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「やべぇよ!ノムちゃん。早いとこコイツをボコって恵子の居場所をつきとめねえと。」

「トオルさん、恵子はいなくてもアキトだけでもいいってさ。」

「マジ?なんでだべ?」

「さぁ、わからない。」

まずいな…。トオルが来てしまうとアキトが窮地に陥ってしまう。
やはり警察に連絡すべきではないか。
でも、アキトはリンチされるまで通報はするなと言っている。
アキトの為にもアキトに言われたことなんて無視した方がいいのかな?


一台の黄色いタクシーがアパート前で止まった。
ドアを開けて出てきたのは短髪に黒い肌、ゴツい男。
タトゥーまでは確認出来なかったが、紛れもなくトオルだ。

俺はてっきり金ピカのハマーで現れるものだと想定していたが、人目を惹く金ピカハマーではなく誰もが利用する普通のタクシーだった。

たぶん俺の住むアパート周辺は道が狭いからハマーではなくタクシーを選択したのであろう。

「お疲れさまです!」
階段を上がってきたトオルに対してカズオら3人が同時にハキハキと挨拶をする。

アキトは黙って腕を組んでいる。表情までは確認できない。

「ヘイヘイ、随分と物々しいな、おい。」

トオルが笑いながら話した。
きっと、あの時と同じで目は笑っていないと思う。

「マメから報告受けてっから、ここまでの事は知ってんだけど、恵子はここにいないわけだろ。」

「はい。このアパートにはいませんね。でもアキトは恵子を匿っているはずです。」

「そりゃそうだ。恵子と逃亡したんだからな。なぁ、。」

「どうしますか?アキトをやって恵子の居場所をつきとめますか?ちなみに俺はナオちゃんから殺してでも恵子を連れ戻せと命じられてますんで。」

「ふーん。ナオは怒り心頭のようだな。まぁ殺してもいいけど、殺しちゃったら金は回収できないからなー。
とりあえずアキト君にはきっちり取り調べを受けてもらうよ。」

「取り調べっすか?ちょっと怖いっすね。」

「アキト!おめぇ今更ビビっても遅いぜ?

"ブー"
クラクションが鳴り響く。

タクシーの後ろに2台の車が並んでいた。
道が狭いので、立ち往生している。

「あの~お客さん。お取り込み中、申し訳ありませんがね、そろそろ車を出さないと大変です。」

「いけね、忘れてた。
オッサンごめんよ。もう話はついたからすぐ行くわ。
おまえらは車でここまで来たんだろ?どこに止めてるか知らないけどよ。
とりあえず事務所まで来い。
ほらアキト、おまえもタクシーに乗れ。」

ダメだ!このままではアキトが連れ去られてしまう。
警察に連絡しなくちゃ。
あの動画を見せれば警察は黙ってないだろう。
それとも、俺が出ていってアキトを連れて逃げるか?

その時、ハゲて太った中年の男が奇声をあげながら停車しているタクシーの側を通り抜け、アパートの階段を勢いよく駆け上がって行った!























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