんだよ、ボロいなこの店」

「だな! ろくな商品置いてないだろw」

「見た目もだっせぇ物ばっかりだしよ」


店に入ってくるなり、3人は男たちは
口々にそう言い放った。

すると、店の奥から先ほどの店主らしき男が
再び姿を現した。


「お前たちに売る武器は無い。
今すぐに出ていけ」


店主の男はそう静かに告げた。


「はぁ? こっちは客なんだぞ?」

「さっさと良い武器を売りやがれ!!」


そう叫ぶ男たちに別の方向から声がかかった。


「貴方たちいい加減にしなさいよ。
そんな態度で物を売ってもらえるわけないでしょ?」


そう言ったのは入口に立つ1人の少女だった。

背が低く、大きな目をした気の強そうな少女は
仁王立ちで男たちを睨みながらさらに続けた。


「この店の武器は真っ当な人に使ってもらうために
作ってるのよ、貴方たちみたいな
野蛮人の為に作ってるわけじゃないのよ!!」

「はぁ? 野蛮人だと?」

「このガキ……女だからって容赦しねぇぞ!」

「後悔させてやるよ!!」


男たちはそう叫びながら少女に近づき、
少女を掴み上げようとする……が。

1人の男が少女を掴み上げた瞬間、
その男が扉へと吹き飛んだ。
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