ザ・グレート・プリン

スーパー・ストロング・マカロン

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「ゾウもねコアラもね、かわいかったね!」
目の前のハンバーグに一切手をつけず興奮しながら話している。
「コアラはおとなしく木にしがみついていて可愛かったな。」
俺はいつものマグロ丼を頬張りながら答えた。

4日前の火曜日に手作りプリンを作った以降から俺は翔馬に対して、他人行儀ではなくなったと思う。
こうしてレストランで夕食をしている姿は側から見たら親子に見られているのかもしれない。

俺がと呼ばれるようになってから水族館へ行ったり映画館へ行ったり。
今日(土曜日)は動物園へ行ったんだ。
俺にとっても動物園は久しぶりで最後に行ったのは元カノとで5年ぶりの事だった。
翔馬が来てから普段は行く機会を失った場所で遊ぶ事が出来て気分がいい。

向かいの幼児用の椅子に座っている翔馬はメロンクリームソーダをストローを使って空気を送りブクブクさせている。
メデューサを思い出して不穏になる事がなくなった。
もちろん母親を忘れたわけではないだろう。
でもあんな母親と再び生活をする事が正しいのだろうか?
俺はそんな気持ちが日に日に増してきている。









(翌日)


朝食を食べ終えて、翔馬はスイーツニャンコの玩具"おしゃべりニャン助"を野良猫のニャン助の耳元にくっ付けながらキャットフードをあげている。

迷惑そうではあるが、引っ掻いたりネコパンチをする事はない。
ニャン助は翔馬にだけ随分と甘いな。


翔馬は突然、すっ飛んで部屋に入ってきた。
「グレート!あ、あのひとがきたよ!」
勢い余ったようでニャン助も俺の部屋になだれ込んできて、翔馬と共に足元にへばりついている。

翔馬、あのひとって誰?って口にしてすぐ、"あのひと"が誰かわかった。

ハゲの渡辺太郎だ。

「おはようございます。今日は恵子の部屋ではなく、お兄さんの部屋で過ごされてるんですね。」

「おはようございます、えぇ、そうですが…今日はどうされました?」

「突然、アポ無しで来てしまってごめんなさい…。ただお兄さんの携帯番号を聞きそびれてしまいましたので連絡出来なかったのですよ。」
ハゲは翔馬とニャン助を交互に見ている。

「やぁ翔馬君!元気にしているかね?あ、そうそう今日はお土産を買って来たんだよ。」
紙袋を2回ほど上下に振って翔馬にアピールしている。

翔馬は俺の太腿に隠れて怯えながら片目でハゲを見ていた。

俺はハゲを自分の部屋に招きたくないので、メデューサの部屋に案内した。
理由を渡辺太郎が尋ねてきたので、ゴキブリやムカデが大量に発生している為、バルサンを使用しなければならないと嘘をついた。

渡辺太郎はゴキブリも苦手だがムカデに噛みつかれてアナフィラキシーショックを起こして、病院に担ぎ込まれたエピソードを俺に教えてくれた。
私もムカデは怖いので是非、話をする時は恵子の部屋でお願いします。だってさ。

今だに翔馬とニャン助は俺の足にへばり付いて離れる事なく、一緒にメデューサの部屋に入った。

7日目の日曜日。
向こうからアクションがあった。












































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