92 / 92
最終話
しおりを挟む
目覚めるとニャン助が俺の腹の上で両足を引っ込めて、まるで卵のように丸くなって鳴いている。
ニャン助のおかげで腹の部分だけほのかに暖かい。
「お腹空いてるんでしょ。
わかった、わかった。今すぐ用意するからちょっとだけ待ってて。」
俺は眠い目を擦りベッドの上で上半身を起こすと、ニャン助はキッチンへ向かって行った。
「はい、どうぞ。」
袋から取り出してニャン助用の食器にキャットフードを入れる。
早くご飯を食べたいらしく俺の手を邪魔そうに小さな頭で払い除けようとしている。
「食い意地はってるねぇ~。さすが元野良猫。」
俺は遮光カーテンとレースカーテンを掴んで同時に開けた。
カーテンを開けた事で、近くにいた敏感なスズメやメジロが雲一つない青空へ一斉に飛び去った。
ガツガツ食べているニャン助をよそに、コーヒーメーカーの電源を入れて作動させる。
出勤するまでこの穏やかな時間を今では元カノが置いていったエプロンをしめて、あの子がいた時のように料理を作るようになった。
「ニャン助、俺の朝食を当てみな?ハチミツとヨーグルトをたっぷり乗せたボリューミィな3段重ねのパンケーキだぞ。」
いつもなら食事中は話しかけても無視をするニャン助が顎を突き出して俺を見ている。
手作りパンケーキが完成するとタイミングよくコーヒーもできあがった。
「料理の腕が上がっただけでなく、段取りも良くなったろ?
さてと、砂糖を多めの甘ったるいコーヒーにしますかね。」
専用のスプーンを使い砂糖をすくっていると、ニャン助は身体をぶつけて邪魔をしてきた。
「ふふふ。糖分の摂りすぎだって?おまえは俺の身体を心配してくれてんのかな。
確かにパンケーキも甘いし、今朝のコーヒーはブラックにしとこうか。
ブラックで飲む俺は、まさしく違いのわかる男!」
テレビをつけると、あのお天気お姉さんがピンクのブラウス姿で首都圏の天気を予報していた。
俺の住む地域は夕方から雨だと伝えている。
部屋の窓から美しい青空を眺めると、到底、雨が降るなんて俄かに信じがたい。
ニャン助に"いってきます"と元気よく伝えて、傘を持たず張り切って玄関ドアを開けた。
ニャン助のおかげで腹の部分だけほのかに暖かい。
「お腹空いてるんでしょ。
わかった、わかった。今すぐ用意するからちょっとだけ待ってて。」
俺は眠い目を擦りベッドの上で上半身を起こすと、ニャン助はキッチンへ向かって行った。
「はい、どうぞ。」
袋から取り出してニャン助用の食器にキャットフードを入れる。
早くご飯を食べたいらしく俺の手を邪魔そうに小さな頭で払い除けようとしている。
「食い意地はってるねぇ~。さすが元野良猫。」
俺は遮光カーテンとレースカーテンを掴んで同時に開けた。
カーテンを開けた事で、近くにいた敏感なスズメやメジロが雲一つない青空へ一斉に飛び去った。
ガツガツ食べているニャン助をよそに、コーヒーメーカーの電源を入れて作動させる。
出勤するまでこの穏やかな時間を今では元カノが置いていったエプロンをしめて、あの子がいた時のように料理を作るようになった。
「ニャン助、俺の朝食を当てみな?ハチミツとヨーグルトをたっぷり乗せたボリューミィな3段重ねのパンケーキだぞ。」
いつもなら食事中は話しかけても無視をするニャン助が顎を突き出して俺を見ている。
手作りパンケーキが完成するとタイミングよくコーヒーもできあがった。
「料理の腕が上がっただけでなく、段取りも良くなったろ?
さてと、砂糖を多めの甘ったるいコーヒーにしますかね。」
専用のスプーンを使い砂糖をすくっていると、ニャン助は身体をぶつけて邪魔をしてきた。
「ふふふ。糖分の摂りすぎだって?おまえは俺の身体を心配してくれてんのかな。
確かにパンケーキも甘いし、今朝のコーヒーはブラックにしとこうか。
ブラックで飲む俺は、まさしく違いのわかる男!」
テレビをつけると、あのお天気お姉さんがピンクのブラウス姿で首都圏の天気を予報していた。
俺の住む地域は夕方から雨だと伝えている。
部屋の窓から美しい青空を眺めると、到底、雨が降るなんて俄かに信じがたい。
ニャン助に"いってきます"と元気よく伝えて、傘を持たず張り切って玄関ドアを開けた。
0
お気に入りに追加
4
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)


【完結済】ラーレの初恋
こゆき
恋愛
元気なアラサーだった私は、大好きな中世ヨーロッパ風乙女ゲームの世界に転生していた!
死因のせいで顔に大きな火傷跡のような痣があるけど、推しが愛してくれるから問題なし!
けれど、待ちに待った誕生日のその日、なんだかみんなの様子がおかしくて──?
転生した少女、ラーレの初恋をめぐるストーリー。
他サイトにも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる