上 下
83 / 92

83

しおりを挟む
「ふざけんなよ!いねーのか!?おう!?」
金髪ツーブロック男がドアを蹴飛ばしながら叫ぶ。

「おい、壊すなよ。」

「あぁ!?おまえはむかつかねーのかよ?ノムちゃんよぉ!」

「別に俺にゃ関係ねぇもん。」

「おまえ、いま言った事トオルさんに聞こえたらヤバイぞ!」

「それよかよ、あんまし暴れたら近所の奴らがおまわり呼ぶぜ?」

「ナオちゃんが暴れて、あのバカ女を引きづり回せって俺に言うんだよ。」

会話をする2人をよそにヤンキースのニューエラを被った男は相変わらずスマホばかり触っていた。

「だから、オラァ!!こうやるんだよ!」
金髪のツーブロック男が力を込めて玄関ドアに前蹴りをしている。

「おっ、少し凹ませてやったぜぇ!」
金髪ツーブロック男が片手を上げて息巻いている。



「サヤマさん、ちゃんと撮影していてくださいね。俺はここらで奴らのもとへ行きます。」

「えっ!?アキトさんだけで行くんですか?あ、危な過ぎですって!」

「危ないからこそ良いんです。警察に通報するにしても証拠が必要でしょ?
いま撮っているこの動画に加えて、更に俺まで恫喝され殴られた動画を警察に見せれば奴らの罪はもっと重くなるはずですよ。」

「しかしですよ?俺は止めないわけにはいかない!」

「大丈夫ですって。俺が最年少で奴らより立場的にも下っ端でしたが心配しないでほしいです。」

アキトはチョコレート風味のベイプを吸って、煙突から出る工場の如く大量の煙を口から吐いた。

「ただ、1、2発くらい殴られたとしてもすぐ警察は呼ばないでくださいね。
3人が俺をリンチした時、110番してほしい。
万が一に備えて俺のスマホをサヤマさんに渡しておくんで、決定的な瞬間を撮り損ねないでくださいよ。じゃあ行ってきます。」

「ちょっとぉ!」

俺の呼び止めにアキトは背を向けて手を振った。

アキトは軽い足取りでスタスタ歩き、あっという間に俺やメデューサが住むアパートに到着した。

階段を昇りきると、金髪のツーブロック男がいち早くアキトに気づいた。

「アキト!てっめぇぇぇ!のこのこ出てきやがってぇ!」

「カズオさん、こんちゃす。」

「おめぇ、自分が何したかわかってんだろうなぁ?」

「恵子の件すよね?アイツの為にもこれでいいんじゃないっすか?子持ちっすよ?」

「そんなこたぁ関係ねぇんだよ。クソバカが!アイツは金を持ち逃げした悪党なんだぜ?おめえも知ってんだろうがよ!」

「はい、知ってますよ。恵子はその金を返すつもりっす。ただ、ヘヴンandヘルは辞めますから。
別にあそこで働かなくても返金さえすりゃいいでしょ?」

「なんだ?庇ってんのかよ。おめぇ、あの女の味方してるんか?あの泥棒の売女をよ。」

「庇うってより、恵子の代わりに伝えているだけっす。
仕事を辞めるけど、金は返すってトオルさんかナオさんに伝えておいてください。」

「バカヤロー!俺はナオちゃんに恵子を殺してでも連れてこいって言われてんだよ!
ガキの使いみてぇなことできるか。
それよか、恵子はどこだ?どこにいんだよ?」

「カズオさん。いい加減、ここらでいいなりになるのやめましょうよ。」

「あぁ!?いま、俺を馬鹿にしただろ?舐め腐りやがってクソガキがぁ!もう我慢できねぇ!トオルさん達に引き渡す前に
このスカしたボンクラやっちまおうや!」

「そろそろ、トオルさんとナオさんも来るみたいよ?」
ヤンキースのニューエラを被った男がスマホを見ながら言った。

「えぇ?なんでこっち来るんだよ?まだ恵子は捕まえていないんだぜ?」
スマホで撮影している俺だけでなく、カズオも酷く慌てて言った。













































しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活

XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。

短い怖い話 (怖い話、ホラー、短編集)

本野汐梨 Honno Siori
ホラー
 あなたの身近にも訪れるかもしれない恐怖を集めました。 全て一話完結ですのでどこから読んでもらっても構いません。 短くて詳しい概要がよくわからないと思われるかもしれません。しかし、その分、なぜ本文の様な恐怖の事象が起こったのか、あなた自身で考えてみてください。 たくさんの短いお話の中から、是非お気に入りの恐怖を見つけてください。

Tell me eMotion

黒蝶
キャラ文芸
突きつけられるのは、究極の選択。 「生き返るか、僕と一緒にくるか...」 全てに絶望した少女・雪芽は、ある存在と出会う。 そしてその存在は告げる。 「僕には感情がないんだ」 これは、そんな彼と過ごしていくうちにお互いの心を彩づけていく選択の物語。 ※内容が内容なので、念のためレーティングをかけてあります。

竜のおどろきしほど、この天下は滅ぶ なれば竜に与する者とななりそ

神永 遙麦
ファンタジー
――竜の目覚めた時、この天下は滅ぶ。だから竜に与する者となってはならない――。 その教えは代々伝え継げられていた。 両親を喪った少年は先祖代々の教えを破り、竜の封印を解いた。 その心底には両親をみすみすと死なせた神への強い憤りがあった。

初恋旅行に出かけます

松丹子
青春
いたって普通の女子学生の、家族と進路と部活と友情と、そしてちょっとだけ恋の話。 (番外編にしようか悩みましたが、単体で公開します) エセ福岡弁が出てきます。 *関連作品『モテ男とデキ女の奥手な恋』

あの日の風

雪美弥 麗華
青春
ある少女と男の子のお話

【完結】愛犬との散歩は、恋の予感

Ria★発売中『簡単に聖女に魅了〜』
青春
愛犬を通じて好きな人と交流をしていくお話です。 中学三年生の大事な受験の時期に初恋を知って、お互いに勉強を励まし合いながら、恋をしていくお話です。 胸きゅんする……かな? 中高生向けの為、難しいお話ではなく、初々しい感じを目指してみました♪ _________________ 「私、親が二人とも身長高いんだよね。だから、もしかしたら・・・身長超しちゃうかも」 「はっ、俺だって成長期だっての。自分だけ伸びると思ってんじゃねーよ」 _________________ 一章 初恋 二章 嫉妬 三章 逢瀬 四章 結実 _________________ ファンタジーしか書いて来なかったので、このジャンルは中々書くのが難しかったですが、少女漫画をイメージしてみました♪ 楽しんでいただけると嬉しいです♪ ※完結まで執筆済み(予約投稿) ※10万文字以上を長編と思っているので、この作品は短編扱いにしています。 ※長くなりそうだったので、ちょいちょいエピソードを割愛しています。

神様自学

天ノ谷 霙
青春
ここは霜月神社。そこの神様からとある役職を授かる夕音(ゆうね)。 それは恋心を感じることができる、不思議な力を使う役職だった。 自分の恋心を中心に様々な人の心の変化、思春期特有の感情が溢れていく。 果たして、神様の裏側にある悲しい過去とは。 人の恋心は、どうなるのだろうか。

処理中です...